ドクン、と。
レプラカーンが脈動したのを感じた俺は、ズワウスを即座に後退させる。
それが正しかったのかどうかは、俺にも分からない。
分からないが、それでレプラカーンから距離を取ったのは、決して間違いではなかった。
脈動が消えたかと思うと、レプラカーンから怪しい光が……それこそ見ている者をどこか不安にさせる光を発し……
「巨大化、だと!?」
目の前の光景を見て、思わずそう叫ぶ。
そう、巨大化。
間違いなく、ズワウスの映像モニタに表示されているレプラカーンは、大きくなっていた。
一体何があったのかは分からない。
だが、これが俺にとって決していい状況でないのは、明らかだった。
『アクセルゥッ!』
そんな叫びと共に、巨大化したレプラカーンの持っているオーラソードが振るわれる。
レプラカーンの機体が巨大化するのは……分からない訳でもないが、それでもまだ納得する事が出来る。
だが、オーラソードまで巨大化してるのは、どういう理由によるものだ?
「全機、聞こえているな。ジェリルのレプラカーンが巨大化した。一体何がどうなってこうなったのかは分からないが、厄介になったのは間違いない。こいつの相手は俺に任せて、戦闘機とトカマクの対処をしてくれ」
全機に通信を送りつつ、俺は再度振るわれたレプラカーンのオーラソードの一撃を回避する。
そんなズワウスに向かい、巨大なレプラカーンからはオーラバルカンが放たれる。
オーラバルカンというのは、普通に考えればそんなに強い武器ではない。
それこそ相手を牽制する為だったり、オーラランチャーのようなミサイルを迎撃したり、オーラバトラー以外の生身の敵を攻撃したり……といったような使い方をする武器だ。
だが、レプラカーンが巨大化した影響でオーラソードもまた巨大化したのと同様、オーラバルカンの弾丸までもが巨大化している。
それこそオーラショット並、あるいはそれ以上に巨大な大きさとなっており、そんな攻撃がズワウス目掛けて連射されるのだ。
厄介……そう、厄介としか言いようのない状態なのは、間違いない。
「けどな!」
こちらに向かって飛んでくるオーラバルカンの弾丸を、次から次にオーラソードで弾いていく。
言うなれば、機関銃で撃たれている中で弾丸を次から次に弾いていくといったような、そんな感覚。
普通なら無理だろうが、混沌精霊の俺は普通ではない。
そうして、次から次に放たれる攻撃を弾いていくと……
『このあたしの前に、立つなぁっ!』
巨大化したレプラカーンのオーラキャノンが発射される。
その攻撃を回避すると、その一撃は海に命中し……巨大な爆発を生み出した。
オーラバルカンが通常のオーラショットと同等以上の威力になっているレプラカーンの、オーラキャノンだ。
ましてや、地上においてオーラバトラーはその性能を圧倒的なまでに増している。
そう考えると、やはりオーラキャノンの一撃は極めて巨大な爆発となるのは当然の話だった。
それこそ核でも使ったのではないかと思える程の圧倒的な爆発。
「その機体、一体何がどうなっている!?」
再度振るわれたオーラソードの一撃を回避し、そのままフレイボムを放ちながらレプラカーンとの間合いを詰める。
向こうが巨大化したのが厄介なのは、間違いない。
間違いないが、それなら巨大な相手との戦いをすればいいだけだ。
これだけ巨大な機体となれば、懐に潜り込まれると対処するのが難しい。
そんなレプラカーンの腕に、オーラソードを突き刺す。
……何だ?
今まで、俺は何機ものオーラバトラーを倒してきた。
だからこそ、オーラバトラーの装甲を貫く時の感触については十分に理解している。
だが、今こうしてレプラカーンの腕の装甲を貫いた感触は……明らかに違う。
具体的にどこがどう違うといったような事の説明は難しいが、それでも普通の感触ではないことは間違いなかった。
恐らく巨大化した影響によるものだろうが……
『近付くな、羽虫がぁっ!』
ジェリルがそんな叫びと共に、レプラカーンの腕にオーラソードが突き刺さったまま、大きく振るう。
ズワウスを殴り飛ばす……のではなく、腕を振った勢いを利用して投げつけるといったような、そんなやり方。
だが、俺がそんな相手の行動にわざわざ付き合う必要もない。
急制動し、即座にその場に留まる。
普通ならGによって身体にダメージを受けてもおかしくはないような、そんな行動。
だが、俺はそんな行動に関しては、全く問題がない。
『なら、これでどうだい!』
そう言うや否や、レプラカーンがこっちに向かって突っ込んでくる。
何だ? その巨体でズワウスを吹き飛ばすつもりか?
