結局、取引についてはお互いに妥協点が見つかり、最初は小規模に行われることになった。
こちらからは腕の立つ何人かを鬼滅世界に向かわせ、そこで呼吸を習得出来るかどうかを試す。
その代わり、シャドウミラー側から腕の立つ奴を何人か鬼滅世界に向かわせ、鬼殺隊と行動を共にする。
そして量産型Wは蝶屋敷で治療の手伝いをすることになった。
ちなみに日輪刀も取りあえずある程度の数は用意してくれるらしい。
とはいえ、日輪刀は普通の日本刀ではないだけに、製造するのは大変らしいけど。
「で、そうなると誰を鬼滅世界に行かせるかだな」
今は取りあえず休憩という事で、耀哉達鬼滅世界の面々と俺達シャドウミラー組は別の部屋で休憩をしていた。
今の状況でもかなりの情報過多だ。
それを思えば、一旦ここで休憩をした方がいいだろうと、そう考えての休憩だった。
「ムラタは行きたがるでしょうね」
レモンの口から出たその言葉は、俺を納得させるのに十分だった。
元々自分を高めることに熱心なムラタだ。
鬼との戦いにおいて、新たな何かを掴めるかもしれないと主張するのは間違いない。
他にも鬼との戦いに参加したいと思っている者は少なくない筈だった。
「後は、誰が呼吸を習得するか、だな」
「アクセルは誰がいいと思ってるの? イザーク達とかはどう?」
エザリアとしては、自分の息子のイザークに多少なりとも手柄を挙げさせたいのだろう。
とはいえ、イザークを向こうに派遣するというのは悪い話じゃない。
イザークは気を使える筈だ。
「イザークを派遣するとなると、オウカも派遣した方がいいかもしれないな」
「……そうね」
何だ? オウカの名前を出すと、エザリアが少し気が進まない様子を見せる。
「どうかしたのか? 別にエザリアはオウカを嫌っていなかっただろ?」
息子の恋人と母親の関係となると、普通に考えれば少し難しい。
しかし、エザリアとオウカの関係は俺が知る限り悪くなかった筈だ。
「いえ、エヴァにちょっとからかわれたらしくて、落ち込んでいたのよ」
「エヴァに? それはちょっと珍しいな」
エヴァがからかうのは、そこまで珍しい事ではない。
しかし、イザークがそんなエヴァの言葉で落ち込むというのは疑問だ。
「正確には、戦闘訓練で負けたのが原因でしょうけど」
「あー……なるほど。それなら有り得るな」
イザークはプライドが高い。
それでも生身での戦いとなると、イザークがエヴァに勝つのは難しい。
これでエヴァが呼吸を習得したら……いや、エヴァは魔法使いだから俺と同じく魔力を使うのか。
瞬動は魔力でも気でも使える技術だ。
それを考えれば、もしかしたら魔力で呼吸も使えるのだろうか?
「取りあえず気を使える奴、そして魔力を使える奴も何人か向かわせたいな」
「それはともかく、アクセルは随分と向こうの人と友好的なのね。アクセルの事だから、いきなり向こうと友好的になるのは予想外だったわ」
レモンのそんな言葉に、そうか? と思わないでもない。
別に俺だって別の世界の相手となれば、誰彼構わずに嫌っている訳ではない。
とはいえ、耀哉とこうも早く友好的になれたのはダンバイン世界の件……もっと具体的にはマーベルやシーラの件があったから、だろうな。
「レモン、俺は鬼滅世界の前に、ダンバイン世界という場所にいた。だが、色々とあってダンバイン世界に忘れ物をしてきたんだが、向こうに繋げる手段はないか?」
「忘れ物、ね。……さぞ美しい忘れ物だったんでしょうけど、それはともかくとして。そういう事を聞いてくるんだから、向こうの世界でゲートは使わなかった……使えなかったの?」
「使えなかった、だな。ダンバイン世界はバイストン・ウェルという世界と地上……普通の地球という2つの世界で出来ている」
実際にはバイストン・ウェルはバイストン・ウェルで幾つもの世界に別れているらしいんだが、今はそれは置いておくとして。
「それで?」
「バイストン・ウェルでゲートを設置したけど、オーラ力……呼吸とはまた違う意味で気に近い能力という認識だが、それが充満している為か、ゲートが設置出来なかった。正確には設置は出来たが、ホワイトスターとのリンクが出来なかった」
「それはまた……その辺は少し改良が必要かもしれないわね。でも、アクセルが行くのは未知の世界だし。そう考えると、そこにどんな力があるのか分からない以上、汎用性を重視しながら、出力も上げる必要があるわね」
