転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3099話

 レモンからマリューが藤の花についての毒を研究していると聞いた俺は、耀哉の治療に専念する為にバルシェム生成チャンバーのところで待機しているというレモンをその場に残し、マリューに会いに行くことにした。

 ちなみにバルシェム生成チャンバーでの治療に関しては、前回耀哉がホワイトスターに来た時に基礎的な情報を手に入れているという事もあってか、実際にレモンが特に何かをするような必要はない。

 それでもレモンが残ったのは、今までのように単純に怪我や病気の治療ではなく、呪いに掛かっている相手の治療だからというのが大きいのだろう。

 もし万が一にも何かあった場合、それに対処する必要があると。

 呪いの影響が出た耀哉の治療に科学の申し子とも呼ぶべきレモンがどうにか出来るのか? と思わないでもなかったが、レモンならどうにかしてくれるという思いがあるのも事実。

 正直なところ、レモンなら何があっても大抵はどうにかしてくれると思えるんだよな。

 ともあれ、耀哉はそんなレモンに預け……現在の俺は魔法球が設置されている魔法区画にやってきていた。

 

「ウィル・ウィプスの修復とかに集中してるって話だったけど……いや、マリューならレモン程じゃないにしろ、幾つもの研究を同時に進行するといった真似も出来るのか」

 

 そんな風に呟きつつ、魔法球の護衛として魔法区画にいる量産型Wやバッタ、コバッタ、イルメヤ、メギロートといった無人機の面々を一瞥しつつ魔法球の中に入るのだった。

 

 

 

 

 

「ウィル・ウィプスに……ゴラオンもか?」

 

 魔法球の中に入った俺が見たのは、遠くに見えるオーラバトルシップの2隻。

 ただし、ヨルムンガンドやグランガランはなく、ゼラーナを始めとしたオーラシップの類もない。

 機械の館が内部に存在するヨルムンガンドは、オーラバトラーの技術を研究している技術班にしてみればそっちの方に強い興味を示してもおかしくはないのだが。

 ウィル・ウィプスの解析や補修を行っているという話を聞いていたものの、ゴラオンもというのは……いやまぁ、ゴラオンはシャドウミラーにとっても一番分かりやすいしな。

 オーラバトルシップは色々な種類はあるものの、ゴラオンは戦艦といった感じのコンセプトだけに、技術班にとっても判断しやすいのだろう。

 

「アクセルさん!? 一体どうしたんですか?」

 

 魔法球の中を歩いていると、セシルと出くわす。

 いつものようにロイドの世話を焼いているのか、その手にはおにぎりがあった。

 ……あのおにぎり、多分何らかのジャムが入ってるんだろうな。

 セシルの主張としては、白米は主食という意味でパンと同じだ。

 そしてパンはジャムで食べるという意味ではおにぎりにジャムを使ってもおかしくはないという主張だった。

 言っている意味では分からないでもないが、それを言うのならパンにもイカの塩辛とか梅干しとかを使っても美味く食べられるという事になる。

 いやまぁ、四葉辺りならそれでも何とかしそうではあるが。

 

「マリューに会いに来たんだよ。藤の花の件で色々と研究してると聞いてな」

「ああ、鬼滅世界の。……アクセルさんの持ってきたオーラマシンと鬼滅世界の鬼。正直なところ、どちらも非常に魅力的なんですよね。どちらを研究すればいいのか、ちょっと迷うくらいに」

「魔法球にいるんだから、研究する時間はたっぷりとあるだろうに」

 

 外の1時間がこの魔法球の中では48時間だ。

 そう考えれば、技術班の研究はどちらでも思う存分出来るだろうに。

 

「普通ならそう考えるんでしょうけどね。シャドウミラーの技術班の場合は、自分の研究していることに集中する人が多いですから。魔法球でたっぷりと時間の余裕があるのなら、その余裕は全て1つの研究に集中したいと思う人もいるんですよ」

「ロイドとかか?」

「いえ、ロイドさんはそういう意味では問題ないですね。幾つもの研究を同時に進めるといった真似が出来ますし。……あれでもう少し……」

 

 それ以上は口にしなかったが、セシルが何を言おうとしているのかは何となく理解出来た。

 セシルとロイドの関係は、半ば公のものだ。

 実際に2人の仲がどこまで進んでいるのかは、正直分からない。

 分からないが、傍から見ればこの2人は恋人、あるいは夫婦といった感じで間違いではない。

 

