凛との田舎デートを楽しんでから数日……俺の姿は、また鬼滅世界にあった。
ただし、鬼殺隊の隠れ里ではなく、浅草付近だ。
「ほら、アクセル。遅いわよ! さっさと来なさい! 今日はそんなに時間がないんだから、しっかりと楽しむわよ!」
そう言い、シェリルはストロベリーブロンドの髪を揺らしながら笑う。
「スレイもよ。こういう場所に来る機会なんて滅多にないんだから、楽しむわよ!」
「分かっている! だが……その、こういう場所はあまり慣れないんだ」
シェリルの言葉に、スレイは少し戸惑った様子を見せていた。
俺、シェリル、スレイ。
こうして考えると、何気に珍しい組み合わせだよな。
とはいえ、俺とシェリル、俺とスレイはそれぞれ恋人同士であるのだから、これが恋人同士のデートとなればそこまでおかしな話ではない。
「俺が言うのもなんだけど、折角なんだからスレイも楽しんだ方がいいぞ? ……人目が気になるか?」
「む、それは……その、普段と違う視線なのは気になるな」
スレイにしろシェリルにしろ、双方共に絶世のという表現が相応しいくらいの美人だ。
ましてや、顔だけではなく身体付きも非常に女らしい。
……大正時代の浅草という事で、服装は全員が違和感のないものになっているが、着物の類ではない。
浴衣とか着物とかそういうのって、メリハリのある身体付き……いわゆる男好きのする身体では向いてないらしいんだよな。
まぁ、タオルとかを使って身体の曲線を目立たなくするといったような真似は出来るらしいが、そういうのは面倒だからという事で洋服を着ている。
ただし、シェリルが好むような露出度の高い服ではないが。
何気にシェリルは露出度の高い服を好むんだが、大正時代でそんな服を着ると問題になりそうではある。
蜜璃の隊服の件もあるので、露出度に関しては決して有り得ないという訳ではないのかもしれないが。
ただ、美人というのはその時代によって変わったりする。
そういう意味では、スレイやシェリルの様子を……いや、通行人達が結構な割合でスレイやシェリルを振り返っているのを見ると、大正時代でもこの2人は十分に美人だと認識されているのだろう。
とはいえ、考えてみれば当然の話だ。
善逸がしのぶを顔だけで食べていける美貌と評しているし、禰豆子も可愛いと言っている。
俺の目から見ても、しのぶや禰豆子は善逸と似たような印象だ。
そうである以上、鬼滅世界の美的感覚は俺達とそう違いがないのだろう。
「ほら、スレイ。シェリルを自由にしておくと、かなり不味いことになるかもしれないぞ。置いていかれないように急ごう」
「え? あ、ああ。そうだな」
手を握ると、スレイの頬が薄らと赤くなる。
毎晩のようにベッドでそういう行為をしてるのに、こうして手を握るだけでも照れるというのは……うん、ある意味乙女らしい。
スレイと手を繋ぎながらシェリルのいる方に近付いていくと、シェリルは食料品店の店主と何らかの話をしていた。
「ねぇ、アクセル。このお店は江戸時代から続いてるらしいわよ。凄くない?」
「そうだな。江戸時代から今までとなると、それなりに長いな」
シェリルにそう返すが、実際にはそこまででもないような気がする。
これが平成の世界なら、江戸時代から!? といったように驚きもしたのだろうが、今はまだ大正だしな。
江戸、明治、大正と3つの時代で店が続いてきたのは凄いとは思うものの、そこまで極端に凄いとは思えない。
京都とかだと、それこそ100年以上店が続いていてもまだ新しいというように評されたりするらしいし。
それは京都が色々と規格外すぎるだけか。
「ちょっと見ていってもいい? 千鶴やマリューなら、美味しく料理してくれると思うし」
「そうだな。お土産に何か珍しい物があったら買っていけばいいだろ。スレイも何か見てきたらどうだ?」
「私もか!? ……こういうのを見ても、どういうのを買えばいいのか分からないんだが……」
戸惑いつつも、スレイもシェリルと一緒に店の中にある商品を見て回る。
「兄ちゃん、外国人かい? あんなべっぴんさんを2人も連れて、羨ましいね」
シェリルとスレイの様子を眺めていると、店主と思しき男からそんな風に声を掛けられた。
ちなみに店主は40代程の男で、かなり元気そうな人物だ。
