マーベルの母親の言葉を聞き、即座にTVが点けられる。
そして次々にチャンネルを変えていくと、やがてその一つで動きが止まる。
それは、俺にとっても見覚えのあるオーラバトルシップ……そう、ヨルムンガンドだった。
オーラロードで地上に出てから、それ程時間が経っている訳ではない。
しかし、それでも俺やマーベルにとってヨルムンガンドは家のようなものだった。
……マーベルの場合は、現在本当の意味で自分の家にいるが。
「これは……どこだ?」
「ちょっと待って。えっと……ハワイからそう離れていない場所ね」
トッドの言葉に、ニュースの内容を聞いていたマーベルがそう告げる。
にしても、ハワイか。
何気に俺はハワイと縁があるよな。
UC世界においては、ルナ・ジオンの持つ地上で唯一の拠点がハワイだし。
ん? いや、ハワイで重要な関わりがあるのはUC世界だけか?
ともあれ、ハワイの近くにヨルムンガンドがいると知る事が出来たのは大きい。
「マーベル、トッド、出るぞ。マーベルは、暫くここに戻ってこられないと思うから、その辺の説明をしてくるといい」
「そうね。分かったわ」
マーベルが頷くと、部屋の外に出る。
「トッド、改めて聞いておくが……本当に俺達と一緒に行動してもいいんだな? 俺達と一緒に行動するとなると、この後で色々と面倒な事になる可能性があるぞ?」
「分かってる。ただ、一応言っておくが、もし何かあってヨルムンガンドを出ないといけなくなった場合、俺は躊躇したりはしないぞ」
俺の言葉にトッドはそう言ってくる。
トッドにしてみれば、俺と一緒に行動するというのは、あくまでも一時的なものなのだろう。
もしドレイク軍と合流する必要が出て来れば、それを躊躇するような事はない筈だ。
「それでいい。ただ、ヨルムンガンドを出る時に破壊工作とか、そういうのをしないでくれると助かるけどな。そういう事をした場合……こっちも相応の態度を取るしかないし」
「分かってるよ。俺だってアクセルを怒らせるつもりはないしな。それより、いつまでもマーベルの部屋にいるのも色々と気まずいし、さっさと外に出ようぜ」
そんなトッドの言葉に頷き、俺は部屋から出るのだった。
「お待たせ」
俺とトッドが部屋から出た時、マーベルは母親と抱き合っていた。
そこに声を掛けるといったような野暮な真似はせず、そのまま家の外に出て待っていたのだが……そうして俺達が家の外から出て数分が経過したところで、マーベルが家から外に出て来たのだ。
「もういいのか?」
「ええ。ママとは暫く会えなくなるだろうけど、もう二度と会えなくなるって訳じゃないもの」
そう言うマーベルだったが、それでもやはり少し寂しそうに見えるのは、こうして家に帰ってきたからだろう。
トッドの方は……マーベルの様子を見て少しだけ羨ましそうな表情を浮かべているか?
トッドから聞いた話だと、家にいた母親には会えたらしいが、すぐにオーラバトラーが見つかって警察が来て、逃げてきたらしいしな。
そしてトッドは母親思いなのは間違いない。
その辺の事情を考えると、母親とゆっくり話せたマーベルは羨ましいのだろう。
「じゃあ、行くぞ」
そう言い、俺は自分とマーベル、トッドの3人に影のゲートを使うのだった。
「さて、取りあえずハワイから少し離れた場所にある島までやって来たものの……問題は、これからどうするかだな」
ハワイというのは、多くの島々の集まりだ。
当然だが、ハワイから離れた場所にも同じような島は複数ある。
俺達が影のゲートで転移してきたのは、そんな島の1つ。
ジャングル……という程に酷い訳ではないが、それでも誰も人が住んでいないと思われるような島だった。
「うげっ、何でこんな場所に出たんだよ? もっとこう……せめて、人のいる場所に出てもよかったんじゃないか?」
「無理を言うな。そういう場所でオーラバトラーが見つかったら、どうするつもりだ?」
ヨルムンガンドがどこにいるのか、正確な位置は分からない。
この辺りにいるというのは理解出来ているのだが、それでもまずはヨルムンガンドを見つける必要があった。
そうなると、俺だけではなくトッドやマーベルにも探して貰う必要がある。
というか、ヨルムンガンド側からこっちを見つけて貰うには、俺じゃなくてトッドやマーベルのオーラバトラーを見つけて貰った方が手っ取り早い。
俺がオーラバトラーに乗らないで空を飛んでいても、ヨルムンガンド側から俺を見つけるのは難しい。
あるいはグリを召喚して……と思わないでもなかったが、そうなればそうなったで、また騒動になるのは間違いない。
バイストン・ウェルから転移してきたオーラマシンと比べて、グリの場合はグリフォンだ。
正確にはグリフィンドラゴンというドラゴンの一種なのだが、外見を見る限り似てるのはグリフォンだろう。
そしてグリフォンというのは、この世界において物語とかでかなり有名な存在となる。
オーラマシンとかと比べて、こっちの方が明らかに人目を集めてしまうだろう。
かといって、俺が空を飛んでいてもヨルムンガンドから見れば小さいので、見つけるのが難しい。
そういう意味でも、やはりオーラバトラーとかに乗って探した方がいいのは間違いなかった。
その辺りについて説明すると、マーベルとトッドは納得した様子を見せる。
「しょうがねえな。……けど、そうなるとアクセルはどうするんだ? 俺とマーベルなら、オーラバトラーの通信機が使えるが、サーバインが使えないのなら、アクセルはそれも無理だろ?」
トッドの言葉に、どうするべきか考える。
あるいは、この島は恐らく無人島らしいので、いっそここに拠点となる場所を作っておくか?
