ビショット軍と俺達との戦いは、非常に派手なものになっていた。
恐らく地上においては、ここまで派手な戦いはなかっただろう。
いや、第二次世界大戦とかで戦艦の戦いでは派手になっただろうが、オーラマシンはピグシーのような例外を除いて、基本的に空を飛ぶ。
海での戦いと、こうして空を飛んで行われる戦い。
それはどうしても、三次元的な動きをする後者の方が派手になるだろう。
あ、でも第二次世界大戦なら潜水艦とかも使われていたし、潜水艦なら海の中で浮かんだり沈んだり出来るから、それが三次元的な戦いと言ってもいいのか?
……ただ、潜水艦の戦いはどうしても派手じゃないよな。
基本的には相手に見つからないように行動して奇襲で攻撃するか、もしくは相手の行動の読みあいで戦うかだし。
そんな潜水艦の戦いに比べると、こうして現在進行形で行われている空の戦いは、かなり派手だ。
ゲア・ガリングからの攻撃を回避しつつ、そんな風に考える。
ゲア・ガリングの攻撃は、命中すれば恐らくズワウスであっても一撃で撃破されてしまうだろう。
オーラバトラーの中では重装甲のズワァースをベースにして改造したズワウスは、当然ながら装甲が厚い。
ただし、それはあくまでもオーラバトラーの中では装甲が厚いという話であって、ゲア・ガリングの攻撃を正面から受けても平気という訳ではない。
とはいえ……当たれば撃破されるだろうが、それなら当たらなければいいだけだ。
そんな風に考えつつ、先程の戦いで失ったオーラソードの予備を空間倉庫から取り出して握ったズワウスでゲア・ガリングとの間合いを詰めていくと……
「っと!」
俺が来るのを待っていたかのように、3機のビアレスがこちらに向かってくる。
いや、待っていたかのようにじゃなくて、実際に待っていたんだろうな。
ビアレスの動きを見れば、それに乗っているのが精鋭だというのは分かる。
というか、ビアレスはかなり癖のある機体である以上、腕に自信のある者しか乗らない。
そして腕に自信のある者が乗った場合、その高い機動性と運動性は非常に厄介な事になる。
トッドやアレンが総合的な性能ではビアレスよりも高いライネックに乗らず、未だにビアレスに乗り続けているのはその辺の理由があるのだろう。
こちらに向かって鎌状のオーラソードを振るってきたビアレスの一撃をオーラソードで受け止める。
『アクセル王、ゲア・ガリングまでは行かせん!』
聞こえてきた通信の声に、覚えがあった。
ビショットの部下の中でも最強のオーラバトラーのパイロット、ガラミティ。
そうなると、他の2機は恐らくガラミティの仲間のニェットとダーか。
そんな2機は、ガラミティと鍔迫り合いをしているこっちの様子を窺っており、こっちに隙が出来たら即座に攻撃を行うつもりらしい。
ダーの背後でジャバのガラバがライネックを撃破してるのを見ながら、口を開く。
「お前が一緒にいて、何故ビショットを止めなかった!」
俺が知ってる限り、ガラミティはビショットに忠誠心を抱いていた。
そんなガラミティだけに、ルーザに操られているビショットを止められた可能性は十分にあった。
『黙れ! 俺も止めようとした! だが、止まらないのだ! そうである以上、俺がやるべき事は決まっている!』
叫び、近距離からショットクローを放ってくるが、機体を動かす事で回避し……そうしてガラミティのビアレスから少し離れたところを狙い、他の2機のビアレスからフレイボムが放たれる。
「させるかよ!」
フレイボムは命中すれば広範囲にダメージを与えられる優秀な武器だ。
だが、優秀な武器ではあっても欠点もある。
その欠点の1つが、弾速が遅いというものだった。
勿論、ビアレスはそんなフレイボムの欠点を知っており、それをカバーする為にも1発ではなく、何発も連射してくる。
弾速が遅いのなら、それを回避出来る隙間をなくせばいいと、そのように思っての攻撃。
この辺りの判断は、ガラミティの仲間だけの事はあった。
しかし……フレイボムに対し、オーラバルカンを連射して迎撃しながら、その隙を狙って後ろから攻撃しようとしてきたガラミティのビアレスに対し、尻尾を放つ。
尻尾の一撃は、ニーズヘッグの尻尾と比べれば遙かに弱いし、機能としても電撃であったり、輻射波動であったりといったようなものはなく、鞭のように相手に叩き付けるだけだ。
ショットクローでは電撃を流せるんだから、尻尾でも電撃を流せてもいいと思うんだが。
