転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3000話

 俺がヴェルビンを受け取ってから数日……その間、俺は時間があるだけヴェルビンに乗っては機体を動かし、模擬戦を繰り返していた。

 初めてヴェルビンに乗った時、サーバインやズワウスよりも1段上の機体だと認識したが、それは決して間違っていなかった。

 そんなヴェルビンの性能を見て、オーラバトラーはズワァースが最終形だと認識していたショットやゼットも、まだオーラバトラーには先があるのではないかと、そう考え始めたのを見れば明らかだろう。

 

『ま、参った……俺の負けだ……今日はもう勘弁してくれ……』

 

 息も絶え絶えといった様子で、ジャバがそう言ってくる。

 ジャバは自分に実戦経験が足りないというのを理解しているので、俺の模擬戦には積極的に協力してくれた。

 しかし、模擬戦であっても負け続けるというのはやはり色々と堪えるところがあるのだろう。

 その結果として、今こうしてジャバがギブアップしてきたのだ。

 出来ればもう少し機体に慣れたかったのだが……まぁ、しょうがないか。

 何だかんだと2時間近くぶっ続けで模擬戦をしていたからな。

 

「なら……」

 

 少し休憩するか。

 そう言おうとしたところで、不意に通信が入る。

 

『アクセル王、緊急事態です』

 

 映像モニタに表示されたのは、キブツ。

 普段はかなり冷静な様子を見せているキブツがここまで驚いているというのは珍しい。

 

「何があった?」

『アメリカにいたドレイク軍が動きを見せた様子です』

「ドレイクが……」

 

 それは確かにキブツが驚いた様子を見せてもおかしくはない。

 ドレイクはワシントンを占領した後は特に動きらしい動きを見せてはいなかった。

 ルーザに籠絡されたビショットが、ゴラオン隊と派手に戦ったり、あるいはグランガランを奪おうと戦力を差し向けたり、あるいはパリを燃やすといったような真似をして活発に動いていたのを見れば、ドレイク軍は何もしていないといったような感じすらあった。

 実際、ドレイク軍に占領されてもアメリカは特に被害らしい被害を受けたという話は聞かないし、国としても特に問題なく動いているらしい。

 だというのに、何故この状況になって動き出す。

 ドレイクであれば、当然地上の技術を使ってビショット軍が動いていたというのは知っているだろう。

 それこそ俺達によって殺された事も。

 ビショットとドレイクが同盟を結んでいたと考えれば、俺達がビショット軍と戦っている時に援軍を出してもおかしくはなかった。

 ……もっとも、ドレイクにルーザの存在や、ましてやルーザと不倫関係になったというのを知られたくないビショットがその援軍を受け入れるかどうかは、また別の話だったが。

 

『はい。アメリカを出たとの事です』

「アメリカを出た? それはまた……てっきりアメリカで待ち構えているのかと思ったんだが」

 

 ビショット軍がパリを盾にしたように、こちらとしては地上の街を盾にされると対処が難しくなる。

 その対処に失敗した例が、燃やされたパリだ。

 当然ドレイクもその辺は理解しているだろう。

 アメリカにいたという事は、当然ながらこの世界において最高峰の技術を持っているアメリカの技術を手に入れているだろうし、情報に関してもアメリカにいれば自然と最新の情報が手に入る。

 ビショット軍が俺達に負けたというのは、当然知ってるだろう。

 また、グランガランがナの国のオーラバトルシップだというのは……こっちはどうだろうな。

 アメリカとソ連の関係を思えば、ソ連が情報を渡すとは思えない。

 ああ、でも俺達がイギリスにいる以上、そっちから情報が流れている可能性は否定出来ないか。

 

『どうしますか?』

「取りあえず出撃準備をする。ウィル・ウィプスの速度を考えれば、どこに行く……多分目指すのは俺達かもしれないが、どのみち結構な時間が掛かる」

 

