色々と試してみる必要があるという事で、まず俺が呼んだのは……
「えっと、アクセルさん。これって一体何なんですか?」
「先生、ありがとうございます。師匠ったら酷いんですよ」
「ふんっ、次こそはエヴァに勝つ!」
炭治郎達3人だった。
炭治郎は何故自分がいきなりこのような場所に呼ばれたのかと戸惑った様子を見せている。
茶々丸に興味津々だった善逸だったが、エヴァとの訓練はそんな善逸にとっても厳しいものだったらしい。
女好きの善逸の心をへし折る辺り、エヴァらしいな。
そして伊之助は未だにやる気満々だ。
……伊之助だけ、ちょっとおかしいな。
機能回復訓練において、カナヲに勝てなかった伊之助は見るからに落ち込んだ様子になっていた。
だというのに、今の伊之助はまだやる気に満ちている。
カナヲとエヴァ、どっちが強敵かと言われれば、エヴァの実力を知ってる者ならまず間違いなくエヴァと答えるだろう。
実際、カナヲは柱の直弟子とでも呼ぶべき継子ではあっても、柱ではない。
そしてエヴァは実弥や行冥と模擬戦を行って完勝している。
行冥の場合はリハビリ代わりという点もあったので、本気ではなかったが。
とにかくカナヲとエヴァではエヴァの方が圧倒的に強い以上、伊之助がカナヲに負けて落ち込むのに、エヴァに負けて落ち込むといったような事がないのは……
「あ、その、まだ伊之助はエヴァさんと訓練を始めたばかりだったので」
俺が伊之助に向けている視線の意味を理解したのだろう。
炭治郎は俺の近くに寄ってきて、伊之助に聞こえないような声でそう言う。
なるほど、伊之助の心が折れる前に呼ばれたのか。
「そうか。なら、ある意味で丁度よかったかもしれないな」
「え? 何でです?」
「お前達には、これからちょっとした実験をして貰う」
「ちょっと先生! その実験って、もしかして怖い実験とかじゃないですよね!」
実験という言葉に何か感じたのか、慌てた様子で善逸が叫ぶ。
「落ち着け。そうやって臆病なところを見せていると、女にモテないぞ」
「そ、それは……」
女にモテないという言葉を使えば、善逸は大人しくなる。
ある意味、これは魔法の言葉だよな。
もっとも限度はあるだろうし、限界を越えた恐怖をどうにか出来るとも思ってはいないが。
善逸にしてみれば、女にモテるというのは自分の恐怖心を押し殺して行動するのに十分な原動力になるのだろう。
「アクセルさん、それで俺達は何で呼ばれたんでしょう?」
善逸を庇う……というよりは、純粋に疑問を口にするといった様子で尋ねてくる炭治郎。
伊之助もまた、自分達が呼ばれた理由を気にしているのか猪の被り物をこちらに向けてくる。
そんな2人の様子を見てか、善逸もエヴァとの訓練の厳しさを嘆くのを止めて俺の方を見てくる。
「日輪刀の実験をして貰おうと思ってな」
「日輪刀の……?」
まさか俺の口から日輪刀という単語が出て来るとは思わなかったのか、炭治郎が不思議そうな表情で視線を向けてくる。
「ああ、日輪刀だ。実は、日輪刀の研究で未知の現象を確認出来てな」
「未知の現象ですか? その、どういうのですか?」
「それを確認する為に、まずは刀鍛冶達のいるところに行くぞ」
そう言い、刀鍛冶達のいる場所に向かう。
炭治郎達は俺の言葉に疑問を浮かべながらも、大人しくついてくるのだった。
「おわっ!」
その場所に到着した瞬間、善逸が驚きの声を上げる。
それも当然だろう。
刀鍛冶達……ひょっとこのお面を被った者が集団で集まっていたのだから。
炭治郎、善逸、伊之助も鬼殺隊の剣士である以上、当然ながら刀鍛冶達に日輪刀を打って貰っている筈だ。
つまりひょっとこのお面を被った刀鍛冶とも会った事はある筈なのだが……その時に会った刀鍛冶は、恐らく1人。どんなに多くても2人だったのだろう。
そんな中、ここに集まっている刀鍛冶達は10人以上だ。
それだけの刀鍛冶達が集まり、ひょっとこのお面を被っている状態となれば、そのような状況を見て驚くなという方が無理だった。
「安心しろ。ここにいるのは全員が日輪刀を打つ刀鍛冶達だ。それに……善逸にしてみれば、目の保養も出来るんじゃないか?」
「え? ……っ!?」
一瞬俺が何を言ってるのか分からないといった様子の善逸だったが、俺の視線の向けられた先に凛、綾子、美砂、円の4人が――実は荒垣もいたのだが、当然善逸の目には入っていない――いるのに気が付き、息を呑む。
