「ん……」
不意に聞こえてきたそんな声で、俺の意識は急速に覚醒していく。
そして気が付けば、見覚えのないベッドの上にいた。
隣には、一糸纏わぬ姿のシーラの姿。
その姿がシーラであると納得すると、唐突に昨日の一件を思い出した。
何か思い詰めた様子だったシーラ。
そんなシーラに抱いて欲しいと言われ、その後も色々とあったが結局俺はシーラを抱いた。
シーラは初めてである以上、当然ながらその身体に出来るだけ負担を掛けないようにして。
そういう意味では、俺もかなり手加減をした状態だったんだが……それでも、シーラに負担を掛けるよりはいい。
幸いなことにシーラは初めての痛みも乗り越え、最終的には満足して貰えた。
そんな訳で、初めての経験に疲れ切ったシーラが眠ったので、俺もそのまま眠ったのだが……このままここにいるのは、少し不味いか?
ここがシーラの寝室である以上、男のカワッセが入ってくるような事はないだろう。
そうなるとメイドとかが入っているかもしれないが……うん。昨夜の一件でシーツはもの凄い事になっているし、眠っていたので鼻が慣れてしまっていたが部屋の中も換気が必要な状態なのは間違いないだろう。
「アクセル……私がきっと……この……で……」
起きたのか? と思ったが、シーラは眠ったままだ。
どうやら寝言を口にしたらしい。
シーラのこういう寝言を聞けるのは、シーラとこういう関係になった俺の特権だよなとしみじみと思う。
とはいえ、そんなシーラの様子をいつまでも眺めているといった訳にはいかない以上、今は起こす必要があった。
今にもここにメイドが入ってきたら、どう対応すればいいのか。
いやまぁ、シーラの事だ。恐らく昨日のうちにその辺についてはしっかりとメイド達に命令していた筈だ。
とはいえ、こうしている現在も俺達は移動中であり、場合によってはドレイク軍が先行偵察隊とかを出してこっちと接触するなり、攻撃をするなりといったようなことをしかねない。
そうなると、さすがに黙って見ている訳にはいかない。
その場合は俺も面会しにきた相手に会うか、もしくは戦場に出る必要がある。
……さすがに、この状況でそういう場所に行くのはちょっとな。
せめて身体に付着している様々な液体を洗い流したい。
いざとなれば、白炎で身体を浄化する事も出来るが、それだといまいち気持ちよくないんだよな。
「シーラ、起きろ。そろそろ時間だぞ」
「うーん……アクセル……そんな……」
一体どんな夢を見てるのやら。
そう思いつつも、何度も身体を揺らすと、やがてシーラの目が薄らと開く。
「ん……え……アクセル……っ!?」
俺の名前を叫び、そして現在の状況……いや、昨夜の出来事を思い出したのだろう。
普段は凛とした表情を浮かべているシーラの頬が、真っ赤に染まる。
真っ赤に染まりながら、シーツで自分の身体を覆う。
そんな風にしても、昨夜の一件で俺の指と舌が触れてない場所はないと思うんだけどな。
そのような思いを表情に出さず、朝の挨拶をする。
「おはよう」
「…………おはよう」
たっぷりと1分近く沈黙した後で、ようやくシーラはそう挨拶をしてくる。
シーラにしてみれば、この状況で平然としている俺が信じられないといったところか。
「出来ればこの状況でもう少しシーラとゆっくりしていたいんだが、現在俺達はドレイク軍と接触するべく移動している。そうである以上、いつまでもこの状況でいられないってのは分かるよな?」
「ええ、そのような言葉には、私も納得します。それに……メイドに洗濯をするように言わないといけないでしょうし」
それが何を意味してるのかは、シーラも理解しているのだろう。
顔を真っ赤にしたまま、俺に向かってそう言ってくる。
シーラのメイドも、当然ながら男女の営みについては十分理解している。
ましてや、シーツについている様々な液体や血を見れば、その意味するところは分かるだろう。
「ともあれ、いつまでもこのままって訳にはいかないか。……グランガランには風呂はあるか?」
「ええ、この部屋の近くにいつでも入れる私専用のものがあります」
「さすが女王……と言えばいいのか?」
バイストン・ウェルの中でも最大の国の女王である事を考えれば、シーラの部屋の近くにいつでも入れる風呂がある程度、そこまで驚くような事ではないだろう。
そんな訳で、俺とシーラは揃って風呂で汗やら何やらを流す。
まさか一緒に入るとは思わなかったのか、シーラは驚き、照れていたが。
そうして身嗜みを整えると、俺はヨルムンガンドに戻る事にする。
「アクセル、私は昨日の一夜を決して忘れません」
「そうしてくれると、俺も嬉しいな。ただ……一度だけですむとは思うなよ? シーラ、お前はこれから俺と一緒の時間をすごすんだ。政略結婚とか、そういうのをさせるつもりはない」
「アクセル……ありがとうございます」
そう言ったシーラの目からは、涙が一筋流れる。
普通に考えれば、俺の言葉が嬉しかったからこその涙だろう。
だが、シーラの様子を見る限りでは、そのように思えるのと同時に、そのように思えないという……一種矛盾した印象を受ける。
いや、これは俺の気のせいか?