 性能的には極めて強力なオーラバトルシップだが、その機動性の低さだけはどうしようもない。

 アメリカからイギリスに来るまで、相応の時間が必要となるだろう。

 当然俺達もイギリスの上空でドレイク軍と接触する訳にはいかない。

 必ずしも戦いになるとは限らないが、もし戦いになった場合、撃破されたオーラバトラーが落下するのは海が最善の選択肢だ。

 ドレイクは俺の力を知っている。

 こっちに最善の展開を考えれば、ドレイクが動いたのはあくまでも俺と接触して合流する事を目的にしているといった感じか。

 アメリカでドレイク軍とマーベルやトッドが戦ったのを知ってるかどうか。

 いや、ニュースになっていたくらいだし、多分知ってるだろうな。

 その辺りをドレイクがどう考えるか。

 ビショット軍やルーザ、バーンの件もあるしな。

 そして同時に、俺達がドレイク軍と合流するとなるとゴラオン隊がどう出るのかが気になる。

 一応ゴラオン隊もイギリスの近くにいるらしい。

 女王からの情報を、シーラ経由でそう聞いている。

 とはいえ、ゴラオン隊にとってドレイクは不倶戴天の敵だ。

 そんなドレイクと俺達が接触するとなると、それを絶好のチャンスと考えて奇襲を仕掛けてくる可能性もある。

 出来れば叩かずにすめばいいんだが……ゴラオン隊とドレイク軍は因縁が強すぎる。

 そして俺達の中にもゴラオン隊と因縁が深い者達がいる。

 具体的には、ヨルムンガンドの面々とスプリガンの面々だな。

 シーラ達は、唯一ゴラオン隊とは因縁がないか。

 一時的には協力体制ですらあったしな。

 ああ、でもビルバインを横流しした件を考えると、ゴラオン隊側からはシーラ達にとって友好的でも、シーラ側からゴラオン隊に対してはそうでもないのか?

 

「それとシーラに連絡を取って、イギリスの女王に俺達は出撃して海上でドレイク軍と接触すると伝えるように言ってくれ。……そして出来れば、ゴラオン隊に動かないように根回ししてくれると助かる」

 

 その言葉に、キブツは申し訳なさそうに頭を下げた。

 ゴラオン隊……正確にはゼラーナ隊の中には、キブツの娘のキーンがいる。

 そのキーンが戦場に出て来ないようするという事で、俺に感謝したのだろう。

 キブツにしてみれば縁を切った娘だが、それでも娘は娘だ。

 俺が配慮したことに感謝したのだろう。

 

「そんな訳で、準備を頼む」

『は! すぐに!』

 

 そうして通信が切れると、次にジャバのガラバに向かって通信を繋ぐ。

 俺とキブツが話している間、律儀に待っていたんだよな。

 この辺の性格は、以前とは違う。

 いやまぁ、ここで勝手に帰ったりしたら次に俺から何を言われるか分からないと思っただけなのかもしれないが。

 

「ジャバ、ドレイク軍が動いた。どうやらイギリスに向かっているらしい。すぐ……という訳ではないが、近いうちに出撃する事になる。その時は、お前のガラバにも期待してるぞ。俺と訓練を重ねた成果を、他の連中に見せてやれ」

『お、おう。分かった。そうだよな。アクセルのような悪魔……いや、それだと悪魔に悪いな。そう、魔王……違うか。大魔王。そう、大魔王を相手にして必死に生き延びたんだ。そんな俺がその辺の奴に負ける訳がねえ』

 

 ここでも大魔王か。

 いやまぁ、もうどの世界でもそんな感じで呼ばれるのは慣れているので、特に気にしたりはしないが。

 ただ、その呟きを聞いてるのが俺じゃなかったら、多分きついお仕置きがあったところだ。

 

「そら、大魔王からの命令だ。スプリガンに行ってこの件を知らせてこい。……まぁ、シーラとの通信が終わったらキブツからショットに連絡が入ると思うけどな。俺も準備らしい準備は特にする必要はないが、それでも今日はこれ以上戦うつもりにはならないから、ヨルムンガンドに戻る」

 

 そう言い、ヴェルビンでヨルムンガンドに向かう。

 ちなみにサーバインはこの数日の間に修理が終わって、現在空間倉庫の中に収納してある。

 とはいえ、サーバインの上位互換のヴェルビンがある以上、サーバインもズワウスも使う機会は多分ないだろうが。

 ヴェルビンの予備部品の類も、シーラ……というかカワッセの指示によってグランガランから大量に運ばれ、ヨルムンガンドや空間倉庫の中にかなり収納されている。

 何だかんだと、あのキスからシーラとはあまり会ってないんだよな。

 というか、シーラが俺と2人だけで会うのを避けてるといった形か。

 ……とはいえ、その気持ちは分からないでもない。

 シーラは王族として育てられただけに、貞操観念も高い。……いや、この場合は強いという表現の方がいいのか?

