転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2983話

 アメリカ軍からの物資の引き渡しは、あっさりと終わった。

 何しろ用意して貰えば、それを全て空間倉庫に収納すればいいだけだ。

 ダーナ・オシーの件を知っている者はそこまで驚かなかったが、それを知らない者達……アメリカ軍の一般の兵士達は、一体何があったのかといったような視線をこちらに向けていた。

 まさに驚愕といった様子。

 マーベルは俺が空間倉庫を使うのは見慣れているので、そこまで驚いた様子はなかったが、俺の力をまだあまり見ていないシーラは、アメリカ軍の兵士達程ではないにしろ、驚いていた。

 

「さて、後はアメリカ軍の技術者が来るまで待つ必要があるな」

 

 レーダーや通信機をヨルムンガンド、スプリガン、グランガランに搭載し、調整する必要がある。

 オーラマシンに関する技術者はいるが、ここで必要なのは地上の技術の知識だ。

 そういう意味では、ショットやゼットならある程度何とかなるかもしれないが……その手の本職がいるのなら、別に無理をしてまでショットやゼットに任せなくても専門家に任せればいい。

 そう判断するのは当然だろう。

 少し時間が経過し、先程の少将が二十人程の技術者と思しき者達を引き連れ、姿を現す。

 

「これは……ここに用意してあった物資の類は?」

 

 用意された物資が根こそぎなくなっているのを見て、疑問を口にする少将。

 そんな相手に対し、俺は何も問題はないといった様子で口を開く。

 

「ダーナ・オシーを出した時にも空間倉庫を見せただろう? あれは別に出すだけじゃなくて、収納も出来るんだ」

「……なるほど」

 

 俺の説明に完全に納得したというよりは、半ば無理矢理自分を納得させたといった様子の少将が、背後にいる者達に視線を向け、口を開く。

 

「この者達が同行して、レーダーや通信機の類を搭載し、調整するのでよろしく頼む」

「分かった。ならこっちに集まってくれ」

「え? ……少将? ヘリは……」

「いいから、彼の指示に従え。お前達は幸運だぞ? バイストン・ウェルの魔法をその身で実感出来るのだから」

 

 その言葉に対する技術者達の反応はそれぞれ違う。

 魔法を体験出来ると喜んでいる者もいれば、魔法などという怪しげなものを体験するのは気が進まないといった者もいた。

 そんな中、シーラが何かを言おうとするが、俺はそれに対して首を横に振る。

 シーラが何を言おうとしたのかは、すぐに予想出来た。

 そもそもバイストン・ウェルに魔法は存在しない。

 敢えて挙げるとすれば、エ・フェラリオのシルキーが行ったように、地上との間にオーラロードを開いて地上人を召喚するくらいだろう。

 くらいだろうと、そんな風に表現したが、実際にはかなり大きな魔法と言ってもいい。

 実際にショットとゼットがそうやって召喚され、オーラマシンを開発し……結果としてバイストン・ウェルが戦乱の世となってしまったのだから。

 それを思えば、エ・フェラリオの魔法も強力な魔法であるのは決して間違いではない筈だった。

 だが、そんなオーラロードと俺の使う魔法の数々は、明らかに種類が違う。

 シーラにしてみれば、それをバイストン・ウェルの魔法とされるのは困ると言いたいのだろう。

 ナの国の女王としては、当然の反応だ。

 ただし、今は余計な情報を広めてこれ以上混乱を大きくしたくはない。

 そんな事を考えている間に、技術者達が俺の周りに集まる。

 

「これから使うのは、影のゲートという転移魔法だ。影に身体が沈む感触が独特だが、身体に害はないので心配するな」

 

 そう言い、影のゲートを展開し……当然ながら、多くの者が影に身体が沈む感覚に悲鳴を上げるのだった。

 

 

 

 

 

「これで……よし、スイッチを入れてみて下さい」

 