そんな風に思っていると、涙を拭いたシーラが再び口を開く。
「アクセルがそのように思ってくれる事、嬉しく思います。しかし、全ては今日の戦いが終わってから……そうすれば、きっと新しい道も開けるでしょう」
まるで、何かを確信しているかのような、そんな言葉。
「……何か妙な事を考えてないか?」
「いいえ? 私はアクセルの女になった。であれば、アクセルの事を考えるのは当然でしょう? もっとも、それが変な事と言われれば、そうかもしれませんが」
小さく笑みを浮かべながら、そう告げるシーラ。
そんなシーラの様子を見て、これ以上聞いても意味はないと理解する。
多分、シーラが何かを考えているのは間違いないだろう。
しかし、それを俺に言うようなことはまずない。
シーラの性格を考えれば、そのように確信するには十分だった。
「分かった。これ以上は何も聞かない。ただ、忘れるなよ。お前に何かあったら、俺は駆けつけるからな」
「ふふっ、期待してますね。私の王子様」
それを言うなら、一応王様なんだが。
ただ、シーラが何気に乙女な部分があるのは、嵐の球でのエルとの会話で理解している。
なら、今はせめてシーラが喜ぶように振る舞おうと、王子らしく一礼してから……シーラの唇にキスをする。
本来ならこういう時は、手の甲にキスをするのだろうが。
この辺に関しては、シーラの恋人である俺の役得といったところか。
そうして数十秒……舌を絡める深いキスをした後で、俺はシーラの寝室から影のゲートで去るのだった。
「あら、アクセル。予想していたよりも早かったわね」
ヨルムンガンドに戻ってブリッジにやって来ると、そこにいたマーベルは俺を見てそう言った。
俺がシーラと深い仲になったのに、それを気にした様子はない。
そもそも俺とシーラをくっつけようとしたのがマーベルだったのだから、それも当然かもしれなないが。
オーラ力によるものか、あるいはそれ以外の何かか。
その理由は俺には分からなかったが。
とはいえ、それでマーベルが俺を愛していないのかと言えば、その答えは否だ。
そう思える程の愛の籠もった視線を向けられる。
「何を予想していたのかは分からないが、いつまでもグランガランにいるって訳にはいかないだろ。いつドレイク軍と接触するのか分からないんだしな」
それにシーラも、グランガランのブリッジに行くには身支度を調える必要がある。
昨夜の汚れは風呂で落としたものの、着替えたり……何よりシーツとかを洗濯するようにメイドに指示したりする必要がある以上、時間的な余裕はあまりない。
そういう意味だと、俺……というか男ってこういう時に楽だよな。
「ふーん。まぁ、いいわ。アクセルの様子を見ると、シーラ様も幸せになったみたいだし」
ざわり、と。
マーベルの話を聞くとはなしに聞いていたブリッジクルーが、その言葉の意味を理解してざわめく。
バイストン・ウェルの人間にしてみれば、ナの国の女王というのは大きな……非常に大きな意味を持つ。
そういう意味では、このような反応もおかしくはないのだろう。
「だといいんだけどな」
そんなブリッジクルーの反応を無視し、そうマーベルに返す。
やはり、どうしてもシーラの一件は気になっていた。
一体何を考えているのか。
シーラの事だから、何の意味もなく妙な真似はしないと思うが、そうなると何らかの意味があれば妙な真似をするという事にもなる。
マーベルが俺とシーラをくっつけようとしたのは、あれが理由なのか?