「そうしてくれると嬉しい。ともあれ、バイストン・ウェルで色々とあって地上に出たんだが、俺達を地上に出した影響でかオーラ力が地上中に広まっていて、そこでも結局ゲートを設置出来なかった」
その一件で俺とマーベルは結ばれたのだが、レモンだけならともかく、他に何人もいるこの状況でそこまで言わなくてもいいか。
「今更だが、地上で無理なら月辺りに移動してゲートの設置を試してみてもよかったのかもしれないな」
「それは……どうかしら。多分だけど、アクセルの話を聞いている限りだと地上やバイストン・ウェルというのはしっかりと繋がってる訳ではなく、概念的な存在なんでしょう?」
「それは否定出来ないな。何しろバイストン・ウェルは陸と海の狭間にあるという事になってたんだし」
「でしょう? ならその場合、多分地上だからというだけではなく、ダンバイン世界だったかしら? その世界の全てがオーラ力によってゲートを設置出来なくなっていたと思うわ」
「……月でもか?」
「恐らくね。実際に調べた訳じゃないから、正確にそうだとは言えないけど。ただ、可能性としては十分にあると思うわ」
どうやら今更の話だが、月でも駄目だったらしい。
だとすると、ニーズヘッグで火星に転移しても恐らくは駄目だったのだろう。
実際、オーラロードを通った時は宇宙空間も見たのだから、そういう意味ではレモンの言葉は間違っていないのだろう。……多分。
結局のところ、ダンバイン世界に行けない以上、あくまでも予想でしかないのだが。
「ともあれ、そんな訳でダンバイン世界……それも地上じゃなくて、バイストン・ウェルの座標を何とか調べてくれ。向こうの世界から大量にオーラマシンを持ってきたが、その素材も恐獣という、バイストン・ウェル特有の生き物がいないと、どうにもならないからな」
「あら、アクセルから聞いた限りだと、バイストン・ウェルというのはファンタジー世界なんでしょう? なのにオーラマシンというのを作れるの? 具体的にどれがどういうのかは分からないけど」
「耀哉との交渉が終わったら見せるよ。生体兵器に近い特性を持つ」
その言葉にレモンが興味深そうな様子を見せる。
レモンの性格を考えれば、それは分からないでもない。
何しろ今まで俺達が手に入れた人型機動兵器は、基本的にロボット系だ。
そこにいきなり生体兵器型がやってきたのだから、それを気にするなという方が無理だった。
「生体兵器、ね。それは政治班としてもそれなりに大きいわね」
「ええ。今までと全く違う兵器となると、十分にカードとなります」
「……私が触ったら壊れそうね」
エザリアとレモンが話している横で、凛がしみじみといった様子で呟く。
凛にしてみれば、機械は天敵だ。
生体兵器のオーラバトラーを機械と表現してもいいのかどうかは、俺にも分からないが。
ともあれ、そんな風に話をしているとUC世界についての話となる。
「取りあえずルナ・ジオンは無事よ。新型の主力機も決まったし」
「主力機? 結局何になったんだ?」
何だかんだと、俺とUC世界の縁は深い。
というか、ルナ・ジオンを建国する為に必要な諸々は殆どがシャドウミラーからの持ち出しとなっている。
そうである以上、ルナ・ジオンで一体どういうMSが主力機になったのかといったことは気になる。
……政治班の面々も、持ち出しが多々ある以上、ルナ・ジオンには失敗して貰っては困るので、UC世界には注視していた。
とはいえ、主力機については既に知っているのか、俺のように食いついたりはしなかったが。
「エース級のパイロットが乗る機体が、ギャン・クリーガー。そして一般の兵士が乗る機体がガルバルディβね。勿論、それ以外にもMAとかが結構いるみたいだけど」
「ギャン・クリーガーと、ガルバルディβか」
ギャン系のMSは、ルナ・ジオン軍でも1年戦争時に使われていた。
とはいえ、量産するのではなくエース機兼データ収集用としてだったが。
ギャン・クリーガーという名前からして、ギャン系のMSなのは間違いないだろう。
ギャン系のMSは癖が強い。
それこそグフ系のMSと同様に、使いこなせるパイロットが乗ればかなりの強さを発揮するが、乗りこなせないパイロットにしてみれば攻撃を受けても死ぬだけだ。