 ヨルムンガンドのブリッジで、アメリカ軍の技術者がそう言う。

 ちなみに当然ながらヨルムンガンドだけではなく、スプリガンとグランガランにもそれぞれ技術者がいて、レーダーや通信機の取り付けを行っている。

 オーラマシンと地上世界の機械がそこまで簡単に接続出来るのか? といった疑問はあったが、考えてみればオーラマシンを開発したのはショットだ。

 だとすれば、オーラバトルシップで地上の機械が使えてもおかしな事はないのだろう。

 それにオーラマシンというのは基本的にオーラコンバータでオーラを電気エネルギーにしてオーラマシンを動かしている。

 そういう意味では、電源そのものは違うが、電気を作っているといった点では地上の機械と相性もいいのだろう。

 ……もっとも、オーラ力にはハイパー化のようにオカルト的な力もあるので、完全に地上の機械と一緒にするといったような真似は出来ないのだが。

 オーラバトラーでさえ、ハイパー化するとズワウスを片手で握り締めるように持てるくらいに大きくなるのだ。

 そんな中でオーラバトルシップがハイパー化したら、一体どうなるんだろうな。

 

「うーん……よし、これで問題ありませんね。これでレーダーの類も使えるようになりました。通信機の方はどうだ?」

「ちょっと待って下さい。もう少し調整に時間が掛かります!」

 

 レーダーを設置してい技術者の言葉に、通信機を設置していた技術者がそう言葉を返す。

 普通に考えれば、レーダーの方が色々と設定とかは難しいような気がするんだが……どうやら違うらしい。

 その辺は本職に任せておけばいいので、気にする必要はないが。

 とはいえ、完全に気にしないといったような真似をすれば、盗聴器だったり発信器だったりを仕込まれそうなので、相応に注意する必要はあるだろうが。

 

「それで、アクセル王。これからフランスに向かうという話でしたが?」

「ああ。ビショット軍とゼラーナ隊が激しく戦ったらしい。……つまり、そこにはルーザと黒騎士もいる可能性が高い」

「そう、ですか」

 

 キブツが俺の言葉に複雑そうな表情を浮かべる。

 キブツにとって、ルーザや黒騎士はどう認識すればいいのか迷っているのだろう。

 勿論、敵として認識しているのは間違いないだろうが。

 いや、それともルーザや黒騎士ではなくて、キブツの娘がいるゼラーナ隊の方か?

 一応キブツはゼラーナ隊を相手にしても問題なく戦うと言ってるし、実際に戦ってみせた。

 しかし、その戦いはあくまでもバイストン・ウェルで行われた戦いであり、今の俺達は地上にいる。

 バイストン・ウェルの者達にとって、地上というのはある意味で伝説の地というような感じだ。

 そんな場所にいるだけに、キブツがゼラーナ隊にいるキーンを心配しても、おかしくはない。

 

「ゼラーナ隊にいる娘が心配か? キーンとかいう名前だったな」

「あ、いえ。そのようなことは。私はキッス家存続の為にアクセル王に忠誠を誓いました。娘の事など……」

 

 そう言うキブツだったが、動揺しているのを見れば俺の言葉が図星だったのは間違いない。

 本人がそれを認めるかどうかは、別として。

 

「まぁ、その辺は好きにしろ。お前の娘が前線に出て来たら、鹵獲するといった選択肢もあるし。俺は色々と忙しいから無理だろうけど、オーラバトラー隊なら問題ないだろう? ……何故かドレイク軍の兵士も素直にキブツの命令に従っているし」

 

 そう、それは正直なところ本当に心の底から不思議だった。

 キッス家の兵士が乗っているオーラバトラー隊なら、素直にキブツの命令を聞くのはおかしくない。

 だが、本来ならドレイクから借りているだけの兵士達までもが、何故か素直にこちらの指示に従っていた。

 アメリカでドレイク軍のオーラバトラー隊と戦ったという話は隠していないし、ドレイクの同盟相手のビショット軍と戦ったのも、その目で見ている筈だ。

 そうである以上、最悪ヨルムンガンドで破壊活動をして脱出し、ウィル・ウィプスと合流するといったような真似をする奴がいてもおかしくはないのだが、現在のところそのような者は1人もいない。

 これは、俺の魔力やマーベルのオーラ力の影響か? と思わないでもなかったが、実際に俺達がヨルムンガンドと合流したのは地上に出てすぐではない。

 であれば、俺やマーベルとは違うもっと別の理由が関係しているのだろう。

 そんな中で思いつくのは、キブツが艦長をしていたといったところか。

 キブツは艦長として突出した実力を持っている訳ではない。

 だが、キッス家の当主として下の者に信頼されている。

 そうしてキッス家の者達がキブツを信頼しているので、ヨルムンガンドにいるドレイク軍の兵士達も他のドレイク軍の兵士達のように攻撃的にならなかった……というのは、俺の考えすぎか?

