転生とらぶる   作:青竹(移住)

3236 / 4276
3102話

 シェリルとスレイとのデートを終えると、俺は遊郭の件を一応知らせておくべきかと考えて産屋敷家に向かう。

 当然のように、そこには耀哉の姿はない。

 現在ホワイトスターで治療と解呪を行っている以上、それは当然の話だろうが。

 そんな訳で、俺の話を聞いたのは耀哉の妻のあまねと、耀哉の息子にして次期産屋敷家当主の輝利哉の2人だった。

 

「遊郭……ですか」

 

 そう言ったあまねは、隣に座っている輝利哉に視線を向ける。

 あまねの顔には複雑な表情が浮かんでいた。

 母親としては、まだ小さな輝利哉に遊郭についての話を聞かせるのは教育に悪いと思ったのだろう。

 だが、産屋敷家の者としては、鬼に関する事である以上は輝利哉にもしっかりと情報を聞いておいて欲しいと思う。

 そんな相反する様子のあまねだったが、最終的には次期産屋敷家当主というのを重要視し、この場にいることを許容した。

 

「ああ、浅草の近くにある遊郭についてだ」

 

 正確にはこの世界では他にも遊郭が幾つかあるのかは、ちょっと分からない。

 あるいは浅草の側以外には遊郭はないのかもしれないが。

 

「その遊郭で何人もが行方不明になっていると?」

「そうらしい。ただ、これは俺が実際に調べてきた内容じゃなくて、街中で流れている噂を聞いたものだ。だから、実際にはその噂が全くのデタラメだったり、あるいは行方不明になっている女がもっと多いという可能性も否定は出来ないな」

「それが鬼の仕業だと?」

「それは分からない。ただ、普通に考えてちょっとおかしい内容だったからな。念の為に報告しておいた方がいい思ったんだよ」

 

 その言葉に、あまねは少し迷った様子を見せる。

 あまねにしてみれば、今回の一件はどこまで本気で調査をすればいいのか迷ってるのだろう。

 あまねが女だから、遊郭で働く女が気にくわない……とは思っている可能性も否定は出来ない。

 耀哉がいたら、どう反応していたのやら。

 

「分かりました。では、そちらの方は調べさせてみましょう。もし鬼がいるとすれば、鬼殺隊としては放っておけません」

 

 最終的にあまねが選択したのは、遊郭の調査をするというものだった。

 まぁ、ここで調査をしないという選択肢は鬼殺隊として存在しないんだろうし、当然の結果ではあるが。

 

「その辺の判断はそっちに任せるよ。俺はあくまでも噂で聞いただけだし」

「ちなみに、アクセルさんがそれを調べるといったようなことはないんですか?」

 

 俺のあまねの会話に、輝利哉がそう口を挟んでくる。

 輝利哉にしてみれば、俺が遊郭の調査をすれば手っ取り早く分かると思ったのだろう。

 しかし俺は首を横に振る。

 

「いや、止めておいた方がいい。俺に仕事を頼むというのは、鬼殺隊にとって後々不味い事になると思うし」

 

 俺に頼むという事は、鬼殺隊がシャドウミラーに借りを作るという事を意味している。

 勿論、現在の状況であっても鬼殺隊はシャドウミラーに多くの借りを作っている。

 そういう意味では、鬼殺隊にとっても借りが少し多くなるという事になるが、自分達で出来る事は自分達でやるべきなのがいいのは間違いない。

 

「そうですか。では仕方ないですね」

 

 その辺の事情について理解したのか、それとも最初から理解はしていたのか。

 そこは俺にもちょっと分からなかったが。

 

「じゃあ、遊郭についてはそっちに任せる。ただ……十二鬼月が続けて死んで、上弦の参も俺に負けて逃げ出した。そんな状況で騒動を起こすとなると、よっぽどの考えなしか、あるいは正面から鬼殺隊や俺達と戦っても勝てると考えてる奴が相手だろうな」

「つまり……上弦の鬼が?」

「あくまでも可能性だ。けど、この状況でこうして動いてるって時点で色々と不自然な点があるのは間違いない。……あくまでもこれが鬼の仕業だと考えた上での話だけどな」

 

 実は鬼の仕業ではなく、女達が男と一緒に逃げているだけ……あるいは鬼とは全く関係のない犯罪に巻き込まれてるといった可能性は否定出来ない。

 遊郭だけに、犯罪の類とかはかなり多そうだしな。

 そう思うのは俺だけか?