俺の能力なら、その辺はやって出来ない事もないだろうし。
とはいえ、ヨルムンガンドが見つかればそっちで寝泊まりするようになるのを考えると、そこまでしてここにベースキャンプを作る必要があるのか? という思いもある。
「そうだな。俺はこの島の周辺を探してみる。もしかしたら、ヨルムンガンドがこの島に隠れているという可能性も、ない訳じゃないだろうし」
この島が無人島であれば、ヨルムンガンドにとっても絶好の隠れ場所なのは間違いない。
なら、その可能性を信じて島の周辺を探し回ってもいい。
後はついでに、何か食料とかを探してみてもいいかもしれないな。
この辺りの植生についての知識はないので、未知の植物とかは無理だろうが……それでも魚や獣といった食料になる生き物はいる。
「ふーん。なら、俺はまぁ、それでいいや。マーベルはどうだ?」
「私もそれで問題ないわ」
マーベルもトッドの言葉に同意し、こうして話は無事に決まった。
「じゃあ、頼んだ」
空間倉庫からダンバインとビアレスを取り出し、そう2人に頼む。
マーベルとトッドは俺の言葉に素直に頷き、そしてオーラバトラーに乗ってその場から飛び去る。
それを見送ると、俺は空に上がっていく。
島を一望出来る場所まで上がると、改めて島を見る。
ざっと見た限りでは、どこにも家の類はない。
木々の近くにあって家が見えないといった可能性も否定は出来ないが、そうやって隠すことが出来るのは、少数だろう。
であれば、集落といったものがないのは間違いない。
一軒が二軒か……そんな感じだろう。
とはいえ、今の状況を見ればそういう家があっても特に困ったりはしないだろう。
ヨルムンガンドもやはりどこにもない。
この島ではなく、他の場所にいると考えるべきか。
マーベルやトッド達がそんなヨルムンガンドを見つけられればいいんだが。
周囲の様子を確認し、恐らく無人島で間違いないと判断し、次に猪か鹿、熊……そんな動物を探す。
ハワイの周辺だと気候とかが違うから、日本と同じような動物はいないのか?
