ヨルムンガンドとスプリガンは、ナの国のオーラバトルシップと接触する為にソ連に向かっていた。
この時代の地上は、まだそこまでレーダー関係は発展していない。
だが……そんな中でも、さすがに近付いて来る敵がいれば、それを察知する事は可能だ。
「未確認機多数接近! 数は……五十以上!」
ヨルムンガンドのブリッジに、オペレーターのそんな声が響く。
50機以上? そうなると、敵は地上の戦闘機か?
「俺達に向かって来ているのか?」
「はい。真っ直ぐこちらに向かって来ています! それに……これは! レプラカーンです、レプラカーンが2機に、ショット殿から情報提供があった地上の戦闘機が多数!」
「レプラカーンと戦闘機……? その2つは敵対してるんじゃないのか?」
「いえ、違います。双方共に、一緒になってこちらに向かって来ます!」
レプラカーンと戦闘機、一体どういう組み合わせだ?
レプラカーンに乗っているのは、現在ではジェリルとトカマクの2人だけだ。
以前はフェイもレプラカーンに乗っていたが、ショウのビルバインによって既に殺されている。
元々、レプラカーンは火器に偏重した機体で、装甲も薄く、運動性もそこまで高い訳ではない機体だ。
そんな……言ってみれば実験機や技術試験立証機とでも呼ぶべき機体だけに、レプラカーンを好んで使う者は少ない。
俺が知ってる限り、ジェリルとトカマクの2人だけだ。
勿論、それはあくまでも俺が知ってる限りの話で、ドレイク軍の中には火力に特化したレプラカーンを使うといったような者もいる可能性はある。
それこそトカマクのように後方からの援護射撃を行うのであれば、レプラカーンは決して悪い機体ではないのだから。
だが……問題なのは戦闘機と一緒にこちらに向かっているという事だ。
ジェリル達以外でレプラカーンを使っている者がいても、地上の軍隊と一緒に行動するといった真似は難しいだろう。
ジェリルやトカマクだからといって、そんな真似が出来るかと言われれば、そちらに関しても首を傾げざるを得なかったが。
しかし、それでも地上について何も知らないドレイク軍の兵士よりは、まだジェリルやトカマクの方が可能性があるだろう。
「戦闘準備だ。スプリガンにも伝えろ。向こうが何を考えてこちらに向かって来ているのかは分からないが、最悪そのまま攻撃を仕掛けて来るかもしれないぞ」
普通に考えれば、この状態で向こうがこちらに攻撃を仕掛けてくるといったような事は有り得ない。
だが、相手がジェリルとなれば話は違う。
アレンやフェイと一緒に召喚されたジェリルだったが、同じ女の聖戦士……そして始まりの聖戦士と呼ばれていたマーベルに対し、強い嫉妬の心を抱いていた。
また、トッドや俺に対しても、常にいつか倒してやるといったような視線を向けるような女だ。
言ってみれば、ジェリルという女は酷く危うい。
そんな危うい女が、レプラカーンという力を手に入れ、地上に出た。
そこでどうなるかは、予想するのも難しくはない。
トカマクも一緒にいるらしいのが、唯一の救いか。
とはいえ、トカマクもまたそんなジェリルに引っ張られる性格をしているのは間違いなかった。
向こうがアレンやトッド、ショット、ゼットといったように、俺と合流しようとしているのなら、それはそれで構わない。
だが、そうでない場合……例えば、ドレイク軍の兵士のように地上に出た事によって攻撃的な性格になっている場合、こちらを攻撃してくるといった可能性は十分にあった。
俺の指示に従い、それぞれが行動を開始する。
「おい、アクセル! 敵って本当か!?」
格納庫に向かう俺に対し、トッドが近付いてきてそう尋ねてくる。
トッドにしてみれば、まさかここで戦闘になるというのは完全に予想外だったのだろう。
「ああ。レプラカーンが2機に、戦闘機だ。……まだ確定ではないが、ジェリルとトカマクの可能性が高い」
そう告げると、トッドは厳しい表情を浮かべる。
トッドにしてみれば、トカマクは自分の同期と言ってもいい。
一緒に召喚されたショウはギブン家に亡命したので、残っているのはトカマクとトッドの2人だけとなる。
そういう意味で、トカマクが敵であるというのは、あまり望んではいないのだろう。
それだけではなく、ジェリルはトッドにとっても若干因縁のある相手だ。
