俺がマーベルとゆっくりした日から数日……その日、俺の姿はヨルムンガンドの格納庫にあった。
いやまぁ、生活の場がヨルムンガンドである以上、同じ場所ではあるんだが。
ただ、ヨルムンガンドがオーラバトルシップだけあってかなり巨大なので、それを考えればこういう表現も間違っていないかもしれない。
ともあれ、俺の前にあったのはブブリィ……とヴェルビン。
何が凄いのかって、大きさで考えればブブリィの方が圧倒的に大きいのに、改修が完了したヴェルビンは大きさの差があるにも関わらず、ブブリィに負けない……いや、ブブリィ以上の迫力を持っている事だろう。
ちなみにブブリィがここにあるのは、以前約束したガラバとブブリィを俺に譲渡するという件の奴だ。
ガラバは以前貰ったが、ブブリィはまだ貰っていなかったんだが……ビショット軍との戦いが終わって一段落し、時間に余裕が出来たので仕上げたらしい。
ヴェルビンの件もそうだが、ビショット軍との戦いではこちらも相応にオーラバトラー隊が被害を受けている。
グランガランを始めとしたナの国のオーラバトラー隊は、主力のオーラバトラーがボゾンという事で、そもそもドレイク軍系とは系統が違うものの、それでも大元はダーナ・オシー、そしてダーナ・オシーを開発する際に参考にしたのは、始まりのオーラバトラーのゲドだ。
ショットやゼット、それに2人の弟子として活動していた技術者達は、そのゲドを開発した者達だ。
そうなると、色々と違うところはあれども基本は同じであり、ショット達にもボチューンの修理は出来る。
また、ヨルムンガンドのオーラバトラー隊や、俺達に降伏した元ビショット軍の者達。
そのようなところでも被害を受けたオーラバトラーは多数あるのだが……うん。まぁ、ショットやゼットにしてみればブブリィはともかく、ヴェルビンはそれだけ興味深かったのだろう。
「取りあえず、今回の主役はヴェルビンだが、ブブリィは以前からの約束通りアクセルに引き渡す。受け取ってくれ」
「ああ。感謝する」
そう言葉を返し、ブブリィに触れ……その姿は空間倉庫に収納される。
ブブリィは何気に結構な大きさなので、このまま格納庫に置いておくと邪魔になるしな。
スプリガンのようにガラバとブブリィが主力なら、話は別なのだが。
ともあれ、これでガラバとブブリィの2機を入手出来た。
ホワイトスターへの土産として、この2機の存在は大きかった。
オーラ力で動く以上、シャドウミラーのメンバーでは動かせるかどうか微妙だが。
最悪、マーベルの専用機になってもおかしくはない。
ブブリィとガラバのどちらを専用機にするのかは分からないが。
そんな風に考えつつ、ブブリィが消えたお陰で余計に強い存在感を発揮しているヴェルビンに近付いていく。
ショットやゼット、それにヴェルビンというオーラバトラーに興味があって集まってきた者達も、そんな俺と一緒にヴェルビンに近付いていく。
「これがヴェルビンか。……改めて、大分変わったな」
やはり一番変わったのは、その色だろう。
シーラから受け取った時の機体色は緑というか、濃いエメラルドの機体色だった。
しかし、今こうして俺の前に存在するヴェルビンは、赤に染められている。
これは当然のように、俺のパーソナルカラーだからだろう。
ショットはサーバインやズワウスの改修を行ってきただけに、俺が何かを言うよりも前に機体色を赤に変えたらしい。
そして左手にはズワウスでも使っている複合兵装のシールド。
後は……ヴェルビンのオーラソードの鞘は、オーラコンバータの右側にあるのだが、左側にはまた別の武器がセットされていた。
それがどのような武器なのか、すぐに理解する。
何しろその武器は俺にとっても何度か見た事のある武器であった為だ。
「ショット、これはオーラソードライフルか?」
「そうだ。幸い、この武器を開発したナの国と技術交流が出来たのでな。解析も進んだし、その技術を積極的に取り入れることが出来た」
なるほど。ショットにしてみればビルバインが装備していたオーラソードライフルは、完全に未知の武器だった筈だ。
オーラ力をオーラバトラーを動かす為の電気に変換するのではなく、オーラ力そのものをエネルギー兵器……ビームソードやビームライフルとして使うというのは、ショットにとって完全に予想外だったのだろう。
