転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2985話

 イギリスに存在する、バッキンガム宮殿。

 俺とシーラ、ショットの3人は、そこに向かっていた。

 ロンドンの郊外に、ヨルムンガンドを始めとした俺達の戦力は置かれている。

 本来なら、そこから影のゲートですぐにでもバッキンガム宮殿に転移する事が出来たのだが、今回の一件は急な出来事とはいえ、国家的な行事であるのも事実。

 結果として、しっかりとイギリス政府から送迎の車がやって来て、俺達は現在それに乗っていた。

 

「オーラマシンのようなものですか?」

「馬車とピグシーが合体したような物だな。違うのは、オーラ力ではなくガソリンという燃料で動いてる事か」

 

 シーラが物珍しそうに車を見ながら呟く。

 勿論、ハワイに行った時にも車を見ていたりはするのだが、実際に乗るのは初めてだし、当然の事だろう。

 

「エルやベルがいたら、喜んだでしょうね」

 

 そんな呟きがシーラの口から漏れるが、喜ぶというか車の中で大騒ぎをするのだけは間違いないと思えた。

 そうなると、かなり面倒な事になっただろう。

 ああ、でも俺達がバイストン・ウェルから来たという事を示す為に、エルやベルを見せるのはいいのかもしれないな。

 俺達が集めた情報によると、前回ショウとガラリアが地上に出た時にチャムの姿を見た者達が人形……フィギュアの類を作っており、それがかなりヒットしているといった話を聞いた覚えがある。

 ハワイにいるアメリカ軍から聞いた話だったか?

 ともあれ、そういう意味でもイギリスにエルとベルが来れば、それを見て同じように人形を作られたりする可能性は十分にあった。

 まぁ、本人がそれを喜ぶかどうかは、また別の話だが。

 そんな風に話している間にも車は進み、やがてバッキンガム宮殿の敷地内に入る。

 イギリスの中でも特に有名な場所だけに、かなり見応えのある光景だ。

 ナの国の女王たるシーラも、こうして見ている光景に驚いている。

 とはいえ、その驚きはあまり表情に出さないようにしている為か、気が付いた者は俺くらいだったが。

 そしてバッキンガム宮殿に到着し……俺達は、イギリスの女王との会談を始めるのだった。

 

 

 

 

 

「本気なのですね?」

「ええ」

 

 確認を込めたシーラの言葉に、イギリスの女王は即座に頷く。

 女王……そう言われ、思い浮かべるのとは、少し違う。

 年齢も既に老齢と言ってもいいが、それでもイギリスの女王と呼ぶに相応しい風格を持っていた。

 そんな女王は、今がどのような時なのかを理解しているからだろう。

 簡単な自己紹介をした後、すぐにとある提案をしてきた。

 それが、ヨーロッパの力を結集してフランスにいるビショット軍を討つのに手を貸して欲しいというものだった。

 女王も、当然ながらオーラマシンと地上の兵器……戦闘機や戦闘ヘリ、戦車といった実力差は理解している。

 理解した上で、それでもビショット軍を倒さなければならないと、そう判断したのだ。

 その気持ちは分からないでもない。

 今の状況を思えば、ビショット軍を放置しておく事は出来ないと、そう判断したのだろう。

 その判断の中には、当然のようにフランスの次はイギリスを狙ってくる可能性が高いというのもあるのは間違いない。

 だが、勿論女王が判断した理由としては、それだけではないだろう。

 もしこのまま何も手を打たなければ、フランスやイギリスだけではなく、欧州全てがビショット軍の手によって灰燼に帰す可能性があると、そう判断したのだろう。

 俺の知ってるビショットであれば、とてもではないがそのような真似をするとは思えない。思えないが、今のビショットはルーザによって操られている状態だ。

 それこそルーザの命令――表向きはお願いだろうが――に従い、欧州全土を燃やしてしまいかねない。

 最悪な事に、オーラバトラーやオーラシップ、更にはオーラバトルシップまでもあるビショット軍なら、欧州全てを燃やしつくすというのは冗談でも何でもなく可能な事だったりする。

 

「ただ、戦力は残念ながらそちらに委ねることになると思います。あのオーラバリアだったかしら。あれを地上の兵器ではどうしようもないので」

「分かります。地上の兵器は元々オーラバトラーと戦う為に作られた兵器ではありませんので」

 

