転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3070話

 エヴァと行冥の模擬戦があった翌日……俺はエヴァと茶々丸を連れて鬼滅世界に行く事になった。

 なお、茶々丸がいるのは当然ながらエヴァのストッパー役というのを期待しての話となる。

 

「大正時代という事で興味があるかもしれないが、これから行くのは鬼殺隊の本拠地だ。余計な騒動は起こすなよ」

 

 正確にはゲートが繋がっているのは蝶屋敷の側なので、鬼殺隊の本拠地という表現は若干違う。

 本当の意味で鬼殺隊の本拠となると、そこは産屋敷家になってしまうだろう。

 ただ、蝶屋敷があるという事であったり、鬼殺隊の隠れ里的な存在である場所だけに、そういう意味では本拠地というのは決して間違っていない……と思う。

 

「分かっている。アクセルは私を何だと思っているのだ?」

「エヴァだし」

「マスターですし」

「おい! というか、茶々丸、お前もか!」

 

 エヴァの声が転移区画に響く。

 当然ながら、そのような声が周囲に響けばそれを聞いた者が声を発したエヴァに視線を向けてくる。

 転移区画だけに、色々な世界から転移してきた者、あるいは自分の世界や他の世界に転移しようとしている者が多い。

 そのような状況だけに、叫ぶエヴァはかなり目立っていた。

 とはいえ、エヴァの外見は子供でしかない。

 大抵の者達が、騒いでいるエヴァを見て微笑ましそうにしたり、何故このような子供がホワイトスターに? と疑問を浮かべている。

 エヴァはシャドウミラーのメンバーではあるが、表立った場所に出るといった事はない、

 そうである以上、エヴァを見てもまさか600年以上を生きている吸血鬼だとは思わないだろう。

 ただし……エヴァが騒いでいるのを見て、表情が引き攣っている者も少数だがいる。

 そのような者達は、恐らくネギま世界からやって来た者達なのだろう。

 他の世界ではあまり名前が知られていない――あるいは知られていてもまさかこのような子供だとは思われていない――エヴァだが、ネギま世界の者にしてみれば直接見知っている者も多い。

 そんな者達にしてみれば、エヴァがこうして暴れているという光景はとてもではないが笑って見ていられるようなものではないのだろう。

 

「ほら、とにかくいつまでもここにいる訳にもいかないだろうし、行くぞ」

「むぅ……」

 

 不満そうな様子を見せたエヴァだったが、それでも俺の言葉を聞いて大人しくなる。

 これは別に俺の言葉に説得力があった訳ではなく、ここで騒いでいるよりも早く鬼滅世界に行きたいとエヴァは思ったからだろう。

 だから、ネギま世界からやって来た魔法使いと思しき者達は、俺に驚愕や感嘆の視線を向けたりしないように。

 ……にしても、600年を生きたエヴァでここまで怖れられているのだから、1000年以上生きた無惨とかがネギま世界にいたらどうなっているんだろうな。

 でも、聞いた話だと無惨はエヴァのように堂々としておらず、出来るだけ鬼殺隊に見つからないように行動してるんだよな。

 賢いというか、臆病というか……正直微妙なところだ。

 

「アクセル、行くぞ!」

 

 エヴァの声で我に返ると頷き、俺は鬼滅世界に転移する準備をするのだった。

 

 

 

 

 

「ほう、ここが鬼滅世界か。……ふむ、なかなかいい雰囲気だな」

 

 そう言いながら、エヴァは周囲を見る。

 古き良き……といった様子の場所に見えるのだろう。

 エヴァの性格を考えると、それこそ東京とかに行っても大正時代の東京には十分に喜びそうな気もするが。

 

「何か異常はなかったか?」

「はい。何も問題はありません」

 

 量産型Wに尋ねると、即座にそのような返事がある。

 実際、もしゲートに何か異常があった場合は、すぐにホワイトスターに連絡がある筈だ。

 それを思えば、本当に何もそれらしい異常はなかったのだろう。

 とはいえ、量産型Wに尋ねたのはあくまでも念の為で、実際に何か異常があるとは思っていなかったが。

 

「そうか。ならこのままゲートの警備を任せる」

「は」

 