そんな風に考えつつも、尻尾でビアレスを吹き飛ばす衝撃を感じ……そのまま、フレイボムを放ってきたビアレスに向かって突っ込む。
向こうもズワウスが近付いてきたのを確認し、鎌状のオーラソードを構える。
そんな相手に対し、マジックコンバータを全開にして一気に間合いを詰め、オーラソードを振るう。
そんなズワウスの様子から、鎌状のオーラソードでは防げないと判断したのだろう。
代わりにオーラソードが収まっていた鞘……ビアレスの腕にあるその鞘は、特殊な加工が施されているので盾としても利用出来る。
それを使い、オーラソードの一撃を防ごうとしたようだったが、ズワウスの翼を羽ばたかせ、強引に機体の軌道を変える。
機体の軌道が変わったという事は、当然ながらオーラソードの軌道も変わり、その一撃は盾の下を通り……次の瞬間、ビアレスのコックピットを真っ二つに切断する。
『ニェットをよくも!』
そんな叫びと共に、ガラミティのビアレスがこちらに突っ込んでくる。
その背後には、ダーが乗っているビアレスの姿もある。
2機掛かりでなら、俺をどうにか出来ると思ったのだろうが……
「その程度で、俺をどうにか出来ると思っているのか!」
オーラショットを放ち、牽制しながらこちらから向こうとの間合いを詰める。
ガラミティはオーラショットを何とか盾で防いでいたが、ダーの方は盾で防ぐのが追い付かず、何ヶ所か機体に命中していた。
1発や2発であればまだしも、それ以上の攻撃が命中すれば、当然ながらダメージを受けて、飛んでいるバランスが崩れる。
そうしてバランスが崩れたところで、ガラミティのビアレスを回避し、オーラソードを手に真っ直ぐ突っ込み……その切っ先は、ビアレスのコックピットを貫く。
当然ながら、コックピットを貫かれてダーは死ぬ。
そうして、現在俺の前にいるのはガラミティのビアレス1機のみ。
そのガラミティも、仲間2人を瞬く間に殺された事で激高したのか、ズワウスの背後から鎌状のオーラソードを手に襲い掛かってくる。
憎悪によって、こちらに致命傷を与えるには十分な一撃。
一撃ではあるが……
「あくまで、それは命中すればの話だな!」
翼を振るい、マジックコンバータを全開にして、強引に半回転させる。
普通の人間ならGで肋骨を骨折してもおかしくはないのだが、混沌精霊の俺にとっては、この程度どうという事はない。
そうしてズワウスが無理矢理方向を変えた瞬間、ズワウスのあった場所を何かが貫く。
それが何なのかというのは、映像モニタに表示された事でしっかりと理解出来た。
それは。オーラソードの鎌。
ビアレスの持つオーラソードの鎌は、一般的なオーラソードに比べるとリーチが短い。
だが、それを補う為に、ビアレスは左右両方の手にオーラソードの鞘がある。
つまり、オーラソードの鎌は2つ持っているのだ。
そしてリーチの短いその鎌は、だからこそ投擲といった手段も可能だった。
こちらに向かってオーラソードを振り下ろそうとしながら、もう片方の手でオーラソードを投擲する。
ガラミティにしてみれば、俺に勝つ為の手段としてこれ以上ない方法だったのだろう。
実際、まさかこの状況でオーラソードを投擲してくるというのは、意表を突かれた。
突かれたが、その攻撃が失敗してしまえば意味がないのは明らかだ。
何よりも、投擲したということは、ガラミティのビアレスが持つオーラソードは、もう1本だけだ。
つまり、もう投擲という手段は使えない。
いや、使えない事もないが、もし投擲して失敗したら、それはガラミティにとって致命的なミスとなる。
「その機体に乗ったのは失敗だったかもしれないな!」
叫びつつ、オーラショットを放つ。
こちらから放った一撃を、それでも盾で防いだ辺り、ガラミティの能力の高さを示していた。
しかし、至近距離でオーラショットを受け止めた以上、その衝撃はかなりのもので……当然ながら、盾――正確にはオーラソードの鞘だが――を装備した手は大きく弾かれる。
空を飛んでいる状態でそうした状況になり、空中でバランスを崩すと……そこに対して、追撃でショットクローを放つ。
ただし、それはいつものようにワイヤーを機体に絡みつかせて動きを止めるといったような使い方ではなく、打撃武器としての使い方。
ただでさえバランスを崩した状態で、更に一撃を食らったのだ。
それはガラミティのビアレスが空中でバランスを崩すというのは止めようもないことだった。
そして……俺とズワウスを前に、そのような状況は決定的なまでの隙となる。
