今の強烈な光は……一体何だ?
いや、それが何かというのは、はっきりとしている。
何しろ、タータラ城の上空を飛んでいたオーラバトラーが多数……ブリッジにいた者の報告によれば、3割が一気に消滅したのだから。
一般的な戦いの場合、3割の戦力が減った場合は全滅といったようになるのだが、それはあくまでも一般的な話の場合だ。
この世界はファンタジー世界で、その手の事は……多数の戦いを経験してきた者なら、そこから何となく理解しているかもしれないが、しっかりと規定はされていない。
あ、でもトッドやアレンといった軍人出身がいるのを考えると、その辺の情報が広がっていてもおかしくはないのか?
けど、地上での戦闘とオーラバトラーを使った戦闘では、大きく違うしな。
それこそ、聖戦士と呼ばれる地上人は一騎当千といった強さを持つので、戦力の9割が消滅しても聖戦士が残っていれば何とかなったりする可能性も否定は出来ない。
「どうなっている! どこからの攻撃だ!」
「詳細は分かりませんが、王城の方からです!」
ドレイクは既に俺達に構っている暇はないと言わんばかりに、ブリッジクルーに怒鳴る。
まぁ、無理はない。
ドレイクにしてみれば、今回行った夜襲は自分達の圧倒的な勝利で終わると思っていたのだろう。
勿論、ラウの国にもショウやゼラーナ隊のように強力な戦力はいる。
しかし、ドレイクにしてみれば聖戦士には聖戦士といった方法を考えていた筈だ。
ドレイク軍には5人の聖戦士がいて、それぞれがその名に相応しい実力を持っている。
それこそ、ショウやゼラーナ隊を相手にしても、聖戦士達をぶつけ、それ以外はドレイク軍のオーラバトラー隊で攻撃をするといったようなことを考えて……待て。
「聖戦士はどうなっている? それとガラリアも先程の攻撃に巻き込まれたりはしていないか?」
ドレイクを無視してそう尋ねるのはどうかと思ったが、その辺については出来るだけ早く確認しておいた方がいい。
特にガラリアの件は、俺の隣で心配そうにしているマーベルの件もあって、出来るだけ早く聞いておきたかった。
マーベルにとって、ガラリアはこのバイストン・ウェルにおいて重要な女友達だ。
また、女友達のガラリア以外にも、トッドは同郷という事でそれなりに親しい間柄でもある。
……同郷という意味ではアレンもそうなのだが、マーベル的にはアレンはそこまで親しみを感じていないらしい。
いきなり口説かれたのが影響してるのは、間違いないだろう。
「聖戦士様達のオーラバトラーは、全機健在です。ただ、今の光……攻撃でダメージを受けた機体もいる模様」
先程の攻撃を受けてダメージを受けただけですんだ、か。
それはつまり、あの攻撃に素早く気が付いて攻撃範囲から脱出したといったところか。
その辺はさすがに聖戦士と言うべきだろう。
「ガラリア様のバストールも確認! 問題ありません!」
その言葉に、マーベルが安堵した様子を見せる。
にしても……さっきの攻撃はかなり強力な攻撃だったのは間違いない。
タータラ城の襲撃に出ていたオーラバトラーの3割を一度に撃破したのだから。
そして、俺は一体何があのような攻撃をしたのか、予想する事が出来た。
「オーラバトルシップ……か」
「ぐ……」
俺の口から出た言葉に、ドレイクは厳しい視線を向けてくる。
それこそ、睨み付けているといった表現の方が相応しいくらいに。
以前から、ラウの国でオーラバトルシップが建造中であるという情報は入手していた。
ウィル・ウィプスやゲア・ガリング、ヨルムンガンドを見れば分かるように、バイストン・ウェルにおいてオーラバトルシップというのは戦略兵器といった存在だ。
今までは、そのオーラバトルシップはアの国、クの国、シャドウミラーといった、ドレイク陣営だけが唯一所持していた。
しかし、権力闘争をしていたラウの国だったが、その間も当然ながらオーラバトルシップの建造は進んでいたのだろう。
いや、寧ろ時間を稼いでオーラバトルシップを完成させる為に、意図して権力闘争をしているように見せていた……といった可能性もある。
もしかして、ドレイクがタータラ城に夜襲を仕掛けて強引に勝利を得ようとしたのは、それも理由だったりするのか?