 オーラバリアを強引に突破しても、今度は射程の問題がある。

 ゼロ距離射撃で戦闘機のミサイルを発射するような事になった場合、それこそミサイルを撃って即座に脱出しようとしても、戦闘機が爆発に巻き込まれるだろう。

 ましてや、地上の戦闘機はオーラバトラーに比べてかなり高価だ。

 使い捨てに出来るような兵器ではない。

 あるいはいっそ戦闘機に爆弾を大量に積んで特攻し、オーラバリアを抜けた後で脱出するか。

 それこそ完全に戦闘機を使い捨てにするし、何より戦闘空域で戦闘機から脱出したパイロット達がパラシュートで空を飛んでいるという事になる。

 どのくらいの数になるのかは分からないが、色々な国の戦力を集めてとなると、その数は膨大なものになるだろう。

 そんな多数のパイロットが浮かんでいる戦場……絶対に巻き込まれて死ぬ者も出て来る筈だ。

 あるいはこっちの戦力が少ないのならそのような手段もありかもしれないが、ヨルムンガンド、スプリガン、グランガラン、それに以外にもオーラシップが多数あり、それにオーラバトラーが搭載されている以上、戦力という点で考えれば何の問題もない。

 そうしてシーラとイギリスの女王との会談は終わる。

 こうして考えてみると、やっぱりシーラを前面に出しておいてよかったな。

 もし俺やショットが直接交渉していた場合、ここまで上手い具合に話が纏まるとは思えなかったし。

 

「では、私達はこれで失礼します」

「一応歓迎パーティの準備をしておいたのですが」

「そのパーティは、ビショット軍を倒した後で改めて行いましょう」

 

 シーラのその言葉により、イギリスの女王もそれ以上は無理に誘うといったことはせず、俺達はバッキンガム宮殿を後にする。

 何だかんだと、結局俺とショットは最初の自己紹介と、意見を求められた時に口を開くだけだったな。

 対外的に考えれば、その方がよかったのは間違いないけど。

 

「それにしても、バイストン・ウェルならともかく、地上で2日後に作戦決行ってのは珍しいな」

 

 帰りの車の中、2日後の戦いについてそう告げる。

 ショットも俺の言葉に異論はないらしく、素直に頷いていた。

 

「そうだな。本来なら補給を含めて前もって情報を整理したり、イレギュラーな事態がないのかを検討してみたり……他にも色々とやるべきことがある。私が聞いた話では、作戦にもよるが数ヶ月……場合によっては数年単位で準備が必要なものもあるそうだ」

「地上の作戦とは、それ程までに時間が必要なのですね。バイストン・ウェルでは考えられません」

 

 俺とビショットの会話を聞いてたシーラは、信じられないといった様子で呟く。

 実際、バイストン・ウェルと地上では違うところが多々あるので、そのような事になるのは仕方がないのかもしれないが。

 とはいえ、個人的にはバイストン・ウェルのように手っ取り早く作戦を行う方が好みではある。

 

「その辺はバイストン・ウェルがファンタジー世界であるというのも、影響してるだろうな」

「ファンタジー世界というよりは、王や貴族がいてしっかりと権力を握っているという方が正しいだろう」

「なるほど。地上の事は勉強になりますね」

 

 そう言いながら、俺達はそれぞれの母艦まで戻るのだった。

 

 

 

 

 

「2日後ですか。分かりました。すぐに準備をさせましょう」

 

 ヨルムンガンドに戻ってきてキブツに話をすると、すぐにそう言ってくる。

 

「ああ、頼む。今回の戦いはヨーロッパ全土から戦力が集まってくる筈だ。その中でこちらの力を見せつけておけば、今後の交渉をする際にも有利になる」

 

 外交というのは、あくまでも力があってこそのものだ。

 特に現在の俺達は、しっかりとした拠点がある訳でもなく、あくまでもオーラシップやオーラバトルシップの集団でしかない。

 それだけに、交渉をする際には足下を見られる可能性は十分にあった。

 そのようにならないようにする為には、こちらの実力をはっきりと見せつけておく必要がある。

 下手にこちらを怒らせれば、これだけの戦力が敵になると理解すれば、何らかの交渉をする際にもこちらに足下を見るといったような真似はしない筈だ。

 ……ニジェンスキーの例もあるから、中には双方の実力差があっても自分達ならどうにか出来ると、そんな風に考えてくる者もいるかもしれないが。

 そうなったらそうなったで、相応の対応をする必要がある。

 

