俺が耀哉と話してから、5日。
いよいよ約束の日がやって来た。
ちなみにこの5日で俺が貰った日輪刀を使って鬼と戦いたいと思っていたのだが、生憎と俺が鬼と戦うような機会は全くなかった。
この辺は鬼がいつ出て来るか分からない以上、仕方がないのだが。
ネットとかが発展している世界なら、もし鬼が出たりした場合、すぐにでもその情報が広まるといったような事もあるのかもしれないが、大正時代ではそんな迅速な情報の入手は期待出来ない。
……寧ろ、この大正時代で鬼殺隊が日本全国からの鬼の情報を集めているというのが、素直に凄いと思う。
とはいえ、その情報は鎹鴉とかを使っても鬼殺隊が知るまでにはそれなりに時間が掛かる。
だからこそ、俺に情報が伝わるまでは何だかんだと結構な時間が掛かる。
この辺は、やっぱり柱辺りにでも通信機を持たせるといったような真似をした方がいいかもしれないな。
それ以外だと……炭治郎が杏寿郎の父親で、元炎柱と乱闘騒ぎを起こしたというのがある。
一体何があった? と思わないでもなかったが。
あるいはその乱闘騒ぎを起こしたのが伊之助であれば、俺も素直に納得出来たと思う。
しかし、乱闘騒ぎを起こしたのは伊之助ではなく炭治郎だ。
あの炭治郎が? という思いはあったが、考えてみれば柱合会議でも実弥とあわやという感じになっていたしな。
それを思えば、この騒動もそう大したものでもないのか?
とにかく杏寿郎の父親と炭治郎がやり合ったのは間違いのない事実で、それによって若干の騒動はあったものの、それでも最終的には問題がなくなったらしい。
後は……猗窩座の一件か。
やはり発信器はまだ生きているらしく、何度か反応はあったらしい。
しかし、何故かそのような反応があるのは山や森といったような場所で、鬼にとっては食料である人のいる場所ではなかったらしい。
人のいない場所に猗窩座が現れるというのは、正直なところありがたい事なのは間違いない。
何しろ猗窩座と戦うような事があっても、周囲に被害を及ぼすようなことはないのだから。
だが……この場合は、人のいない場所に姿を現すというのが問題だった。
人を派遣するにも、当然ながらそのような場所に派遣するとなるとそう簡単にはいかない。
ドロのレンタルの話を本格的に進めた方がいいのかもしれないな。
そんな訳で、猗窩座のいる場所は異空間からこの世界に出て来ればそれなりに分かるようになったが……問題なのは、猗窩座はかなりの強さだという事だろう。
実際に俺と猗窩座の戦いを見ていた杏寿郎は、自分では1人で猗窩座に勝つのは難しいかもしれないと、そう断言したのだ。
その為、猗窩座の場所が分かっても山や森でそう簡単に人を送れない上に、もし送るとすれば杏寿郎に単独で勝つ事が出来るだけの実力を持っているか、あるいは柱を複数送る……といった感じか。
そんな訳で、結局のところ猗窩座は野放しになっている。
何しろ鬼殺隊として鬼が許せないのは、人を喰い殺すというのが大きい。
なのに猗窩座は今のところ人のいる場所に行っていないのだから。
勿論、それだけで猗窩座が人を食っていないという証拠にはならない。
例えば山で樵とか、何らかの食べ物を探しに来た相手と遭遇してそいつを食うとか、もしくは人をどこかに閉じ込めておいて、その相手を食っている可能性もあるし、それ以外でも下っ端の鬼に人の肉を用意している可能性も否定は出来ない。
細かいところまで考えると、それこそ数え切れない程に面倒な話になるので、取りあえずその辺については考えないようにしておく。
「さて、そんな訳でいよいよ今日から耀哉の治療と解呪が行われる訳だが……準備の方はいいんだよな?」
「ああ、勿論だよ。アクセルに色々と脅されていたから、きちんと準備は整えておいたよ」
「脅すというのは、人聞きが悪いな」
「そうかい? でも、私にとってはそんな風に感じたんだから仕方がないだろう? もっとも、それが私の為を思っての話なのは分かるけど」
そうして俺と耀哉が話していると、しのぶが姿を現す。
「お館様、アクセルさん、どうぞ気を付けて」
本来なら、しのぶは耀哉の主治医的な存在だ。
出来ればしのぶも俺達と一緒にホワイトスターに来たいと思ってもおかしくはなかった。
しかし、しのぶは耀哉の主治医的な存在であるのと同時に、蝶屋敷を任されている人物だ。
