未だにフランスにいる、ビショット軍を倒す為の作戦が発動する。
結局2日の間に出来たのは、軽い模擬戦くらいだった。
シミュレータの類があれば、撃墜とか損傷とかを気にせず訓練が出来るのだが……生憎と、ショットやゼットであってもそんな真似は出来ない。
そもそも、この時代の地上の技術でオーラバトラーのシミュレータが作れるのかと言われれば、俺としては首を傾げるしかない。
何よりもし作れたとしても、2日しかないのだ。
そうである以上、どうあっても開発するのは難しかった。
ただ……この2日、何の意味もなかったのかと言えば、それは否だ。
具体的には、ショットからオーラバトラーの予備部品が欲しいと言われ、俺の空間倉庫にあった予備部品を渡した。
そして報酬として俺が得たのは、ガラバ。
そう、MA的な存在のオーラファイターのガラバだ。
レートに合ってないのでは? と思わないでもなかったが、ショット的にはガラバを操縦出来るパイロットがいない以上、そのまま置いておいてもスプリガンの格納庫で場所を取るだけだという認識らしい。
パイロットなら、ブブリィを操縦しているミュージィの家族がいるのでは? と思わないでもなかったが、どうやらオーラバトラーの方にパイロット適性があったらしい。
そう考えると、ミュージィって実はパイロットとしてもの凄く優秀なんだな。
ブブリィだけではなく、普通にオーラバトラーも操縦出来るし。
そしてガラバを操縦出来るのがジャバしかいない以上、ブブリィの2号機に関しても俺が貰うという事になっている。
一応他の面々も試してみたのだが、何とゼットがガラバやブブリィに対して適性があった。
実際に操縦してみたところ、ジャバには劣るものの、かなりの操縦技術を持っていたのは事実だ。
とはいえ、ゼットは技術者として俺達にとってかなり必要な人材だ。
そんな人材を、戦力が足りない訳でもないのに、わざわざ出撃させるような真似は自殺行為でしかない。
一応ショットやゼットの部下達も育ってきてはいるのだが、それでもやはりショットやゼットが一番腕の経つ技術者であるというのは変わらないのだから。
「アクセル王、出撃準備完了です」
ガラバやゼットについて考えていると、キブツからそんな風に声を掛けられる。
「よし、スプリガンやグランガランの方は?」
「そちらも問題ないとの事です」
「そうか。……なら、出撃せよ!」
「は! ヨルムンガンド、出撃します!」
俺の指示に従い、ヨルムンガンドが浮かび上がる。
続いてスプリガンやグランガラン、他にもナムワンやグリムリーが浮かび上がるのがブリッジの映像モニタに表示されている。
まさに、全戦力の展開だな。
俺達にとって、これが初めての出撃……じゃないな。ソ連でビショット軍と戦ったし。
ただ、あの時は俺とショットはともかく、シーラは友好的な存在ではあっても、同盟相手ではなかった。
そういう意味では、やはりこれが俺達連合軍の出撃な訳だ。
……そう言えば、こうして連合軍として活動する以上、しっかり名前を考えないといけないよな。
ショットと俺達だけならシャドウミラーという名前そのままでもいいんだが、まさかシーラに俺達の配下になれなんて事は言えないしな。
そういう意味では、ショットも別に俺の部下という訳ではなく、分類的には同盟相手といった形になっている。
それでもショットはシーラと違い、国を治めている訳ではないのだ。
だからこそシャドウミラーという名前で問題はないのだが。
「イギリス政府からの通信です。成功を祈ると」
「戦果を期待して待っていてくれと伝えてくれ」
相手がビショットだけなら、あるいは話をしただけで和解をするという可能性もある。
だが、ルーザと黒騎士がいるという時点で、そしてビショットがルーザに誑かされている時点で、平和的に話をして解決するという結末は存在しない。
現在、ヨーロッパ中から派遣された戦闘機が、フランスの周辺を飛び回ってはビショット軍を挑発し、あるいは戦力を誘き出しているらしい。
当然だが地上の兵器ではオーラバトラーを倒せない。
だが……誘き出されたビショット軍のオーラバトラーを倒すのは、ゴラオン隊の面々だ。
機体性能という点では、ライネックやビアレス、アルダムといった高性能なオーラバトラーを使っているクの国だが、パイロットの質という点ではゼラーナ隊を有するゴラオン隊の方が上だ。