勿論、シーラが俺に好意を持っているのを知っていたから、というのが大前提ではあるのだろうが。
「とにかく、今はドレイク軍だ。ドレイク軍をどうにかすれば、ゴラオン隊はシーラの方で対応してくれると思う。そうなれば、地上に出てからの馬鹿騒ぎもこれで収まる」
「そうね。ただ、問題なのはドレイク軍がどう出て来るかといったところかしら」
「普通に考えれば、アクセル王に攻撃をするといった真似は自殺行為でしかないので、そんな真似をするとは思えないのですが」
俺とマーベルの会話に汗を流していたキブツだったが、話題が変わった事でようやく安心したのか、そんな風に言ってくる。
「どうだろうな。これがバイストン・ウェルにいた時なら、ドレイクも俺を敵に回すといった真似はまずしなかった筈だ。だが、地上に出てドレイクがどう変わったのか。具体的には、何度か見たようにドレイクの攻撃性が非常に高くなっていたりした場合、話をするとかそういうのは全く関係なく攻撃をしてくる可能性もある」
「そのような性格になっている場合、ずっとアメリカで待機していたという理由が分かりません」
「ドレイクにはドレイクで、色々と思うところがあったんだろ」
ドレイクの性格を思えば、地上の優れた技術を取り入れるといったような真似をしてもおかしくはない。
ましてや、ドレイクがいたのはアメリカだ。
世界でも最先端の技術が揃っている国。
……それを言うなら、俺達もハワイにいたアメリカ軍から地上の技術を入手して、オーラバトルシップにレーダーや通信機の類を導入したのだが。
俺達がそうしたのだから、ドレイクが同じような真似をしてもおかしくはない。
それに、ドレイクはショットやゼットを召喚してオーラマシンを開発したように、未知の技術を取り入れるのに躊躇の類はない。
寧ろ未知の技術だからこそ貪欲に……と、そう思ってもおかしくはないだろう。
「ゴラオン隊についての情報は何か入っているか?」
話題を変えて、そう尋ねる。
俺達がドレイク軍と接触する上で、一番注意が必要なのはゴラオン隊だ。
一応シーラを通してイギリスの女王から動かないように言って貰っているのだが……ゴラオン隊がそれに素直に従ってくれるとは限らない。
ヨルムンガンドとウィル・ウィプスが一緒にいるところを、ゴラオンのオーラノバ砲で一撃……それこそUC世界でギレンがデギンとレビルの2人を纏めて殺したのと同じような感じにならないといいんだが。
正直なところ、エレの母親のパットフットが一体どのような性格をしているのかはしっかりと分からない。
そうである以上、夫や父親の仇として俺を狙ってきてもおかしくはないんだよな。
「いえ、その辺の情報については何も。申し訳ありません」
キブツが俺に向かって頭を下げる。
ゴラオンの情報は是非とも欲しいと俺が思っているのは知っているが、その情報を入手出来ない事に申し訳なく思っているのだろう。
「気にするな。元々俺達からゴラオン隊に接触しないようにしていたからな」
こっちから接触していれば、ゴラオン隊についての情報はもっと入手出来ただろう。
とはいえ、俺達が接触した場合はその時点でゴラオン隊と戦いになっていた可能性が高い。
そう思えば、ゴラオン隊に接触しないというのは間違った選択肢ではない筈だった。
「ありがとうございます」
頭を下げるキブツ。
キブツにとっても、ゴラオン隊……より正確にはゴラオン隊に所属するゼラーナにいる娘のキーンが気になっているのは間違いないだろう。
そう思うが、同時に今の状況において自分は何も出来ないというのも理解していた。
親子の縁を切っているというのもあって、表向きに露骨に娘の心配をしたりはしていない。
そんなキブツの為にも、俺達とドレイク軍の行動に妙なちょっかいを出してこなければいいんだけどな。
それにゴラオン隊が来ているという事は、恐らく以前少しだけ関わっているエレも来ている可能性が高い。
出来れば、そんなエレを殺したり、怪我をさせたりといったような真似をしたくないと思うのは、当然だろう。
そんな風に考えていると……
「アクセル王、レーダーに反応! ドレイク軍です!」
ブリッジクルーの1人が、そう叫ぶのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1690
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1706