休憩が終わり、再び交渉が再開される。
とはいえ、交渉の有利不利を考えると、どうしてもこっちの方が圧倒的に有利なのだが。
そんな中でも、耀哉は少しでも自分達が有利になるようにと頑張っている。
俺にしてみれば、レオンやエザリアといった面々を相手によくやってると思うんだが。
そんな風に考えていると、不意に会議室の扉が開く。
柱の面々は、即座に耀哉やあまねを守れるように動くものの、正直なところ今の状況でそこまでする必要はないんだが。
事実、扉が開いて姿を現したのは俺にとっても顔見知りの人物だった。
「アクセル、鬼と戦えるというのは本当か」
そう言いながら会議室に入ってきたのは、ムラタ。
迫力のある顔つきをしており、外見の威圧感という点では実弥と同じくらいに激しい。
……そう言われても、本人はとてもではないが喜んではいないのだろうが。
「ムラタ、今は客人との交渉中だぞ」
「む、すまんな。鬼と戦えるかもしれないという話を聞いて、猛ってしまったらしい」
そう言い、ムラタは頭を下げる。
強面のムラタが素直に頭を下げるというその光景は、見ている者にしてみればどこかコミカルな印象すら受けてしまう。
とはいえ、今この状況では何を言っても意味はないのかもしれないが。
「アクセル王、彼は?」
「ムラタだ。見ての通り……というのはちょっと分からないか。シャドウミラーの中でも武闘派の1人で、生身でもかなりの強さを持つ。鬼殺隊に人を送り込むとすれば、その中に入る者の1人なのは間違いないな」
「ほう」
俺の言葉に納得したのか、耀哉はムラタの方を見る。
実際には目の見えない耀哉である以上、ムラタではなくムラタのいる辺りを見る、というのが正しいのだろうが。
「行冥、彼はどうだい?」
「強いですな。このように強い者が来てくれるのなら、嬉しい限り」
そう言い、何故か涙を流す行冥。
嬉し涙か?
ムラタは自分と同じくらいの大きさの男……それも見るからに筋骨隆々の男がいきなり泣き出したのを見て、戸惑った様子を見せていた。
「アクセル、これは一体……?」
ムラタにしては珍しく、恐る恐るといった様子で俺に近付いてきて、そう尋ねてくる。
「気にするな。行冥……あの男は涙を流しやすいんだよ」
柱合会議に俺が参加している時のやり取りでも、何度か泣いているところを見たし。
……こうしてホワイトスターに戻ってきたのを考えると、何だか柱合会議が随分と前の事のような気がするな。
というか、何気に俺がダンバイン世界から鬼滅世界に転移したのって今日なんだよな。夜中だったけど。
それはつまり、ドレイク軍やゴラオン隊、ハイパービルバインとなったショウ……といった面々との戦いが終わったその日な訳で……色々と、本当に色々と思うところはあるな。
「涙を? ……まぁ、いい。それでアクセル。俺がその鬼と戦う事は出来るのか?」
「出来るか出来ないかは、政治班との交渉次第だな」
そう言うと、ムラタは政治班に……具体的には耀哉と交渉しているレオンに視線を向ける。
そんなムラタの視線を受け、不満そうにするレオン。
レオンにしてみれば、戦力を出すといったような事になっても主導権はシャドウミラー側で握りたかったのだろう。
だが、ムラタの様子を見れば鬼滅世界に行きたいといったような雰囲気を出している。
それを思えば、レオンは戦力を派遣するのではなく、戦力となるような人物を受け入れて欲しいと、そのような形になってしまうのだ。
つまり、主導権を持ってるのはレオンではなく耀哉となる。
耀哉も今のムラタの言葉でそれを理解したのだろう。笑みを浮かべて、レオンと再び交渉を始める。
「それで、ムラタはどこから話を聞いてきたんだ? ムラタにしてみれば、随分と情報が早かったようだが」
これでやって来たのがムウとかなら、まだ話も分かる。
ムウは人と接する能力……いわゆるコミュ力と呼ばれる能力が高く、相手の懐にあっさりと入るのだから。
そういう訳で、多くの人と親しい以上、情報が早いのは分かる。
しかし、ムラタは違う。
俺と出会った当初と違って、それなりに落ち着きはしたものの、それでも決して人当たりのいい性格といった訳ではないのだ。
それだけに、ムラタがそんな情報をどこから聞いたのかと思ったのだが……
「技術班の奴が話していたぞ」
「ああ、なるほど」