上昇志向の高いジェリルにとって、ドレイク軍の聖戦士の中で最も高い地位にいるトッドは、蹴落とすべき対象だ。
ある意味、マーベルと同様にジェリルから敵意を向けられている相手と言ってもいい。
そういう意味では、マーベルの存在も心配なんだが……純粋に戦闘力という点では、マーベルはジェリルよりも明らかに上だ。
しかし、それはあくまでもバイストン・ウェルにおいての話で、地上に出て一体どうなるのかは分からない。
「ともあれ、向こうが攻撃をしてきた場合はこちらも攻撃するしかない。……最悪、ドレイク軍と本格的に敵対する可能性もあるぞ」
「分かっている。俺もその辺は割り切ってるつもりだ」
そう言うトッドと共に、俺は格納庫に到着する。
そこでは、既にマーベルのダンバインが出撃可能な状態になっていた。
随分と早いな。
そんな風に思いながら、俺は自分の機体……赤く塗られたズワウスに乗り込む。
ズワァースを俺が使えるように改修されたこの機体は、試しに動かしてみた事はあるが、実戦はこれが初めてだ。
いやまぁ、これが本当に実戦になるのかどうかは分からないが。
ジェリルが俺達に攻撃を仕掛けてこなければ、実戦にはならない。
ならないんだが……しかし、ジェリルの性格を考えれば、恐らく戦闘になるだろうと、そう判断していた。
「ズワウス、アクセル、出るぞ!」
そう告げ、俺はズワウスを格納庫から出撃させる。
そんな俺のズワウスのすぐ後ろを、マーベルのダンバイン、トッドのビアレス、そしてオーラバトラー隊が続く。
そんなオーラバトラー隊の様子を見て、ふと疑問に思う。
ヨルムンガンドのオーラバトラー隊の中には、ドレイク軍の兵士も相応にいる。
だが、ヨルムンガンドにいるドレイク軍の兵士は、以前トッドと合流した街での戦いのように、好戦的にはなっていない。
この辺り、ヨルムンガンドに乗っている者達のオーラ力のせいか?
あるいは、ヨルムンガンドそのものに何らかの魔力があるのか。
その辺りの事情は俺には分からなかったが、ドレイク軍の兵士が反乱を起こすといったような事がなかったのは、俺にとって幸運だったな。
『アクセル、来たわよ』
マーベルからの通信に、俺はズワウスの映像モニタを見る。
するとそこには、こちらに向かってくるレプラカーンが2機、そしてレプラカーンを守るように多数の戦闘機の姿があった。
あの様子を見る限り、戦闘機とレプラカーンが協力態勢にあるのは明らかだろう。
だとすれば、残りは向こうの反応次第だが……
「聞こえているか、こちらに近付いて来るレプラカーン。お前達はジェリルとトカマクだと思うが、違うか? 違わない場合、通信に応じて欲しい」
そう通信を送るも、近付いて来るレプラカーン達の動きは止まらない。
それどころか、飛ぶ速度が上がり……
『アクセル、あんた達はあたしがジャンヌ・ダルクになるのに邪魔なんだよ! 消えちまいな!』
その言葉と共に、複合兵装の盾からオーラショットが放たれる。
ジェリルにしてみれば、こちらの不意を突いたと思ったのだろう。
しかし、相手がレプラカーンという時点でジェリルの可能性は高く、そしてこちらに向かって攻撃をしてくる可能性というのは十分に考えていた。
放たれたオーラショットを回避し、再び通信を送る。
「こうして攻撃をしてきたということは、攻撃されても構わないという事だな? ここはバイストン・ウェルじゃない。そして明確に俺と敵対して攻撃してきた以上、死んでも構わないんだな?」
『うるさいよ! アクセルは邪魔なんだよ! とっとと死ね!』
まさに問答無用といったところか。
そんな風に放たれる攻撃を回避しながら、考え……やがて口を開く。
「敵は一方的に攻撃をしてきた! そうである以上、敵と判断する! 全機、攻撃開始!」
その指示に従い、オーラバトラー隊が攻撃を開始する。
ヨルムンガンドから出撃したオーラバトラー隊だけではなく、スプリガンからもオーラバトラー隊が出撃してくる。
いや、オーラバトラーだけではなく、ガラバやブブリィといったような、オーラファイターやオーラボンバーまでもが出撃していた。
ショットの方でも出せるだけの戦力を出してきたな。
というか、ブブリィはミュージィが乗ってるんだろうが、ガラバは誰が乗ってるんだ?
