転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3087話

 耀哉の口から出た言葉は、ある意味で予想していた内容ではあったのだが、それでも俺を驚かせるには十分だった。

 

「杏寿郎の件を助ける? それが何で俺に……というか、シャドウミラーにとっての利益になるんだ?」

「恐らくこの件に関わっているのは、十二鬼月だからね。アクセルは……というか、シャドウミラーは十二鬼月を確保したいんだろう?」

 

 耀哉のその言葉に、俺は黙ってしまう。

 実際、耀哉の言葉は決して間違いではないのだから。

 シャドウミラーにとって、十二鬼月の鬼を確保したいと思っているのは間違いない。

 俺が鬼滅世界に初めてやって来た時、十二鬼月をあっさりと殺してしまっている。

 レモンやマリューからは、それを微妙に責められたこともあった。

 実際に十二鬼月というのは鬼の幹部である以上、その身体を調べれば色々と分かる事が多いのは間違いない。

 それを思えば、耀哉の言う通りここで俺達が杏寿郎に協力し、十二鬼月の鬼を確保出来れば、それは非常に大きな意味を持つだろう。

 

「そうだな。それは否定しない。けど、杏寿郎の件に十二鬼月が関わっているというのは間違いないのか?」

「確証はないけど、被害の大きさや状況から考えるとほぼ間違いないだろうね。私達はアクセルの協力を得られるから、利益になる。アクセルは十二鬼月を確保出来るから利益になる。どうだい?」

 

 耀哉の言葉に、どうするべきか迷い……いや、別に迷う必要はないのか?

 シャドウミラーにとって利益になるのは間違いないのだから。

 杏寿郎が一緒というのは、恐らくそれだけ危険な事ではあるんだろうが。

 それでも一度十二鬼月と戦った身としては、負けるといったつもりはない。

 とはいえ、向こうも今回の件に関しては当然ながら相応の対応をしていると見て間違いないだろう。

 けど、そうだな。それならこの件は俺にとっても最大限利用させて貰うとしよう。

 

「それは悪くない提案なのは間違いないな。……ただ、そうだな。こっちにも幾つか条件がある」

「条件? アクセルの協力を得られるのなら、私としては出来るだけの事はさせて貰うよ」

「そう言って貰えると助かるよ。それで俺の条件だが、現在蝶屋敷にいる炭治郎、善逸、伊之助の3人を今回の一件に組み込んで欲しい」

 

 この世界の主役である以上、炭治郎は出来るだけ鍛える必要がある。

 俺が関与した事によって炭治郎の成長が足りないという事になった場合、最悪の結果になる可能性は十分にあるのだから。

 本来ならムラタはともかく、獪岳も連れて行きたいところではあるんだが、行冥との一件を考えるとそれは難しい。

 それだけではなく、善逸と獪岳の関係が最悪だというのも色々と不味い。

 十二鬼月と戦うのに、そんな中で善逸と獪岳がぶつかるのは百害あって一理なしだ。

 そうなると問題になるのは、善逸と獪岳のどちらを優先するかということだろう。

 だとすれば、どちらを優先するのかは考えるまでもない。

 獪岳は才能のある剣士かもしれないが、ムラタに任せておけば取りあえず問題ない。

 それに比べて、炭治郎達は暫く蝶屋敷で治療をしてエヴァとの訓練も行っていたが、言ってみればそれだけだ。

 訓練はしていたものの、実戦を経験していない炭治郎達は経験が足りなくなってしまう。

 であれば、やはりここは炭治郎達を今回の一件に巻き込む方がいい。

 炭治郎は真面目だから上からの命令なら素直に従うだろう。

 伊之助も強敵と戦うとなると、寧ろ自分から望んで今回の一件に参加してもおかしくはない。

 禰豆子は……まぁ、炭治郎がいれば、それで問題はない筈。

 鬼になったせいか、禰豆子は幼児退行気味なので炭治郎と一緒なら特に何も問題はない。

 

「彼を?」

 

 耀哉も当然のように炭治郎については覚えていたのだろう。

 柱合会議であれだけ印象が強かったのだから、耀哉にとっても炭治郎の事を忘れるといったことはなかったらしい。

 善逸や伊之助については……まぁ、炭治郎と一緒に行動をしていたという意味で、知っているのかもしれないが。

 ただ、善逸はともかく伊之助は耀哉に報告が上がっていてもいい筈なんだけどな。

 何しろ伊之助は、育手もなしに独自に呼吸を身に着けるといったような天才っぷりを発揮してるのだから。

 本人の性格が色々とアレだから、ちょっとそんな風には思えないが。

 