それを考えれば、蝶屋敷を放っておいてホワイトスターに行くというのは、かなり難しい事なのだろう。
……あるいは、以前エヴァが言っていた件もある。
このままだと長くないと、しのぶを見てエヴァはそんな風に断言したのだ。
その上、しのぶもそれについては納得出来るような様子を見せていた。
そう考えると、しのぶがホワイトスターに行って健康診断の類を受けたくないと思ってもおかしくはない。
「ああ、耀哉が次にこの世界に戻ってきた時、それは呪いもなくなり、健康な状態となっている筈だ。お前達はそんな耀哉を無事に迎える用意をしておけ」
「別にそこまで大袈裟にする必要はないと思うんだけどね。……ただ、しのぶ。私がいない間の鬼殺隊については任せたよ」
「はい、お任せ下さい」
耀哉の言葉にしのぶがそう返し……俺は耀哉を連れてホワイトスターに向かうのだった。
「ああ、やっぱり」
ホワイトスターの転移区画に転移したところ、耀哉は周囲を見回しながらそう告げる。
……見回しながらとはいえ、実際には目が見えないのだから正確には見えてないのだろうが。
そんな耀哉の呟きが気になり、尋ねる。
「どうしたんだ?」
「いや、ホワイトスターに来ると、やっぱり呪いの影響がなくなるんだと思ってね。鬼滅世界にいた時に比べると、随分と楽だよ」
そう言い、穏やかに微笑む耀哉。
耀哉にしてみれば、呪いはあるのが当然といった様子になっていた。
それだけに、今のような状態には色々と思うところがあるのも事実なのだろう。
一応以前ホワイトスターに来て軽く治療した関係で、俺達と接触する前よりは鬼滅世界にいても大分よくなったという話だったが。
それでもこうして実際に呪いの影響がなくなるというのは、耀哉にとって嬉しい事なのだろう。
「そうか。なら今回の治療と解呪が終了すれば、鬼滅世界に戻ってもホワイトスターにいる時と同じように行動出来ると思うぞ」
「そうなるといいね」
そう呟く耀哉と共に、影のゲートで治療をするバルシェム生成チャンバーのある部屋に転移する。
これで俺と一緒にいるのが耀哉ではなく他の者なら、ホワイトスターの光景を見ながら移動するといったような事もあったのだが、今の耀哉は目が見えない。
……まぁ、目が見えなくても臭いや音で周囲の状況を把握する事が出来るのかもしれないが。
「あら、アクセル。予定していたよりも少し遅かったわね」
バルシェム生成チャンバーのある部屋で待っていたレモンが、影から現れた俺と耀哉を見てそんな風に言う。
「すまないね。それはアクセルのせいではなく、私のせいなんだ」
「そう? まぁ、少しくらい遅れても構わないから、その辺は問題ないけどね。……それより、早速治療に入るから着替えてちょうだい。着替えの手伝いは量産型Wがやってくれるから」
レモンの言葉に、側に控えていた量産型Wがバルシェム生成チャンバーに入る為の服を手に耀哉に近付いていく。
耀哉も当然ながら、ここまで来て量産型Wに逆らうような真似はせずに大人しく手を引かれるままついていく。
「それで、何日くらいで治療は出来そうだ? ここで治療を終えて、それから木乃香による解呪を行うんだろう?」
「そうね。大まかな身体データに関しては以前調べてあるから、その更新にはそこまで時間は必要ないわ。治療は……耀哉はこれまでの生活でかなり身体に負担があるから、それを根本的に治療する必要があるわ。そうなると、行冥の時よりも治療は時間が掛かるでしょうね」
「だろうな。それは俺も納得出来る」
行冥は目が見えないという問題はあったが、それ以外は全く何の問題もないくらいに健康だった。
それに対して、耀哉は呪いによる影響で身体がかなりのダメージを受けていた。
そうである以上、その治療に時間が掛かるのは当然だろう。
「これでどうかな? 問題はないと思うけど」
着替えた耀哉が量産型Wと共に戻ってくる。
確かに耀哉が言ってるように、特におかしなところはない。
「ええ、問題ないわ。じゃあ、早速バルシェム生成チャンバーに入って貰いましょうか」
そう告げるレモンの言葉に、耀哉は真剣な表情で頷くのだった。
ゴポリ、と。
バルシェム生成チャンバーからそんな音がするのを聞きながら、レモンに視線を向ける。
システムの操作は終えたのか、もう特にやるべきことはない。
バルシェム生成チャンバーの中で液体に浸かっている耀哉の目は閉じられており、眠っているのが分かる。