「あの2人と一緒にいる時間が楽しいのは間違いないな」
「ははぁ……落ち着いた様子がいいな。兄ちゃんみたいに女にモテるんなら、吉原の遊郭とかに行ったりしなくてもいいんだろうな」
「……遊郭? そうだな。あまり行く機会はないと思う」
10人以上の恋人がいるのに、その上で遊郭に行ったりといったような真似はするつもりがない。
それに遊郭に行けば、女を抱くというのもそうだが、何よりも問題なのは酒が必須という事だろう。
恋人達……どころか、シャドウミラー全体で禁酒令が出されている俺としては、遊郭に行くのはちょっと遠慮したい。
何しろ酒を飲めばいきなり全く別の世界にいたり、もしくは女を抱いていたりといったようなことが何度かあったのだから。
もしそんな俺が遊郭に行ったら、一体どうなるか。
……目が覚めた時、別の世界にいたり、見知らぬ女との事後であったり、それどころか遊郭そのものが消滅してしまっていても驚かない。
「そうか? ただ……まぁ、最近は遊郭でもちょっと不穏な噂を聞くし、行かないならそっちの方がいいかもしれないな」
「不穏な噂?」
遊郭云々よりも不穏な噂という方が気になって尋ねる。
何しろ浅草は炭治郎が鬼舞辻無惨と遭遇した場所だ。
そんな浅草にある不穏な噂となると、鬼との関係も十分に有り得てもおかしくはない。
とはいえ、用心深い鬼舞辻無惨だ。
鬼殺隊の炭治郎と遭遇した以上、そのまま浅草にいるとは思えないが。
あるいはそのような状況であっても浅草にいるとなると、鬼舞辻無惨が浅草から離れられない何らかの理由があるという事だ。
具体的にどんな理由があるのか、分からないが。
「ああ、遊郭の中でも有名な花魁がここ最近、何人も行方不明になっているという話だ」
「遊郭の花魁か」
花魁というのは、その辺について詳しくない俺でも知っている。
遊郭の中にいる最高級の女で、それこそ金を出せば抱けるといったようなものではない。
それこそその辺の下手な人物よりも高度な教育を受けており、花魁を抱くには毎回とんでもない金額を出して何度も通い、共に酒を飲み、あるいは贈り物をして口説き、それで花魁がその気になってようやく抱けるのだ。
そんな花魁は、当然ながら育てるのにかなりの金が掛かっている筈なのに、それがいなくなるというのは店にとって大きなダメージだろう。
「ああ。どんな理由でそうなってるのかは分からないけど、勿体ないよな」
しみじみといった様子で男が呟く。
まだそっち方面では涸れていないのだろう。
いやまぁ、この時代は娯楽が少ないというのもあってか、子供の数がかなり多いらしい。
これは昭和になっても変わらず……だが、平成になると少子化が問題になってくる。
つまり、この店主もまだまだそういう意味では元気なのだ。
「勿体ないかどうかは別として、色々と疑問が残るな。……1人くらいなら、例えば男と駆け落ちしたとか、そういう可能性もあるかもしれないけど」
花魁は高度な教育を受けており、店の看板のような存在だ。
それこそ金持ちであっても金を出せば抱けるという存在でもない。
だが……それでも、娼婦であるのは変わらない。
中には花魁という職業を楽しんでいる者もいるだろうが、借金とかでやっている者も多いだろう。
そういう女にしてみれば、好きになった男と一緒に駆け落ちをするといった可能性も……まぁ、否定出来ない訳ではない。
勿論店の方でもそういうのは警戒しているので、そう簡単に成功はしないだろうが。
ともあれ、そんな風に少数ならまだ可能性があるが、何人もの……しかも花魁とかが行方不明になっているというのは、ちょっと理解出来ない。
理解出来ない? そう考え、もしかしてと思う。
この鬼滅世界において理解出来ない事の全てが鬼のせいといった訳ではないだろうが、それに結構な確率で鬼が関わっているのも事実。
まさかシェリルとスレイとデートをしていてこんな情報を入手出来るとは思っていなかったが、これはある意味で幸運だったな。
耀哉……はまだ治療中だから、現在鬼殺隊を率いているあまねと輝利哉に聞いてみるか。
炭治郎の先祖が鬼殺隊の関係者かどうだったのかも、まだ聞いてないし。
あ、でもヒノカミ神楽に関しては杏寿郎の父親が何か知ってるって話だったから、こっちは無理をしなくてもいいのか?