そんな風に思っていると、木々の隙間から猪が走っている姿を見つける。
猪、やっぱりいたか。
猪や鹿は、無人島とかではかなり繁殖するしな。
いや、鹿とかはかつて人が住んでいた無人島とかじゃないと難しいか。
しかし、猪は海を泳いで他の島にまで移動するといった話を聞いた事があった。
それを思えば、この島に猪がいてもおかしくはない。
そんな風に考えながら、猪のいる場所に向かって降下していき……
「ブルゥ!?」
上空からいきなり襲い掛かって来た俺の姿に驚きの声を上げる猪。
だが、そうやって声を上げたのは致命的な隙となり、俺の一撃によって次の瞬間にはあっさりと首を切断されて命を絶たれる。
素手でも首を切断とか出来るものなんだな。
最初は首の骨を折るつもりだったんだが、手が猪の皮膚に接触した瞬間、いけると判断したのだ。
そして実際、それは正しかった。
倒した猪は、スライムを使ってその場で首を下にし、木の上から吊り上げる。
それなりに大きな猪だけあって、そこから流れ出す血はかなりの量だ。
……これがバイストン・ウェルとかなら、恐獣だったりガロウ・ランの盗賊だったりが血の臭いを嗅ぎつけて襲ってくる可能性を考えないといけないんだが、そういうのがいない地球って楽でいいよな。
そんな風に考えつつ、猪を捌いていく。
食べない内臓とかはそのまま適当に地面に置いておけば、この島の野生動物か何かが処理してくれるだろう。
時間が経つと悪臭を発するかもしれないが、俺達はいつまでもこの島にいる訳じゃないし。
そう考えつつ、素早く猪の処理を終える。
こうして考えると、キャンプ道具とかそういうのも買っておいた方がいいかもしれないな。
どの世界で買った雑誌だったかは忘れたが、冬に1人でキャンプをするのが流行っているらしいし。
俺の場合は冬に雪の中で眠っていても、それが魔力を伴った雪とかでない限り全く問題はないんだが。
エヴァ辺りの雪とかは、何気にやばかったりするが。
ともあれ、キャンプの道具ってのは何気に興味がある。
問題なのは、興味があって購入しても、実際にそれを使うかという事だろう。
何しろ、キャンプをするにしても、俺の場合は影のゲートがあるので、一瞬で家とかに戻る事が出来る。
そういう意味では、やはりキャンプの道具ってのはそこまで必要じゃないのかもしれないな。
そんな風に思いつつ、ブロック状にした肉は空間倉庫の中に収納しておく。
本当は殺したばかりの肉というのは、そこまで美味くなく、ある程度時間を置いて熟成させる必要があるんだが……生憎と、俺にそんな技術はない。
そんな訳で、この猪の肉は普通に今日食べるとしよう。
マーベル達が今日中にヨルムンガンドを見つけられれば、猪の肉は食堂で働いている奴に渡せばいいし。
そんな風に考えていると、それがまるでフラグだったかのようにビアレスが姿を現す。
このような場所にいる以上、トッドのビアレスで間違いない筈だ。
もしかしたらアレンの、あるいはドレイク軍の別の奴が乗っているビアレスといった可能性もあったが、この島の上で俺を捜すように飛び回っているのを見れば、トッドのビアレスで間違いない。
そんなビアレスに向かい、空を飛んで向かう。
すると向こうでもすぐに俺の姿に気が付いたのか、ビアレスがこちらに近付いてきた。
『アクセル、見つけた! 見つけたぞ! ヨルムンガンドだ!』
「もう見つけたのか」
もしかして、やっぱりさっきの俺の考えはフラグだったのか?
実際に口に出しておらず、考えただけなのでそれをフラグと言ってもいいのかは微妙なところだが。
『ああ。ここから少し離れた場所にある島に、隠れていた』
「なるほど。そういう意味ではキブツがいてよかったな」
トッドと合流した街で戦ったドレイク軍の者達みたいに、地上でも普通に敵と戦う……それどころか、マーベルと知った上で攻撃をしてきたのを考えると、攻撃性が高くなっている可能性もある。
とにかく、周囲を気にせず戦うといったような攻撃性を持たず、こうして人のいない場所に隠れるというのは、俺にとって非常にありがたい。
ヨルムンガンドが地上の街とかに被害を与えていると、これから地上で行動する際に色々と面倒な事になるだろうし。
実際、TVで見た限りではオーラバトラーが転移した先の軍隊と戦っているのとか、映っていた。
ドレイク軍のオーラバトラーだけではなく、ラウの国のオーラバトラーも、その辺は変わらない。
ボゾンやボチューンだったからラウの国と判断したものの、もしかしたらナの国の兵士もいた可能性があるな。
「なら、取りあえずヨルムンガンドと合流するか。トッド、案内してくれ」
『おう、ただ、それと……ヨルムンガンドの近くに、見たことがないオーラシップ……オーラシップか? まぁ、多分オーラシップだけど、そんなのがいた』
ここに来て、また未知のオーラシップか。
「ゼラーナとかみたいに、ナムワンを改修したようなオーラシップか?」
『いや、全然違う。それこそナムワンの倍くらいの大きさのオーラシップだ』
「……ナムワンの倍くらい? それはつまり、ブル・ベガーくらいか」
ナムワンの全長が50mくらいなのに対し、ブル・ベガーは100mくらいある。
トッドの言葉が正しければ、その新型はブル・ベガーくらいの大きさで、ブル・ベガーとは違うオーラシップということになる。
さて、一体何なんだろうな?
そう思いつつ、俺はトッドのビアレスと共に移動するのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1600
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1688