 短くやり取りをし、少し離れた場所にコバッタが隠れているのを確認してから、興味深そうに周囲の様子を見ているエヴァに近付いて行く。

 そんなエヴァの側では、茶々丸がエヴァの保護者のように待機していた。

 もしエヴァが勝手にどこかに行こうとしようものなら、すぐにエヴァのフォローをするつもりだったのだろう。

 そうして周囲の様子を見ていると、少し離れた場所から鬼殺隊の剣士が数人こちらにやってくる。

 正確にはゲートを目当てにやってくるのではなく、ゲートの側を通り掛かったというのが正しい。

 当然ながら、鬼殺隊の剣士達は俺を見ても特に驚く様子はない。

 何だかんだと、俺はそれなりに鬼滅世界に来ているので、俺の顔は見慣れているのだろう。

 あるいはニーズヘッグを使って宇宙に行く時は多くの者達が集まってきた事から、そこで俺の顔を知っていてもおかしくはない。

 だが……今回に限っては、俺以外に一緒に転移してきたエヴァと茶々丸がいる。

 

「鬼!?」

 

 鬼殺隊の剣士の1人が、エヴァを見て驚き叫びつつ日輪刀を引き抜こうとするも……

 

「問題ない、安心しろ!」

 

 日輪刀を抜くよりも前に、俺はそう叫ぶ。

 そんな俺の言葉を聞いたのか、数人は咄嗟に日輪刀を抜くのを止めるが、残りの数人はしっかりと日輪刀を抜いた。

 それでもすぐにエヴァに斬りかかる事がなかったのは、俺の言葉がきちんと聞こえていたからだろう。

 

「アクセル王……? 一体何故止めるのですか?」

「エヴァ……この子供は鬼ではないからだ。正確には、この世界の鬼ではない、という表現が正しい」

「それは……」

 

 俺の言葉の意味を理解したのか、していないのか。

 その辺りは俺にも分からなかったが、そんな状況であっても取りあえず俺という存在が鬼殺隊において大きな意味を持っているのは知っている為か、日輪刀を抜いた者達は鞘に収める。

 それでもエヴァを見る目は警戒心があったが。

 にしても、どうしてエヴァが鬼だってすぐに分かったんだろうな。

 やっぱり呼吸を使っていればそういうのも分かるようになるのか?

 そして鬼殺隊の剣士は基本的に全員が呼吸の使い手であると考えれば、不思議でもない……と思う。

 

「おい、アクセル」

 

 子供と言われたのが気にくわなかったらしいエヴァが俺を睨んでくるが、取りあえずそれはスルーしておく。

 今はエヴァの機嫌を取るよりも、まずは鬼殺隊の面々にエヴァについて知らせておく必要があるからだ。

 

「エヴァについては、耀哉も知っている」

「お館様が……?」

 

 やはり鬼殺隊に対しては、耀哉の名前が大きいな。

 耀哉の名前を出した瞬間、剣士達は大人しくなったのだから。

 

「ああ。そしてエヴァはこの世界の鬼と違って、人を食ったりはしない」

 

 実際には吸血鬼である以上、人を食うといったような真似はしなくても人の血を吸うといった真似は出来たりするのだが。

 ただ、エヴァも俺の血があれば無理に人の血を吸ったりといったような真似はしない。

 エヴァにしてみれば、薄めた俺の血はかなりの美味らしいし。

 

「おい、どうする?」

「いや、けど……」

 

 俺の話を聞いた剣士達は、これからどうするかといったように迷った様子を見せる。

 そして最終的には俺が安全を保証し、何よりも耀哉もエヴァの存在については認めているという事から、結局無理に襲い掛かったりといったような真似はせず、その場を去っていった。

 俺にとってはそれなりに楽だったので、それはそれで構わないのだが。

 

「ぐぬぬ……おい、アクセル。もしかして私はこの世界にいる間、ずっとあんな風に扱われるのか?」

 

 ネギま世界において、エヴァはそれこそ賞金首として多数の者に狙われてきた。

 麻帆良に封じられてからも、魔法先生や魔法生徒には決して好かれていなかったのだ。

 そういう意味では、嫌われるのには慣れている筈のエヴァだったが、シャドウミラーに所属してからは特に嫌われるような事もなくなったので、そういう意味でも今回の一件は面白くなかったのだろう。

 

「そうなる可能性は高いな。一応、耀哉に話を通せばその辺を鬼殺隊に知らせてくれるだろうから、余計な面倒は減るだろうが」

 

 とはいえ、鬼殺隊の中には血の気の多い奴も多い。

 あるいは実弥みたいに鬼は即座に殺すと考えているような者も。

 うーん、やっぱり炭治郎達を鍛えるのは、ムラタにするべきだったか?

