予想外の展開ではあったが、ともあれガラリアの件は片付いた。
ガラリアを圧倒したマーベルの件で色々と考えるべき事はあるが、とにかく今のこの状況は決して悪いものではない。
というか、ガラリアを俺達に確保された以上、ドレイク軍の中にエースと呼ぶべき人物は誰もいないのだ。
聖戦士の大半は俺達に合流しているか、もしくは既に死んでいる。
バーンは黒騎士として活動しており、ルーザやビショットと共にあの戦いで死んだ。
つまり、ドレイク軍に残っているのはエース級のいない兵士だけとなる。
……ただし、ドレイク軍の兵士はそれこそドレイクが国王になる前から従っていた者も多い。
それだけの戦歴を重ねている以上、派手に名前を知られているようなエースはいなくても、全体的に能力の高い兵士が集まっているという意味で、危険なのは間違いない。
実際、こうして見る限りではヨルムンガンドとスプリガンの部隊はともかく、シーラ率いるナの国のオーラバトラー隊は結構な被害を受けているのが確認出来た。
ナの国のオーラバトラー隊は、どうしてもドレイク軍に比べて実戦経験が少ない。
ガロウ・ランを相手にしての一方的な蹂躙や、相手の命を奪わない模擬戦はそれなりに経験はあるのだが。
「とはいえ、これからの事を思えばナの国を放っておく訳にはいかないか。……ヨルムンガンド所属のオーラバトラー隊、ナの国のオーラバトラー隊の補佐をしろ。ドレイク軍に撃破させるな」
ドレイク軍を倒して、ゴラオン隊との一件もどうにかなったら、俺達はこの地上で生きていく必要がある。
その時、オーラバトラーという戦力が少なければ、地上の国に食い物にされてしまうだろう。
具体的にはソ連とかはこっちの戦力が低くなれば真っ先に攻撃してきそうだし、アメリカ軍にしても現状ではハワイにあるアメリカ軍とは友好的な関係を築いているものの、それはこっちがオーラバトラーを始めとする圧倒的な力を持っているから、敵に回すのを避けた方がいいという判断もあるだろう。
この戦いでこっちの戦力が弱くなれば、アメリカ軍もまた牙を剥かないとも限らない。
それは他の国も同様だし、そういう意味でも戦力を減らしたくないのは間違いなかった。
一応ナの国のオーラバトラー隊も、それなりに戦いは経験してきている以上、そこまで実戦経験が足りない訳でもないんだろうが。
「ともあれ、これでナの国のオーラバトラー隊の心配はいらないな。そうなると、次は……ドレイク軍をどうするか、か」
ガラリアの一件とナの国のオーラバトラー隊の一件が片付いた以上、残るのは敵をどうやって倒すかといった事だ。
いや、正確にはどれだけお互いに被害が出ないようにして戦いの決着を付けるかといった表現の方が正しいだろう。
そうなると、やっぱり頭を潰すのが一番いいか?
この場合の頭というのは、当然ながらウィル・ウィプスに乗っているドレイクの事だ。
ドレイク軍といった呼称が示すように、ドレイクがこの軍を率いているのだから。
「よし。……マーベル、トッド、アレン。ウィル・ウィプスに突っ込む。一緒に来るか?」
そう、通信を送る。
この連合軍において、役割分担は何気にはっきりとしている。
シーラ率いるナの国の軍は、とにかく数だ。質より量といった感じで、連合軍の物量を担当する。
ショットのスプリガンは、ガラバとブブリィという新型のオーラバトラーよりも高性能な兵器を使うので、特化戦力といった感じとなる。
勿論アレンやミュージィの家族のように、腕利きのパイロットが操縦するオーラバトラーもいるが。
そして俺達ヨルムンガンドのオーラバトラー隊は、連合軍の主力といった感じか。
俺やマーベルのような特化戦力がおり、オーラバトラー隊は精鋭揃い。
そういう意味では、別に俺やマーベル、トッドだけでウィル・ウィプスに突っ込んでもいいのだが……トッドとアレンは一緒に行動している以上、ここでトッドだけを呼ぶのもちょっと気まずいと思ったのだ。
『私は問題ないわ』
『分かった、すぐに行くから、ちょっと待っててくれ。……おい、アレン、こっちに敵を回しすぎだろ!』
『こっちも多くを受け持ってるんだから、文句言うなよな。ああ、俺も行くぞ』
マーベル、トッド、アレンから次々に了承の言葉が返ってくる。
そして最初に俺に合流したのは、当然のように白いダンバインのマーベル。
まぁ、俺のすぐ近くにいたんだから、当然の事だろうが。
とはいえ……白いダンバインの動きは、見て分かる程に以前よりも鋭くなっていた。
なるほど、ガラリア程の腕利きを完封出来る訳だと、そう納得出来る程に。
