「これが、ズワウスだ」
ショットの言葉に、俺は目の前にあるオーラバトラーを見る。
ズワァースをベースに、俺が操縦しても問題ないように改修された機体。
サーバインを修理する必要があるので今は使えない以上、俺が使うためのオーラバトラーは必須だった。
そんな訳で、ヨルムンガンドでの会議を終えると、早速スプリガンにやって来たのだ。
ちなみに会議の結果は、少し様子見をするという事になった。
俺はともかく、ドレイクの部下であるショット達は、本来ならドレイク軍と合流した方がいいのは間違いない。
幸いにもという表現が正しいのかどうかは分からないが、ウィル・ウィプスはその巨体からアメリカにいるのが確認されている。
だが……ドレイク軍の兵士が地上でかなり暴れているのを見て、この状況でショット達はドレイク軍と合流するのを躊躇したらしい。
まぁ、その気持ちも分からないではない。
地上に出たオーラバトラーの力は明らかに増しているし、兵士達も妙に好戦的になっているのだから。
何しろ、ドレイク軍の中でも有名で、尊敬もされているマーベルを相手に、躊躇なく攻撃を仕掛けていたのだ。
その辺の事情を考えれば、あの街の戦闘でマーベルを相手に攻撃してきたのは、明らかにおかしい。
あるいは、あの兵士達だけが元々好戦的で、マーベルの存在を前々から疎ましく思っていたという可能性も否定は出来ない。
それにガラリアが以前ショウと共に地上に出た時は、ガラリアは余計な戦闘をしないように東京の真上から海に向かって移動したと言っていた。
それはつまり、ガラリアはマーベルに襲い掛かった兵士と違い、しっかりと自我を保っていたという事になる。
この辺の違いは……単純に個人差なのか、ガラリアとショウが自分達のオーラ力だけで地上に出たのに対して、今回の大規模は転移はあくまでも誰かが行った事である以上、その誰かのオーラ力によっての転移が影響してるのか。
その辺りの事情は分からなかったが、分からないからこそ、ドレイクとの接触は慎重になるべきだった。
……もっとも、キブツを始めとした面々や、ミュージィやその家族も特に変わったところはないという話だったので、やはり個人差が大きいのかもしれないが。
「これはまた……ジャバが言ってたように、悪魔っぽい機体だな」
ズワァース……いや、ズワウスの存在が気になったのか、俺と一緒にスプリガンまでやってきたトッドがそう呟く。
とはいえ、トッドのその言葉は決して大袈裟なものではない。
ズワウスはズワァースをより生物的……いや、悪魔的にしたかのような外見をしている。
オーラコンバータの下には蝙蝠の翼というか、悪魔の翼を思わせるような翼があり、腰からは尻尾も伸びていた。
外見的には、先端こそ違えどニーズヘッグの尻尾と若干似ている。
いや、ニーズヘッグというよりは、W世界のエピオンの尻尾……ヒートロッドに似ているといった感じか?
ただし、恐らくあの尻尾はヒートロッドの効果とかはないだろうけど。
「武装は、基本的にはズワァースの物を継承している。ただし、股間部のオーラキャノンはアクセルが使う場合、高機動での機体制御に難があるので外させて貰ったが。後は、複合兵装はサーバインやダンバインが使っているものをそのまま流用してある。その影響で、オーラソードを納める鞘はサーバインと同様、オーラコンバータの横にあるが」
「そう言えば、ズワァースをベースにしたのに、曲刀じゃないんだな」
ズワァースの持つオーラソードは、刀身が曲がっている曲刀と呼ばれるタイプの物だ。
それに比べると、ズワウスのオーラソードは……正確にはオーラソードの収まっている鞘を見ると、一般的なオーラソードのように思える。
勿論、俺としてはそういうオーラソードを今まで使ってきたので、そっちの方が使いやすいのだが。
「うむ。アクセルは今まで使ってきたオーラソードの方が使いやすいだろうと思ってな。曲刀の方がいいのなら、そうする事も出来るが、どうする?」
「いや、これでいい。……で、武装は分かったが、性能の方はどうだ?」
「乗ってみれば分かる。ああ、そうそう。尻尾も一応アクセルのイメージで動かせるから、鞭のような武器として使う事は可能だ」
「電撃は?」
「ないな。もっと時間があれば出来たかもしれないが」
「……だろうな」
スプリガンであったり、オーラファイターやオーラボンバーといった機体を開発していたのだ。