 それはともかくとして、そんなシーラだけに自分からキスを……それも頬とかではなく、唇にキスをした事で、照れていてもおかしくはなかった。

 とはいえ、ドレイクが動いたとなれば、そういう事を言ってもいられないだろう。

 モラトリアムの時間は終わったらしい。

 そんな風に考えつつ、ヨルムンガンドの格納庫に戻る。

 

「アクセル王、随分と早いお戻りですね」

 

 ここ数日は可能な限り外でヴェルビンを動かしていたのが、こんなに早く戻ってきたからだろう。

 技術者達が驚きながら、ヴェルビンから降りた俺に近付いて来る。

 ヨルムンガンドの技術者達にとっても、ヴェルビンは興味深い機体だ。

 それだけに、しっかりと整備をしながらその機体構造を調べているのだろう。

 ここまで技術の取得に熱心なのは、純粋にそういう性格の者達が多いのか、それともショットやゼットが部下に教えるのが上手かったのか。

 そこまでは俺には分からないが、もし後者だとしたらショットやゼットは教師の才能とかもあるのかもしれいな。

 

「俺はブリッジに行くから、ヴェルビンの整備は任せた」

「お任せ下さい。すぐにでも出撃出来るようにしてみせます」

 

 笑みを浮かべて叫ぶ技術者達に手を振り、ブリッジに向かう。

 

「っと、アクセル。聞いたか? ドレイク軍がこっちに向かってるんだってよ」

 

 ブリッジに向かう途中、トッドと遭遇する。

 どうやらトッドもその辺についての情報は既に知っているらしい。

 

「知ってる。だから俺もその辺りの詳しい情報を聞きたくてブリッジに向かってるんだからな。トッドもそうだろう?」

「そんな感じだよ。敵の詳しい情報が分からないと、どうしようもないし」

 

 敵か。

 今、トッドはドレイク軍を迷いなく敵と表現した。

 つまり、トッドの中ではこちらにやってくるドレイク軍との戦いにおいて、それを防ぐといったような真似は出来ないと、そう認識しているのだろう。

 それはビショット軍との戦いがあったからこそ、そのように思ったのか。

 あるいは、アメリカの街で戦ったドレイク軍の兵士との経験からか。

 その辺は俺には分からなかったものの、それでも今の状況を思えば頼もしいと思ってもいいのだろう。

 場合によっては、かつての仲間だからこそ敵として認識出来ないなどと言われるかもしれないと思っていたのだから。

 とはいえ、トッドはこのように大丈夫だろうが、問題なのは他のオーラバトラー隊か。

 キブツの配下のキッス家の面々は、元々がギブン家の配下としてドレイク軍と戦っていたので、今更ドレイク軍と戦う事に躊躇したりはしない筈だ。

 しかし、ヨルムンガンドのオーラバトラー隊の中には元ドレイク軍も多数いる。

 そのような相手と戦う場合、元ドレイク軍だからという事で戦えないという者もいる筈だ。

 それこそ親兄弟友人……場合によっては恋人が敵となる可能性もある。

 これはヨルムンガンドだけではなく、スプリガンの方でも同様だろう。

 ガラバに乗ってるジャバは、そんなの関係ないと言わんばかりに行動するだろう。

 しかし、ブブリィに乗っているミュージィはどうか。

 あるいはミュージィの家族はどうか。

 それ以外の一般のオーラバトラー隊のパイロット達はどうか。

 この辺りに関しては、戦力として考えるのは難しいかもしれないだろう。

 ビショット軍も同盟軍だったという認識だった者はいるが、それでもあくまでも同盟軍であって、仲間ではない。

 仲間と同盟軍……この2つ差は大きい。

 そうなると、もしドレイク軍と本格的な戦いになった場合、重要なのはシーラ達か。

 ナの国はドレイク軍ともそれなりに関係があったが、そこまで深くはない。

 精々がオーラバトラーの取引をしたり、もしくは停戦交渉の時にカワッセと一緒に行動していた兵の幾らかが、ドレイク軍の兵士と話をしたくらいだろう。

 とはいえ、兵士の質としてはやはり今まで戦い続けてきたドレイク軍の方が強いんだよな。

 オーラシップの量で考えても、ドレイク軍の方が明らかに多いし。

 こっちは聖戦士が多数揃っているのが強みではある。

 ドレイク軍の方は……残っている精鋭はガラリアくらいか?

 バーンは黒騎士としてルーザに従い、既に死んでいる。

 ジェリルとトカマクは地上に出てからドレイク軍と合流しないで好き勝手に行動し、こちらに攻撃してきて死んでいた。

 そのガラリアも、こっちにゼットがいる限りは本気で戦えるかどうかは分からない。

 ガラリアは出世欲が高いものの、ゼットという恋人を敵にするというのを苦しむといった可能性もある。

 さて……これで一体どう出るんだろうな。

 そんな風に思いながら、俺はトッドと共にブリッジに向かうのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1690
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1706

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