取りあえずマーベルの父親が俺とマーベルの付き合いを認めたという事で、一応この件は落ち着いた。
……というか、よく考えてみれば恋人が10人以上いるのに、いわゆる『お義父さん、娘さんを私に下さい』的なイベントって、実はこれが最初だったりするんだよな。
ネギま世界組の方……千鶴とあやかの場合は若干似たようなイベントがあったが、ここまでシリアスというか、本気のものじゃなかったし。
「さて、パパもアクセルとの付き合いを認めてくれた以上、今度はこれからどうするかよね。……アクセル、どうするの?」
「どうするって言われてもな。俺としては出来れば最優先でショットかゼットと合流したい」
何しろ、現在のサーバインはかなりの損傷を受けている。
その損傷が、敵と戦ったものではなくて精神コマンドによる一種の自滅だというのはちょっと笑えないけどな。
ただ、普通に考えればサーバインはダンバインのプロトタイプとはいえ、性能的にはかなり上だ。
そんなサーバインが、精神コマンドを使った程度で壊れるというのは疑問だ。
考えられる可能性としは、サーバインが俺の魔力……いわゆるSPで動いている事が関係しているのだろう。
そして精神コマンドを使うのに必要なのは、SP。
そのSPを瞬時に――加速だから消費SPは4で、最大SPが2000近いのを考えると雀の涙程度だが――消費したのが原因なのか?
この辺は色々と調べてみなければ分からないが、問題なのは魔力で動いているオーラバトラーはサーバインだけで、検証が難しいという点なんだよな。
結局のところ、最善なのはオーラバトラーに乗っている時は精神コマンドを使わないようにするといったくらいか。
ともあれ、サーバインの代わりの機体……ズワァースを俺用に改修しているショットと合流するのが最優先なのは、間違いないだろう。
「でも、ショットやゼットがどこにいるのか分からないでしょう? 可能性があるとすれば、ウィル・ウィプスとゲア・ガリングだけど……」
「マーベル、その件だけど……」
マーベルの母親が会話に割り込み、TVを点ける。
「これって……ドラムロ!?」
そう、TVに表示されているのは、ドラムロ。
ドレイク軍の主力オーラバトラーとして、現在も多数使われている機体だ。
そんなドラムロが、どこかの街中でダーナ・オシーやボゾンと戦っている光景がTVでは映し出されている。
荒野かどこかで戦えばいいものを、何故か街中で戦っており、お互いの攻撃の流れ弾が街中に着弾しては巨大な爆発を生み出していた。
ガラリアから話は聞いていた。
地上に出た場合、オーラバトラーの火器はとんでもない威力になると。
そのとんでもない威力の攻撃が、街中に降り注いでいるのだ。
街が受けている被害は、とんでもないものだろう。
……というか、この映像はライブ映像か? もしくは録画か?
どちらかは分からないが、ともあれこの映像を撮った人物はこんな戦いが起きている中でカメラを回し続けているという事になる。
プロ根性ってのは凄いな。
「アメリカの西海岸での出来事らしいわ。……ねぇ、マーベル。貴方から聞いた話では、このドラムロというオーラバトラーはドレイクという人の部下なのよね? それがこんな風に街中で戦っているとなると、その人は本当に信用出来るの?」
「それは……」
母親の言葉に、何も言えなくなるマーベル。
実際、マーベルはラウの国に侵攻するという話を聞いた時から、ドレイクに若干含むものがあったのは間違いない。
しかし、それでもまだドレイクは非道な真似をするような事はなかった。
だが、現在TVではドレイクの部下が街中であるにも関わらず、一切躊躇せずに戦いを行っている。
それを見れば、マーベルが疑問を抱いてもおかしくはなかった。
まぁ、それを言うのなら、俺達もタータラ城の市街地で戦闘を行っていたのだが。
あの時は市街地に機械の館が分散されていたという理由があったから、仕方のない一面もある。
だが、現在TVに表示されているのは違う。
ドラムロの放ったフレイボムをダーナ・オシーが回避すると、その一撃は街に着弾。
大きな爆発を巻き起こし、周囲に炎を撒き散らかす。
ガソリンスタンドか何かにフレイボムが命中したのか? と思いもしたが、他にも幾つも同じような爆発や炎が生み出されているのを見れば、あれが地上で強化された武器の威力なのだろう。
「ママ、これって今も起きてるの?」
「生中継よ」
母親の言葉に、マーベルは小さく頷いてこちらに視線を向けてくる。
