俺が遊郭に行かないというのは、天元にとってはあまり問題ではなかったらしい。
……多分、話の流れ的に俺が手伝うということになってるのが、天元にとっては嬉しいのだろう。
俺が直接天元と戦った事はないが、それでも天元は完全ではないにしろ、ある程度俺の実力を見極めるといった真似は出来るのだろう。
あるいはエヴァと実弥の戦いをホワイトスターで見て、それで俺がエヴァよりも上の地位にいるという事から予想したのか……いや、別に上司だからって強いという訳じゃないが。
そうなると、考えられる可能性としては……汽車の時に俺が猗窩座と戦ったのを見た杏寿郎から聞いたのかもしれないな。
とにかく、そんな訳で話が決まり……
「ほら、じゃあ行くぞ。こんなところで地味に話していても仕方がねえ。まずは藤の家に行って準備を整える。……それで、アクセルに連絡をするにはどうすればいいんだ? 戦いになれば派手に建物とかが壊れる可能性があるし、それを見てくるのか?」
「いや、それだと手遅れになる可能性もある。……これを使え」
そう言うと、空間倉庫の中から取りだした通信機を天元に渡す。
本来なら、鬼に渡る可能性を考えると鬼殺隊に通信機を渡したくはない。
だが、天元は柱だし、そう簡単に鬼に通信機を奪われるような事はないだろう。……ないと思いたい。
「これは何だ?」
「通信機だ。これを使えば、いつでも俺と連絡が取れる」
ゲートの機能を使った通信機なので、それこそ俺が鬼滅世界以外の場所……ホワイトスターだったり、他の世界にいても連絡を取る事が出来る。
そういう意味では、俺がいつどこにいても遊郭に潜んでいる鬼を見つけて戦闘になれば、すぐにでも俺を呼ぶ事が出来る。
とはいえ、通信機で俺を呼んでも実際に俺がその遊郭に行くまでの時間は必要となるのだが。
ただし、俺には影のゲートがある。
鬼滅世界にいればすぐにでも影のゲートで転移出来るし、鬼滅世界以外の世界にいた場合でも転移区画まで影のゲートで転移して鬼滅世界に移動し、そこからまた影のゲートを使えば問題はない。
「ほう、これは派手に便利そうだな」
通信機について興味を持った天元に対し、実際に通信機をどう使うのかといった方法を教える。
天元はそれを興味深そうに聞き……そして、すぐにその使い方を理解した。
実際には通信機はそこまで複雑な操作を必要としないので、おかしな話ではないかもしれないが。
勿論、複雑な使い方をしようとすれば、そういう真似も出来るだろう。
だが、今回の場合はあくまでも俺に連絡をするという使い道である以上、問題はないだろう。
「よし、これで準備はいいな。おい、行くぞ! 今からすぐに向かう!」
「え? えええええ? ちょっ、俺は仕事を終えて戻ってきたばかりですよ!?」
天元の言葉に善逸が思い切り叫ぶ。
とはいえ、天元にしてみればここで時間を使うといったような真似をする訳にはいかないのか、すぐにその場から消える。……というか、走り去る。
元忍者の柱だけあって、素早い動きだな。
炭治郎はそんな天元の動きを目で追えなかったのか、随分と離れた場所にいるのを見て、それでようやく天元が走っているのを理解したのだろう。
慌てた様子で叫ぶ。
「善逸、伊之助!」
「ああ、もう、分かったよ! 先生、じゃあまた!」
「猪突猛進!」
そんな風に炭治郎達が去っていく。
結果として、俺と蝶屋敷の面々だけがここに残った訳だが……
「何だかかなり急がしかったな。まぁ、それはいいとして。しのぶの治療は順調だ。リハビリ……ここだと機能回復訓練と言った方がいいのか? それが終われば、すぐに戻ってくると思う」
その言葉に、アオイを含めた皆が喜びの声を上げ、滅多に表情を変えないカナヲまでもが少しだけ笑みを浮かべたように思える。
何だかんだと、しのぶは蝶屋敷の中でも大きな存在感を持ってるんだな。
「それで今回の件だが……天元の事はあまり悪く思わないでくれ。さっき聞いたように、妻が3人揃って遊郭で行方不明になっているらしい。それを考えれば、あんな風に強引にどうにかしようと思ってもおかしくはないだろうし」
「……分かりました」
今回の一件で一番被害を受けたアオイが、そう告げる。
とはいえ、本当に心の底から天元を許したといった様子ではない。