寧ろ、そんな時間の中でよくこれだけの機体を開発したという驚きすらある。
「このズワウスを開発する上で、ベースとなったのは見ての通りズワァースだが、その部品にはサーバインと似たような部品が使われている。アクセルが満足出来る性能を得るには、そうするしかなかったのでな」
「となると、一応これもサーバインの系譜になるのか?」
「どうだろうな。素材はサーバインの物を流用している部分もあるが、設計コンセプトとしては、見ての通りズワァースをベースとしている。……ともあれ、マジックコンバータを使っている以上、この機体を操縦出来るのはアクセルだけだな。動かしてみてくれ」
ショットに促され、俺はズワウスのコックピットに入る。
立ったまま乗る必要があったサーバインとは違い、ズワウスは普通に座るタイプのコックピットだ。
まぁ、立ったまま乗るオーラバトラーはサーバインだけだったし、あのタイプは使いにくいと判断されたんだろうな。
この辺もまた、プロトタイプらしいのだろう。
「さて、ズワウス……俺の機体となるだけの能力があるかどうか、見せて貰うぞ」
呟き、マジックコンバータを起動させ……次の瞬間には、大量に俺の魔力が持っていかれる。
それこそ、最初にサーバインに乗った時と同じくらいの大量の魔力をだ。
いや、同じくらいというか、こちらの方が魔力を吸収する速度は大きいか?
そんな風に考えていると、やがて魔力の吸収速度が落ちていく。
「これ、何も知らない奴が乗ったら、多分死んでるな。あるいはオーラ力を大量に持つ奴なら、どうにかなるかもしれないが」
呟き、外部スピーカーのスイッチを入れる。
「起動した。ちょっとズワウスの能力を見てきたいから、周辺で試験飛行をしてみる」
『分かった。ただ、ハワイの連中に見つからないようにしてくれよ。今のところ、面倒は出来るだけ避けたいからな!』
そう言ってくるショットにズワウスの手を軽く振り、格納庫から外に出る。
そのまま空を飛び……微かに眉を顰める。
オーラコンバータが大型なだけあって、機動力は高い。
ズワァースと同等の装甲を持ちながらも、機動力はズワァース以上だろう。
だが、それでも装甲が厚いということは機体重量の増加を招くという事であり、直線的な機動力であればまだしも、運動性という点ではサーバインに劣ってしまう。
それに機体重量の増加は、当然ながら加速能力にも影響してくる。
ズワァースという、現在点でオーラバトラーの最終発展型と呼ぶべき機体をベースにしているだけあって、その性能は決して低い訳ではない。
ないのだが、それでもサーバインに慣れた身としては……操縦に幾分かの慣れが必要なのは間違いない。
ズワウスの尻尾を振って、鞭のように使ってみる。
基本的には尻尾の操縦はニーズヘッグと似たような感じでやればいいな。
ただし、T-LINKシステムを使っているニーズヘッグと比べれば、やはり反応速度は鈍いが。
しかし、それはT-LINKシステム採用機以外の全ての機体に言える事である以上、その性能を使いこなす必要があった。
オーラソードを握って空中に向かって振るう。
その一撃は、サーバインの一撃と比べると速度は劣るが、威力は強い。
機動力特化型と万能機との性能差によるものだろう。
うーん、個人的にはやっぱりサーバインの方が使いやすいな。
俺にとっては、ああいう高機動型の機体の方が好みなのは間違いない。
とはいえ、サーバインが修理中である以上、ズワウスを使うしかないというのも事実なのだが。
20分程ズワウスを操縦したところで、スプリガンに戻る。
格納庫に入ると機体から降り……すると、すぐに技術者達がやって来て、整備を始める。
「ショットはどこだ?」
「ショット様なら、マーベル様達と一緒にブブリィを見ています」
ブブリィ? と少し疑問に思ったが、オーラバトラーの次の機体として開発している奴だろう。
「ブブリィはどのくらいの完成度だ?」
「もう動かせますよ。最終調整中といったところです。ガラバの方はもう完成してますし」
ガラバは、ゼットが開発してる奴だったな。
で、ブブリィがショット。
とはいえ、実際にはブブリィの方にもゼットは手を出しているみたいだが。
「分かった。ズワウスの整備を頼む」
そう言い、俺も格納庫の奥に向かう。