「アクセル、お願い」
「行くのか? 今はサーバインが使えない以上、戦うとなるとマーベルだけで戦わないといけなくなるぞ?」
一応、俺も生身で戦おうと思えば戦えるのだが、今の状況で俺までTVに映るというのは、色々と不味い。
俺はバイストン・ウェルの人間ではないが、それを見ている者はその辺についての情報を何も持っていないのだ。
いや、地上人達の中でTVを見ている奴がいれば、俺の存在を理解は出来るかもしれないが、それは圧倒的に少数だ。
だとすれば、俺が空を飛んで魔法を使い、もしくはそれ以外にもスキルを使っている光景を見れば、バイストン・ウェルの人間ならそのような真似が出来てもおかしくはないと、そう判断されてもおかしくはなかった。
俺の存在が、バイストン・ウェルの人間と地上の者達の間に決定的な亀裂を生みかねないのだ。
だからこそ、俺が現在TVでライブ中継されている場所に生身で出るといったような真似は出来なかった。
「構わないわ。幸い、あの街で戦っているオーラバトラーは、双方共にそこまで多くないもの。私とダンバインなら、あの戦いに介入して双方を鎮圧する事が出来る筈よ」
そう言ってくるマーベルの目には、絶対的な決意がある。
もしここで恋人の俺が行くなと言っても、マーベルはそれを聞き入れるといった事はないだろう。
マーベルの両親も、そんなマーベルの性格については十分に理解している為か、マーベルが戦場となっている場所に向かうと言っても、それを止めるような真似はしない。
悲しそうな表情は浮かべていたが。
「分かった。なら、行くか。準備をしてこい。俺は外で待ってるから」
現在のマーベルは私服だ。
ダンバインに乗るのに、そんな私服では色々と問題がある。
だからこそ、現在マーベルの部屋に置いてあるのだろうマーベルの鎧というか、パイロットスーツというか……ともあれ、それを着てくるように言う。
「サンクス」
短く感謝の言葉を口にし、居間から出ていくマーベル。
それを見送ると、俺もまた家の外に向かおうとし……
「マーベルを頼む」
その背に、マーベルの父親からそんな言葉を投げ掛けられる。
言葉としては、マーベルとの付き合いを認めた時と同じようなものではあったが、その中身は違う。
「ああ、マーベルは何があっても守ると約束するよ」
その言葉にマーベルの父親が納得したのかどうかは、分からない。
だが、それ以上は特に何を言うような事もなかったのだから、多分納得したのだろう。
そうして俺がマーベルの家の外で待っていると、やがて5分もせずにマーベルが姿を現す。
女が出掛ける準備をするのには、かなりの時間が掛かるというのは常識だ。
しかし、今回マーベルが出撃するのはデートではなく、市街地での戦いを終わらせる為だ。
そうである以上、悠長に出掛ける準備をしているような余裕はない。
マーベルもそれが分かっているからこそ、こうしてすぐに準備を整えたのだろう。
「よし、行くぞ」
「お願い。……パパ、ママ、行ってきます」
マーベルの言葉に、両親は心配そうな様子を見せつつも頷く。
そうしてマーベルは俺の近くまでやってくるのを確認してから、影のゲートを発動する。
いきなり地面に……正確には影に沈んでいく俺とマーベルの姿に驚くマーベルの両親。
考えてみれば、空間倉庫は見せたが魔法らしい魔法はこれが初めてだったな。
それを考えれば、これを見て驚きの表情を浮かべていてもおかしくはない。
影に身体が沈み、次の瞬間影から出ると、既にそこは戦場だった。
この移動で結構な魔力を消耗したな。
昨日と今朝影のゲートを使った事で何となく理解してはいたが、バイストン・ウェルと比べると自然が少ない為か魔力の消費が大きい。
とはいえ、マブラヴ世界とかに比べれば全然マシなんだが。
それに俺の場合は膨大な魔力があり、時間経過と共に魔力も回復していく。
そういう意味では、魔力の消費が多少激しくても問題がないのは間違いなかった。
「きゃあっ!」
少し離れた場所に切断されたダーナ・オシーの右腕が落ちてきて、喫茶店と思しき店の屋根が壊れたのを見てマーベルが悲鳴を上げる。
だが、すぐに気を取り直し、俺を見て口を開く。
「アクセル、お願い。ダンバインを」
「分かった。ただ、気をつけろよ」
そう言い、俺はマーベル用の白いダンバインを空間倉庫から出す。
純粋な技量という点では、始まりの聖戦士と呼ばれるマーベルが普通の兵士に負けるとは思えない。
