転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3018話

 俺があまねに案内された部屋は、耀哉の部屋からそれなりに離れた場所にあった。

 この屋敷は外から見た時もそう思ったが、かなりの広さを持つらしい。

 まぁ、鬼殺隊の本部としても使われているという話だし、そのくらいは当然なのかもしれないが。

 

「では、失礼します。何かご用がありましたら……」

「そちらは私が対応しますので、あまね様はお館様の所に」

 

 しのぶの言葉に、あまねは一礼して部屋から出ていく。

 そうして、この部屋……客室には俺としのぶだけが残る事になる。

 ちなみに客室ではあるが、普通に客室と言われて思い浮かぶような洋風の部屋ではなく、あくまでも純和風の客室だ。

 ソファの類とかあれば、こういう時は便利なんだがな。

 

「それにしても、俺とあまねを2人だけでどうこうと言っていた割りに、しのぶが1人で俺と一緒にこの部屋にいるのはいいんだな」

「あら、私はこう見えても蟲柱ですよ? 本来なら、日輪刀で首を切断したり、太陽に当たらないと死なない鬼を毒で殺せるようになった、ちょっと凄い人なんです。もしアクセルさんが私に何かをしようとしたら……」

 

 ふふ、と。

 小さく笑みを浮かべるしのぶ。

 毒か。……鬼に効く毒って、リョウメンスクナノカミを吸収した俺にも実は効果があったりするのか?

 ああ、でもあくまでもしのぶが作った毒というのは、この世界の鬼に対して効果のある毒なのだろう。

 そう考えれば、異世界の……それもただの鬼ではなく、鬼神と呼ばれるリョウメンスクナノカミの頭部を吸収した俺に、しのぶの作った毒が効果があるかどうかは微妙なところだろう。

 ともあれ、そのような真似をする必要はないから構わないけど。

 

「そんな真似をしたりはしないから、安心しろ。で? 聞きたいのはエヴァの事だったか? 何をそんなに聞きたいんだ?」

「そのエヴァという方は、アクセルさんと友好的な関係ですか?」

「そうだな。友好的かどうかと言われれば、友好的だと思うぞ」

 

 これは嘘でも何でもない事実だ。

 俺のエヴァの関係は……取りあえず恋愛関係ではない。友情? というか……もっと正確に表現をするのなら、同志や戦友とかそんな話か?

 

「そう、ですか。鬼とでも友好的な関係を……」

 

 少し羨ましそうな様子を見せる。

 あれ? これってもしかして……

 

「しのぶ。お前実は……鬼と友好的な関係になりたいのか?」

「どうでしょうね」

 

 言葉を誤魔化すというよりは、自分の中の思いを自分でもよく理解出来ないといった感じか。

 

「鬼殺隊に所属して、しかも蟲柱という地位にいるのに……それはまた珍しいな」

「そうでしょうね。ですが、姉さんはそのように思っていたのです。その志を継ぐ身としては、やはり鬼と友好的な関係を築けるかどうか、試す必要があるんです。ですが……鬼というのは、人間を食料としか見ていません」

「それなら、禰豆子はどうなんだ? 山での様子を見た限りでは、炭治郎と友好的にやっていたように見えるが、しのぶはその禰豆子を殺そうとしたよな?」

「……そうですね」

 

 俺の言葉に、疲れた様子で呟くしのぶ。

 しのぶにしてみれば、あの一件はもしかしたら失敗だったかもしれないと、そう思ったのか。

 あるいは、あの山にいた鬼の仲間で、人間と友好的に接することは出来ないと思ったのか。

 

「ですが、お館様はあの鬼の少女について知っている様子でした」

「鎹鴉が連れてくるように言っていたんだし、そうなんだろうな。……ああ、そうそう。聞こうと思っていたんだが、あの鎹鴉ってのは一体何なんだ? 鬼滅世界の鴉ってのは、全部がああやって喋るのか?」

「え? いえ。喋るのは鎹鴉だけです。鬼殺隊の方で育てている鴉で、人間並に頭がいいんですよ」

「そうか」

 

 これでまた1つ、鬼滅世界で興味深い代物を見つけた。

 勿論、ホワイトスターにおいては通信機能が万全に備わっている。

 フォールド通信をベースにしてレモン達が開発した新型の通信システムが使われており、それこそ日本からアメリカとかじゃなく、月でもなく、火星や木星との間であっても……あるいはマクロス世界のように別の銀河であっても、リアルタイムで通信が出来る。