俺が言ったから、取りあえず頷いておいたといった様子だろう。
そしてアオイが俺の言葉に頷いたからか、3人の方も納得した様子を見せる。
カナヲは、どうなんだろうな。この様子を見るとちょっとどう思っているのかは分からないが。
「ただ、そうだな。この件はしのぶが戻ってきたら、しのぶに言っておけ。そうすれば後で天元にお仕置きをするだろうし」
一体しのぶが天元に対してどんなお仕置きをするのかというのは、正直なところ分からない。
だが、天元が嫌がるような事をする可能性は十分にあるだろう。
しのぶは蝶屋敷にいるアオイ達を可愛がっている。
そんなアオイ達が天元によって強引に連れていかれそうになったのだから。
しかも天元が向かおうとしていたのは、遊郭。
アオイのような真面目な……それこそ委員長気質とでも呼ぶべき女が遊郭に行ったら、一体どうなるのやら。
しのぶもまた、そういう男女関係には疎そうだしな。
美人なのに勿体ない。
「分かりました。そうします」
しのぶに言えばいいという事になった為か、アオイの表情は先程よりは随分とマシなものに変わった。
それだけしのぶが頼りにされているという証だろう。
「にしても、今日はエヴァはいなかったんだな。エヴァがいれば、天元もあそこまで強引な真似は出来なかっただろうし」
「訓練を受けている皆さん、仕事でいませんでしたから。それに……エヴァさんも、ちょっと京都に足を伸ばしてくると」
大正時代であっても、京都まで移動するというのはそれなりに時間が必要となる。
これが昭和や平成なら、ある程度交通設備とかもしっかりして、楽に移動出来るんだが。
ただ、エヴァの場合は俺と同じく影のゲートがある。
京都に行こうと思えば、それこそ数秒で移動出来るのだ。
そういう意味では、エヴァが興味を持つ京都に行くのはおかしな話ではない。
とはいえ、観光をするのはその旅路も楽しむのが普通だ。
だとすれば、京都に行く際もきちんと歩いて移動した可能性は……さすがにないか。
折衷案として、京都から少し離れた場所に移動して、そこから京都まで歩いて移動か? ……エヴァの性格を考えると、普通にありそうな気はする。
「京都か。エヴァらしいな」
「そうですね。……そう言えばこの時代の技術がどうとか、そんな風に言ってましたけど」
「技術? なるほど。ただ、それはちょっと難しいと思うが」
その辺について俺はあまり詳しくないものの、大正時代に何らかの理由……後継者がいないとか、そういうのだと思うが、それで技術が途切れたような、そんな技術の持ち主をシャドウミラーで保護したいとか、そんな感じなのだろう。
シャドウミラーなら受信機があれば不老になれて、その技術を失うといった事はないだろうし。
ただ、それが実現可能かどうかとなると……微妙なところだろう。
エヴァがもし本気でそのような真似をするのなら、政治班辺りに話を通すだろう。
そして政治班がエヴァの要望に許可を出したのなら。俺からは特に何も言うような事はない。
「そうなんですか?」
「ああ。俺達の国は色々と特殊だからな。そう簡単に人数を増やしたりは出来ない」
何しろ国民になれば不老になれるという特典がある。
この件が広まれば、間違いなく多くの者が国民にして欲しいと主張してくるだろう。
しかし、当然ながら不老を目当てにしてくるような相手は色々と面倒な奴が多い。
全員がそうだという訳ではないのだが。
獅子身中の虫とか、冗談ではない。
「そういうものなのですか。……あ、すいません、時間を取らせてしまって。今日はありがとうございました」
『ありがとうございした』
アオイが感謝の言葉を口にすると、それに合わせたように子供3人組も揃って頭を下げ、カナヲもまた小さくだが頭を下げる。
「気にするな。蝶屋敷は鬼殺隊にとっても重要な場所だからな。……本来なら量産型Wとかコバッタが天元を止めてもよかった筈なんだが、柱だから味方だと判断したんだろうな」
とはいえ、もし天元がアオイを連れていった場合、しのぶも現在ホワイトスターで治療中だと考えると、アオイがいなくなった蝶屋敷はほぼ機能停止状態になっていた気がする。
しのぶの継子であると考えると、カナヲもそれなりの治療技術は持っているのかもしれないが、カナヲの場合はあくまでも剣士としての方に重点が置かれている。