そういう意味で、ナの国の技術者達と積極的に技術交流をする理由は分かる。分かるんだが……
「このオーラソードライフルは、オーラ力を剣や射撃武器として使うんだろ? 俺が使うと色々と危ないって話をしてたけど、それはどうなったんだ?」
こうして装備をしていても、実は使えない。
あるいは見せ掛けだけの兵器であるというのは、さすがにどうかと思う。
そんな疑問から聞いたのだが、ショットはしてやったりといった満面の笑みを浮かべる。
こういうのを、多分どや顔って言うんだろうん。
そんな風に思っていると、ショットは言葉を続けた。
「このオーラソードライフルは、ゼットの協力を得てマジックコンバータと同様に魔力で作動するようになっている。そう考えると、マジックソードライフルと呼ぶべきだろう」
そのショットの言葉に、今度はゼットがどや顔を浮かべる。
とはいえ、ゼットがそんな態度でもこれは当然だろう。
マジックコンバータを開発しただけに、その技術のノウハウを使ったマジックソードライフルといった武器を開発したのだから。
ゼットにしてみれば、オーラ力はそれなりに慣れているエネルギー源だろうが、魔力というのは殆ど未知のエネルギーだ。
俺だけしか使えない……いや、マーベルやガラリアも魔法の勉強をしているし、実際にガラリアは最初に地上に出た時、オーラロードでバイストン・ウェルに戻る際に魔力を使って機体を強化し、そのおかげで生還出来た。
そう考えるも、それでも魔力をそう簡単に使える訳ではないと考えれば、マジックソードライフルを開発したゼットの功績はかなり高い。
「ちなみに、アクセル。ゼットの功績はそれだけではない」
「他にも何か新しい武器を開発したのか? 見たところ、特に他に武器はないようだが。前腕部もサーバインと違って普通だし」
俺がサーバインを使った時は、前腕部を全面的に改修して、オーラショットとワイヤークローを装備して貰った。
しかし、ヴェルビンの前腕部はそのままだ、
オーラショットもショットクローも、かなり使いやすい武器なんだが。
特に俺はショットクローを使った戦い方を得意としているので、出来ればショットクローが欲しかった。
とはいえ、複合兵装にはショットクロー、オーラショット、オーラバルカンといった武器があるので、ショットクローを全く使えない訳ではないのだが。
「そうする方も考えたが、ヴェルビンの技術はサーバインやダンバインの物がベースになっているとはいえ、ナの国独自の機構もある。それに装甲も特殊な恐獣の素材を使っているから、そっちには手を出したくはなかったんだよ」
ショットではなくゼットがそう言ってくる。
なるほど。ヴェルビンはナの国が開発したオーラバトラーだ。
サーバイン……というか、ショウの乗っているダンバインの技術をベースとしてはいるものの、こう言ってはなんだがダンバインはゲドの次に開発されたオーラバトラーだけあって、日進月歩のオーラバトラーの技術の中ではかなり古い。
事実、マーベルの使っているダンバインもオーバーホールされた上で改修されている。
ダンバインmk-Ⅱや、ダンバイン改といったような代物になっている。
名前はダンバインそのままで使ってるが。
何しろマーベルは始まりの聖戦士として、非常に名前が知られている。
そして始まりの聖戦士が乗るのは、白いダンバインというのも広まっていた。
それだけに、マーベルが他のオーラバトラーに乗り換えにくいという点もあった。
あるいはダンバインがただ古いだけのオーラバトラーであれば、マーベルも性能差から別のオーラバトラーに乗り換えるといったことを考えたかもしえないが、ダンバインは聖戦士用のオーラバトラーという事で、オーラ力によってその機体性能が大きく上がる。
マーベルであれば、ダンバインは最新鋭機のライネックやズワァースであっても互角以上に戦う事が出来た。
「なら、ゼットは他に何をしたんだ?」
「こっちだ」
俺の問いに、ショットはヴェルビンの後ろに回る。
当然、俺を含めた他の者達もそちらに向かっていたが、そこで見ることが出来るのはヴェルビンの背後。具体的にはオーラコンバータとかその辺だ。
待て。オーラコンバータ?