一瞬そう思ったが、それなら今まで待機していた理由がなくなる。
そうなると、この件に関しては偶然か。
「お館様、どうするべきかと、ガラリア様から通信が入っています!」
「……撤退させろ。最低限の目的は果たした。こちらの被害は予想外に大きくなったがな」
ドレイクが不承不承といった様子でそう告げる。
ドレイクとしては、出来ればこの戦いで自分達の勝利を決定づけたかったのだろうが、ラウの国にあれだけの威力を行える攻撃方法があるとなると、これ以上の戦いは自殺行為に等しいと思うようになったのだろう。
とはいえ、個人的にはあの強烈な光を放つ攻撃方法……ビームとはまた違う攻撃方法は、そう簡単に連発出来ないと思うが。
もし連発出来るのなら、それこそ今こうしている間に連射してきてもおかしくはない。
そうなれば、ドレイク軍は致命的な被害を受けていた筈だ。
そうならなかった事が、あの攻撃を連射出来ない証拠だろう。
連射出来ない可能性としては、幾つか考えられる。
1、あの攻撃を行うにはエネルギーの充電が必要となる。
2、オーラバトルシップがまだ未完成なので、発射したら壊れた。
3、艦長……もしくはパットフットが、敵対している相手であっても虐殺は控えたかった。
大雑把に考えただけでも、これくらいの予想が出来る。
もっと詳細に考えれば、他にも幾つも他の可能性が出て来るだろう。
ともあれ、これでマーベルが希望したようにタータラ城の市街地への攻撃は中断されることになったが……これはこれで、難しい事になったのは間違いない。
まだオーラバトルシップが未完成だとするのなら、ドレイクとしてはそれが完成する前にどうにかラウの国を倒したいんだろう。
とはいえ、ここで下手に攻撃するような真似をすれば、先程の攻撃が再び襲ってくるのは間違いない。
これまでの戦いとは違い、ラウの国との戦いでは様子見といったような事はせず、一気に攻撃を仕掛ける事になるだろう。
そうなれば、当然のように戦いは激しくなり……それにより、ナの国がどう出るのかは分からない。
ラウの国だけが相手であれば、ドレイク軍が勝つだろう。
……それは、あのオーラバトルシップの攻撃を含めて考えても同様だ。
勿論、今までのように楽に勝てるのではなく、ドレイク軍も大きな被害を受けるだろう。
下手をすれば、ウィル・ウィプスが撃墜されて、ドレイクが死ぬといったような事になる可能性も否定は出来ない。
戦いになればある程度はどうにかなると思っていたが……その予想は完全に外れた形だな。
「アクセル」
と、不意にマーベルに名前を呼ばれ、同時に手を握られる。
マーベル本人が意図してやったのか、それとも無意識の行動だったのか……それは分からないが、俺はマーベルの手をしっかりと握り返すのだった。
「は? それは本気で言ってるのか?」
タータラ城の夜襲があった翌日……俺、ドレイク、ビショットの国王3人は、これからどうするかといった話をする為に集まっていた。
そうして話し合いが始まった中で真っ先にビショットが口にしたのが、そろそろクの国に帰るというものだった。
「ああ、本気で言ってる。一応これでも国王である以上、あまり長い時間国を空けておく訳にはいかないんだよ」
それを言うのなら、ドレイクはどうなる? と思ったが、それを制するようにビショットは口を開く。
「この戦いはドレイク王の戦いだ。私はあくまでも援軍であって、ゲア・ガリングの試験飛行という意味合いもあった。しかし……昨夜の一件を考えると、そこまでの危険は冒せないんだ」
つまり、国を空けていられないというのは表向きの理由で、昨日の一件で戦場にいるのが怖くなった訳か。
とはいえ、それでビショットを責めることは出来ない。
本来なら、ビショットは別に援軍に来る必要はなかったのだ。
あるいは援軍を派遣するにしても、それはビショットではなく部下を派遣するといった形でもよかった。
そんな中で、こうして王がやってきてしまった以上、ここでビショットが死んでしまえばクの国はどうなるか。
それこそ、考えるまでもないだろう。
であれば、ここで戦場から離脱するといったような事を考えても、おかしくはない。
もっとも、それは当然ドレイクからどう思われるのかというのは別にしての話だが。
そう思ってドレイクの方を見るが、ドレイクは特に表情を変えたりはしていない。
内心でどう思っているのかは分からないが、少なくても表面上では特に不満を言ったりするつもりはないのだろう。