そう思い、それなら回避しながら攻撃を……と、そう思っていたところで、強い衝撃を食らい、ズワウスが吹き飛ぶ。
何だ!?
一体何が起きたのかは分からなかったが、ともあれ何らかの攻撃をしてきたのは間違いない。
『アクセル、オーラバリアよ! レプラカーンは強力なオーラバリアを張って、体当たりしたのよ!』
マーベルからの通信で、一体何が起きたのかを理解する。
地上に出たオーラバトラーは、オーラバリアというバリアを使う事が出来る。
今までは殆どその手の防御手段を使ってはいなかったし、使ってもオーラバトラー同士ならある程度中和するのか、それともオーラ力や魔力によるものかは分からないが、問題はなかった。
しかし、レプラカーンは何らかの手段で巨大化している。
であれば、その機体を覆うオーラバリアも強力になっていてもおかしくはない。
それでも、オーラバリアによるものだと理解すれば、解決手段はある。
あるのだが……それを迂闊に使う訳にいかないのも、また事実。
解決手段たる精神コマンドの直撃。
これは、相手のバリアを始めとする特殊な防御の類を無効化するという、かなり強力な精神コマンドだ。
これを使えば、相手がオーラバリアを使っていようがなんだろうが、全く問題なく攻撃を当てる事が可能だろう。
だが、問題なのは……精神コマンドを使って、ズワウスがそれに耐えられるかどうかだろう。
サーバインでさえ、精神コマンドの加速を1回使っただけで、機体にダメージを負った。
本来なら、精神コマンドは機体にそこまで負荷を掛けるような代物ではない。
何故そのようになったのかは、俺にも分からない。
可能性としては、オーラバトラーと精神コマンドの相性が極端に悪いという事だろう。
そうである以上、ズワウスで精神コマンドを使いたいかと言えば、その答えは否だ。
ショットが作ってくれたばかりの新型機が、1度の戦闘で全面的に修理をしなければならないような状況になるというのは、色々な意味で不味い。
何より、俺が乗れるオーラバトラーが限られている以上、その数を減らすといった真似は避けた方が賢明だった。
結局のところ、精神コマンドは使わずにレプラカーンを倒す。
そう判断し、俺は再度こちらに突っ込んできたレプラカーンの背後に回り込む。
そうしてオーラコンバータに一撃を放とうとしたものの、オーラバリアはオーラバトラーを中心に球形をしているらしく、背後からの攻撃にも対応しているらしい。
本当に厄介なバリアだが、ニーズヘッグを始めとしたシャドウミラーの機体と戦っている敵も、こういうバリアによって困らされているんだろうな。
そんな風に思いつつ、オーラソードがオーラバリアと接触したところで魔力を全開にし……そして次の瞬間、オーラソードの切っ先はオーラバリアを貫く。
「行け!」
その言葉と共に、オーラソードはオーラバリアを貫き、レプラカーンのオーラコンバータに突き刺さる。
『なぁっ!? ふざけるなぁっ!』
叫び、強引にその場で回転しながらオーラソードを振るってくるレプラカーンだが、その攻撃を回避しながらオーラショットを放つ。
ゼロ距離……とまではいかないが、それでも至近距離からの攻撃。
オーラバリアの内側での攻撃である以上、ジェリルにこの攻撃を防ぐ術はない。
オーラバリアは非常に厄介な防御だったが、このように攻撃すれば、対処は可能だ。
もっとも、それはあくまで間合いの内側に入って攻撃し続けるだけの技量が必須となるのだが。
『邪魔な羽虫だねぇっ! ……何だいっ!?』
こちらに向かって再びオーラソードを振るおうとしたレプラカーンだったが、その瞬間、巨大化した腕が急速に崩壊していく。
何だ?
ジェリルの外部スピーカーからの様子を考えると、ジェリルが意図したような事ではなく、何らかの別の要因でこうなったらしいが……ともあれ、機体が崩壊していくというのは俺にとっては悪くない流れだ。
崩壊していくレプラカーンの中心部分に向かって突っ込んでいくと、巨大なレプラカーンの機体が崩壊していく中に、俺にとっても見知った大きさのレプラカーンの姿がある。
何だ? 俺が戦っていたレプラカーンは、本物じゃなかったのか?