何でここまで急に技量が上がったのか、それは疑問だ。
疑問ではあるが、それよりも今はドレイクをどうにかする方が先だった。
「トッド達が来たら、すぐにウィル・ウィプスに向かうぞ。……今のマーベルの様子なら心配はいらないと思うけど、決して油断するなよ」
ウィル・ウィプスは最初に作られたオーラバトルシップにして、最高のオーラバトルシップと呼ぶべき存在だ。
勿論、純粋な攻撃力という点ではゴラオンに劣っていたり、補給能力という点ではヨルムンガンドに、居住性という意味ではグランガランに劣っている。
だが、それはあくまでもそちらに特化しているのであって、それ以外の場所ではウィル・ウィプスが勝つ。
そういう意味で、万能性が高いのがウィル・ウィプスなのだ。
それだけに、当然ながら戦闘力という点でもゴラオンよりは劣るが、それ以外のオーラバトルシップと比べれば高い。
『そうね。何だかんだとウィル・ウィプスとは一緒に行動する事が多かったんだし、そういう意味では分かってるわ。……自信があるから、心配しないで』
映像モニタの向こう側でそう告げるマーベルは、虚勢でも過信でもなく、本当の意味で自信に満ちていた。
そんな、マーベルの顔に見惚れていると……
『待たせたな!』
トッドとアレンのビアレスが姿を現す。
ちなみにこうして待っている間にも俺達が攻撃されないのは、ダンバインとヴェルビンが集まっているから、というのが大きいのだろう。
戦闘開始前は、士気も上がっていた事で大将首であったり、もしくは始まりの聖戦士として名の知られているマーベルを倒そうと思った者も多かったのだが、戦いの中で次々と味方が殺されていったのを見て、多くの者が怖じ気づいたのだろう。
とはいえ……
「こういう奴もいるけどな!」
こちらに見つからないようにして近付いて来ようとしていたドラムロが、複合兵装から発射されたオーラショットによって撃破される。
それに続くように、他のドラムロや……ドロ、タンギーといったオーラボムも姿を現すが、こちらは精鋭という表現が相応しい。
俺の攻撃に続いて行われたマーベル達の攻撃により、あっさりと全滅させる事に成功した。
「よし、景気づけはもう十分だろ。なら、ウィル・ウィプスに向かうぞ」
そうして、俺達はウィル・ウィプスに向かって進む。
当然の話だが、ウィル・ウィプスはこの戦場にいる以上、その姿は遠くからでもしっかりと見る事が出来る。
ウィル・ウィプスは見えるが、その場で待機している訳ではない。
前線に向かって援護射撃を行っているし、それ以外にもヨルムンガンドかグランガランに向かって砲撃をしたりもしている。
スプリガンは、オーラクルーザーという機動性を活かして戦場を飛び回っているので、ちょっと攻撃をするといったような真似は出来ないらしい。
いやまぁ、それでもウィル・ウィプスは砲門が多数あるので、スプリガンを自由に動かさないようにといった感じで行動を制限するような攻撃をしてはいるんだが。
ともあれ、ウィル・ウィプスはオーラバトルシップらしく特に動くといったような真似はせず、一ヶ所に留まっていた。
そういう意味では、こっちが攻撃する分にはかなり楽な相手なんだよな。
……対空砲を潜り抜ける技量があるのが前提になるが。
そうしてヴェルビン、ダンバイン、ビアレス2機の集団は、ウィル・ウィプスに向かって突っ込む。
何気に全機が高機動型のオーラバトラーだよな。
別に俺の趣味で決めた訳じゃなく、純粋に能力で選んだんだが。
ただ、もしこの状況でドラムロが仲間にいたりしたら、間違いなく速度で足を引っ張っただろう。
ぶっちゃけ、ヴェルビンが最大速度で移動すればダンバインやビアレスでもついてくることは出来ないし。
「来るぞ、回避しろ!」
ウィル・ウィプスに多数ある対空砲台が動いたのを確認し、叫ぶ。
そんな俺の言葉が正しかったと証明するかのように、ウィル・ウィプスの対空砲台が一斉に発射された。
それを悉く回避しながら更にウィル・ウィプスとの距離を詰めていく。
ウィル・ウィプス側でも、俺達の危険性に気が付いたのだろう。対空砲だけではなく、一撃の威力が高いオーラキャノンも複数発射された。
とはいえ、そんな攻撃もこっちには通じない。
「よし、分散だ。取りあえずこのままだと対空砲が鬱陶しいから、そっちをどうにかしてくれ。俺は一気にブリッジを叩く」
『はぁ? ブリッジを一気に叩くのなら、俺達が対空砲を潰す必要はないだろ?』
不満そうなトッドの声。