 

「すると、上弦の鬼と遭遇する可能性も考えて腕の立つ人物……それこそ柱を送ったりといった真似をした方がいいと?」

「それもいいけど、こういう時だからこそ神鳴流の連中を派遣してもいいと思うけどな」

 

 神鳴流の剣士となると、生真面目な者が多いという印象がある。

 実際それは間違ってないだろうし、神鳴流としてもお得意さんになる可能性が高い鬼滅世界で問題を起こさないよう、性格に問題のある者は送ってこないだろう。

 だが……それだけに、遊郭での調べ物に向いているとは思えない。

 ただし、月詠のような者がいたのも考えると全員が本当に生真面目といったような事はないと思うから……やって来てる連中の中には遊郭に向かわせてこの件を調べるといったような真似をしても問題ない者がいてもおかしくはなかった。

 

「神鳴流ですか?」

「ああ。ただ、調査を依頼する以上、その費用は鬼殺隊から出す必要があると思うけど」

 

 遊郭で調べ物をするとなると、相応の金額が必要となる。

 勿論遊郭とはいえ、全ての店が高級店という訳ではない。

 中には安い金額で遊べるような店もあるだろう。

 しかし、当然ながら今回の件で噂になっているのは花魁のような高級娼婦が行方不明になっているからというのが大きい。

 その辺についての情報を得るとすれば、当然ながらその花魁達が働いていた店に行く必要がある。

 そのような店で遊ぶのは、それこそ金持ちのする事で俺の感覚だと1晩で数百……場合によっては数千万円単位が使われるのもおかしくはない。

 だからこそ、神鳴流が遊郭でこの件を調べるとなると結構な金が必要となる。

 

「その辺については、少し考えがあります。勿論神鳴流の方々に頼むのは勿論ですが、それ以外の方法も考えてありますので」

 

 あまねの言葉に、ならそれは任せた方がいいかと考える。

 

「分かった。その件については鬼殺隊の方に任せる。耀哉も……治療と解呪が終われば、リハビリの途中でもこっちに連絡をする事は出来るだろう。何かあったら耀哉に相談してもいいかもしれないな」

「そう出来ればいいのですけどね」

 

 それから少し会話をし、俺は産屋敷家から出る。

 もう少し話をしていたいとも思ったのだが、あまねも輝利哉も耀哉の代理として鬼殺隊を運用することに必死になっている。

 そうである以上、俺がそれを邪魔するような真似はしない方がいいだろう。

 だからこそ、用件だけを話し終えてから産屋敷家を出たのだが……

 

「さて、どうするかね」

 

 ホワイトスターに戻るか、もしくは鬼滅世界を見て回るか。

 どっちでもいいんだが……そんな風に考えながら歩いていると、道の先から見覚えのある人物がやってきた。

 

「先生、どうしたんですか!?」

 

 その人物……善逸は、俺を見ると驚きの表情を浮かべてそう言ってくる。

 

「ちょっと産屋敷家に用事があってな」

 

 ちなみに当然の話だが、現在耀哉がホワイトスターにいるのを知ってるのは、鬼殺隊の中でもほんの一部だけだ。

 善逸のような平の剣士は、それについて知らない。

 だからこそ、俺の口から出た産屋敷家に用事があったというのは、耀哉に用事があったと判断していてもおかしくはないだろう。

 

「そうですか。あ、その……もしかして、それって俺が聞いてもいい話ですか!?」

「あー……そうだな。鬼殺隊に所属してるのなら、聞いてもいいと思うぞ。それに善逸にとっても興味深い話だろうし」

「え? 俺にですか?」

「ああ。簡単に言えば、浅草の側にある遊郭で最近になって何人もの女が行方不明になっているらしい」

「遊郭!?」

 

 遊郭という言葉に過敏に反応する善逸。

 ある意味予想通りではあるよな。

 女好きの善逸にしてみれば、遊郭というのは未だ見ぬ桃源郷といったところか。

 善逸は何気に顔立ちが整っているから、遊郭に行けばそれなりにモテると思うんだよな。

 ただまぁ、善逸の性格を考えると娼婦……遊女と呼ぶんだったか? とにかく女にいいように利用されて金を搾り取られるような未来しか思い浮かばないが。

 

「そうだ。そんな訳で、遊郭に人をやって調べる事にしたらしいが……言っておくけど、それに善逸が入るのは無理だぞ」

「何でですかぁっ!?」

「うおっ!」

 

 お前は遊郭に行けないと言った瞬間、善逸は血の涙を流しながら迫ってくる。

 そのあまりの迫力に、思わず数歩後退る。

 多分だけど、善逸のこの迫力があれば下弦の鬼程度なら怯ませる事が出来ると思うんだよな。

 そんな風に考えながら、善逸を落ち着かせるべく口を開く。

 