その技術班がどういう奴なのかは、すぐに思い浮かんだ。
俺達が転移区画に転移してきた時、いた奴だろう。
一応バスの用意を頼み、念の為にコバッタ数機を鬼滅世界のゲートの周辺に用意して置いてくれといったような事を頼んだんだが……どうやらその仕事はあっさりと終わったらしい。
考えてみれば、その程度のことは技術班なら……いや、技術班ではなくても容易に出来る仕事ではある。
「それで、鬼を斬らせて貰えるのか?」
「……レオン」
期待の込めた視線を向けられた俺は、溜息と共にレオンに視線を向ける。
レオンはそんな俺の言葉に、仕方がないといった様子で頷く。
「こちらから送る戦力の一人はムラタに決まりですね」
「うむ」
レオンの言葉に満足そうに頷くムラタ。
そんなムラタに対し、レオンは首を横に振る。
武人のムラタと政治家のレオン。
この2人の相性は決してよくはない。
「そういうことになりますが、耀哉さんはどう思います?」
「そうですね。……行冥、そのムラタという人物はどのくらいの強さを持つのか分かるかい?」
「最低でも柱級かと。私もまだまだ修行が足りません」
そう言いながら、悔しげに涙を流す行冥。
とはいえ鬼滅世界とシャドウミラーでは強くなる下地が違う。
ぶっちゃけた話、シャドウミラーに来たばかりの頃のムラタであれば、柱を相手に勝つといった事は不可能だっただろう。
しかし、今のムラタは違う。
エヴァとの訓練を嬉々として行い、気を使いこなし、神鳴流もそれなりに身に着けているのだ。
そういう意味では、シャドウミラーに来て強くなるといったムラタの目的は完全に達成されているのは間違いない。
とはいえ、ムラタにしてみれば今よりももっと強くなるのを目的にしており、そういう意味では鬼との戦いが楽しみなのだろう。
とはいえ……十二鬼月という、鬼にとっての柱的な存在1人でも、そこまで強いとは思わなかった。
勿論、俺と戦う前に炭治郎と戦っており、ダメージが蓄積していたというのもあるのだろうが。
そんな訳で、鬼との戦いがムラタの欲するものであるのかどうかは……正直微妙だろう。
それなら鬼と戦わず、ネギま世界に行って拳闘士として戦った方がより充実した戦いになると思うんだが。
「鬼、ですか。そうなるとやはり神鳴流をもう1人送った方がいいのかもしれませんが……どうです?」
レオンが尋ねたのは、刹那。
言うまでもなく、現在シャドウミラーの中で最も神鳴流の剣士として強力な力を持つ者だ。
だが、そんなレオンの言葉に対し、刹那は当然のように首を横に振る。
「私はこのちゃんの護衛がありますので」
刹那にしてみれば、木乃香と一緒にいるのが一番大事なのだろう。
そして木乃香がここにいるのは、鬼滅世界に向かうのではなく耀哉の呪いを解呪出来ないかどうか試す為だ。
「レオン、ペルソナ世界の者達はどうだ?」
ペルソナ世界からは、現在何人かがホワイトスターに通ってきてる。
それはペルソナ能力の解明の為というのが大きいが、向こうにはそれなりに報酬を支払っているので、問題はない。
また、ゆかりや千鶴といった面々は……うーん、どうだろうな。
ゆかりは俺が頼めば鬼滅世界に来てくれるかもしれないが、別に本人が好戦的といった訳ではない。気は短いが。
美鶴は……大正時代で人が鬼に喰い殺されているといったような話を聞けば、もしかしたら参加するかもしれないな。シャドウワーカーの方もあるから絶対にとは言わないが。
「そうですね。打診してみましょうか」
「失礼、そのペルソナというのは?」
耀哉の質問に答えたのは、俺だ。
「ペルソナ世界という世界の住人で、ペルソナという特殊な能力を持つ。……刈り取る者を見ただろう? あの刈り取る者がいた世界で戦っていた者達だ」
ざわり、と。
俺の言葉に柱達がざわめく。
耀哉は目が見えず、本人も戦闘能力がないので、刈り取る者の異様な雰囲気は察することが出来ても、具体的にどのくらいの実力なのかは分からない。
しかし、柱達は数え切れない程の鬼と戦ってきたんだ。
そうである以上、当然ながら刈り取る者の強さはしっかりと理解していた。
だからこそ、刈り取る者がいた世界の出身者と聞き、具体的にどれくらいの実力者なのかと思ったのだろう。
とはいえ、刈り取る者はペルソナ世界でも例外的な存在だ。