 そういう意味では、シャドウミラーにおいて鎹鴉に伝令の役目というのはないのだろうが、牧場で働いて貰ったり、ホワイトスターでマスコットキャラ的に働いて貰うというのもありだろう。

 しのぶが言うように人間並に頭がいいのなら、他の世界の鴉のように他人に迷惑を掛けたりといったような真似はしないだろうし。

 

「耀哉との取引で、欲しい物がまた1つ増えたな」

「……鎹鴉が欲しいのですか?」

「ああ。俺が知ってる限り、喋る鴉というのは珍しい。というか、多分初めて見た」

 

 ネギま世界になら、喋るオコジョ――正確にはオコジョ妖精――がいるんだから、喋る鴉がいてもおかしくはない。

 とはいえ、俺は見た事がないか。

 フェラリオは……うん、喋るけど、まさか鴉と一緒にするような真似をすれば、間違いなく怒る。

 エルは絶対に許さないといったように喚き散らかすだろうし、ベルは一緒にするなと泣くか?

 ともあれ、そんな感じである以上、俺としては鎹鴉は欲しい。

 出来れば雄雌セットで複数もらい、ホワイトスターで繁殖させたい。

 ……ただ、もし教育とかそういうのが必要な場合は、鬼殺隊から専門の技術者を招く必要もあるだろうが。

 

「幾つもの世界を旅してきたアクセルさんでも、鎹鴉は初めて見るのですか」

「そうなるな。世界によってその環境は大きく違う。中には月に国があるような世界もあるし、海と陸地の間にあの世とでも呼ぶべき場所がある世界もあるな」

「それは……また……」

 

 理解出来ない様子でしのぶは短く呟く。

 大正時代だけに、宇宙に行くといったようなことはとてもではないが考えられないのだろう。

 宇宙の観察とかそういうのはやっているだろうが、人が実際に宇宙に行くまでは、もう数十年は必要になる筈だ。

 とはいえ、それはあくまでも俺が知っている一般的な歴史だ。

 鬼がいるこの世界においては、その辺が変わるという可能性は十分にあった。

 

「しのぶにとっても驚きだろう? ああ、ちなみにシャドウミラーと交流が出来るようになれば、しのぶは回復魔法を習得出来るようになるかもしれないな。もっとも、そう簡単に魔法は習得出来ないから、相応に修行が必要になるけど」

 

 とはいえ、魔法球を使えばその辺りはどうとでもなる。

 それに魔法球の中は魔力が多く、魔法が発動しやすい。

 そういう意味では、魔法の修行をする場所としては最善の場所だったりする。

 そこまで考え、しまったと思う。

 今更……本当に今更の話だが、耀哉に魔法球について説明したのはちょっと情報公開をしすぎたか?

 いや、でもシャドウミラーと繋がっている世界であれば、当然だがネギま世界との取引もある。

 ネギま世界は、魔法が広く普及している――それでも魔法使いの数は限られているが――世界ということで、人気が高い。

 他に魔法のある世界となると、門世界、Fate世界、ペルソナ世界がそうだが、門世界は既に繋がっている門が消えて行き来出来ない。エルフがホワイトスターにいるので精霊魔法は使えるものの、それを人が使う事は出来ない。

 Fate世界は俺がサーヴァントとして召喚された世界で、凛や綾子の出身世界だが、凛が世界を渡るという魔法を半ば無理矢理使った関係で、元の世界に戻る事は出来なくなっている。

 また、Fate世界の魔法……いや、魔術か。魔術は、それこそネギま世界以上に厳重に隠蔽されており、とてもではないが習得するような真似は出来ないだろう。

 ペルソナ世界は、それこそ魔法を使うのはペルソナがあるのが大前提である以上、その世界に行く事が出来ても魔法を使うような真似は出来ない。

 結局のところ、そういう意味で一番気楽に魔法に触れられるのはネギま世界の魔法になる。

 そしてネギま世界の魔法で重要なのは、誰でも訓練をすれば一定の技量にはなるという事だ。

 一定以上の実力となれば、それこそ才能の問題になってくるが。

 

「魔法……回復魔法。ですか。それは……興味深いですね」

 

 しのぶにしてみれば、蝶屋敷という病院のような場所の責任者であり、本人も高い医療技術を持っているらしい。

 そんなしのぶだけに、回復魔法について興味を持つなという方が無理だろう。

 

「正式に国交……いや、鬼殺隊は組織だから国じゃないのか。ともあれ、正式に交流が始まれば、魔法を習得出来る可能性もあると思うぞ。耀哉の解呪をする為にも、出来れば早いところその辺をどうにかしたいんだけどな」

 

