転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2997話

 俺とシーラの会談は、カワッセのお陰もあってすぐ行われる事になる。

 グランガランの一室で、俺とシーラは2人で話をする事になった。

 エレやベルの2人もここにはおらず、マーベルの姿もここにはない。

 

「どうしたのですか、アクセル。急にこのような時間が欲しいというのは」

 

 そう言ってくるシーラに、どう反応すればいいのか迷う。

 正直に言ってもいいのか? もしくは、カワッセから聞いたというのは誤魔化して普通に会いに来たとでも言った方がいいのか。

 そう考えて迷うも、ここは単刀直入に言った方がいいか。

 

「カワッセからシーラが何か悩んでいるようだと相談されてな」

「……そうですか」

 

 少しだけ残念そうな様子を見せるシーラ。

 やっぱり悩み云々といったような事は言わなかった方がいいのか?

 そう思うも、シーラの様子を見る限りでは何か悩んでいるというのは間違いないらしい。

 それはシーラの様子を見れば明らかだった。

 

「で、まどろっこしいのは苦手だから単刀直入に言うが、何を悩んでいるんだ?」

 

 その言葉にシーラは数秒沈黙し、やがて口を開く。

 

「マーベルから少し話を聞いたのです」

「マーベルから? 何をだ?」

「アクセル、貴方の事です」

「……俺の?」

「はい。マーベルが言うには、本来ならアクセルは自分の国に戻れるようになれる筈だったと、そう聞いています。ですが、バイストン・ウェルから私達が地上に出たせいで、それが不可能になったと」

 

 その件か。

 実際、その件で落ち込んだのは間違いないが、それでもマーベルのお陰でゆっくり待つつもりになったんだが。

 

「そうだな。それは否定しない。俺が故郷に戻る為にはゲートという……そうだな、シーラに分かりやすく言えば、異なる世界に存在する俺の故郷とオーラロード的な奴で繋げる必要がある」

 

 実際にはオーラロードでも何でもないのだが、今は分かりやすさ優先とした方がいいだろう。

 実際、シーラは俺の説明に納得した様子を見せているから、間違ってはいない筈だ。

 

「けど、その機械を使っても何故かオーラロードは開かなかった。理由は正直なところ分からない。多分、俺達が地上に転移してきた影響でオーラ力が溢れているとかなんとか、そんな関係だと思うんだが。だとすれば、地上のオーラ力が落ち着けば俺の国と繋がる可能性は十分にある」

 

 そう言葉を続けるが、何故かシーラはそれを聞いても落ち込んだ様子を見せたままだ。

 あれ? ちょっと予想と違う反応だな。

 いつかはオーラ力がなくなってホワイトスターに戻れるんだから、それで喜んでくれると思っていたんだが。

 

「ですが、それでは具体的にいつアクセルの国に帰れるのかというのは分からないのでは?」

「そうだな。それは否定しない。ただ、オーラ力が消えるのを待つしか出来ないし、場合によっては俺の国の方からこの世界に接触してくる可能性もある。そう考えれば、そんなに悪い話ではないと思うぞ」

「分かりました。……話してくれて、ありがとうございます」

「いや、別にそこまで畏まられる必要はないけどな。というか、俺がシーラの悩みを聞く筈だったのに、いつの間にか逆に俺が喋ってるってのはどうなんだ?」

「そうでもないですよ。こうして話しているだけで、十分気分転換が出来ました。……マーベルのように、街中を歩いてみたいとは思いますけどね」

 

 気分転換……気分転換ね。

 俺とマーベルがデートした日から、シーラは何かを思っていたという話だったけど、やっぱりシーラも地上の文化とかに興味はあるのだろう。

 実際、イギリスの女王とはかなり年齢が離れているのに友好的な関係を築けており、地上についても色々と聞いているらしいし。

 ふむ、そうだな。なら……

 

「シーラ、こうしてここで俺と話しているって事は、今日はもう仕事はないのか?」

 

 シーラにとってそれは予想外の問いだったのか、少し驚いた様子を浮かべてから口を開く。

 

「そうですね。もう二時間程したら、オーラバトラー隊の現状について報告を受ける予定ですが、その程度です」

 

 ビショット軍との戦いの中で、一番被害が大きかったのはグランガランのオーラバトラー隊だ。

 ヨルムンガンドのオーラバトラー隊は、キッス家とドレイク軍から派遣された者達で構成されており、バイストン・ウェルでの戦いが起こった当初から戦い続けていた者達だし、機体もライネックやビアレスといった高性能機が多数を占める。

