耀哉に俺が宇宙に行くという話をしてから、数日。
今日は宇宙に行く日……ではなく、コバッタと量産型Wが蝶屋敷に派遣される日だ。
当初は量産型Wだけの予定だったのだが、コバッタを派遣したのは……ぶっちゃけると、シャドウミラー側の理由だ。
量産型Wだけではなく、コバッタが鬼滅世界での治療活動で上手く動けるのかどうか。
そのような話題が出たので、コバッタも派遣する事になったのだ。
これがコバッタの出身世界――という表現が相応しいのかどうかは分からないが――のナデシコ世界であったり、そこまでではなくても科学技術が発展している世界ならともかく、鬼滅世界のように大正時代でもコバッタが普通に動けるのかどうか。
現在ゲートの警備としてコバッタが配備されているが、それはあくまでもゲートの側だ。
そうである以上、蝶屋敷で普通に働けるかどうかを確認するのは大きな意味を持つ。
現在鬼殺隊のフォロー要員として、コバッタが貸し出されるといったような事で政治班と鬼滅世界の間で交渉が行われているものの、今回の一件はそれにも影響を与えるような事になるだろう。
上手くいけば、貸し出しされるのが早くなるかもしれない。
だが、コバッタがしっかりと働けなかった場合、色々と調整が必要になる可能性もある。
俺は大丈夫だと思うんだが。
なお、コバッタを貸し出すのは当然ながら人のいない場所で活動する場合に限る。
街中でコバッタを使うと、もの凄く目立つし。
……ちなみに、本当にちなみにの話だが、人のいない場所での運用ということであれば、実はオーラバトラーの貸し出しも検討されているらしい。
勿論、その場合に貸し出すのは一番数の多いダーナ・オシーになるだろうが。
鬼滅世界で使うのなら、実はオーラバトラーよりも小さいKMFの方がいいんだが、これは操縦方法の違いが影響している。
勿論鬼殺隊の面々もしっかりと訓練をすればKMFを乗れるようになるかもしれないが……ただ、KMFは小さいが空を飛べないという欠点がある。
ああ、勿論最初から空を飛べるようになっているKMFとかなら話は別だが。
そんなKMFと比べると、オーラバトラーは標準で空を飛べる。
操縦方法も、しのぶがあっさりとダーナ・オシーを操縦してみせたように、呼吸を使える者ならそれなり以上に操縦出来る可能性が高い。
まだはっきりとは分からないが、もし鬼殺隊に所属する中で戦力的に弱い者がダーナ・オシーを操縦出来た場合、鬼殺隊の戦力は大きく上がる。
……とはいえ、オーラバトラーは日輪刀を持っている訳ではないので、実際に鬼を殺すのは日輪刀を持つ生身の者か、あるいはオーラバトラーであっても使えるように、日輪刀の技術を使ってオーラソードを作るか。
ただし、当然ながらオーラソードを日輪刀にするというのは、普通に日輪刀を作るよりも何倍、もしくは何十倍もの鉱石が必要となる。
それ以外にも、日輪刀を作る鍛冶師達がオーラソードくらいの大きさの日輪刀を作れるかといった問題もあるだろう。
とはいえ、行冥の使っている日輪刀は名前こそ日輪刀ではあるが、実際には鎖つきの鉄球だ。
そういう意味でも、オーラバトラーを鬼殺隊で使うというのは色々と問題がある。
まぁ、金属に関しては俺が近いうちに太陽の近くまで行って、そこにある岩塊を手当たり次第に持ってくるから、そこで解決する可能性もあるかもしれないが。
いっそ、遠距離からの攻撃に徹するのなら、別にオーラバトラーじゃなくてもドロとかの方がいいのかもしれないな。
オーラバトラーはどうしても人型で目立つが、ドロは平べったいので……目立たないといった事はないだろうが、それでもオーラバトラーよりは目立たない。
「アクセル、用意出来たわよ」
エリナの声で我に返る。
一応初めての量産型Wとコバッタの引き渡しなので、政治班からエリナがこの鬼滅世界にやって来ていた。
エリナの後ろには、量産型Wが10人、コバッタが10機、それぞれ準備を整えていた。
「そうか。なら行くぞ。……もっとも、蝶屋敷はここからそう離れていないし」
「そうらしいわね。それにしても……こう、長閑な場所に見えるけど」
エリナの出身世界であるナデシコ世界も、それなりに自然はあったが、それでもやはり大正時代の鬼滅世界……それも都会という訳ではなく、一種の隠れ里に近いこの場所は自然が豊富だ。