「ロイドの相手は大変だろうけど、頑張れよ。……で、マリューは?」

「え? ああ、マリューさんなら5号研究棟の方で研究してると思います」

「分かった。ならそっちに顔を出すよ。じゃあ、お前も色々と大変だろうけど頑張れよ」

 

 そう言い、俺はセシルと別れるのだった。

 

 

 

 

 

「あら、アクセル? どうしたの? ここに来るのは珍しいんじゃない?」

 

 5号研究棟に入った俺を見つけ、マリューが近付いて来る。

 こっちからマリューを捜さないといけないかと思っていたが、その必要はなかったらしい。

 

「レモンからマリューが藤の花の毒について研究してると聞いてな。……で、何か研究は進んだのか?」

「そうね。しのぶから貰った藤の花の毒性を強化する事には成功したわよ」

 

 毒の強化か。

 それはしのぶにとっても……いや、しのぶ以外の者にとっても悪い話ではない。

 鬼を殺す手段が1つ増えたということなのだから。

 

「藤の花の毒について研究するのなら、それこそしのぶと一緒に研究した方がいいんじゃないか?」

「その方がいいかもしれないけど、彼女はホワイトスターに来られないでしょう? そうなると、私が鬼滅世界に行く必要があるんだけど。研究施設の問題があるのよね」

「寧ろ、そんな研究設備で鬼を殺す藤の毒を作ったしのぶを褒めるべきなのかもしれないな」

「他には……そうね。藤の毒を詰めた銃弾とか作ってみたけど、それは鬼殺隊で歓迎されると思う?」

「銃弾か。それはちょっと難しいと思うけどな」

 

 鬼殺隊の剣士達は、剣士という通り日輪刀を使った攻撃を行っている。

 そして日輪刀以外に呼吸も使っている以上、銃火器は……鬼殺隊の剣士でも日輪刀が合わないという奴がいたら、そっちに回してみてもいいかもしれないが。

 

「ただ、試してみるのはいいと思う。幾つか試作してくれ」

「分かったわ。銃弾となると……拳銃? アサルトライフル? 小銃?」

「拳銃でいいと思う。小さいから見つかりにくいしな」

 

 銃弾の威力を求めるのなら、それこそ重機関銃とかそういうのを用意すればいい。

 鬼殺隊の剣士でも、呼吸を使って身体強化されているのなら使えるかもしれないし、行冥や蜜璃といったように力自慢なら使えるかもしれない。

 だが、今必要なのは毒を銃弾に込めてそれが鬼にどのような効果があるのかを試してみたいだけだ。

 それこそ例えば、掌に隠れる程度の小型の拳銃であっても問題はない。

 ……いや、あまりに拳銃が小さすぎればそもそも銃弾によって鬼の身体を傷つける事が出来なかったりするか?

 

「分かったわ。そのくらいならすぐに出来ると思うけど……どうする? 待ってる?」

「ああ。魔法球の中なんだから、多少ゆっくりしてもいいだろ」

 

 毒を銃弾に詰め、更にその銃弾を使う為の銃を作る。

 いや、この場合は銃は別に新しく作らなくても、シャドウミラーで普通に使っている銃にすればいいのか?

 その辺はマリューに任せておけばいいだろう。

 

「そう。じゃあ、ちょっと行ってくるわね」

 

 マリューは毒の弾丸を作るのに必要な諸々を手に、研究室を出ていく。

 そんなマリューの後ろ姿を見送った俺は……さて、どうするかな。

 オーラマシンの解析でも見に行くか、それとも適当にぶらつくか。

 そうだな、適当にぶらつくか。

 この魔法球に来るのも、何だかんだと久しぶりだ。

 その間に変わった所はかなり多い。

 ……というか、ほぼ別の場所ではないかと思うような場所だ。

 そんな訳で、色々と見て回る事にしたのだった。

 

 

 

 

 

「うわあああああああっ! エキドナが来たぞ! 逃げろ、逃げろ、逃げろ!」

「何ぃっ! ちょっと待て、来るにしても幾ら何でも早すぎだろ! もうちょっと余裕が……ぐわぁっ!」

「ひぃっ! 逃げるぞ!」

 

 魔法球の中を歩いていると、不意にそんな声が聞こえてくる。

 声のした方に視線を向けると、そこでは数人の技術者が虚空瞬動を使って逃げていたのだが、こちらも同じく虚空瞬動を使いながら魔法の矢を連続して放っているエキドナが追う。