刈り取る者と戦っていたのは、実は俺だけだったし。
とはいえ、あの戦いを繰り広げた面々だけに、今なら刈り取る者と戦ってもそれなりに戦えるかもしれないな。
「そしてペルソナというのは……そうだな、お前達に分かりやすく説明するとなると、守護霊を呼び出して戦うといった感じか」
もう1つの自分とか、そういう風に説明しても分かりにくいだろう。
だからこそ、そう言い換える。
そんな俺の言葉が正しかったのは、柱達が納得した様子をみせたので明らかだ。
「後は……ネギま世界からも何人か連れて行きたいところだな。明日菜は……戦力としては有能だけど、殺す殺されるとなるとな。それに何だかんだと忙しいし」
ステラを部下にして、ホワイトスターの雑用……何でも屋とでも呼ぶべき状況になっている明日菜だが、その高い身体能力からかなり忙しいらしい。
それだけに、明日菜を鬼滅世界に連れていくのは難しい。
咸卦法を使える明日菜なら、十分戦力になるのだが。
「千鶴、あやか、お前達はどうだ?」
「アクセル君が言うなら構わないけど……でも、私とあやかが抜けると、政治班は一気に忙しくなるわよ」
「そうですわね、元々この人数で政治班を回してるのがそもそも例外なのですもの。そうである以上、やはり私達は止めた方がいいですわ。円と美砂の2人はどうです?」
円と美砂か。
実際、あの2人は特に忙しい仕事もない。
一応実働班だが、基本的には戦艦のブリッジ要員とか、そんな感じだし。
また、円と美砂の2人はネギま世界で拳闘士としても活動していた……いる、か? とにかくそんな感じなので、戦闘の忌避感もそんなにはない。
とはいえ、殺す殺されといった事になった場合はどうなるのかは、まだちょっと分からないが。
「そうだな。ならあの2人には今夜話してみるか。後は、凛と綾子の2人は?」
こっちの2人は、それこそ魔術師……いや、世界を越えたんだし魔法使いか。魔法使いと半サーヴァントで、Fate世界にいた頃から死ぬ死なないといったような戦いは何度も繰り返してきているらしい。
そう考えると、あの2人は鬼滅世界向きだろう。
綾子には出来れば物干し竿と同じ長さの日輪刀を用意してやりたいところだが。
「こうして考えると、向こうに行く候補はかなりいるのね」
レモンが感心したように呟く。
実際、その言葉に決して嘘はない。
基本的にシャドウミラーの戦いというのは、PTのような人型機動兵器を使っての戦いというのが普通だ。
生身での戦いは……俺がネギま世界やペルソナ世界に転移するといったような事があった場合が大半だ。
門世界でも相手は生身での戦いだったが、シャドウミラーの戦力はPTとかだったし。
そう考えれば、これは初のシャドウミラーが生身での戦いに全面的に参加するという事になるんじゃないか?
「そうだな。先遣隊は少数だが、後々は希望する者全員が出撃するようにした方がいいのかもしれないな」
俺のその言葉に、レモンが頷く。
そして……レオンや他の面々もまた、俺の言葉に異を唱える様子はない。
耀哉はそんな俺の言葉を聞くと、感謝の視線を向けてくる。
「それと、ゲートの護衛に関してですが、その戦力はこちらで用意するということでいいのですよね?」
レオンのその言葉に耀哉は頷く。
「ええ、それで問題ありません。本来ならこちらから護衛の戦力を派遣するのが最善なのでしょうが……それはそれで難しいですしね」
ゲートの優位性を知れば、鬼殺隊の中でも妙な考えを抱く者がいる可能性は否定出来ない。
であれば、やはりここはコバッタや量産型Wのような面々を護衛にするのが最善の結果だろう。
とはいえ、今も何気にコバッタはもう送り込んでいるのだが。
「後は、呼吸や日輪刀についてですね。そちらはどうです? こちらが知りたいと思えば、すぐに習得したり、譲って貰ったりといったような事は出来るのでしょうか?」
「それは難しいですね。呼吸は本来なら数年単位の修行が必要ですし、日輪刀も……材料となる鉱石の問題で、数本ならともかく大量にというのは難しいかと」
「では、まずは日輪刀を数本用意して下さい。それ以外については、これから条件を詰めていきましょう」
レオンの言葉に耀哉は頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730