「俺の稼ぎじゃ、遊郭に行くなんて事はそうそう無理だし、行っても花魁なんかは相手にしてくれないだろうしな」
「花魁? 何の話?」
「っとぉっ! いや、何でもないよお嬢さん」
いつの間にかシェリルが近付いてきていた事に気が付いた男が、慌てて言う。
男としても、シェリルのような美人を前にして遊郭や花魁についての話をするような真似は出来ないのだろう。
だが、シェリルは呆れの視線をこっちに向けてくる。
「アクセル、まさか私達がいるのに遊郭に行こうなんて考えてないわよね?」
この言葉からすると、シェリルは遊郭や花魁について知っていたらしい。
いや、それは当然か? シェリルにとって歌に関係するのなら、どのようなものであっても貪欲に取り入れる。
マクロス世界でも、シェリルはアルトの存在について知っていた。
……歌舞伎と遊郭を一緒にすれば、専門家の類には大目玉を食らいそうだが。
「そうだな。行くつもりはない。そっち方面では、シェリル達がいるから毎晩退屈はしないし」
「そう言いながら、一体何人女を増やしてるのかしら。まぁ、いいわ。それより色々と面白そうな物があるけど、どれを買えばいいのかしら?」
どうやらこっちが本命らしい。
色々とありすぎて、何を買えばいいのか迷ってしまったのだろう。
スレイはまだ自分で何を買おうか迷っているだ。
「そこまで迷うのなら、気になるのを全部買ってもいいんじゃないか? 金はあるんだし」
鬼滅世界の金は、シャドウミラーから持ち出して売った物であったり、太陽から取ってきた岩石の値段であったり、神鳴流の紹介の仲介料であったり……これにはもう少ししたらドロを始めとしたオーラマシンの料金が入ったりする。
そうして入手した金だが、ぶっちゃけそこまで使い道はなかったりする。
何だかんだで、この世界の観光を楽しんでいるエヴァが一番使ってるんじゃないだろうか。
鬼滅世界で得た金で生活物資を買おうとしても、大正時代だけにどうしても生活物資の類は質が悪い。
それなら普通に他の世界で買った方がいい。
実際には使おうと思えば他にも幾らでも手段はあるんだろうが。
「いいの? じゃあ、そうさせて貰うわね。スレイにも教えてこなきゃ」
嬉しそうに言い、シェリルはスレイの方に行く。
それを見送っていると、何故か店主から尊敬の視線を向けられる。
「兄ちゃん、すげえな。あんな美人を……しかも何人もだと……?」
自分で言っていて信じられないと思ったのか、慌てたように首を振る。
「そうだな。こう見えてもそれなりにモテるんだよ。だから、残念だけど遊郭には行けそうにない」
「ご愁傷様と言うべきか、羨ましいと言うべきか」
それは心の底からの言葉なのだろう。
善逸と似たような性格をしている……というのは、店主に失礼か?
そんな風に考えていると、シェリルとスレイがそれぞれに選んだ食材を持ってくる。
正直なところ、俺にはどう使うのかもさっぱり分からないのも幾つかあるが、千鶴やマリューに任せておけば問題はないだろう。
その2人が分からなくても、俺達には料理に関する最終兵器たる四葉がいる。
超包子を切り盛りしている四葉にしてみれば、どんな食材だろうと見事に使いこなしてみせるだろう。
「毎度あり。じゃあ、羨ましい兄ちゃん、また来てくれよ」
嫉妬ではなく満面の笑みでそう言われたのは、何だかんだと結構な量の買い物をしたからだろう。
店としては、俺達は上客だった訳だ。
羨ましい兄ちゃんという言葉に、色々な感情が混ざっているように思えたが。
「買ったのが美味かったら、また来させて貰うよ」
そう言い、俺はシェリルとスレイの2人と店を出る。
なお、購入したのは結構な量だったので、建物の陰で空間倉庫に収納しておいた。
「それで、次はどこに行く?」
「うん? いいのか? 一度産屋敷家に戻るのかと思っていたが」
どうやらスレイは俺と店主の話を聞いていたらしい。
身体強化の影響で五感も鋭かったのか、それともシャドウミラーの一員として生活をしていれば自然とそうなるのか。
ともあれ、そんな風に言ってくる。
「気にするな。少しくらい遅れても構わないし、こうして流れている噂なら鬼殺隊に入ってるだろうし」
鬼殺隊によってかつて命を救われた者や、その一族で運営されている藤の家というのがある。
これは鬼殺隊の剣士が休む場所であると同時に、情報収集をしたりもすると聞いた事がある。
それらによってこの件の情報も多分入ってる……そう予想し、俺はデートの続きを楽しむのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730