それに比べると、ガルバルディβは……ペズンで開発されていたガルバルディの改修機といったところだろう。
「そうなると、ヅダはどうなったんだ?」
高機動型ギャンと違い、1年戦争におけるルナ・ジオンの主力MSは、ヅダだった。
ザクがジオン軍の、ジムが連邦軍の象徴だというのなら、ヅダはルナ・ジオンの象徴と言っても間違いではないだろう。
それだけに、ヅダの後継機ではなくギャン・クリーガーやガルバルディβを主力MSにしたというのは、少し驚きだった。
高性能機に乗っていた俺が言うのも何だが、ヅダは客観的に見てかなり優秀なMSだ。
開発当初にあった問題……ザクとのコンペで空中分解したのとかは、機体の構成を徹底的に見直した上で解決している。
それだけではなく、装備を換装する事で高い汎用性も持っている。
そう考えると、ヅダはいいMSなんだとしみじみと思う。
「別にヅダを捨てる訳じゃないわよ。近代化改修……全天周囲モニタとリニアシートにしてから、二線級の部隊だったり、操縦訓練用の機体だったりと、それ以外にも色々と使い道があるもの」
二線級の部隊はともかく、操縦訓練は……どうなんだろうな。
ヅダは高性能MSだが、癖の強いMSでもある。
そのヅダで操縦訓練をするのは、パイロットに変な癖が……いやまぁ、その辺は向こうでも色々と考えてる筈だ。
青い巨星、黒い三連星、宇宙の蜉蝣……他にも多数の精鋭パイロットがいるんだし。
「それならいいけどな。とはいえ、今のUC世界はまだ戦後だ。ルナ・ジオンの実力を考えれば、妙な真似を仕掛けて来るような相手はいないと思うが、何かあった時の為に注意は必要だろう」
「そうね。連邦軍の中には強硬派が増えてきてるって話だし」
「また出て来たのか」
1年戦争中に、連邦軍の強硬派はその多くが死んでいる。
にも関わらず、戦争の中でも連邦軍が有利になったかと思えば強硬派が増えてきたりするんだよな。
厄介極まりない。
とはいえ、連邦軍にも連邦政府にも地球に住むのがエリートで、スペースノイドが自分達に逆らうのが間違いだと考えている者は結構いる。
それを考えれば、連邦軍や連邦政府がルナ・ジオンに妙なちょっかいを掛けてこないとも限らないだろう。
「その辺はしょうがないわよ。それにゴップだったかしら? あの人がいる限り、連邦軍に妙な真似はさせないと思うわ」
レモンのゴップに対する評価がかなり高いな。
実際にゴップがかなり有能な人物なのは間違いない。
そういう意味では、レモンの言葉も間違っている訳ではないのだ。
「ジオン軍の残党はどうなっている?」
ジオン共和国は、現在ガルマが纏めている筈だ。
だが、ガルマに従うのを拒否した者達はゲリラとして宇宙や地上で活動している筈だった。
デラーズやキシリアなんかは、その筆頭だろう。
……そして、肝心のシャアも現在はどこにいるのかまだ分かっていないらしい。
セイラにしてみれば、俺と接触した時に見た小惑星を地球に落とすという光景を実現させない為にも、何とかシャアの行方を突き止めたいと思っている筈だった。
「結構な被害が出ているわね。ただ、ゲリラもルナ・ジオンに対しては攻撃してる様子はないわ」
「ゲリラ達もルナ・ジオンに攻撃をした場合、ただではすまないと理解してるんだろうな」
ルナ・ジオンは、ジオン軍――正確にはジオン共和国軍――や連邦軍にはない、無人機が存在する。
メギロートやバッタといった無人機は、それこそ疲れたりといったような事がないので、延々と敵を追うといったような真似も出来る。
これで無人機の数が1機や2機といった程度なら、攻撃を集中したり、罠を張ったりといったような真似をして対処する事も可能だろう。
だが、無人機の数は1機や2機どころか、数十、数百……シャドウミラーがその気になれば、数千、数万といった数を運用する事も可能となる。
それだけに、ルナ・ジオン所属機に向かって攻撃をするというのは、苦労が多いだけで利益はかなり小さい。
ゲリラ達も生活物資や軍需物資の類が欲しくてそのような真似をしている以上、ルナ・ジオンにちょっかいを出すのは百害あって一利なしと判断したのだろう。
そう考えつつ、俺がいない間の出来事を色々と聞くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730