オーラ力か何かで、オーラバトラーを自分と全く同じ形で巨大にした……言ってみればジェリルはレプラカーンに乗って、更に巨大なレプラカーンに乗っていた、もしくは巨大なレプラカーンの鎧というか、着ぐるみ的な存在を身に纏っていた?
そんな考えが頭に浮かんだが、オーラバトラーは恐獣の素材を使った生体兵器で、オーラ力などという未知のエネルギーを使っている代物だ。
そうである以上、正直なところ何が起こってもおかしくはない。
ともあれ、今はジェリルを倒す事だけを考え……俺は、オーラソードを手に本物のレプラカーンとの間合いを詰めていく。
自分の死が間近に迫っているというのは、ジェリルも知っている筈だ。
だというのに、ジェリルが乗っているレプラカーンは特に何の反応もする様子はなく……次の瞬間、ズワウスの持つオーラソードによってコックピットを貫かれるのだった。
「他の戦況は……何とかなってるか」
ジェリルのレプラカーンを倒した後で周囲の様子を確認してみると、既に飛んでいる戦闘機はない。
そして……唯一残っていたもう1機のレプラカーン……トカマクが乗っているその機体も、ジェリルを殺した俺に向かおうとしていたところを、ジャバが乗っているガラバによって撃破された。
何だかんだと、俺やマーベル、トッドはトカマクとの付き合いも長かった。
そんなトカマクが死んだ事に思うところがないかと言えば嘘になるが、巨大化したレプラカーンという驚きの後には、悲しみは薄い。
「ショット、聞こえているか?」
戦いが終わったのを確認してから、スプリガンのショットに通信を繋げる。
すると、即座にショットの姿が映像モニタに表示された。
『どうした? まぁ、聞きたい事は分かるが』
「オーラマシンの第一人者であるショット、そしてゼットに聞きたい。さっきのレプラカーンが巨大化した現象はなんだ? オーラバトラーというのは、ああいう風に巨大化するのか?」
『ふむ……こうして一度見ただけだから、推測混じりになるが、それでも構わないか?』
どうやらショットは推測混じりではあるものの、既に仮説があるらしい。
この辺はさすがにオーラマシンの第一人者といったところか。
「それで構わない」
『オーラバトラーが地上に出て強化されているというのは、言わなくても分かるな?』
「オーラバトラーの武器が軒並みパワーアップしてるしな」
『バイストン・ウェルではオーラ力が弱められていたのか、それとも地上に出てオーラ力が強化されたのかは分からんがね。そしてジェリルは攻撃性の高い性格をしていた。つまり、オーラ力が攻撃に特化していたと言ってもいい。また、情緒不安定な面もあった』
その言葉には、素直に頷くしかない。
実際、ショットのその言葉は俺にとっても納得出来ることだったのだから。
『そんなジェリルの感情やオーラ力が暴走したのか、もしくは一定のラインを越えたのか……ともかくそれが原因であの現象が起きた』
「そう、それだ。オーラバトラーがあそこまで巨大になるというのは、有り得るのか?」
巨大化したレプラカーンは、それこそ掌でズワウスを握り締めることが出来るくらいの、圧倒的な巨体になっていた。
質量保存の法則は仕事しろ。
そう言いたくなるものの、質量保存の法則も混沌精霊でそういうの無視している俺にそんな事を言われたくはないだろう。
『可能性としては、有り得る。とはいえ、あれはレプラカーンがそのまま大きくなった訳ではない』
「だろうな。実際、あの巨大なレプラカーンの中心には普通のレプラカーンがいたし」
『考えられる可能性としては、暴走状態になったオーラ力にオーラバリアが影響してレプラカーンが巨大になったように見せていたといったところか』
「オーラバリアが?」
『うむ。勿論他に何らかの理由がある可能性もある。これはあくまで、あの現象の見た私の仮説だからな。だが、個人的にはそう間違っていないと思っている』
「……オーラバリアってのは防御だけかと思っていたが……」
『その辺はまだこれからだよ。とにかく、あの現象に対して私はこう名付けた。ハイパー化、と』
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1605
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1689