「そう言えば、アクセルは頻繁に蝶屋敷に足を運んでいるみたいだね。実弥を相手に圧倒したあの女性……エヴァだったかな? その人にも訓練をつけて貰っているとか。一体何故そこまで彼の……いや、彼等の事を気に掛けているのかな?」

 

 耀哉が不思議そうな表情を浮かべて尋ねてくる。

 さて、ここは何と答えた方がいいのやら。

 俺にとっては、炭治郎はこの世界の原作の主人公という認識だ。

 しかし、それを正直に話せる訳がない。

 というか、もしそれを話した場合、ショックを受ける者も出て来るだろう。

 何しろ自分達の世界が実は漫画やアニメ、小説、ゲームといったような物語の世界であると知る事になるのだから。

 それを知っても、自分の現実はきちんとここにあると認識出来る者もいるだろうが、逆にそれに絶望するといったような者が出て来てもおかしくはない。

 耀哉は精神的にかなり強い。

 呪いに侵されていながら、それでもこうして鬼殺隊を率いているのを見れば、それは明らかだろう。

 だからこそ、その辺については話すような真似は出来ない。

 とはいえ、だからといって何も言わないのは不味いし……そうだな。

 

「炭治郎と禰豆子は、色々な意味で特別な存在だ。それは耀哉も認めるだろう?」

 

 そんな俺の言葉に、杏寿郎の特徴的な眉がピクリと動く。

 杏寿郎にしてみれば、柱合会議で禰豆子を許容するといったような事になったのを、まだ完全に納得はしていないのだろう。

 それでもいつものように表立って反対した様子がないのは、耀哉が炭治郎と禰豆子を認めているからだろう。

 

「そうだね。彼女の存在は私達にとって大きな意味をもたらす可能性があると私も思っているよ」

 

 柱合会議の時から感じていたが、どうやら耀哉は禰豆子にかなり期待しているらしい。

 いや、目を掛けているといった表現の方が正しいのか?

 そんな状況であるからこそ、俺の言葉に素直にそう答えたのだろう。

 

「耀哉の気持ちは分かった。なら、炭治郎達を連れて杏寿郎に協力するのは構わないか?」

「私は構わないと思う。しかし、杏寿郎はどうだい? 今回の一件はあくまでも杏寿郎の仕事だ。杏寿郎が否と言うのなら、私からは無理を言えないが」

 

 そこで耀哉は杏寿郎に視線を向ける。

 そんな耀哉の視線を受けた杏寿郎は、少し考えてから口を開く。

 

「アクセル殿が鍛えさせているという竈門なる者、興味があります。実際に手合わせをして、足手纏いにならないのなら、引き受けましょう」

「だそうだが、アクセルはそれで構わないかな?」

「耀哉と杏寿郎がそれでいいのなら、俺はそれで問題ないと思う。一応言っておくが、炭治郎達は常中を身に着けているぞ」

「ほう! それは興味深い!」

 

 俺の言葉に杏寿郎が感心した様子を見せる。

 行冥の方もまた、言葉には出さないが驚いていた。

 多分、本来なら常中というのはそう簡単に習得出来る技術ではないのだろう。

 それをどうにかしたのが、この世界の主人公である炭治郎やその仲間達の才能だろう。

 ……その才能云々を抜きにしても、エヴァの事だからかなり厳しい訓練をして、それで半ば無理矢理習得させたといった可能性も否定は出来ないが。

 

「杏寿郎が興味を抱いてくれたようで何よりだよ。なら、早速行くか? 今日も蝶屋敷で修行している筈だし」

「うむ! 善は急げと言う。早速行こう。構いませんか、お館様」

「ああ、構わないよ。杏寿郎が満足出来る戦力なら、今回の一件に協力して貰いなさい」

「お館様、では私もムラタ殿に会いに行きますので」

 

 行冥のその言葉に、俺も行くか? と言おうとしたものの、止めておく。

 本来なら俺が一緒に行った方がいいのかもしれないが、そうなるとこれから行冥がムラタに会いに行く度に毎回俺が一緒に行くといったようなことになりかねない。

 それは出来れば避けたいと思うのは、当然の話だった。

 ムラタなら行冥が怒りで暴走するような事があっても、どうとでも出来るだろうし。

 目から放たれるレーザーも……まぁ、神鳴流を使うムラタならどうにか出来てもおかしくはないし。

 

「ああ、失礼のないようにね」

 

 耀哉が行冥にそう言うと、俺達は揃って部屋から出るのだった。

 

 

 

 

 

「ほう、これは……俺が試すまでもないな」

 

 炭治郎達の能力を確認する為に蝶屋敷までやって来た俺と杏寿郎――行冥は既にムラタに会いに行った――だったが、実際には杏寿郎が炭治郎と模擬戦をしたりといったような真似をしなくても、その実力は認められた。