全員が美女と呼ぶに相応しいのだから、そのような事になってもおかしくはないが。
「せ、先生! 俺に女の人を紹介してくれるって言ってましたよね!」
目を血走らせ、そう言ってくる善逸。
この状況だけに、善逸が何を言いたいのかは分かる。分かるのだが……だからといって、それを受け入れる訳にはいかなかった。
「悪いな、あの4人は全員俺の恋人だ。善逸を紹介するというだけなら出来るが、それは本当の意味で紹介するといったような事になるぞ」
具体的には、俺の弟子……弟子? まぁ、そんな存在の奴だという風に紹介するだけだ。
「ぐぬううううううっ!」
善逸が悔しそうにしながら俺の方を見てくる。
まぁ、善逸にしてみれば凛達のような美人が全員俺の恋人だというのは、納得出来ると同時に心の底から悔しく思っているのだろう。
そんな善逸とは裏腹に、炭治郎は驚きの表情で、伊之助は……猪の被り物をしてるので分からないが、どことなく特に驚いている様子がないようにも思える。
「アクセル、どうしたの? 何だかその子、凄い形相なんだけど」
善逸の様子を見て不思議に思ったのか、凛がこちらに近付いてきて尋ねてくる。
そんな凛の横には綾子もいるのだが、善逸はそんな綾子を見ても特に何か反応する様子はない。
俺が初めて善逸に会った時は、音で人間ではないと判断し、布団を被って怯えていたのに。
俺と綾子では、聞こえてくる音が違うのか?
それとも単純に凛を含めた4人の恋人達の一件でそちらに意識を集中しすぎているので、綾子から聞こえてくる音が人と違うのには気が付いてないのか。
「気にするな。凛を含めた4人が俺の恋人だと聞いて、悔しがってるだけだ」
「あー……そう」
凛が呆れの混ざった微妙な表情を善逸に向ける。
そんな凛だったが、その表情がまた善逸にとっては魅力的に見えたのだろう。
いつもは先生と言って慕っている俺に対して嫉妬の視線を向けてくる。
善逸を見てどうするべきか考えたものの、ここで思い切り嫉妬させれば、それこそが善逸が今まで以上に強さを求める理由になると判断し、凛を抱き寄せる。
「ちょっ……アクセル!?」
いきなりその柔らかな身体を抱き寄せられた凛は戸惑った声を上げるものの、それでも本気で嫌がっている様子ではない。
というか、もし凛が本気で嫌がっていた場合、問答無用でガンドが放たれているだろうし。
「あ、ずるい!」
「ちょっと、美砂……はぁ、仕方がないわね。綾子、私達も行きましょ」
「え……そうね」
美砂、円、綾子の3人も、俺と凛の様子を見て俺にくっついてくる。
両手に花どころか、両手両足に花だな。
凛と美砂が俺の両手に抱きつき、円と綾子の2人は後ろから抱きついていた。
「ぎゃぴいいいいいいっ!」
人からこんな声が出せるんだな。
嫉妬のあまり善逸の口から出たその言葉……というか、悲鳴? を聞いてそんな風に思う。
「おい、アクセル。その辺にしておいた方がよくないか? その叫んだ奴……頭の血管が切れたりしないか?」
荒垣のその言葉に、ちょっとやりすぎたか? と思いつつも、俺は抱きついていた4人から離れる。
柔らかく暖かいその身体が離れていくのは残念に思ったが、このままの状況だと荒垣が心配しているように善逸が嫉妬のあまり興奮しすぎて深刻な状況になりかねない。
「そうだな。……取りあえず善逸。俺のようになりたかったら、強くなれ。そして鬼を圧倒出来るようになれば、女にモテるのは間違いないぞ」
ただ強いだけの女好きだと、それこそいいように利用されたりとかしてもおかしくはないんだが。
あるいは、鬼の中に美人がいたりした場合、色仕掛けでどうにかされる可能性もある。
その辺についてもしっかり鍛える必要があるのは間違いなかった。
「強く……強く……強く!」
そう呟く善逸。
取りあえずこれで普段のヘタレ振りが少しでもどうにかなってくれればいいんだが。
「それで、アクセル。その連中に日輪刀を試して貰うんだよな?」
荒垣の確認するような声に頷く。
「ああ。今の状況ですぐに連れてこられるような奴は炭治郎達だけだしな。……荒垣達が鍛えている連中でもよかったのかもしれないが」
実際、荒垣達に鍛えられている剣士達は、鬼殺隊の中でもそれなりの実力者達だ。