 魔法の矢が石の矢である辺り、エキドナの怒り具合が分かるな。

 普通なら石の矢は人間の身体を貫くようなことが出来る威力を持つ。

 だが、技術者達は虚空瞬動もそうだが、魔力や気によって身体強化も行える。

 もしくは魔法によって障壁を作ったりも出来るので、石の矢であっても威力を減少させる事は難しくない。

 多分……本当に多分だが、あの技術者達が日輪刀を握っても赫刀になるんだろうな。

 鬼滅世界の刀鍛冶や柱達がそれを知ったら、一体どうなることやら。

 

「うわぁ……またやってるよ……あれ、アクセル?」

 

 上を見ていた中で聞こえてきた声に視線を向けると、そこにいたのはマードックだった。

 実は、マードックは純粋な才能という点では技術班の中でも一番下だった。

 技術班は元々レモンに選ばれた天才達が揃っている。

 具体的にどれくらいの天才揃いかと言えば、ギアス世界でも屈指の天才であるロイドが下から数えた方が早いといったくらいの天才揃いだ。

 そんな中で、SEED世界出身のマードックは技術者……この場合は研究者的な意味の技術者ではなく、アークエンジェルとかで修理をしたり整備をしたりするという意味での技術者だが、そんな存在だった。

 腕のいい技術者だったのは間違いないが、しかしそれはあくまでも多少は腕のいい程度しかない。

 そんなマードックだけに、天才揃いの技術班に入ったとしても、総合的に見た場合は一番実力が低くなるのは当然だった。

 しかしマードックの凄いところは、そのような状況であっても決して諦めなかった事だろう。

 自分の実力が最下位なのは分かっている。

 そうである以上、マードックは落ち込んでもおかしくはなかったのだが、徹底的に努力した。

 まぁ、元々相応の才能があった事も影響し、今のマードックは技術班の中でも最高の技術者……とまではいかないが、それでも下の上から中の下といった程度の実力の持ち主にはなっていた。

 努力の才能はあった、といったところか。

 それに技術班は色々な意味でぶっ飛んでいる者が多いが、陰湿なところはない。

 ……正確には当初は陰湿なところもあったのだろうが、レモンによってその辺は徹底的に潰されている。

 技術班の中にレモンをレモン様と呼ぶ奴がいるのは、その辺も関係してるのだろう。

 

「久しぶりだな、マードック。最近見なかったけど元気そうで何よりだ」

「そうか? あのオーラバトルシップとかオーラマシンを出す時に来たんだから、そこまで久しぶりって気がしないでもないが」

「魔法球の中にいれば久しぶりで間違っていないだろうに」

 

 マードックに呆れの視線を向ける。

 しかし、マードックにしてみれば魔法球の中にいるのはもうそれが普通になってしまったのだろう。

 ましてや、時の指輪の受信機も持っているので、魔法球の中で行動していても年を取るような事はない。

 

「そう言われるとそうかもな。……それにしても、オーラマシンってのは面白いな」

 

 そう言い、笑みを浮かべるマードック。

 どうやらオーラマシンはマードックにとって魅力的な技術だったらしい。

 

「興味を持って貰えたようで何よりだよ。けど、オーラマシンの技術はシャドウミラーの機体にフィードバック出来るのか?」

「うーん、それは難しいだろうな。基本的に生体兵器のオーラマシンだけに、科学技術で開発されたシャドウミラーの機体にはその技術を応用するのは……将来的には出来るようになるかもしれないが」

 

 そう言うマードックだったが、俺が使った場合オーラコンバータは間違いなく爆発する。

 マジックコンバータがあって、ようやく動かせるのだ。

 そういう意味では、マジックコンバータを流用するといったような感じになるのか?

 それ以外だと、装甲材とかそういうのは普通にシャドウミラー製の方が頑丈だし。

 オーラソードは……実体剣という意味ではそれなりに興味深いが、何だかんだと普通にシャドウミラー製の方が強力なのは間違いないだろう。

 そう考えると、今のところはオーラマシンの研究というのは趣味以外のなにものでもない。

 ただ、オーラバトルシップは移動基地としてそれなりに使い勝手がいいし、ドロは鬼滅世界にレンタルの話が進んでいるから、そういう意味ではオーラマシンはそれなりに成果を出しているのだが。

 ドロに関しては、鬼殺隊でも結構期待されているという話を聞いている。

 実際に使ってみないと何とも言えないが。

 

「今は無理でも、これから俺達が接触する未知の世界の中には、オーラバトラーのような生体兵器が主流な世界もあるかもしれない。それを考えれば、解析して技術的な蓄積はしておいた方がいいだろ?」

「そりゃあそうだけどな」

 

 俺の言葉に、マードックは確かにと頷くのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1730

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