 エヴァを相手にした模擬戦を見れば、それで十分なのだろう。

 炭治郎をまだ完全に認めてはいないらしいが、それで目が曇るような真似はないらしい。

 この辺り、さすが柱というところか。

 あるいは耀哉に代々仕えている煉獄家の者だからというのも、影響しているのかもしれないが。

 

「一応言っておくが、後で思ったより実力がなかったとか、そんな風に言うのはなしだからな」

「そのような真似はするつもりはない」

 

 言い切る杏寿郎の言葉を、今は信じておくとしよう。

 そんな風に考えながら、炭治郎達とエヴァの模擬戦を見る。

 ……ちなみに模擬戦に参加しているのは炭治郎、善逸、伊之助の3人だけではなく、カナヲの姿もあった。

 現在のところ、あの4人の中で最強なのはカナヲだな。

 ただし、圧倒的に優れているといった訳ではない。

 頭一つ抜けているのは間違いないものの、炭治郎達もこの短期間でかなり強くなっている。

 エヴァの訓練の成果と、炭治郎達が持つ才能が組み合わさった結果だ。

 今の炭治郎達なら、恐らく俺がこの世界に転移してきた時に倒した十二鬼月と戦っても勝てるかもしれないな。

 少なくても一方的に負けるといったような事はないだろう。

 とはいえ、エヴァは十二鬼月とやらとは比べものにならない程の強者であり……

 

「ぎゃああああああああ! 死ぬ、死ぬ、死ぬぅっ!」

 

 無数の、それこそマシンガンかというくらいの勢いで飛んでくる氷の矢に、善逸は悲鳴を上げる。

 悲鳴を上げつつ、それでも氷の矢の攻撃を全て回避している辺り、常中を習得した効果なのだろう。

 そして善逸が悲鳴を上げるからこそ、エヴァの攻撃は善逸に集中する事になり、その隙を突くように炭治郎、伊之助、カナヲがエヴァに向かって攻撃を仕掛けるものの、伊之助は糸によってあっさりと搦め捕られ、身動きが出来なくなる。

 炭治郎とカナヲは糸の攻撃を何とか回避しながらエヴァに向かって進むが、炭治郎は後もう少しでエヴァを攻撃範囲に捉えられるというところで、糸に捕まる。

 最終的に残ったのはカナヲだったが、そのカナヲの一撃もエヴァはあっさりと回避して手首を少し動かしただけでカナヲを投げ飛ばす。

 この辺りのエヴァの能力は、本当に凄いな。

 そうして最後まで何とか回避していた善逸も氷の矢が命中し……これで模擬戦は終了するのだった。

 

「うーむ……エヴァ殿だったか。彼女が強いというのは知っていたが、それでもこうして見ると圧倒的な強さだな」

「それくらいでないと、シャドウミラーの戦闘教官は務まらないんだよ。さて、それより模擬戦も終わったようだし、行くぞ。一応聞いておくが、炭治郎達の実力は認めたということでいいんだよな?」

「うむ。あの3人は常中を習得していると聞く。そしてあれだけの動きを見せられれば、反対は出来ん」

 

 杏寿郎がそう言い、エヴァ達が訓練をしている方に向かう。

 ちなみに氷の矢は周囲に被害が出ないよう、エヴァがしっかりと操作していた。

 もしエヴァが操作をしていなければ、それこそ周辺一帯が壊滅してもおかしくはない。

 ネギま世界でも最強クラスの魔法使いの放つ魔法なのだから、その威力は極めて強大なのは明らかだ。

 そんなエヴァは、当然のように俺と杏寿郎の気配には気が付いていたのだろう。

 こちらを一瞥すると、鼻を鳴らす。

 

「エヴァ、訓練をしてるところ悪いが、ちょっといいか?」

「構わん。どのみち今日の訓練はこれで終わりだしな」

「そうか。……で、炭治郎達を耀哉からの依頼……いや、鬼殺隊からすると命令か。とにかくその件に連れていこうと思うんだが、構わないか?」

「構わんぞ」

 

 俺が予想していたよりも、あっさりとエヴァは頷く。

 

「いいのか? てっきり訓練不足だから断るかもしれないと思ったんだが」

「準備不足で戦いになるのは珍しい事ではない。そのような状況を手持ちの手札でどうにかする必要がある。それにあの馬鹿共に必要なのは、実戦経験だ。そうである以上、この機会を逃す必要はないだろう。それで死ぬのなら、所詮そこまでの器だったというだけだ」

 

 そう言うエヴァだったが、その言葉の裏には炭治郎達なら大丈夫だという思いがあるように思える。

 ともあれ、本人達の同意を抜きにしてだが、これで話は決まったのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1730

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