そんな風に思いつつ俺はこちらに向かって近付いてきたレプラカーンによるオーラソードの一撃を受ける。
レプラカーンは射撃特化の機体なのだが、それでもオーラソードは持っている。
そしてジェリルの性格を考えれば、こうして近接戦闘を挑んできてもおかしくはなかった。
「けど、だからといって、レプラカーンでズワウスに勝てると思うな!」
オーラソードの一撃を受け止め、力でそのまま強引に弾く。
いつもなら相手の攻撃を受け流すといった真似をするのだが、今回に限ってはそういう真似をしなかった。
ズワウスの力を試すのに、ジェリルという相手は願ってもないのだから。
これが戦闘機が相手であったりした場合、それこそ軽い一撃ですら、戦闘機にとっては致命傷になる。
実際、オーラバトラー隊によって多くの戦闘機が次々と撃墜されているのが、映像モニタで確認出来た。
……トッドとアレンのビアレスは、元空軍所属ということから多少なりとも思うところがあるのか、コックピットではなく翼の類を攻撃していたが。
マーベルもオーラソードで戦闘機の翼を斬り裂いていた。
空軍云々関係なく、マーベルにとっては単純に地上の人間を殺すといった事は気が進まないのだろう。
翼を斬り裂かれ、その一撃で死ぬことはないとはいえ、海に落ちて生きていられるかどうかというのは、俺にも分からない。
だが、コックピットを破壊して間違いなく殺してしまうよりは、こうして生きるチャンスを与えた方がいいのは間違いない。
『あたしがいるってのに、よそ見してるんじゃないよ!』
俺がマーベル達の方を見ているのに気が付いたのか、ジェリルは苛立ちと共にオーラソードを振るう。
それは剣術といったものとは何の関係もなく、ただ命中すればいいと、そのように思っての行動だった。
しかし、俺はそんなレプラカーンの攻撃を次々とオーラソードで弾いていく。
「よそ見をしていても、お前の相手をするのは余裕があるから問題ないんだけどな」
そう言うと、即座にレプラカーンはこちらに向かってオーラショットを放ってくるが、俺はそれをあっさりと回避する。
地上に出た事によってオーラショットの威力も増しており、海面に命中するととんでもない爆発を巻き起こしていたりするのだが、ここは陸地ではなく海なので問題ない。
そんな風に考えつつ、ショットクローを放つ。
すると、レプラカーンは即座に後退する。
ジェリルにしてみれば、俺がショットクローを使った攻撃を得意としているというのは、十分に理解している。
その為、俺がショットクローを放った瞬間には後方に下がったのだろう。
攻撃に特化しているジェリルだったが、それだけに自分がダメージを受ける可能性に関してはしっかりと対応するらしい。
とはいえ、そんなジェリルを逃がさず、致命的な一撃を放とうとし……
「っと」
その瞬間を見計らったかのように、トカマクのレプラカーンからオーラショットが放たれる。
それを回避し、再び背後に巨大な爆発が起きるのを確認しながら、トカマクに声を掛ける。
「お前、トカマクだよな? 何で地上に戻ってまで、ジェリルなんていう地雷女に付き合ってるんだ?」
『うるせえ! ジェリルのことを地雷女だなんて、言うんじゃねえっ! 地雷女だろうが何だろうが、惚れてしまったんだからしょうがねえだろ!』
やっぱりレプラカーンに乗っていたのはトカマクだったらしく、そんな通信が返ってくる。
……けど、その言葉はお前もジェリルを地雷女だと認めているって事にならないか?
そんな風に思うが、トカマクの攻撃によって一度後方に下がったジェリルのレプラカーンが、再びこっちに向かってくる。
『死ねええええええっ!』
そんな風に直接的な表現で叫びつつ、オーラソードが振るわれる。
同時に、左手の複合兵装からショットクローが放たれるも、ショットクローを回避しつつ、オーラソードを弾き……その動きを利用し、ズワウスの機体を反転させ、尻尾でジェリルのレプラカーンを殴りつける。
『ぐわぁっ!』
女らしいとはとても言えない悲鳴を上げるジェリル。
だが、それでも聖戦士らしく機体の体勢を空中で整え……
『ふざけるな、ふざけるな、ふざけるなぁっ!』
その叫びと共に、不意にレプラカーンがドクン、と脈動したのを感じるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1600
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1688