鏡あきらさん、ありがとうございました。
鴉が賢いというのは知っている。
それこそ日常の生活の中でもクルミを道路の上に置いて走ってきた車でそのクルミを潰して食べるといったような行為や、都会の鴉もまたかなりの賢さを持ってるといったような風に聞く事は多い。
まぁ、ホワイトスターには鴉がいないので、そこまで鴉に詳しくはないんだが。
ともあれ、一般的に考えて鴉が高い知能を持つのは知っている。
知っているが……だからといって、鴉が喋る?
それともこの世界の鴉は言葉を喋るのが一般的なのか? あるいは、しのぶが鎹鴉と言っていたのを考えると、この鎹鴉というのがこの世界特有の鴉で、高い知性を持っているのか。
そんな風に俺が人の言葉を話す鴉に驚いている間にも、その鴉の言葉は続く。
炭治郎と禰豆子を本部に連れてこいと。
それを聞き、しのぶと義勇はそれぞれ驚いた様子を見せる。
禰豆子というのは、さっきの鬼の名前だった筈だ。
だとすれば、鴉が口にした炭治郎というのはさっきの禰豆子を連れていった男の事だろう。
本部というのは、鬼殺隊の本部の事で間違いないだろう。
だとすれば、その本部にいる者……今回の命令を出した奴は、どのような手段かは分からないが、この山の状況を把握していると思ってもいい。
「追加ノ伝令、追加ノ伝令。蟲柱、水柱ト共ニイル男ヲ客人トシテ連レテ来ルヨウニ。カアアァ!」
と、鴉……鎹鴉のその言葉に、俺はそちらに視線を向ける。
しのぶは自己紹介で蟲柱とか言っていた。そして義勇は水柱だと。
つまり、その2人と一緒にいる者を客人として連れてこいと言われているのは、間違いなく俺だ。
俺だが……そうなるとやっぱりこの伝言を鴉にした奴は、やっぱりどうにかして現在のここの状況を理解しているのか?
「客人として……」
何故かしのぶはその言葉に驚き、信じられないといった視線をこちらに向けてくる。
義勇の方は、特に表情を変えずにこちらを見ていたが。
「何かおかしい事でもあるのか? 今の伝言はそんなにおかしくないと思ったけどな」
蟲柱や水柱というのが、具体的にどのような存在なのかは分からない。
いや、こうして直接指名されるという事は、鬼殺隊の中でも相応の地位にいるのは間違いないのだろうが。
だが、その相応の地位というのが具体的にどのような存在なのかが、分からない。
例えば先程の……炭治郎とかいうのが一般的な兵士的な存在だとして、柱は部隊長クラスなのか、それとももっと上の最高幹部なのか。
いやまぁ、最高幹部だとしたらこうして直接最前線に出て来るのはどうかと思うけど。
「いえ、何でもありません。その、それでどうでしょう? 私達と一緒に来てくれますか?」
結局しのぶは俺と色々話すのを諦めたのか、そう尋ねてくる。
とはいえ……さて、どうしたものか。
「お前達についていけば、色々と説明してくれるのか?」
「そうなるかと。お館様は明晰な方ですから。それに、アクセルさんも言ったでしょう? このままここで話していてもどうにもならないと。私も、蝶屋敷で怪我人の治療をしなければいけませんし」
蝶屋敷? と疑問に思ったが、怪我人の治療をするという事は、多分病院的な存在なのだろう。
さて、そうなると……どうするかだ。
しのぶの話を聞く限りでは、この山にいた鬼との戦いで結構な怪我人が出ているらしい。
そうなると、しのぶから話を聞くのは無理とは言わないが、その場合は怪我人の治療が遅れて死んでしまう可能性も否定は出来ない。
義勇から話を聞けばいいのか?
そう思ったかが、しのぶと俺が話している時の様子からすると、あまり話すのは得意じゃないようにも思える。
だが、義勇の様子を見ても何となく既に帰るように意識が向いているように思える。
仕方がない、か。
個人的にはマーベルやシーラの件もあるし、ホワイトスターに戻りたかったんだが。
まさか、こんな山の中にゲートを設置する訳にもいかないしな。
「分かった。なら、そうするか。で、その本部とやらにはどうやって移動するんだ?」
ここが大正である以上、車とかは……あるのか?
いや、確か明治時代の末期から車とかは作っていたとか……いや、作ろうとしていた、というのが正しいのか?