 俺が耀哉とあったのはつい先程が初めてだし、話した時間も1時間弱といった程度だ。

 にも関わらず、何故か俺は耀哉に対して強い友情を感じている。

 まぁ、耀哉が俺に悪意を抱いている様子もなく、心の底から友好的に接しているように見えるので、それは別にいいんだが。

 

「そうですか。では、柱合会議が終わったらすぐにでも蝶屋敷に戻ってゲートでしたか? それを設置する必要がありますね」

 

 しのぶがやる気を見せながら、そう呟く。

 それから俺としのぶは色々と話をする。

 とはいえ、それはあくまでもお互いの世界の常識について摺り合わせるといったようなもので、色っぽい話の類ではない。

 ……こういう会話でも、一応男女の会話と表現すれば間違ってはいないのだろうが。

 そんな風に考えながら、俺はいよいよ本題に入る。

 

「それで、鬼殺隊が使っている呼吸について詳しく教えてくれないか?」

「ええ、構いませんよ。呼吸というのは……そうですね。鍛えた心肺活動によって、高い身体能力を得るというものです。それは、私と冨岡さんが走っていたのを見れば分かりますよね?」

 

 しのぶの言葉に頷き、先を促す。

 

「身体能力を増強させる効果以外にも、呼吸にはそれぞれの呼吸によって技があります。大まかには、水、雷、炎、岩、風の5つがあり、更にそれぞれから多数の派生の呼吸があります。例えば私の呼吸は蟲の呼吸ですが、この蟲の呼吸は花の呼吸からの派生ですし、花の呼吸は水の呼吸からの派生となります」

「それはまた……派生の派生とか。かなり複雑だな。にしても炎か。炎の呼吸とかなら、俺にも使えそうな気がするな」

 

 そう言いつつも、混沌精霊である俺の身体では呼吸法は多分無理だろうというのが俺の予想だ。

 俺の身体は白炎で構成されているので、炎の呼吸とは相性がよさそうだが。

 

「呼吸というのは、誰でも習得出来るのか?」

「はい。ただし、アクセルさんから聞いた魔法と同じような感じですね。一定の技量までは誰でも習得出来るでしょうが、それ以上となると、その人の才能が関係してきます」

「つまり、俺の仲間達も呼吸を使えると」

「恐らく問題はないでしょうね。ただ、繰り返すようですが、呼吸を習得するには時間が必要となります。それに、全集中の呼吸を常に行う常中というのも、呼吸を極める上では必要になりますが……こちらはかなり厳しいですよ?」

「その辺に関しては、実際に試してみるしかないだろうな」

 

 そう言いつつも、呼吸というのに対して少しだけ不安があるのも事実だった。

 こうして呼吸の情報を集めている限り、呼吸というのはシャドウミラ-やネギま世界で言う気に近いものがあるのは事実だ。

 個人的な印象では、気の亜種といった感じか。

 それだけに、主に魔力を使っている者が呼吸を使えるようになるのか、もしくは既に気を使いこなしている面々が新たにその亜種と思しき呼吸を使えるようになるのか。

 その辺は、それこそ実際に試してみないと何とも言えないな。

 俺やエヴァといった、明らかに人外の存在となっている者達にしてみれば、呼吸を使えるようになるのは難しいと思うが。

 

「日輪刀に関しては、どんな感じなんだ? 呼吸は習得をするのに時間が掛かるらしいけど、日輪刀なら使おうと思えばすぐに使えるだろ?」

 

 ぶっちゃけ、呼吸というのはあくまでも身体能力を高める為のものというのが、現在の俺の認識だ。

 そうである以上、ぶっちゃけ気や魔力で身体能力を強化出来ているのだから、別に呼吸は覚えられなくても、問題はない。

 うん。これは混沌精霊の俺だと呼吸を覚えるのが難しいからそのように思っているという、負け惜しみの類ではない。

 

「日輪刀ですか。そうですね。呼吸を習得するよりも、鬼と戦うならそちらの方が手っ取り早いですが……アクセルさんが聞きたいのは、そのような事ではないですよね?」

「ああ。まぁ、その辺に関係があると言えばあるんだけどな。鬼……つまり再生能力を持つ相手に対し、それを防いで殺す事が出来る。この日輪刀というのは、かなり興味深い」

 

 恐らく日輪刀を作るのに必要な鉱石は、鬼滅世界特有の物資だ。

 他の世界では入手出来ない鉱石だけに、技術班とかはかなり興味深く思うだろう。

 そんな風に考えつつ、俺はしのぶと会話を続けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1730

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