 スプリガンは、ガラバとブブリィの2機が中心戦力なのでオーラバトラーの数そのものは少ないが、その分だけオーラバトラー隊はミュージィの家族を含めた精鋭揃いだ。

 それに対し、グランガランを含めたナの国のオーラバトラー隊は、実戦経験らしい経験をしないまま地上に転移してきた。

 もう少し転移するのが遅ければ、あるいはバイストン・ウェルでの戦いに参加していた可能性もあるが、今はそれを考えても意味はないだろう。

 一応訓練は重ねていたので練度はそれなりなのだが、それでもやはり実戦経験の有無というのは大きい。

 ましてや、ナの国で使われているオーラバトラーは、ボチューンが大半にボゾンが多少といった程度だ。

 ダーナ・オシー系の機体は、高機動型という点で運動性や機動性は高くても、防御力は弱い。

 そしてパイロットにはそれぞれ得意不得意がある。

 最も特徴的なのは、トカマクだろう。

 オーラバトラーの本領たる近接戦闘には全く才能がなかったものの、遠距離からの射撃には突出した才能を有していた。

 そこまで特徴的ではなくても、敵の攻撃を回避するのが得意な者もいるし、防御の方がいいと言う者もいる。

 前者はボチューンの機体性能と合っているが、後者がボチューンに乗った場合、敵の攻撃を防ごうとして被害を受ける。

 これがドラムロを始めとした重装甲のオーラバトラーであれば防御も可能なのだろうが、ボチューンでは防御しようとして被害を受けた者も多かった。

 そういう訳で、ナの国のオーラバトラー隊の被害はヨルムンガンドやスプリガンと比べて大きくなってしまったのだ。

 幸い、ダーナ・オシー系のオーラバトラーというのは、生産性が高い。

 予備部品の類も大量に積まれていたので、部品不足でオーラバトラーが使えないといった事はないらしいが、それでも長期間戦い続けるのは難しいだろう。

 もっとも、残る勢力はドレイク軍とゴラオン隊のみだ。

 そのうち、ゴラオン隊は一応地上の為に動いているので、俺達とぶつかる可能性は少ない。

 ドレイク軍もアメリカを占領したらしいが、そこからは特に大きな動きを見せてはいない。

 そう考えると、もしかしたら……本当にもしかしたらだが、ビショット軍との戦いが最後の戦いとなる可能性も十分にあった。

 

「取りあえずオーラバトラー隊の報告だけなら、最悪カワッセがいれば十分だろ。……着替えろ。ちょっと気分転換に外に行くぞ」

「え?」

 

 シーラは俺の言ってる言葉が分からない……理解出来ないといった様子で声を上げる。

 今日のシーラは女王らしい……というか、年齢的に王女らしい? そんな格好をしているので、ナの国の女王としてはともかく、この格好で街中を歩くといったような真似をした場合、間違いなく目立つ。

 

「着替えるのなら、俺は外に出るけどどうする? 何なら、誰かメイドでも呼んでくるか?」

 

 貴族や王族は自分1人で着替えられない者もいるといったような事を思い出して、そう告げる。

 まぁ、皇族のコーネリアは普通に自分で着替えるし、下着とかも自分で着たり脱いだりしているのを、数え切れないくらいに見ているが。

 

「いえ、自分で着替えられますが……その、着替えて何を?」

「街中に行くぞ。何を悩んでいるのかは分からないが、こうして1人で悩んでいるのがいい訳がない。なら、気分転換をした方がいい。さっさと着替えろ。時間がないんだから」

 

 そんな俺の言葉に、シーラは慌てつつもそれらしい服装……イギリスの街中を歩いていてもおかしくはない格好に着替えるのだった。

 

 

 

 

 

「美味しい……」

 

 街中で購入したアイスを食べて、シーラは驚きの声を出す。

 一応女王との会食とかでもアイスとかそういうのはデザートとして出たのかもしれないが、こうして街中で食べるのは一味違うだろう。

 それも立ったまま。

 シーラはナの国の王族としてそれに相応しい生活をしてきた。

 とてもではないが、こうして街中を歩く……それも片手にアイスを手に、なんて真似はした事がなかった筈だ。

 そういう意味では、今回の一件はそう悪いものではなかったと思う。

 

「ほら、シーラ。折角街中に出て来たんだ。アイスだけじゃなくて、他にも色々と面白い物はあるぞ」

「きゃあっ!」

 