「ガラミティ、食らえ!」
叫びつつ、間近でマジックコンバータを全開にし、更には羽根も羽ばたかせて速度を上げ、ガラミティのビアレスとの間合いを詰め……そのまま、オーラソードをコックピットに向かって突き出す。
ガラミティはそのような状況であっても、何とか致命傷を避けようと片手に持ったオーラソードで俺の一撃を受け止めようとするが、その一撃は僅かに軌道を逸らしただけで……次の瞬間、コックピットを貫く。
『が……アクセル……王……』
「ガラミティ」
聞こえてきた通信に、そう短く言葉を返す。
最後の一撃を、何とか……本当に何とかオーラソードによってこちらのオーラソードの軌道を逸らした事により、即死とはならなかったのだろう。
とはいえ、一撃で死ぬ事が出来ず苦しみの時間が延びたというのはガラミティにとって幸運か不運か微妙なとこだが。
ともあれ、これで勝負はついた。
ついた以上、せめてガラミティの遺言くらいは聞いておいた方がいい。
そう思って、俺はガラミティの名前を口にしたのだ。
『ビショット王を……』
「助けろ、というのは難しいぞ」
捕虜にするというだけなら、それなりにやりようはある。
しかし、もしそのような真似をした場合、間違いなく面倒な事になるだろう。
ルーザによって籠絡された結果とはいえ、ビショットはパリを焼いた。
それでビショットが死んでいれば、まだ収まりもつくだろう。
だが、もしビショットが生きたまま俺達の捕虜になっていた場合、かなり面倒な事になるのは間違いない。
個人的にはビショットに対し、それなりに友好的な感情を抱いてもいるし、それを抜きにしても、ビショットは国王として、オーラバトラーやオーラバトルシップの研究者として、非常に有能な人物であるのは間違いない。
出来れば引き抜きたいと思う人物だが、パリを焼いたというのは致命的だった。
あるいはいっそ死んだと思わせておいて、顔や名前を変えて生き残らせるといったような真似も考えたが……今更だな。
『なら……攻めて、あの姦婦を……頼む……』
「分かった。それだけは俺が引き受けよう。ビショットの仇と言ってもいいのかどうかは微妙だが、ともあれルーザと黒騎士は倒す」
『すま……ない』
その言葉が、ガラミティにとっての最後の言葉。
それ以上言葉が出て来ないのを確認すると、ステータスの撃破数が1上がっているのに気が付き……そのままビアレスの機体からオーラソードを引き抜く。
海上に向かって落ちていくビアレスが、そのまま海中に沈み、そして次の瞬間一際大きな爆発を生み出す。
「……じゃあな」
短く一言だけでガラミティとの別れを終えると、俺はビショットがいるだろうゲア・ガリングを見る。
周辺にはまだビショット軍のオーラバトラー隊がいるものの、先程の通信を聞いていた為か、あるいはビショット軍で最強だったガラミティ達を1人で倒した俺に怖じ気づいたのか、攻撃してくる様子はない。
俺にとっては楽だが、それでもいつまでもこのままといった事にはならない筈だ。
今はこうして俺に攻撃してくる様子はないが、俺がゲア・ガリングに向かえば……
「っと!」
ゲア・ガリングの事を考えたのがフラグだったのか、あるいはガラミティ達がやられたのを見て危機感を覚えたのか、ズワウスに向かってゲア・ガリングからの攻撃が行われる。
周囲にいるナムワンやブル・ベガーからも砲撃はされていたのだが、そちらは俺だけに集中しているのではなく、この空域で戦っているオーラバトラーやオーラボムに対しての援護射撃も行っていた。
特に、ガラバやブブリィはその特殊性を活かして鬼神の如き活躍をしていた。
ジャバ、本当に何で聖戦士として召喚されなかったんだろうなと、そんな風に思えるくらいには。
ゲア・ガリングの攻撃を回避しながら、俺は移動を開始する。
幸いにもと言うべきか、ゲア・ガリングが俺に攻撃を集中している関係で、オーラバトラー隊がオーラソードを使った近接攻撃を仕掛けて来る様子はない。……オーラショットやミサイル、オーラキャノといったように、遠距離攻撃はしてくるが。
そんな攻撃を回避しながら、俺はマジックコンバータを全開にしてゲア・ガリングに向かうのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1685
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1705