これで、後はもう耀哉の目が覚めるのは身体の治療が終わった時だ。
「そう言えば……捕まえた鬼が1匹死んだのは聞いた?」
耀哉の様子を見ていた俺に向け、不意にレモンがそんな風に言ってくる。
「は? そうなのか? 一体何でだ? ……人の肉を食えないからか?」
鬼というのは、基本的に禰豆子のような例外を除いて人の肉を食う。
腹を満たすだけなら別に人の肉ではなく、普通の食事でもいいと思うんだが……普通の食事は無理らしい。
鬼になったデメリットの1つは、当然ながらそれだろう。
食に楽しみを見出す者としては、絶対に鬼になりたくないと思ってしまう。
そして当然だが、ホワイトスターでも人の肉を食べさせるといったような真似はしていない。
レモンが量産型Wの肉を培養して食べさせてみては? と提案していたが、鬼はそれも受け付けなかったと聞いている
「鬼舞辻無惨の名前を出したところで、死んだらしいわ」
「……そうか」
鬼舞辻無惨の情報を言えないように、鬼の身体には仕掛けがある。
耀哉の呪いの件もあるから、ホワイトスターに来ればその呪いから抜け出せるのではないかと期待していたのだが、どうやら無理だったらしい。
呪いを使って鬼舞辻無惨が鬼を殺しているという訳ではなく、人を鬼に変えた時に元からそういう仕掛けを組み込んでいるというのが正解だったか。
どういう仕掛けなのかは分からないが、厄介な真似をしてくれる。
「ホワイトスターに連れてくれば、鬼舞辻無惨の情報を入手出来るかもしれないと思っていたんだがな」
「向こうもその辺については考えていてもおかしくないわ。エヴァより長生きしてるんでしょう?」
そう言われると、俺もレモンの言葉に納得するしかない。
エヴァより長生き……それこそエヴァの倍近い年月を生きているのだ。
当然のように相応の用心深さは持ってるだろうし、自分に繋がる情報は可能な限り減らしたいと思うのは当然だろう。
「そうだな。向こうも色々とあるのは間違いない。……ただ、これで鬼舞辻無惨の情報を得るのが余計に難しくなったのは間違いない」
ホワイトスターに連れてきて鬼舞辻無惨の情報を聞き出すというのは、何気に結構期待していた方法の1つだ。
それが駄目となると……やっぱり猗窩座と召喚の契約をし、俺の血によって猗窩座の中にある鬼の血を駆逐、もしくは飲み込むといったような真似をして鬼ではなく別の生物にする必要がある。
鍵は猗窩座か。
あるいは上弦の参の猗窩座がああいう性格だった事を考えれば、上にいる他の2人も同じような性格なのか?
「頑張ってちょうだい。私の方は……マリューがちょっと興味深い研究をしてるわよ?」
「興味深い研究? 一体どんな研究だ?」
「鬼には色々と弱点があるけど、その中の1つに藤の花が苦手というのがあるでしょう?」
「ああ、しのぶが使ってる奴か」
しのぶは速度という点では柱の中でもかなりのものだが、力という点ではかなり弱い。
日輪刀で鬼の首を切断するというのが、鬼殺隊の剣士の基本的な鬼を殺す方法なのだが、しのぶの力ではそれが無理なのだ。
その為、しのぶは鬼が苦手とする藤の花から毒を作り出し、それを使って鬼を殺すという戦闘方法をしている。
「そう、それ。その藤の花の毒をどうにかもっと強力に出来ないかどうか試しているみたいね」
「……マリューの専門分野とはかなり違う方面な気もするが」
マリューの専門分野は、当然ながら機械系だ。
何しろSEED世界でPS装甲を開発したのがマリューなのだから、その才能は折り紙付きだ。
実際にはマリューだけで開発したのではなく、開発した研究グループの中にマリューがいたというのが正しいが。
ちなみにこのPS装甲、シャドウミラーではSEED世界とは別の方向に進化していたりする。
SEED世界では使用するエネルギーが少なくなるようにとか、エネルギー切れになっても装甲の色が変わらないように攻撃を受けた時だけ発動するといった感じだが、シャドウミラーの機体は基本的にエネルギーが無尽蔵なので、PS装甲そのものの頑強さを増すといった方向になっていた。
そんな研究をしているマリューが、藤の花の毒に興味を持つ?
不思議に思い、しっかりと話を聞くべきだと判断するのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730