 いきなり手を引っ張られて驚いたのか、シーラの口からは小さな悲鳴が上がる。

 それでも俺が引っ張らなかった方の手で持っていたアイスを零さなかったのは、さすがと言うべきか。

 ともあれ、俺はシーラと共に色々と見て回る。

 俺にしてみればそこまで驚くような景色でもないのだが、シーラにしてみれば地上の光景というだけで、やはり珍しいのだろう。

 一応ハワイとかではそれなり歩き回ったんだが。

 それでもシーラにとって、こうして地上を見て回るというのは面白いのだろう。

 

「ふふふっ、地上というのは本当に不思議な場所ですね」

「そうか? 不思議ってのは……それこそバイストン・ウェルの事を言うと思うんだがな」

 

 バイストン・ウェルに存在する、恐獣。

 それ以外もフェラリオ達や、地上では想像上の存在と思われているユニコーンが普通にいたり。

 いやまぁ、正確にはユニコーンではなくユニコンだから、正確には違うのかもしれないが。

 あ、でもそれが違うというのなら、妖精とフェラリオもまた違うという事になるのか?

 ともあれ、俺から見ればやはり地上よりもバイストン・ウェルの方が十分不思議に思えるのは間違いない。

 

「そうでしょうか? ですが、こうして地上を歩いて回ると、かなり不思議な光景ですよ? アクセルと一緒に食べたアイスというのも美味しかったですし」

 

 小さく笑いながら、シーラが告げる。

 実際、あのアイスはそれなりに美味かったのは間違いない。

 とはいえ、シーラがそこまで言うようなものだったか? と言われれば、その答えは否となる。

 そう思いはするが、だからといってこの状況で余計な事を言ったりはしない。

 そのまま数時間、俺とシーラはロンドンの観光を行い……そろそろグランガランに戻らなければならないくらいの時間になる。

 

「そろそろ、グランガランに戻らないといけませんね」

 

 夕日に照らされ、赤く染まったシーラが呟く。

 風にたなびくその髪もあって、どこか幻想的な雰囲気すら感じさせる。

 一瞬……本当に一瞬だが、そんなシーラの横顔に目を奪われた。

 

「アクセル? どうしたのですか?」

「いや、何でもない」

 

 俺の様子に疑問を抱いたのか尋ねてくるシーラに、そう答える。

 そんな俺の様子を不思議そうに見ていたシーラだったが……そんな中、不意に口を開く。

 

「アクセル、少し聞きたい事があります」

 

 今まで観光していた時に浮かべていた笑みと全く違う、真剣な表情。

 そんな表情でシーラは俺に向かって尋ねてくる。

 何か軽い案件といった訳ではなく、本当に重要な用件だと判断すると、頷く。

 

「分かった。何だ? 俺が答えられる事なら答えよう」

「アクセルは自分の故郷に……いえ、マーベルを愛しているのですか?」

 

 故郷? と思ったが、何故か急にマーベルの件に話題が移った。

 その事を疑問に思いながらも、マーベルとシーラは喧嘩友達的な存在であるのだから、その辺が気になっているのだろうと判断する。

 

「そうだな。愛している。マーベルからその辺については聞いてるんだろう?」

「っ!? ……そう、ですか。ええ。マーベルからは聞いています。ですが、マーベルはアクセルには他にも何人も恋人がいると言っていました。それは本当ですか?」

「そうだな。それも事実だ。シーラには言うまでもないが、こう見えて俺も王という立場だ。いや、多分そういうのがなくても、レモン達……俺の故郷にいる恋人達とは結ばれていたと思う」

「アクセルは、そんなに多くの相手を愛せるのですか?」

「愛せる」

 

 これに関しては、自信を持って言う事が出来た。

 レモン達を愛しているからこそ、ホワイトスターから未知の世界に転移するといったような真似も出来るのだ。

 もっとも、その結果としてこの世界のようにゲートが設置出来ない状態になっているが。

 

「……アクセル。少しそこで目を瞑って下さい」

「は? 今の話の流れから、何でそうなる?」

「いいから、目を閉じなさい」

 

 何故か半分命令口調で言ってくるシーラだったが、その顔には俺に対して命令をしているといったような様子はなく、寧ろ夕日とは別の理由で頬が赤くなっているように思えた。

 そんなシーラの様子に、俺はそっと目を閉じる。

 やがて、不意に唇に柔らかい何かが接触し、思わず目を開く。

 するとそこには、先程までの俺と同様に目を瞑り、頬を真っ赤に染めたまま自分の唇を俺の唇に重ねているシーラの姿があった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1690
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1706

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