転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3036話

 リョウメンスクナノカミを吸収したと言われ、驚く耀哉。

 柱の何人かは、その言葉の意味をしっかりと理解出来てはいなかったが、それでも耀哉が驚いているというので、何か異様な事態なのだろうだというのを理解し、俺を見ていた。

 

「で、その後はそこのエヴァから闇の魔法というのを習って……詳しい内容は省略するが、結果として俺はその闇の魔法が暴走した結果人間ではなく混沌精霊となった訳だ。耀哉達に分かりやすく表現すると、妖怪の一種か?」

 

 大正時代の人間に精霊と言っても、その言葉が通じるかどうかは分からない。

 だからこそ、精霊ではなく妖怪という表現しておく。

 

「妖怪……アクセルさんが?」

 

 しのぶが俺を見て、訝しげに呟く。

 今の俺の外見は、それこそ普通の人間にしか見えないのだからしょうがない。

 

「ああ。取りあえず鬼滅世界の鬼とは違って、人を食いたいとかは思わないから安心しろ。普通に料理とかを食べるといったような感じだ」

 

 実際には料理は食べなくても、それはそれで問題ないのだが。

 ただ、その辺は人間であった時の様子を残しているので、今でも普通に料理を食べている。

 食べた料理は俺の腹の中で即座に魔力として吸収されるので、意味がない訳でもないしな。

 

「まぁ、そんな感じだな。シャドウミラーには他にも人間以外の種族がいたりするけど、基本的には問題がないから安心してもいいぞ」

 

 門世界のオーガとかがいればその辺も問題になるかもしれないが、今はそんな者達はいないしな。

 

「さて、取りあえずエヴァとの面会も果たしたし、エヴァが敵対するような相手ではないというのは分かったな?」

 

 これ以上混沌精霊の事について話すと面倒な事になりそうな気がしたので、話を強引に変える。

 

「これでエヴァを攻撃したりとか、そういう真似はしないよな?」

「ああ、約束しよう。私からも鬼殺隊の面々には言っておくよ」

 

 耀哉の言葉に、そうかと頷く。

 とはいえ、エヴァは鬼滅世界の鬼とは違うのだから、日輪刀で首を斬っても殺せるとは限らないのだが。

 そうして一連の行動が収まると、そろそろ耀哉達は鬼滅世界に戻るかといったような話になる。

 耀哉の身体の調子を思えば、鬼滅世界よりはホワイトスターにいた方がいいのは間違いないのだが、だからといって鬼殺隊を率いる耀哉が鬼滅世界にいないというのは不味い。

 

「いっそ、耀哉の部屋に通信機を置いて、耀哉はホワイトスターで療養しながら鬼殺隊に指示を出すといったような真似をしてもいいと思うんだが、その辺はどうなんだ?」

 

 そう尋ねると、耀哉以外の全員が俺の意見に賛成するかのように頷く。

 あまねにしてみれば、自分の夫が。

 柱達にしてみれば、深い忠誠心を抱く相手が身体の体調がいいに越した事はないのだから。

 

「そうです、お館様! 仕事に多少の問題が起きようと、我等が何とかします! だから、お館様にはこの地でゆっくり静養して貰いたいですな!」

 

 杏寿郎のその言葉こそが、他の全員の意思を示していたのだろう。

 だが……そんな中でも、耀哉は首を横に振る。

 

「杏寿郎や皆の気持ちは嬉しい。しかし、今はそのような真似が出来ない。今、私達はシャドウミラーという、非常に頼りになる仲間を得た。そうである以上、そのシャドウミラーが私達と行動を共にする際、その実力を正確に発揮出来るようにしておくのは、当然だろう? それに……アクセルの存在によって、鬼舞辻無惨も新たな行動をしてこないとも限らない。そのような諸々を考えると、やはり私は鬼滅世界にいた方がいい」

 

 そう断言する耀哉は、言葉こそ柔らかいものの、強い覚悟があった。

 今ここで何を言っても、恐らく耀哉は聞く事がないだろう。

 そう判断し……杏寿郎や他の者達も耀哉をこの場に残すのは無理だと判断するのだった。

 

 

 

 

 

「ぐ……やはりこうなるのか。きついね」

 

 ゲートを使って鬼滅世界に戻ってきた瞬間、耀哉の体調は明らかに悪くなった。

 それこそ、ホワイトスターにいた時は元気だったので、その落差からよけいに厳しく思えてしまう。

 

『お館様!』

 

 体勢を崩した耀哉をあまねが支えると、柱の面々は同時に耀哉の名前を呼ぶ。

 そんな柱達に対し、自分は何も問題はないといった様子を見せ……そして、耀哉はこちらに視線を向けてくる。

 