トッドにしてみれば、もっと別の活躍をしたかったといったところか。
「こっちが動いている間に妙な真似をされたくないだろ? ……まぁ、ブリッジに向かって攻撃をするとは思えないけど」
ウィル・ウィプスのブリッジの前にいるヴェルビンを攻撃しようとした場合、もしヴェルビンが回避したら、それこそブリッジに命中する可能性が高い。
そうである以上、下手をしたらドレイクが死ぬ可能性もあるのだ。
そう考えると、ブリッジの前にいるヴェルビンを攻撃するのは不可能だと思った方がいい。
そんな風に思いつつ、俺はマーベル達に重ねて対空砲を破壊するように頼み、そのままブリッジに向かう。
ウィル・ウィプス側でも、俺がブリッジに向かっていると判断したのだろう。
必死にそのような真似はさせまいとして攻撃を集中させるものの、マーベル達の攻撃によって対空砲やオーラキャノンは次々に撃破されていった。
そうしてヴェルビンの高機動性により、あっという間にウィル・ウィプスのブリッジの前まで移動する事に成功する。
「さて、ドレイク。この状況になってしまえば、もう終わりだな」
ブリッジの前まで移動すると、そう通信を送る。
『ぐ……』
ドレイクにとっても、この展開は予想外だったのか言葉に詰まる。
それでも俺の力を知っていれば、この展開も予想出来た気がするが。
「降伏するのなら、俺も相応の待遇で迎えるが、どうする? 俺がバイストン・ウェルで一番世話になったのは、間違いなくお前だ。だからこそ、こうしてお前に配慮している」
これは嘘でも何でもなく、本当に心の底から思っている事だ。
俺とマーベルがバイストン・ウェルに転移して、フラオンに指名手配された時、向かう先として選んだのはドレイクのルフト領だった。
その理由としては、ドレイクがオーラバトラーを開発させていたというのが大きかったが、そんな俺達をドレイクは同盟相手として迎え入れている。
勿論、そこには善意だけがあった訳ではない。
具体的には、俺が見張りとかに見つかるような事もせずにドレイクの部屋に侵入したというのがある。
そんな俺の能力をドレイクが危険視し、俺を味方にしないという選択肢がドレイクにはなかった。
それは分かっているが、その辺は領主という立場であればしょうがない事だ。
しかし、それを承知の上でも俺としてはドレイクの対応に感謝している。
感謝しているからこそ、俺はここでドレイクを殺すという選択はしたくなかった。
ドレイクは領主や国王として有能だったのは事実だし、こう言ってはなんだがこの戦いが終わって俺達が地上で暮らすようになった時、ドレイクの力があればかなり頼もしい。
そういう意味でも、出来ればドレイクは殺さずに捕虜にしてそのまま俺に仕えるといったような形にしたいのだ。
『アクセル王の気持ちは分かる。だが、儂もアの国の国王として、そのような提案に素直に頷く訳にはいかん。儂を信じて仕えてきた者もいるのだ。それを思えば……ここで大人しく降る訳にはいかん!』
その言葉と共に、ウィル・ウィプスのブリッジを避けるようにしてレプラカーンが姿を現し……瞬間、ゾクリとした何かを感じる。
いや、何かではない。これは今までに何度も感じてきた、念動力が俺に危険を知らせる感覚。
「マーベル、トッド、アレン、ウィル・ウィプスから離れろ!」
咄嗟に叫びながら、俺はウィル・ウィプスから離れる。
何故? と。自分でも疑問に思いながら。
俺の目の前にいたのは、ウィル・ウィプスのブリッジを迂回して姿を現したレプラカーン。
火力という点ではトップクラスのオーラバトラーだが、そんなレプラカーンがどうこうしたところでヴェルビンを撃破出来るような事は出来ない。
ましてや、ドレイク軍にはガラリアが捕まった今、エースと呼べるパイロットはいないのだから。
だが……そう、だが。
今まで何度も俺を救ってきた念動力の勘を無視するといった真似が出来る筈もない。
そして、念動力の勘が間違っていなかった事は、遠くから飛んできた巨大な光がウィル・ウィプスをブリッジ諸共呑み込んだ事が証明する。
そんな攻撃を可能とする敵を、俺は知っている。
「ここで出て来るか、ゴラオン隊!」
俺の言葉に反応するように、ゴラオン隊がこちらに向かってくるのを確認するのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1755
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1719