すると、そこにあったのはオーラバトラー数機分くらいの大きさを持つ……MA的な存在。
「おう、アクセル。戻ってきたのか。ズワウスはどうだった?」
俺を見つけたトッドがそう声を掛けてくる。
そんなトッドの声で、他の面々も俺の存在に気が付いたのか、視線を向けてきた。
「それなりに使いやすかったな。どのみち、他のオーラバトラーがない以上はあれを使うしかないけど。……そう言えば、俺がビルバインから奪ってきたオーラソードライフルの方はどうなったんだ?」
トッドから視線を外し、ショットに向かってそう尋ねる。
オーラ力をエネルギーにして、ビームライフルやビームサーベル的な使い方が出来るオーラソードライフルは、個人的にはかなり気になっていた武器だ。
とはいえ、オーラ力をエネルギーに変換している以上、魔力でオーラバトラーを動かしている俺にはあまり意味のない武器でもあるのだが。
出来れば魔力をエネルギーに変える事が出来れば、かなり使い勝手のいい武器になるだけに、非常に残念だ。
「色々と忙しくてな。そっちまでは手が回っていない。最初は私やゼット以外の者に調べさせようかとも思ったのだが……万が一を考えると、止めておいた方がいいと判断した」
それは賢明な判断だろう。
俺の手元にあるオーラソードライフルは、1つだけだ。
そうである以上、何かあった時のことを考えると、迂闊な真似はしない方がいい。
タータラ城で戦ったビルバインは、新しいオーラソードライフルを持っていた。
それを思えば、このオーラソードライフルはある程度量産されているのだろう。
その点だけは、ショットやゼットよりも上をいってるな。
ウィングキャリバーへの変形機能も、相応の技術が必要になると考えると……やっぱり、ビルバインはナの国か?
そして、あの塔のオーラバトルシップは、ナの国の可能性も高い。
「情報が色々と必要だな」
「何だ、いきなり?」
いきなり話が変わった事に、ショットが疑問の視線を向けてくる。
オーラソードライフルについての話をしている中で、いきなり情報が必要だと言い出したのだから、無理もない。
「現在、地上に出たバイストン・ウェルの軍勢の動向とかを知りたい。TVとかでもある程度の情報は入手出来るが、それでも限界はある」
この時代にはネットの類がないのが痛い。
ネットとかSNSとかがあれば、それこそどこにいても多数の情報を入手出来るのだが。
とはいえ、情報量が多ければそれはそれで困る。
情報の取捨選択を多数する必要が出て来るのだから。
とはいえ、TVだけしか情報がないのもな。
いっそ影のゲートを使ってどこかの基地にでも侵入して情報を集めるか?
軍事基地であれば、当然だが自国の安全の為にも多数の情報を得ているだろう。
特にここから一番近いのはアメリカだ。
そしてアメリカは世界の警察としての役割を自認しており、それだけに各国のどこにどんなバイストン・ウェルの戦力が現れたのかといった事を、しっかりと調べているだろう。
……全ての情報を完全に入手しているとは思えないが、少なくてもオーラバトルシップのような巨大な軍艦がどこにいるのかといった情報は得られる筈だ。
そう思っていると、不意にマーベルが口を開く。
「情報か。……ここがハワイから近いとなると、何とかなるかもしれないわ」
「何とか?」
「ええ。ハワイには私の幼馴染みがいるのよ。で、おじさん……いえその子の父親は海軍の軍人」
「それはまた、都合がいいな。とはいえ、その幼馴染みが軍人の子供でも、父親から何かを聞いてるとは言い切れないんじゃないか?」
軍人には、当然ながら守秘義務というのがある。
勿論、全ての軍人がきちんと規則を守ってる訳ではないだろうが、それでも守ってる者と守っていない者であれば、守っている者の方が多い……と思う。
「そうね。でも、何かを聞いてるかもしれないでしょう? それに私達がいる時におじさんが帰ってきたら、何か話が聞けるかもしれないわよ?」
そう告げるマーベルの言葉に、俺は少し考え……やがて頷く。
今の状況では、情報は多ければ多い程にいいのだから。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1600
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1688