 だが、ムラタは獪岳を鍛えているしな。

 そして獪岳と善逸の相性は最悪である以上、今ここではどうしようもない。

 

「ちっ、仕方がない。その辺は我慢してやる」

「……驚いたな」

 

 てっきり現状が面白くないと判断して、ホワイトスターに戻ったりするのか? と思っていたのだが、エヴァの様子を見ると多少の不愉快さは我慢する事にしたらしい。

 それだけ、エヴァにとって大正時代というのは魅力的なのだろう。

 また、不愉快な思いをするのはここにいる時だけだ。

 エヴァの目的である観光をする際には、それこそ鬼殺隊の剣士によって不愉快な思いをしたりはしないだろう。

 代わりに、観光している先で鬼と遭遇したりとか、そんな騒動に巻き込まれそうだけど。

 とはいえ、エヴァもトラブルほいほいとでも呼ぶべき俺には、決してそんな事を言われたくはないだろうが。

 

「じゃあ、エヴァが我慢しているうちに、耀哉に話を通しておくか。その後で、蝶屋敷で炭治郎達に会わせるよ」

 

 そんな俺の言葉に、エヴァは不承不承といった様子で頷くのだった。

 

 

 

 

 

「構わないよ。エヴァさんだったね。君が吸血鬼であっても、私達の知っている鬼と違うというのは十分に理解している。それを考えれば、子供達を鍛えてくれるというのは寧ろ望ましい。……エヴァさんに不愉快な思いをさせてしまうかもしれないことは、残念に思うけど」

「ふんっ、それで構わん。それよりも……お前はいつまでそのままでいるつもりだ? ホワイトスターの牧場で見た時と比べると、随分と弱っているのではないか?」

「そうでもないよ。一度ホワイトスターに行って呪いの効力がなくなったせいか、今は以前と比べても大分調子がいいんだ」

「それでか?」

 

 エヴァから見れば、今の耀哉は決して身体の調子がいいようには見えないのだろう。

 実際に以前の耀哉を……布団で寝込んでいた耀哉を見ていなければ、俺もエヴァと同じ感想を抱いただろう。

 俺が初めて耀哉に会った時に比べてれば、今は間違いなく回復しているのだ。

 ……今の状態を回復と呼ぶのはどうかと思うが。

 

「そうだな。俺の目から見ても、以前の耀哉と比べると今の方が元気そうだ。とはいえ、出来るだけ早くホワイトスターで治療をした方がいいと思うが」

「それはもう少し時間が経ってからだよ。今の私がここを離れる訳にはいかないんだ」

 

 そうなんだよな。

 耀哉の言ってることは、実際に正しい。

 鬼殺隊は何だかんだと結構大きな組織であるのは間違いないが、その中心にいるのは間違いなく耀哉だ。

 そんな耀哉が長期間――具体的にはどれくらいになるのかは分からないが――いなくなった場合、最悪鬼殺隊が崩壊する可能性もある。

 勿論それはあくまでも最悪の予想であって、実際には特に崩壊とかそのような事にならない可能性もある。

 しかし、今の状況を考えるとやはり耀哉がいなくなるというのは難しい。

 後継者の輝利哉がいるが、その輝利哉もまだ子供でしかない。

 ……あ、でもクリスに憧れている輝利哉だけに、ここで頑張ったらまたUC世界に連れていくと言えば、火事場の馬鹿力で頑張ってくれる可能性もある、のか?

 

「耀哉がいない間は、輝利哉に任せられないか? いつかは輝利哉も耀哉の後を継ぐんだ。そうである以上、鬼殺隊を運営するのに慣れておいた方がいい」

「正直なところ、それは私も考えた。しかし、十二鬼月を倒されたばかりの今は、鬼達も活発に動くだろう。そこを輝利哉に任せるというのはどうかと思うんだよ。これがもう少し平和な時なら、輝利哉に任せるといったような真似も出来たんだろうけど」

 

 残念そうに溜息を吐く耀哉。

 だが、そんな耀哉に対してエヴァが口を開く。

 

「甘いな。いつ何が起きるのか分からない以上、出来る事は全てやっておくべきだ」

 

 その言葉は事実のみを突きつけているかのような、そんな様子。

 実際、エヴァにしてみれば話を誤魔化すといったようなことは全く考えていないのだろう。

 自分の思ったことを、そのまま口にしているにすぎない。

 

「……」

 

 そんなエヴァの言葉に何か思うところがあったのか、耀哉は黙り込んだ。

 今の状況において、真っ先に自分が何をやるべきなのか、それを十分に理解しているからこそといったところか。

 

「そうだね。いつまでも引き延ばしてはいられないか。それに……時を待つといったようなことをした場合、それが原因で後々何か問題が起きる可能性も否定出来ない。分かった。行冥が戻ってきて、それでこちらの諸々が一段落したら、私も覚悟を決めて治療を受けさせて貰う。それでいいかな?」

 

 尋ねてくる耀哉に対し、俺は当然といった様子で頷くのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1730

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