だが、街の上空での戦い……それも地上に上がった事でオーラバトラーの武器の威力が増し、更にはバリアのような物まで使えるようになっている。
ショットによって以前よりも強化されたダンバインだが、その強化の方向はダンバインの運動性や機動性を伸ばす方向だった。
サーバインと同じ複合兵装の盾を持っているので、防御力もある程度高まっているのは間違いないが。
それ以外にも、兵士達のオーラバトラーがバリア……オーラバリアを使えるのなら、当然ながらマーベルのダンバインもオーラバリアを使える筈だった。
実際、ガラリアから聞いた話によるとダンバインでもオーラバリアを使っていたようだったし。
「ええ、大丈夫。……じゃあ、行ってくるわね」
唇を重ねるだけのキスをすると、マーベルはダンバインに乗り込んでオーラコンバータの力で飛び上がる。
こんな状況にも関わらず、周囲にはまだ人がいたのだろう。
突然姿を現した白いダンバインを見て、驚きの声が聞こえてくる。
それはダーナ・オシーやボゾン、ドラムロ……あ、よく見るとボチューンも何機かいるな。ともあれ、そんなオーラバトラーの中にいきなり全く新しいオーラバトラーが姿を現したからか、それとも新しいオーラバトラーの外見だがダンバインだったからか。
何しろダンバインはボチューンと共にこの世界で最初に認識されたオーラバトラーだ。
色が青系から白に変わっており、ショウのダンバインが持っていなかった複合兵装の盾を装備していても、ダンバインであると認識出来る者はいるだろう。
そんなダンバインが飛んでいき、ドラムロの1機に近付いていく。
ドレイク軍の者なら、当然のようにマーベルの事は知っている。
だからこそ、戦いを止めないまでも、街の外に戦いの場所を移すのかと思ったのだが……
「おい!?」
そのドラムロは、近付いてきたダンバインに向かってフレイボムを撃つ。
もしかしたらダーナ・オシーを始めとしたラウの国の軍隊と間違えたのか? とも思ったが、ダンバインがフレイボムを回避すると、続けて何度も連射する。
それは、明らかにダンバインをダンバインであると認識した上で攻撃を行っていた。
何でドレイク軍の兵士がマーベルを攻撃する?
そんな疑問が俺の中にある。
その程度の動揺ですんだのは、もしかしたらこうなる未来を予想していたからか。
ドレイク軍の兵士は、街中であっても何の躊躇もなく戦いを繰り広げていた。
そしてドラムロに限った話ではないが、オーラバトラーはパワーアップしている。
だからこそ、その力に酔ってマーベルを……この戦いを邪魔しようとした者を攻撃してもおかしくはないのだろう。
とはいえ、オーラバトラーがパワーアップしても、操縦技術まで向上する訳ではない。
マーベルがフレイボムをあっさりと回避したのが、その証拠だろう。
そんなマーベルだったが、ダンバインがフレイボムを回避すれば、当然のようにそのフレイボムはダンバインのいた空間を通り、その先にある建物や道路といった場所に着弾する。
それを何度か見たからだろう。
マーベルは最初こそドラムロを説得しようとしていたみたいだったが、やがてオーラソードを引き抜き、ドラムロに向かって攻撃をする。
オーラショットを始めとした飛び道具でなかったのは、街に被害が出ないようにする為だろう。
オーラソードなら、攻撃を外しても街に被害を与えない。
いやまぁ、高度の低い場所で戦っていれば、ビルの屋上とかに被害が出てもおかしくはないけど。
それでもマーベルはドレイク軍の兵士を殺したくないらしく、振るわれたオーラソードは呆気なくドラムロの右腕を切断する。
ドラムロのパイロットは、まさかこうもあっさりと右腕を切断されるとは思っていなかったのか、驚きで動きを止め……次の瞬間、再度ダンバインの一撃によって左腕を切断される。
ラウの国にしてみれば、まさかドレイク軍同士――実際には違うのだが――で戦うとは思っていなかったのか、驚きで動きを止め……次の瞬間、そんなダーナ・オシーの1機にフレイボムが放たれ、撃破される。
ドラムロか? と思ったが……そのフレイボムを放ったのは、この戦場に近付いてきた1機のビアレスだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1600
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1688