「それで、アクセル王、その……ゼラーナ隊はどうなるのでしょう?」

「ん? ああ。その件はまだ言ってなかったな。喜べ……と言ってもいいのかどうかは分からないが、今回の作戦にゼラーナ隊やゴラオン隊は参加するが、戦う場所は違う」

 

 意外な事に、俺達とゼラーナ隊やゴラオン隊を一緒の戦場に参加させないというのは、イギリス側から提案された内容だ。

 普通なら戦力の分散は愚策でしかない。

 だが、それはあくまでも戦力が一つの意思で動いていればの話だ。

 現在の俺達とゼラーナ隊、ゴラオン隊は、どんなに楽観的に見ても限りなく敵対的に近い関係だろう。

 地上に出てからも、アメリカの街でゴラオン隊の戦力と戦ったりもしたし。

 ヨルムンガンドがいるという時点で、向こうは最悪ビショット軍を放っておいて俺達を攻撃してきてもおかしくはない。

 実際、バイストン・ウェルで最後に行われたタータラ城の戦いにおいても、俺はショウと黒騎士の2人を相手に戦っていたのだから。

 あの時のショウと黒騎士は、別にお互いが相談して協力した訳ではない。

 そうである以上、もし俺、ショウ、黒騎士が同じ戦場にいたら、また同じような事になりかねない。

 イギリス側でもゼラーナ隊やゴラオン隊と接触しているらしく、俺達との関係については理解しているのだろう。

 そんな訳で、俺達の戦闘場所としては別々に配置するのは、おかしな話ではない。

 

「そうですか」

 

 共闘をするが、違う戦場での戦いとなる。

 そう告げた俺の言葉に、キブツは安堵したような表情を浮かべた。

 キブツにしてみれば、既にゼラーナ隊に協力している娘とは縁を切っているつもりなのだろう。

 しかし、それでも娘と同じ戦場に出るというのは親として色々と思うところがあってもおかしくはない。

 

「ともあれ、2日後の戦いに向けて準備を進めてくれ。ゼラーナ隊やゴラオン隊に関しては、今は忘れろ……というのは少し難しいかもしれないが、仕事に集中してくれ」

「は!」

 

 キブツは鵬法璽を使って俺に忠誠を誓っている。

 そうである以上、その辺の心配はしていないものの、それでもキブツについては少し気を配った方がいいのは間違いないだろう。

 

「後は、そうだな。模擬戦とかをやった方がいいか?」

「やるかどうかと言われれば、やった方がいいと思います。ですが、予備部品の補充がこの先は望めない以上、あまり激しい模擬戦は止めておいた方がいいかと」

 

 なるほど。その辺の問題があるか。

 ヨルムンガンドは機械の館を艦内に有しているので、その関係もあってかなりの部品に余裕はある。

 あるいは俺の空間倉庫の中には大量の予備部品であったり、場合によっては恐獣の死体も大量に入っている。

 それこそ、1000匹以上。

 ただし、厄介なのはオーラバトラーによって使える恐獣の種類が決まってくるという事だろう。

 つまりそのオーラバトラーの予備部品として使えない恐獣の素材が幾らあっても、それは意味がないという事になる。

 だとすれば、やはり予備部品の心配はしておいた方がいいんだよな。

 ショットのスプリガンは、ガラバやブブリィを開発していた影響もあって、そちら方面の部品はあるものの、オーラバトラーの予備部品はそこまで多くはない。

 グランガランは、ダーナ・オシー系の最新鋭機のボチューンや、その1つ前のボゾンといったオーラバトラーの予備部品であったり、ビルバインやヴェルビンの予備部品とかはあってもおかしくはないだろう。

 とはいえ、それらも無限にある訳ではない。

 

「そうなると、ビショット軍と戦った時にライネックやビアレス、アルダム……後はドラムロとかもか? とにかく、出来るだけ多くの敵機を鹵獲、もしくは撃破してその機体を確保する必要があるな」

「そうですね。ですが、地上軍でもその辺りは欲するのでは?」

「間違いなく欲しがるだろうな」

 

 地上の軍隊にとって、オーラバトラーというのは非常に強力な兵器だ。

 それでいて未知の兵器でもある以上、少しでも自分達で確保しようとするだろう。

 

「最悪、ビショット軍との戦いで倒した敵の残骸は俺達が貰う代わりに、ダーナ・オシーの完品をそれぞれ1機ずつやるとか、そういう風に交渉した方がいいのかもしれないな」

「地上軍にしても、出来れば動く機体の方がいいので、交渉してみる価値はあると思います」

 

 そうして地上軍と交渉する事になるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1605
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1689

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