一応外国から輸入とかはしている筈だから、ない訳ではないだろうけど。
現在が大正4年となると、車もそこまで普及はしていないだろうし、その性能も俺が知っている車とは大きく違う筈だ。
今まで一番時代の古い世界はマブラヴ世界とかバイストン・ウェル……いや、それだと地下だけで地上は入らないな。オーラバトラー世界? うーん、いまいちしっくりこない。そうなると……そうだな。マーベルが最後まで乗っていたという事もあるし、あの世界の主人公だったショウが最初に乗ったというのも考えて、ダンバイン世界ということにしておこう。
そのダンバイン世界とかと比べても、大正4年というのは……まぁ、少なくてもPTを始めとするロボットとかに関しては、期待出来そうにないな。
代わりに血鬼術を使う鬼や、鬼を殺せるという日輪刀があるというのを考えると、技術的に全く旨みがない訳でもないが。
「走ってですよ」
「あー……うん。やっぱりそうなるか」
あっさりとしのぶが言ってきた内容に納得する。
移動手段の類がそこまで発達していない時代だけに、基本的に移動は自分の足だ。
都会までいけば、まだ多少はマシなのかもしれないが。
それにしのぶや義勇は普通の人間として比べればかなり高い……それこそ一般人にしてみれば、有り得ない程の身体能力を持っている。
鬼と戦う為に鍛えられた成果だろうが、そもそもの身体能力そのものが根本的に一般人とは違っているような……まぁ、柱とか呼ばれる幹部らしいし、その辺が関係しているのかもしれないな。
「どうしました? 行きましょう。お館様のいる本部の位置は教える事が出来ないので、途中で目隠しをして貰いますが……」
お館様と聞くと、ドレイクを思い出してしまうな。
ドレイクも、色々と運がなかった。
というか、妻は不倫してビショットを操り、娘は父親を悪しきオーラ力と決めつけ、聖戦士を1人連れて敵対していたギブン家に逃げ込み、筆頭騎士は俺に対する逆恨みで停戦交渉の場でかつての主君を殺そうとする。
そして最後は、ゴラオンのオーラノバ砲によって俺諸共に殺されようとした。
俺はヴェルビンに乗っていたので回避出来たものの、ウィル・ウィプスのブリッジにいるドレイクがその攻撃を回避出来る筈もなく、命を落とした。
ガラリアやミズルといった面々もいたので、決して誰も人材がいなかった訳ではないんだろうが。
「そうだな。俺がこことは違う世界から来たというのを証明してみせようか?」
「え? 一体何を……?」
唐突に出た俺の言葉にしのぶが不思議そうに呟き、義勇もまた俺が何をするのかといったように見ている。
いっそ、影のゲートを使って本部とやらに行ってもよかったのだが、現在の状況では本部のある場所が分からない以上、影のゲートで移動するのは難しい。
というか、血鬼術とかいう鬼の使う魔法と間違われそうだし。
そんな風に思いつつ、俺は空間倉庫からヴェルビンを出す。
「きゃあっ!」
「っ!?」
何もない場所から突然姿を現したヴェルビンの姿に、しのぶと義勇が驚きの声を発し……それだけではなく、それぞれ後方に跳躍しながら日輪刀を抜いて構える。
「安心しろ。これはオーラバトラー……と言っても通じないか。ロボット……も難しいとなると、そうだな。機械で出来た人形だ」
正確には恐獣の素材を使った生体兵器なのだが、取りあえず今はそういって誤魔化しておく。
PTやMSと違って、オーラバトラーは小さい。
このヴェルビンも、10mはない程度の大きさだ。
それでも当然ながら山に生えている木よりは大きいから、日中に出せば目立つだろう。
だが、幸いな事に今は夜だ。
ましてや、大正時代となると俺が知ってる生活と違ってかなり早く寝る者が多い。
特にこの山の周辺は田舎のように見えるし、尚更だろう。
「これで移動すれば、素早く目的地に到着出来るけど、どうする?」
「え? これに……乗るんですか? 鬼ではなく?」
「だから、機械で出来た人形だ。鬼じゃない。そうだ。これは中に人が乗って動かせるようになっている。そうだな。機械で出来た人形という表現が分かりにくいのなら、鎧のような物だと思っても構わない。空を……飛んでみたくはないか?」
大正4年というこの時代、当然飛行機というのはまだ殆ど発達していない筈だ。
飛行機の開発者として有名なライト兄弟が初の有人飛行をしたのが、確か1903年。
今が大正4年ということは、1915年で、12年前だ。