そこまで考え、ふと理解する。
俺が以前ドレイクから報酬として貰ったマジックコンバータは、現在空間倉庫の中にある。
だが、このヴェルビンが俺専用の機体だとすれば、当然ながらオーラコンバータではなく、マジックコンバータである必要があった。
そしてこのヴェルビンは、見た感じでは全部で5基のオーラコンバータが使われていた。
「このマジックコンバータはどうしたんだ?」
「予備の奴だな。アクセルとの取引に使えると思ったのか、ドレイクが余分に作っておくように言った奴」
ゼットの説明に納得する。
実際、ドレイクのその判断は決して間違ってはいない。
もしあのままバイストン・ウェルでの戦いが続いていた場合、ドレイクが俺に何かを依頼してきたら、その報酬としてマジックコンバータを貰えれば俺はその依頼を受けただろう。
ガラバやブブリィでも当然依頼を受けただろうが。
「それにしても、よくスプリガンに積んであったな」
「その辺は運がよかったとしか言えないな。……ついでだ、残っているマジックコンバータも持っていくか? こっちとしては、マジックコンバータがあっても場所を取って邪魔なだけだからな」
ゼットのその言葉に、俺は即座に頷く。
恐らく……本当に恐らくだが、シャドウミラーの面々がオーラバトラーを動かす場合、必要なのはオーラ力ではなく魔力だ。
俺の魔力が突出しているからオーラ力ではなく魔力で動かしている……といった可能性も否定は出来ないものの、それでも可能性としてはやはり魔力の方が有力だ。
シャドウミラーの技術班なら、マジックコンバータを解析すれば同じ物を……いや、技術力の差を考えれば、より高性能なマジックコンバータを作れる可能性はあるものの、それでも何かあった時に多い方がいいのは間違いない。
「感謝する」
「おう、存分に感謝してくれ。この状況では、アクセルに恩を売っておくに越した事はないからな」
そう告げるゼットの様子に笑みを浮かべ……取りあえずこれでヴェルビンについての説明は終わったので、俺は早速その操作性を試す事にしたのだった。
ヴェルビンのコックピットは、ズワウスと同じく……というか、ベースとなったのであろうダンバイン、もしくはビルバインと同じく普通に座るタイプのものだった。
そう考えると、サーバインだけが立ったまま乗るという特殊なコックピットだったんだな。
とはいえ、その辺りについての話は何となく理解出来る。
何しろサーバインはダンバインの試験機。
つまり、ゲドの次に作られた機体と言ってもいい。
まだ技術的に色々と未成熟だったので、ショットやゼットも色々と試したのだろう。
ちなみに魔力に関しては、かなり吸収されたものの、マジックコンバータが5基と考えると、寧ろ1基辺りの魔力吸収量は明らかに減っている。
これはゼットがマジックコンバータを作るのに慣れてきて、それで色々と改修されてきたおかげなのか、もしくは5基のマジックコンバータを使っている影響なのか。
その辺は分からないが、その程度の魔力は俺にとっては違いはない。
「アクセル・アルマー。ヴェルビン、出るぞ!」
その言葉と共に、俺の操縦するヴェルビンはヨルムンガンドの格納庫から外に出る。
軽く空中を飛び回った限りでは……なるほど。間違いなくサーバインやダンバイン系列の機体なのは間違いない。
ズワウスも機動力は高かったが、向こうの場合は重装甲な機体をマジックコンバータで無理矢理機動力を増しているといったような機体だった。
それに比べると、このヴェルビンは無理矢理機体の機動性を増しているのではなく、自然と高機動型の機体になっているといった表現の方が正しい。
「オーラソードを試してみるか」
呟き、右の鞘からオーラソードを引き抜く。
そしてオーラソードを振るうが……これは凄いな。
軽く振っただけではあるのだが、それだけで物が違うというのが理解出来た。
サーバインもズワウスも、現状のオーラバトラーの中では最高性能の機体なのは間違いなかったが、このヴェルビンはそんな2機の更に上位互換。
「なら、次は……こっちだな」
オーラソードを収納し、俺が次に引き抜いたのはマジックソードライフル。
人のいない方、建物のない方、そんな方に向けて、マジックソードライフルのトリガーを引く。
次の瞬間、銃口から放たれたビームが真っ直ぐに飛び、やがて地面に着弾して大きな爆発を引き起こす。
これは、なかなか。
続けて連射してみるが、連射性もなかなかのものだ。
そしてビームソードを展開し、こちらに対しても俺は十分に満足するのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1690
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1706