子供3人組は、子供である以上はそこまで高い治療技術は持っていないだろう。
だとすれば、量産型Wが頑張るのか? ……ただ、量産型Wは頭部のヘルメットのせいで、決して評判がよくないんだよな。
純粋な能力という点で考えれば、間違いなく一級品なんだが。
天元に悪意の類がなかったのが、量産型Wやコバッタが動かなかった理由かもしれないな。
そんな風に思いつつ、俺はアオイ達に挨拶をしてからその場から立ち去るのだった。
「そうかい。この件に関しては、後で天元に言っておかないといけないだろうね」
蝶屋敷から産屋敷家に移動すると、俺は耀哉に天元の一件を話した。
耀哉にとっても天元のその行動は予想外だったらしく、少し驚いた様子を見せている。
……ただし。その手にはチョコクッキーがあったのだが。
このチョコクッキーは、ペルソナ世界の洋菓子店で購入した奴だ。
ゆかりから評判の店だと聞いて買いに行ったんだが、実際に評判になるだけの味ではあった。
サクッとした食感と口の中に入れるとクッキーがほろりと溶けて、チョコのほろ苦さと甘みがクッキーを覆い隠す。
難点を言えば、チョコクッキーは緑茶ではなく紅茶で食べたかったという事か。
とはいえ、緑茶とチョコクッキーも合わない訳ではないのだが。
緑茶じゃなくて抹茶クッキーとかあるんだし、相性はいいのかもしれないな。
「そうしておいてくれ。妻が3人揃って行方不明になったのがショックだったのかもしれないが、何もアオイを連れていかなくてもいいだろうに」
別に女の剣士は他にもそれなりにいる。
鬼と戦えず、更に委員長的な性格で遊郭には全く向いていないアオイよりも、遊郭での調査に向いている奴は他にもいると思うんだが。
あるいは、最初からアオイ達を連れていくつもりはなく、炭治郎達をからかっていただけか?
そう考えると、炭治郎達が仕事から戻ってきたところでアオイ達を連れ去ろうとしていたという風にタイミングがよかった理由も納得出来るんだが。
「けど、代わりに炭治郎達を連れていったのだろう? ……遊郭で戦力になるかどうかは、分からないけど」
「だろうな。女装させるにしても、色々と問題があるのは間違いないし。……ちなみに、本当にちなみにの話だが、耀哉は遊郭に行った事はあるか?」
「いや、ないよ。私は小さい頃から産屋敷家の当主になる為の毎日だったからね。そして当主の座を引き継げば、鬼殺隊の運営に忙しかったんだ」
「それでも遊郭に行けるだけの暇はあっただろうに。……ああ、でも耀哉が一人で遊郭に出掛けようとすれば、護衛とかも必要になるのか」
特に今は視力が回復しているものの、少し前まで耀哉は盲目だった。
そんな耀哉が遊郭に行くとなれば、当然ながら護衛が必要になるだろう。
……そうなると、耀哉の身を守るんだから当然のように護衛は普通の剣士ではなく、柱とかその辺になる。
鬼殺隊の最高戦力を連れて遊郭……何だか色々な意味で凄い事になりそうだ。
「はははは、そうだね。でも……私がそのような場所に行けば、あまねはきっと悲しむだろうから、もし行く機会があっても行かないだろうね」
あまねと耀哉は、何だかんだといい夫婦なんだよな。
本人達がそれを実感してるかどうかは、また別の話として。
「それに、私だけではね。アクセルも遊郭には行かないんだろう?」
「へぇ……何でそう思った? 俺は耀哉と違って1人の女だけを愛するんじゃなく、愛する女は全てを愛している。そうである以上、遊郭に行ってもおかしくはないと思うが?」
「何でと言われても、何となくとしか言いようがないかな」
その言葉は、耀哉の言う通り本当に何となくそのように思ったかこその言葉なのだろう。
もっと具体的に言えば、耀哉の持つ鋭い感覚で何となくそんな風に判断し、それを口にしたといったとろか。
「耀哉は、もしかしたら念動力の素質があるのかもしれないな。あるいはニュータイプか」
もし耀哉がUC世界で1年戦争に参加しており、ジオン軍のMSパイロットだった場合、フラナガン機関に目を付けられてもおかしくはない。
そんな風に考えながら、俺は耀哉と会話を続けるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730