ゼラーナ隊の中には、それこそバイストン・ウェルでの戦いが始まった当初からドレイク軍と戦っていたギブン家の面々もいる。
また、ミの国の戦力としてドレイク軍と戦ってきた者もいる。
ラウの国の兵士は、そこまで実戦経験は多くないと思うが……それでも大国だけに、模擬戦は重ねていた筈だ。
そういう意味で、兵器の質ではビショット軍、パイロットの質ではゴラオン隊が上回ると考えられていた。
とはいえ、それも絶対ではない。
ビショット軍には黒騎士やガラミティを始めとする腕利きのパイロットもいるし、ゴラオン隊にはビルバインというオーパーツ染みたオーラバトラーもある。
何よりゴラオンの放つオーラノバ砲は、オーラマシンの中でも現時点では最強の攻撃力を持つ。
ゲア・ガリングもオーラバトルシップだが、性能的にはヨルムンガンド程ではないにしろ、後方向けだしな。
それにゴラオン隊が戦うのは、誘き寄せられたオーラバトラーで、ビショット軍の旗艦であるゲア・ガリングがそのような状況で戦場に出て来る事はないと思う。
……今更の話だけど、ドレイク軍、ビショット軍と呼んでいるのに、ゴラオン隊、ゼラーナ隊と呼ぶのはどうなんだろうな。
ゼラーナ隊は隊という規模だから仕方がないにしろ、ゴラオンはグリムリーやナムワンをそれなりに揃えてる。
そうである以上、ゴラオン軍……いや、違うな。パットフット軍? うん、何となく合わないし、ここはやはりゴラオン隊で構わないだろう。
そう判断しておく。
やがて、移動を始めてそれなりに時間が経過し……
「フランスの領空内に入ります」
ブリッジクルーの1人がそう告げる。
領空という考えは、バイストン・ウェルの人間には完全に納得されてはいないと思う。
「ビショット軍は? こっちに気が付いた様子はあるか?」
「いえ、まだこちらに攻め込んでくる相手はいません」
どうやら、ビショット軍はまだこっちに気が付いていない……もしくは気が付いているが、派遣する戦力がないといったところか?
バイストン・ウェルの人間にしてみれば、地上人というのは以前は複雑な感情を抱いていた。
具体的には召喚された地上人を聖戦士として扱っていたように。
だが、実際に地上に出たバイストン・ウェルの軍勢は、地上軍の弱さに対して増長してしまったのだろう。
あるいはこの辺も地上に出た事によって攻撃的になっているのが関係しているのかもしれないが。
ともあれ、ビショット軍とドレイク軍の兵士達は地上の軍隊を下に見ている節がある。
だからこそ、そんな格下に見ていた連中が自分達の領土と化した――と思っている――場所にやってきて、挑発をするのが面白くないのだろう。
「この様子だと、もしかしたらゲア・ガリングと戦う時はかなり向こうの戦力が少なくなっているかもしれませんね」
「だといいんだけどな。それでも黒騎士がいるのは間違いないし、ガラミティ達もいる可能性がある」
黒騎士はルーザに従っており、ガラミティはビショットに忠誠を誓っている。
従ってと忠誠を誓うというのは微妙に違うのだが、それはこの際いい。
……取りあえず、もし俺が黒騎士であってもルーザに忠誠を誓いたいとは思わないし。
兵士の類を地上軍の挑発に対して差し向けても、本当の意味で精鋭を差し向けるといった事はしないだろう。
精鋭を差し向けて、それで敵を一気に撃破するという手段もあるのだが。
才能はあるが小心者のビショットの性格を考えれば、そのような真似はしないだろう。
小心者なら、パリを燃やすなんて真似をするとは思えないけど……多分、その辺はルーザの影響なんだろうな。
ルーザなら、自分の利益の為ならパリを焼くといったような真似をしても、おかしくはない。
「それにビショット軍にはゲア・ガリングがいる。その相手をするだけで、かなり厳しい戦いになるのは間違いない」
こっちはオーラバトルシップが2隻に、オーラシップ……いや、オーラクルーザーが1隻だ。
正確にはナムワンやグリムリーも多数あるのだが。
そんな俺達に対して、ビショット軍はゲア・ガリングとナムワンが多数。
数だけで考えればこっちの方が有利なのは間違いないのだが……ヨルムンガンドは基本的に最後尾で活用するような設計思想だし、グランガランはそもそも戦闘用というか移動拠点的な存在。そしてスプリガンは、速度はあるが攻撃力という点ではオーラシップよりも低い。