「話は分かった。まぁ、ビショットが国王なのは間違いないし、クの国を放っておく訳にもいかないのも理解出来る」
ましてや、ビショットには妻も子供もいない。
もしこの戦争でビショットが死んだりした場合、クの国は間違いなく混乱するだろう。
……ビショットの親戚とかが多数出て来て、国王の座を巡って争いになってもおかしくはない。
「そうなると、俺の仕事はどうなるんだ? 一応、この戦いの間はビショットと行動を共にするという事になっていたが」
そう、ナの国に特使として向かったりといった真似をしていたが、今回の戦いにおいてシャドウミラーの仕事というのは、ビショットと一緒に行動する事だ。
「勿論、クの国の戦いはここで終わる以上、アクセル王の仕事もこれで終わりで構わない」
「そうか。ならそういうことで。……ちなみに、クの国に帰るのは急いでるのか?」
……最悪、急いで帰るというのなら、俺がゲア・ガリングを空間倉庫に収納し、それ以外の面々に関しては影のゲートで転移させる……といった真似も出来ない訳ではないのだが。
「急いでいるかと言われれば、それなりに急いでいるとしか言えないな」
「なら、俺の魔法でクの国に帰るか? そのくらいならサービスするぞ?」
そう告げるが、ビショットは俺の言葉に対して首を横に振る。
「いや、止めておこう。アクセル王の魔法であれば信じることが出来るであろうが、そのようなことを信じられない者もいるだろうし、なによりもゲア・ガリングの運用をもう少し見ておきたいという思いもあるのでな」
なるほど。
ビショットの本音としては、ゲア・ガリングの運用云々よりも、魔法に対して拒否感を抱く者がいるかもしれないというのが、正直なところか?
実際、転移魔法の場合は自分の影に沈む感触を好まないという者も少なくない。
その辺は何度も転移魔法を使っていれば慣れるのだが、ゲア・ガリングの運用に関わっている者達が、その感覚に慣れるまで転移魔法を使う機会があるかどうかとなると……正直、難しいだろう。
「そうか、分かった。なら、仕事はこれまでということで」
転移魔法の類も必要ないとなると、俺がこれ以上ビショットに付き合う必要はない。
後はゲア・ガリングでこの戦場を去ればいいだけなのだから。
ラウの国のオーラバトルシップの攻撃は、ビショットに対してそこまでする程の恐怖を与えたらしい。
「さて、ではそうなると……アクセル王はこれからどうするのだ?」
ドレイクのその言葉に、これからどうするのかを考える。
取りあえずビショットはクの国に帰ると言っている以上、別行動になるのは確実だ。
かといって、ドレイクと一緒に行動するかとなると……微妙なところだろう。
いや、俺は昨日のドレイクの行動に多少なりとも同意出来るが、マーベルは完全に納得してないんだよな。
幾ら理由があったとはいえ、ラウの国の主要メンバーがいる城ではなく、市街地に攻撃したというのは、マーベル的に許容出来ない事だったのだろう。
そんな状況で無理にドレイクと行動をするとなると……どうだろうな。
「まだ決まってないな。ビショットは国に帰るから別行動になるが、だからといってドレイクと共にラウの国と戦うかとなると、難しいと思う」
「ふむ、そうか。昨夜の件は、一応事情があっての事だというのは話したと思うのだが」
「そうだな。俺もそれは分かっている。けど、マーベルがそれに納得出来るかどうかというのは、また別の話だろう?」
「では、どうする?」
「タータラ城との戦いに関しては、ドレイクに任せる。俺はラウの国を回って、機械の館とか、そういうのを探すよ」
タータラ城の城下街に機械の館があったのは間違いない。
だが同時に、タータラ城以外にも機械の館があってもおかしくはなかった。
ラウの国は何だかんだと高い国力を持っているのだ。
そしてミの国でも、王都以外に幾つもの機械の館を作っていたのを思えば……それと同じ手法を、ラウの国がやらないという選択肢はない。
とはいえ、ボチューンは開発されたばかりのオーラバトラーだ。
そうなると、多分その機械の館で入手出来るオーラバトラーやパーツの類と言えば……ここはやはり、ボゾンになる筈だ。
あるいはダーナ・オシーかもしれないが。
「そうか」
そんな俺の言葉に、ドレイクは短く頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1580
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1684