こういう光景は、ここに住んでいる者にしてみればそこまで贅沢とは思っていないのだろう。
だが、世界によってはこの光景こそがかなりの贅沢だと感じる筈だ。
具体的には、マブラヴ世界の人間にしてみれば、心の底から羨ましいと思ってもおかしくはない。
「長閑な場所なのは間違いない。けど、鬼殺隊の隊員達にしてみればこれが普通なんだろ」
「贅沢ね」
そんな風に会話をしながら、俺とエリナは蝶屋敷に向かって進む。
当然ながら、そんな俺達の存在は目立つ。
量産型Wやコバッタは鬼殺隊の面々にとっては非常に珍しい。
それだけではなく、俺やエリナの服装も鬼殺隊の服装と違うので目立つ。
「そう言えば、鬼殺隊の着ている服……かなり高性能だというのは知ってる?」
鬼殺隊の隊員を眺めていた俺に気が付いたのか、エリナはそんな風に尋ねてくる。
「何か以前ちょっと聞いたような事があるようなないような……何か特殊なのか?」
「特殊な繊維で作られているから、同じような服と比べると圧倒的に丈夫なのよ。そういう意味では、普通の服と同じように着られて高い防御力を持つこの服はかなり需要が高いわよ。それこそ、供給が追い付かないくらいに」
そう言われると、なるほどと頷く面もある。
防弾用の服とかそういうのも普通に存在するが、どうしてもそういうのは普通の服と比べると違和感がある。
鬼殺隊の服がそこまで頑丈なのかどうかは分からないが、もし本当にそれだけ頑丈ならエリナの言うように使い道は大きい。
「その辺についても交渉した方がいいかもしれないな」
「そうね。後で政治班の方に連絡を入れておくわ」
エリナと会話しながら歩くと、当然ながらすぐに蝶屋敷に到着する。
ゲートが設置されているのは蝶屋敷から離れていない場所なので、時間が掛からないのは当然だが。
「アクセルさん、お待ちしてました」
蝶屋敷ではしのぶが俺達を待っていた。
蝶屋敷の主人として、それは当然の行動なのだろう。
何しろ量産型Wとコバッタは、これからこの蝶屋敷で働くのだから。
「悪いな、ちょっと待たせたか? こっちはエリナ。政治班の1人だ。今回の件は色々と複雑だから、政治班からもエリナを派遣して貰った」
「エリナよ。よろしく」
「よろしくお願いします」
笑みを浮かべて挨拶を交わすと、早速しのぶは俺とエリナの背後で待機している量産型Wとコバッタに視線を向ける。
「そちらが……?」
「ああ、量産型Wとコバッタ。今日から蝶屋敷でしのぶの仕事を手伝ったりする。何かあったら気軽に命令してくれていい。それに……こう見えて相応の戦闘力も持っているから、いざという時も使えるな」
いざという時……具体的には、鬼が何らかの手段でここの存在を知って攻撃を仕掛けてきた時か?
自分で言っておいてなんだが、その可能性はあまり高くないと思う。
あ、でも鬼には血鬼術の類がある。
それを使えば、あるいはここの存在を感知したりといったようなことがあってもおかしくはない。
「いざという時、ですか?」
「ああ。あるいは、機能回復訓練とかの相手としてもいいかもしれないな」
量産型Wは純粋な身体能力でも超一流の素質を持つ。
また、魔術としてガンドを使用可能だ。
ぶっちゃけ、鬼殺隊の隊員が呼吸を使って攻撃してきても、大半の相手には対処出来るだろう。
柱とかは例外だが。
「そう。ですか。では、何かあった時は頼りにさせて貰いますね」
「そうしてくれ。それと教えれば教えただけ賢くなるから、使い続ければそれだけ有能になっていくぞ」
「アクセル、その辺を説明するのは本来私の役目なんだけど?」
エリナが呆れの視線をこちらに向けてくる。
そんなエリナの様子を見て、しのぶは何かを理解したのだろう。
こちらもまた、俺に呆れの視線を向けてきた。
今のやり取りから、俺とエリナの関係を悟ったんだろうが……今のやり取りのどこにそんな要素があった?
不思議に思うも、これもまた女の勘という奴だろう。
「分かった。じゃあ、残りの説明は任せる。俺はちょっと炭治郎達の様子を見てくるよ。……機能回復訓練、やってるんだろう?」
「ええ、場所は分かりますか?」
「探せば見つかるだろ」
そう言うと、しのぶから再度呆れの視線が向けられる。
今のやり取りのどこにそんな視線を向けられる要素があった?