「アクセル、今日は色々と……本当に色々と大きな出来事があったよ。これも君がこの世界に来てくれたからだ。その事に対し、私は一体どれだけ大きな感謝をすればいいのか、全く分からない」

「別にそこまで気にする必要もないだろ。この鬼滅世界は俺達にとっても興味深い技術や素材が多数ある。そう考えれば、俺達が行うのは単純な取引だ」

「ふふっ、取引かい? 私達にとって随分と有利な取引のような気もするけど……まぁ、いいさ。アクセルがそう言うのであれば、私もそれに乗るとしよう」

「それでお前の気が楽になるのなら、そうしておけ。とにかく、お前はいつまでもそのままだと危険なのは分かってるだろう? 出来るだけ早く時間を作って解呪や治療に専念した方がいい」

 

 今は忙しくてその時間がないというのが、耀哉の意見だ。

 だが、正直なところを言わせて貰えば、多少不利になるのを承知の上でもここは先に治療をした方がいいというのが、俺の意見だった。

 いや、それは俺だけではなく、他の面々も同様だ。

 しかし、耀哉はそれを許容しない。

 

「分かってるよ。しかし、昨夜の一件やアクセル達シャドウミラーの一件、それに……人を食わない鬼、禰豆子。他にも多数やるべき事、考えるべき事がある以上、私もそう簡単にゆっくりする訳にはいかないんだよ」

 

 そんな耀哉の様子に、俺は何も言えなくなる。

 耀哉は自分の状態を分かった上で、それでもこうしてまだ治療をしないと決めているのだと理解したのだから。

 鬼殺隊全体の事を考えれば、可能な限り早く治療をした方が確実だというのに。

 

「そうか。耀哉がそう言うのなら、俺からはこれ以上何も言わない。ただし、お前の事を心配してる奴がいるってのは忘れるなよ」

 

 そう告げ、俺はゲートにいるコバッタや、いつの間にか追加されていた量産型Wに頼んでホワイトスターに戻るのだった。

 

 

 

 

 

『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!』

 

 技術班の多くの者達が雄叫びを上げる。

 その視線の先にあるのは、オーラマシンの数々。

 オーラバトルシップは巨大すぎるので空間倉庫に入っているままだが、それ以外のオーラシップも含めて全てがそこにはあった。

 

「これがオーラバトラー……正確には、総称してオーラマシンだな。俺が鬼滅世界の1つ前の世界にいたダンバイン世界で使われていた人型機動兵器だ」

 

 そう言い、オーラマシンについて説明していく。

 技術班の面々が強く喜んだのは、やはりオーラマシンが科学で作られたいわゆるロボットではなく、恐獣の素材が使われている、一種の生体兵器に近いといったところだ。

 ……ちなみに、本当にちなみにだが、喜んでいる技術者の中には鬼滅世界の面々を案内している時にセシルによって虚空瞬動中に叩き落とされたロイドの姿もあった。

 そしてロイドの隣には、叩き落としたセシル本人もいる。

 ロイドのように奇声を上げてはいないものの、それでもセシルの目も興味深そうにオーラマシンを見ていた。

 

「さて、俺の説明を聞いて分かったと思うが、サーバイン、ズワウス、ヴェルビンの3機種だけは、オーラコンバータではなくマジックコンバータという、魔力を使って動く代物となっている。他はオーラ力……恐らく気の類で動けると思うから、色々と試してくれ。これがシャドウミラーの技術に役立つかどうかは、正直なところ微妙だが」

「アクセル代表、ヨルムンガンドというのには機械の館っていう、一種の部品製造工場があるんですよね? それはまだ見せて貰えないんですか?」

「見せてもいいけど、まずはオーラバトラーを含めたオーラマシンの特性を掴む方が先だろ。とはいえ、我慢出来ない者も多いか。なら、明日だ。明日ヨルムンガンドを出すから、お前達は今日だけでオーラバトラーの調査をある程度は進めておけ」

 

 普通なら、そのような事を言われれば嫌そうな表情を浮かべる者も多い。

 もし書類仕事に関して似たような事を言った場合は、間違いなくそのような感じになっただろう。

 だが……今回は、書類仕事ではなくオーラバトラーの解析だ。

 技術班の面々にとって、未知の兵器の解析というのは寧ろ進んでやるべき事だった。

 事実、技術班の面々は俺が空間倉庫から出したオーラバトラーに向かって群がっているのだから。

 中には瞬動を使って自分の興味を持った機体に向かう者もいる。

 ……ただ、少しだけ予想外だったのは、俺の使っていたサーバイン、ズワウス、ヴェルビンといった機体に向かう者が少なかった事か。

 