第一次世界大戦が1914年から1918年だから……ああ、今って実は第一次世界大戦の真っ最中なのか。
とはいえ、飛行機が大々的に戦争の兵器として使われ始めたのは第二次世界大戦だ。
日本の零戦とか。
第一次世界大戦でも飛行機は使われたらしいが、そこまで大々的なものではない。
「空を飛べるのですか? これが?」
「ああ。俺の世界では人型機動兵器は空を飛ぶ物が多い」
このヴェルビンはダンバイン世界から持ってきた物で、俺の世界の物ではない。
ただ、シャドウミラーの兵器はPTを主体にして基本的にテスラ・ドライブを標準装備してるので、俺の言ってる事は間違っていなかったが。
あの戦場にあったオーラマシンは全て俺の空間倉庫に入っている。
いっそ、グランガラン辺りを出してみてもいいかもしれないな。
「いえ、アクセルさんの言いたいことは分かりますが、このような存在が本部に向かえば目立ちます。本部の場所は出来る限り秘密にしておく必要があるので……」
遠慮します、と。
そう告げるしのぶの言葉に、そうかと頷いて残念に思いながらヴェルビンを空間倉庫に収納する。
取りあえずヴェルビンを見せれば、俺が異世界から来た存在であるのは間違いないと、そう理解してくれただろう。
ゲイ・ボルクの場合は宝具とはいえ槍を取り出しただけだったが、オーラバトラーは相手に与える印象が違う。
特にヴェルビンは、最強のオーラバトラーと言ってもいい。
……ショットやゼットがバイストン・ウェルに戻って、またオーラバトラーを開発するような真似をしなければ、の話だが。
ともあれそんな最強のオーラバトラーだけに、ヴェルビンが持つ迫力は圧倒的だ。
「仕方がないな。なら走って行くか。……こういう時は何らかの乗り物とかあった方がいいと思うんだが」
「そう言われても、困りましたね。今の鬼殺隊ではそのような事は難しいでしょう」
その言葉通り、困ったといった様子で呟くしのぶ。
まぁ、大正という時代だと、その辺は仕方がないのかもしれないな。
そんな風に思いつつ、俺はしのぶや義勇とその場を後にする。
白い鬼と戦った場所……つまり、俺がダンバイン世界から転移してきた場所から山を下りていくと、やがて結構な数の気配を察知した。
鬼か? とも思ったが、気配の感じからして人間なのは間違いない。
「この先に結構な数がいるけど、鬼殺隊の連中か?」
「え? ああ、はい。そうですよ。隠の方々ですね」
「……隠? 具体的にはどういう連中だ?」
「そうですね。お館様が客人として迎えるようにとの事でしたし、このくらいはいいでしょう。隠というのは、鬼殺隊の中でも非戦闘部隊の人達です。私達が戦った後の事後処理をしたり、それ以外にも様々な支援をしたりという」
「なるほど」
つまり、サポート部隊か。
しのぶは言葉にしなかったが、非戦闘員ということは情報収集であったりといったような事も任されているのだろう。
鬼殺隊の戦闘能力は、しのぶや義勇を見れば分かる。
炭治郎だったか。あの男はこの2人には及ばない様子だったが、この2人が柱とかいう鬼殺隊の中でも幹部なら、それも当然の事なのだろう。
「それよりも、アクセルさんは他の世界から来たと言ってましたが……どのような世界から来たのですが?」
しのぶがそう尋ねたのは、純粋に好奇心からのものか、それとも本部に行くまでに少しでも俺から情報を聞き出そうというのか。
……義勇は俺との会話を完全にしのぶに任せ、特に何かを言ったりする様子はない。
代わりに、索敵しながら周囲にまだ鬼がいないかどうかと注意していた。
「色々とあるな。ただ……複数の世界に行ってきたが、ここが大正となると、俺の行った世界は多数あるが、この世界が一番歴史が古い世界になる」
「歴史が古い、ですか。そうなると他の世界では鬼を相手にする戦術も確立されているのでしょうか?」
そんなしのぶの言葉に、周囲の警戒をしていた義勇がピクリと反応する。
鬼殺隊として、その辺が気になるのは当然だろう。当然だろうが……
「他の世界に、鬼はいない。いや、いる世界もあるが、ここまで大々的に人と鬼が戦っている世界はないな。……まぁ、BETAという地球外生命体に地球が滅ぼされそうになっていた世界はあったが」
「え……鬼が……いない……?」
俺の言葉に、しのぶは信じられないといった様子で呆然と呟くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730