「そう言われてもだな。この件は俺じゃなくて鬼殺隊が調べるんだ。そうである以上、俺に指揮権とかそういうのはない」

「それは……」

 

 興奮していた善逸も俺の言葉で我に返ったのだろう。

 今の状況で自分が何を言っても遊郭に行く事は出来ないと判断したらしい。

 

「それにしても善逸だけで行動してるのは珍しいな。他の2人……禰豆子も入れれば3人か。3人はどうしたんだ?」

「炭治郎と禰豆子ちゃんは煉獄さんの家に行ってます。伊之助は現在命令を受けて出掛けてますね。……何でも神鳴流とかいう人達と一緒に行動するらしいんですけど、あの人達ってどういう人なんです?」

 

 そう尋ねる善逸は、どこか怪訝そうな様子だ。

 怖がっている……というのとはまた違って、本当に分からないといったような様子。

 

「どういうって言われてもな。こことは違う世界にいる剣士の集団だよ。特に妖怪とかを倒すのに特化している。そういう意味では、鬼殺隊と少し似てるところがある」

 

 ただ、神鳴流も平成の世界を生きる者達だ。

 ましてや、妖怪の類いはネギま世界……表の世界には殆どいない。

 鬼に家族や友人、恋人を殺されて、その恨みを晴らす為に鬼殺隊の剣士となった者達と比べるのはちょっと間違っているかもしれないな。

 

「似てる……似てる、ですか? 何だかあの人達から聞こえてくる音は、俺達と同じようでいて、違うような……そんな微妙な感じなんですけど」

 

 似てるようで違うか。

 だとすれば、それはもしかしたら別の世界の人間だからとか?

 一瞬そう思ったが、考えてみれば別の世界の人間という事なら俺達もそうか。

 俺が人間と呼べるのかというのは取りあえず置いておくとして。

 

「神鳴流だから、色々と違うところもあるのかもしれないな。取りあえずそういう存在だと認識しておいてくれ。聞こえてくる音は違っても、害はないんだろう?」

「そうですね。もし害があるのなら、伊之助が野生の勘で判断していたでしょうし」

「野生の勘か。言い得て妙だな」

 

 猪の頭部を被っているだけに、野生の勘と言われると納得出来る。

 納得出来るが……同時に、伊之助が神鳴流と上手くやれるのかと疑問に思う。

 伊之助は腕が立つのは間違いないし、才能もある。

 だが野生の勘と称されたように、野生動物の如き存在でもあった。

 それだけにかなり癖の強い性格をしており、炭治郎や善逸となら何だかんだと上手くやれると思うが、見知らぬ相手となると……うん。騒動になるような未来しか見えない。

 

「善逸は伊之助が神鳴流と上手くやれると思うか?」

「どうでしょう? 最近は何だかんだと伊之助の扱いに慣れて来ましたけど、それはあくまでも俺達だからですし。……ただ、神鳴流の人達って強いんですよね? なら、伊之助と喧嘩になっても何とかなりそうな気がしませんか?」

「何とかなるとは思うが、それはいわゆる肉体言語だぞ?」

 

 伊之助が突っかかってくるのなら、神鳴流の方でも素直にそれを受け入れるといったような真似はしないだろう。

 さすがに伊之助を殺しはしないだろうが、攻撃をするといったことは普通に考えられる。

 ……それで伊之助が負けると、また『ゴメンネ、弱クッテ』モードに入ってしまいかねない。

 

「出来れば上手くいって欲しいな」

「そうですね。……そもそも、神鳴流の人達と一緒に行動するのはいいですけど、何で伊之助なんでしょう?」

「さぁ? でも、普通に考えて伊之助に見知らぬ相手と上手く連携しろというのは難しいだろうな」

 

 これが炭治郎や善逸なら、伊之助も上手く連携出来るだろうが。

 

「そうなんですよね。神鳴流の人達は間違いなく伊之助の扱いに戸惑ってるでしょうし。……下手をすれば、伊之助が神鳴流の人達と戦うなんて事になってるかもしれませんよ?」

「それは否定出来ないな。……そうなった場合、どうなると思う?」

「神鳴流の人達は強いんですよね? そうなると、伊之助が負けると思います」

「普通に戦えばそうなりそうだな」

 

 俺の口から出た言葉が意外だったのが、善逸は俺の方に視線を向けてくる。

 

「どういう事ですか?」

「神鳴流は、鬼殺隊に雇われている。そうである以上、神鳴流にとって鬼殺隊は雇い主なんだ。そう考えると、戦いになっても神鳴流が伊之助に攻撃をするとは限らない」

 

 雇用主と雇用側となれば、その関係は一筋縄でいかないだろうと、そう思うのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1730

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。