「俺の使っていた機体は魅力がないのか?」

「逆よ」

 

 そう俺に言ってきたのは、レモン……ではなく、マリュー。

 レモンはそんなマリューの隣で頷いていた。

 

「逆?」

「ええ。アクセルの乗っていた機体となると、当然だけど普通じゃないでしょ? マジックコンバータというのが使われてるらしいし」

「まぁ、それはそうだな」

 

 マリューの言葉に素直に頷く。

 

「何しろ俺がオーラコンバータを使うと、俺の魔力に耐えきれずにオーラコンバータが壊れるからな。俺だから問題なかったが、コックピットが燃えるというのは……」

「うん、そういう事だと思ったわ。とにかく、アクセルの機体は色々と危険なのよ。だからこそ、まずはオーラバトラーの基本について勉強をするつもりになったんでしょうね。そしてオーラバトラーの基本を知ったら、そこからはアクセルの機体を解析するんだと思うわ」

「そういうものか? 俺の知ってる技術班の面々なら、それこそ真っ先に俺の乗っていた機体に向かいそうだけど」

「オーラバトラーじゃなければ、そうしたかもしれないわね。オーラバトラーは半生体兵器とでも呼ぶべき機体でしょう? だからこそ、普段の機体のような真似は出来ないのよ。……正直なところ、私もアクセルの乗っている機体に興味があるけど、もしやれと言われれば、最初はやっぱり普通の機体を調べるでしょうね」

 

 そういうマリューの目は、探究心に満ちていた。

 何だかんだと、やっぱりマリューも技術班の一員といったところなのだろう。

 

「そんなマリューやレモンには悪いが……これを見てくれ」

 

 そう言い、俺は恐獣の死体を何匹か取り出す。

 

「へぇ」

「これは……」

 

 初めて見る恐獣に、興味深そうな様子を見せる2人。

 

「これは恐獣。バイストン・ウェルに棲息する動物の一種だな。この恐獣の素材を使って、オーラバトラーの部品になってるんだが、バイストン・ウェルと行き来が出来ない以上、現在俺の持っている部品がなくなれば、補修出来なくなる」

 

 幸いにも、シーラのおかげでオーラシップやオーラバトルシップの類が軒並み空間倉庫に収納されたので、予備パーツの類も探せば結構な量があるだろう。

 だが、結構な量があろうと、それは当然のように有限となる。

 だからこそどうにかしてオーラバトラーの予備部品を確保する必要があった。

 

「この恐獣のクローンとか、そういうのを作るのは可能か?」

 

 レモンはそんな俺の問いに、少し迷ってから口を開く。

 

「実際に試してみないと分からないわね」

 

 レモンの口から出たにしては、少し意外な言葉だった。

 てっきり問題ないと言われるのだろうと、そう思っていた為だ。

 

「意外だな」

「あのね、アクセルが何を考えてそんな風に言ってるのかは分かるけど、私だって何でも出来る訳じゃないのよ?」

 

 呆れた様子でそう告げられるも、正直なところレモンならお世辞でも何でもなく、大抵の事はこなせるように思うんだよな。

 それこそ、場合によっては死者蘇生とか、そういう真似をしてもレモンの技術力だからと言われれば、不思議と納得してしまいかねないところがあるのは事実だ。

 

「とにかく、まずはクローンを作れるかどうか、そこから調べる必要があるわ。これがバイストン・ウェルじゃなくて、地球にいた動物とかなら、遺伝子とかを調べるのも難しくはないでしょうけど。でも、これはバイストン・ウェルにいた生き物でしょう?」

 

 だからこそ、地球の生き物と同じような遺伝子を持っているとは限らず、レモンの知識でも簡単にクローンを作るといったような真似は難しいらしい。

 

「そうなると、まずは調べるところからか。恐獣は結構な種類がいるけど、どうする? 全部出せばいいのか?」

「いえ、死体なんでしょう? なら、下手に出しておけば死体が傷むわ。なら、時間が経過しないアクセルの空間倉庫に収納しておいた方がいいわ」

 

 レモンがそう言うのなら、取りあえずそうしておいた方がいいのだろう。

 

「分かった。なら、取りあえずこの一匹だけは出しておくか」

「別に一匹丸々はいらないわよ。肉片が一つでもあれば、それで十分だから」

 

 そんなレモンの言葉に、俺は恐獣の身体を軽く切り裂いてその肉片を渡すのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1730

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