 

「ありがとうございます、アクセル王。出来るかどうかは別として、試してみたいと思います」

「その辺は任せる。ただ、捕虜にしたらどこかに軟禁しておくのを忘れるなよ。好きに行動させて、ヨルムンガンドで内部工作をされたりしたら洒落にならないからな」

 

 特にヨルムンガンドには、現在この地上で唯一の機械の館が存在している。

 それがあるからこそ、サーバインの修理であったり、ヴェルビンの改修といったような事が出来るのだ。

 そんな機械の館が破壊されたら、俺達の強みがなくなってしまう。

 

「分かりました。もし捕獲したら、そのようにしましょう。ゼラーナが沈めば、不肖の娘も諦めるでしょう」

 

 そう言うキブツだったが、本当に諦めるのか? と若干疑問に思わないでもない。

 俺はキーンとやらに会ったことは……いや、会ったことはあるけど、それは顔を見た程度で、しっかりと話をした事はないな。

 そういう訳で、キーンという人物がどのような性格をしているのかは分からない。

 だが、それでもゼラーナ隊に乗って前線で戦っている以上、相応の度胸があるのは間違いないだろう。

 そんなキーンが、もしゼラーナが沈んだらどうなるか。

 何となくだが、復讐の刃をこちらに向けてくるような気がしないでもなかった。

 

「終わりました。レーダーも通信機も、完全に動作しています」

 

 俺とキブツが話している間にも作業は進んでおり、気がつけばアメリカ軍から派遣された技術者がそう言ってくる。

 

「そうか、助かった。他が終わるまでは休んでいてくれ。……そうだな。なんならオーラバトルシップの中を見学してみるか? 技術者なら、オーラバトルシップは興味があるだろう?」

「え? いいんですか!?」

 

 そう言ってきたのは俺と話していた相手だけだったが、それ以外のブリッジにいた他のアメリカ軍の技術者も、俺に向かって視線を向けていた。

 アメリカ軍の技術者としては、当然ながらオーラマシンの中でも最高峰の技術を使われているオーラバトルシップは気になるのだろう。

 あるいは、上司から可能ならオーラバトルシップ……いや、オーラマシンについて、少しでも情報を集めるようにと言われている可能性は高い。

 いや、高いというかほぼ確定だろう。

 オーラマシンについての技術を少しでも理解する為には、それこそ技術者に直接オーラマシンを……そして最高の技術を使われて建造されたオーラバトルシップを見せるのが最善なのは間違いない。

 キブツがいいんですか? といった視線を向けてくるが、俺は問題ないと頷く。

 オーラマシンは地上のマシンと似通っている場所もある。

 それは地上のレーダーや通信機を短時間で接続出来たのを見れば、明らかだろう。

 地上人のショットやゼットが開発したのだから、それは当然の事なのだろうが。

 

「ああ、構わない。ただし、好き勝手に見学をさせるといった真似は出来ないから、案内役をつけさせて貰うが、構わないな?」

 

 案内役、言い換えれば監視。

 アメリカ軍が現状で俺達に何か妙な真似をするとは思えないが、それでも可能性としては否定出来ない。

 そうである以上、万が一を考えて見張りを用意するのは当然の話だった。

 技術者の中には、アメリカ軍云々とは全く関係なく、自分の知識欲の為に行動する者がいないとも限らないのだから。

 ホワイトスターの技術班を知っていれば、どうしてもそんな風に警戒してしまう。

 それ以外でも、バイストン・ウェルの技術者の中にもホワイトスターの技術者程ではないにしろ、同じような性質を持つ技術者はいた。

 ……というか、ある意味でそれは技術者の性のようなものなのだろう。

 だからこそ、アメリカ軍の技術者も妙な真似をしないようにと、そう言っておく必要があった。

 

「分かりました。案内人の指示には従います」

 

 その案内人が監視役であるというのは、当然ながら技術者も分かっているのだろうが、それでもオーラバトルシップの情報を少しでも入手したいと、そう思ったのだろう。

 オーラバトラーが地上で見せている性能を思えば、それも当然の話だろうが。

 ちなみにハワイのアメリカ軍からの情報によると、裏を取っていない未確認の情報ではあるが、ゴラオンが核兵器すらもオーラバリアで防いだというのもあった。

 核兵器こそが地上では最強の武器であるのは間違いない。

 特にアメリカやソ連は、核兵器の数でも競っているらしい。

 そのような状況で、核兵器すら防ぐオーラバリア……地上の軍隊が、それに興味を持つなというのは難しい話だった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1605
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1689

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