とはいえ、ここで長時間話してエリナの邪魔をするのも何だしな。
エリナとしのぶの2人に軽く手を振り、蝶屋敷の中を歩き回る。
すると、予想通りすぐに覚えのある気配を察知した。
そちらに向かうと、やがてそこには体育館……といった程に大きくはないが、それでも普通の部屋よりは明らかに広い部屋がある。
その部屋の中の様子を見ると……やっぱり当たりだったらしい。
部屋の中では、善逸がアオイや他の小さな子供……少女達にマッサージをされている。
見た感じでは既に手足も元に戻っているらしく、普通の人間と変わらない。
とはいえ、見た感じではあのマッサージはかなり痛そうなんだが……善逸の表情に浮かんでいるのは、幸せそうな色だ。
何故そのような様子なのかは、考えるまでもなく明らかだろう。
何しろ、善逸のマッサージをしているのはアオイ。
それもマッサージとはいえ、アオイの身体のかなりの部分が善逸の身体に密着している。
それはつまり、アオイの身体の柔らかさを堪能出来るという事だ。
……アオイは生真面目な委員長タイプではあるが、顔立ちは整っている。
女好きの善逸にしてみれば、そんなアオイに密着されるのが楽しくない訳がない。
女に好かれたいのならがっつくなと教えていた筈なんだが……いやまぁ、善逸の性格を考えれば、ここで喜びの奇声を発していないだけまだマシか。
そして炭治郎は、カナヲと一緒に遊んでいる。……いや、遊んでいるんじゃなくて、あれは以前聞いた薬湯をどうこうするって奴か。
今の様子からすると……炭治郎は負けてるな。
炭治郎が薬湯に手を伸ばすと、その薬湯はカナヲによって抑えられる。
そしてカナヲが手にした薬湯は、炭治郎が防ぐよりも前に掛けられてしまう。
言ってみれば、圧倒的に炭治郎の方が負けていた。
伊之助は、そんな炭治郎の様子を苛々しながら後ろで見ていた。
そうして暫く機能回復訓練の様子を見ていると、最初に俺の存在に気が付いたのは善逸だった。
「せ、先生!?」
マッサージが終わって安堵しているところで俺の存在に気が付いたのだが、それだけにかなり驚いた様子を見せている。
それでいて、同時にしまったといったような表情を浮かべているのは……アオイにくっついて貰っていることで、嬉しそうに顔が崩れていたのを理解しているのだろう。
女にモテたいのなら、がっつくな。
そんな俺の教えを破った……といった程ではないにしろ、決して守っているといった様子ではなかったしな。
「え? アクセルさん!? うわぁっ!」
善逸の言葉に炭治郎が俺の方を見たが、その隙を突かれて再びカナヲが薬湯を炭治郎の顔に掛ける。
この場合は、隙を見せた炭治郎が悪いのか、それとも驚いた炭治郎に容赦なく薬湯を掛けたカナヲが悪いのか。……いや、どう考えても前者か。
「ちょっと時間が出来たから見に来たんだが……色々と面白そうだな」
「面白い訳、あるかぁっ!」
と、何故か俺の言葉に派手に反応したのは伊之助。
というか、俺はこういう伊之助を初めて見るな。
今まで俺が見た伊之助は、落ち込んでいるような感じだったし。
とはいえ、炭治郎や善逸の話からすると、この伊之助が本来の伊之助なんだろうが。
「そうか? 見ている限りだと、結構面白そうだけどな」
伊之助のその言葉に、改めてカナヲと炭治郎のやり取りを見る。
そうして見てると、伊之助が俺に向かって言ってくる。
「もし本当に面白いと思うのなら、アクセルがやってみろよ」
「……本当に性格が変わったな」
伊之助の様子を見て、そう告げる。
実際、俺が知っている伊之助と今の伊之助は、大きく違った。
それを思えば、今この状況でそんな風に言われるのも、どこか新鮮に思える。
つまり、俺がこれだけ今の伊之助に違和感を抱いてるって事は、俺が知ってる伊之助はそれだけ炭治郎や善逸にとって違和感があったんだろうな。
あの気弱な状況から、よく今のような状況にまで復活したな。
「ふんっ、それでどうするんだ」
「そうだな。伊之助が勧めるのならやってみるか。……構わないか?」
そうアオイに尋ねると、アオイは戸惑いながらも頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730