そんな状況であっても俺が炭治郎達を連れてきたのは……やっぱり、この世界の主人公だからというのが大きいだろう。
主人公だけに、日輪刀を赤く染めるといったような真似が出来る……かもしれない。
「日輪刀ですか?」
日輪刀という言葉に、炭治郎は何故自分達がここに連れてこられたのかを理解したのだろう。
「ああ。……円、見せてやってくれ」
「え? ちょっと、ここで私なの!?」
何故ここで自分か? と言う円だったが、ここにいる面子の中で最初に日輪刀を赤くする……取りあえずその色から赫刀と呼ぶ事になったらしいのだが、その赫刀にしたのは円が最初だ。
ちなみに俺が握った日輪刀は、色こそ変わって長時間戻らないものの、熱を持っていないことから赫刀とは呼べないらしい。
とにかく、赫刀という存在を初めて出したのが円である以上、やはりここは円にやって貰った方がいいのは間違いない。
「しょうがないわね」
そう言いながらも、円は鍛冶師から日輪刀を受け取り、握る。
「よく見ておけ。俺がお前達に見せたいのは、これだ」
炭治郎達にそう告げると、真面目な炭治郎は勿論、強くなりたいと願っている善逸や伊之助もまた真剣な様子で日輪刀を握った円を見る。
とはいえ、伊之助の場合は猪の被り物のおかげでその視線が本当に真面目なものなのかどうかは分からないのだが。
そんな中で、円は魔力による身体強化を行って日輪刀の柄を強く握る。
すると次の瞬間、日輪刀の刀身が赤く染まり、周囲に熱を放つ。
「これは……」
炭治郎の口から驚きの声が漏れた。
炭治郎にしてみれば、とてもではないが信じられなかったのだろう。
日輪刀としては、有り得ないような変化をしたのだから、それも当然か。
「こんな感じで、俺達が強く握ると日輪刀の刀身がこんな感じになる。赫刀と呼ぶようになったらしいが、これが俺達……シャドウミラーの面々だけの現象なのか、それともこの世界の者でも出来るのか、その辺を試してみたい」
「俺達にも出来るんですか?」
「それを確認する為に呼んだんだ。とにかく思い切り全力で自分の日輪刀を握って見せろ」
「分かりました」
俺の言葉に炭治郎が頷き、日輪刀を抜く。
善逸と伊之助も日輪刀を抜き……
「あああああああああああああああああああっ!」
そんな中、ふと刀鍛冶の男の1人が大声で叫ぶ。
そんな刀鍛冶の視線の先……というかひょっとこのお面の先にあったのは、伊之助の握っていた日輪刀。
その日輪刀を見て、俺も刀鍛冶が叫んだ意味を理解してしまう。
何故なら、伊之助の握る日輪刀の刃はボロボロだったからだ。
炭治郎と善逸の持つ日輪刀がきちんと刀の形をしているのに比べると、その差は歴然だった。
刀鍛冶として、伊之助がそのように日輪刀を扱っているのが許せなかったのだろう。
「落ち着け。取りあえず今は伊之助の日輪刀についてよりも大事な事があるだろ。伊之助の日輪刀については、後で話せばいい」
叫んだ刀鍛冶や、それ以外の刀鍛冶達にそう告げる。
自分達が精魂込めて作った日輪刀がボロボロに……具体的には刀身の刃がかなり欠けた状態になっているのは、刀鍛冶として許容出来る事ではなかったのだろう。
それは分かるものの、だからといって今はまず赫刀の方をどうにかするのが先だった。
「じゃ、じゃあ、まずは俺が……」
「ちょっと待った炭治郎! 俺が最初にやる!」
悪くなった雰囲気を誤魔化すように炭治郎が日輪刀を握ると言おうとしたものの、善逸がそれに待ったを掛ける。
何を考えてそのようなことを言ったのかは、考えるまでもない。
俺が凛達とそういう関係にあるというのを知って、自分もまた強くなりたいと、そう思ったのだろう。
炭治郎にその辺の全てを理解出来たのかどうかは分からなかったが、それでも善逸のやる気を見て、ここは善逸に譲った方がいいと判断したのか、自分でやるとは言わずに善逸に譲る。
この辺りの気遣いの上手さは炭治郎の特徴だよな。
炭治郎がこういう性格だからこそ、善逸や伊之助といった癖の強い2人と一緒に行動出来ているのだろう。
以前聞いた話によると、善逸はともかく伊之助は最初炭治郎と友好的な関係ではなかったという話だったのだが、そんな伊之助も今では炭治郎をしっかりと仲間として認めている様子だったし。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730