それに対し、ゲア・ガリングは基本的には後方で運用するのを想定して開発されたオーラバトルシップだが、前線で戦う事もそれなりに想定されている。
つまり、数ならこちらが有利なのは間違いないが、純粋な戦闘行動となるとゲア・ガリングに軍配が上がる可能性もあるという事になる。
ただし、これはあくまでもオーラバトルシップ同士――オーラクルーザー含む――での話だ。
第二次世界大戦において戦艦が戦闘機によって撃沈されたように、オーラバトルシップもオーラバトラーによって撃破する事は可能な筈だ。
ましてや、オーラバトラーは戦闘機と違ってより攻撃力が高いし、空中で停止したり……何より、オーラバトルシップの中に乗り込んで内部から破壊するといったような真似も可能となる。
そういう意味では、第二次世界大戦の時よりもやりやすいのは間違いないと思う。
「アクセル王。ゲア・ガリング……こちらに向かって来ますかね?」
「どうだろうな。正直なところ、向こうがどう反応するのかは俺にも分からない。ただ、ビショットもクの国の王だ。自分が侮られたと考えれば、それを許容出来ずにこちらに向かって攻撃をしてくる可能性は十分にある」
キブツにそう告げる。
出来ればビショット軍との戦いは、パリ……そして他の村や街といった場所ではなく、もっと人の少ない場所で行いたい。
最善なのは、海上だろう。
もっとも、撃破されて沈んだオーラマシンの残骸が海にどんな影響を与えるのかは、俺にも分からないが。
第二次世界大戦の海で沈んだ軍艦とかは、いい漁場になっているという話も聞く。
油とかで汚染が心配ではあるが。
ともあれ、地上で戦うよりはマシだろう。
「ん? ……アクセル王。スプリガンから通信です!」
「スプリガンから? 出せ」
「は!」
命令すると、すぐにヨルムンガンドの映像モニタにスプリガンの映像が表示される。
予想通り、通信を送ってきたのはショットだ。
『アクセル、ここは私のスプリガンが出よう』
映像モニタに表示されるなり、そう告げるショット。
それは納得すると同時に驚かされる。
基本的にショットは技術者だ。
オーラマシンの類も開発はしているし、スプリガンというオーラクルーザーに乗って指揮を執っているものの、それでも自分から前線に出るような真似はしない。
ソ連軍との戦いやジェリルとの戦いにおいても、スプリガンは後方で待機し、指揮を執っているといった事が多かった。
それは別に責められるような事ではない。
こちらの戦力は十分に存在している。
それこそ現状においてはドレイク軍、ビショット軍、ゴラオン隊よりも上ではないか? と思うくらいには。
もっともドレイク軍とビショット軍が同盟を組んで一緒の戦場にいれば、戦力では劣ると思うが。
そのような状況だけに、わざわざショットが最前線に出る必要はなかったのだが……
「本当にいいのか?」
ショットのこの提案は嬉しい。
ヨルムンガンドもグランガランも、オーラバトルシップである以上、その機動力は決して高くはない。
それに比べると、スプリガンはオーラクルーザーといった種別に相応しく、非常に機動力が高い。
ナムワンやグリムリーと比べても、更に速度は上だろう。
それこそウィングキャリバーと同等に近い速度を出せる。
このような状況でビショット軍の様子を見て、可能なら戦力をこっちに引っ張ってきて他の地上軍と同じように向こうの戦力を削る。
いや、それだけではない。
地上軍の戦闘機と異なり、スプリガンを見たビショットは間違いなく危険視し、可能な限り潰そうとしてもおかしくはなかった。
それはつまり、黒騎士やガラミティ達のような精鋭を派遣してくる可能性も高いという事になる。
ビショット軍にとって大きな戦力である黒騎士やガラミティ達を前もって倒しておく事が出来れば、それはこれからの戦いで大きな意味を持つ。
……黒騎士はともかく、ガラミティは出来れば生け捕りにしたいところだけど。
ただ、ガラミティの性格を考えれば、生け捕りにしてもこちらの味方にはならないだろうと判断しながら、俺はショットの提案に乗るのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1605
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1689