転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3146話

 刀鍛冶の里に来てから、数日が経った。

 ちなみにここで遭遇した蜜璃は、俺が五飛と獪岳の模擬戦を見終わって宿に戻ったら、丁度刀鍛冶に呼ばれて最終調整をするという話になり、そのまま調整を終えると帰っていった。

 それから数日……俺は特に何かをするような事もなく、たまに子供達と遭遇してはちょっと遊ぶといったような感じだった。

 ただ、そうして暇をしているのは俺くらいだが。

 ちなみにこの数日において、一番忙しいのは炭治郎だろう。

 聞いた話だが、無一郎が求めていた強くなる手段というのは、刀鍛冶の里に伝わっている人形と模擬戦をするというものだったが……その人形に関して色々とあったらしい。

 簡単に言えば、その人形は非常に高い技術で作られているのだが、今その人形を代々守ってきた家の者ではその人形をきちんと整備したり修理したりといったような真似が出来ないらしい。

 その人物はまだ子供で、父親ならまだ何とかなったかもしれないが、その父親も死んでしまっているという状況。

 結果として、その人形を無理に使おうとする無一郎と、偶然その場を通り掛かった炭治郎がぶつかり……だが、当然ながら炭治郎は急激に強くなっているとはいえ、まだ柱には遠い。

 その結果として炭治郎はあっさりと負け、その人形は強引に使われ、腕が1本壊されたらしい。

 腕が1本……そう、その人形は左右で合計6本の腕を持っていた。

 何でもその人形のモデルとなった者の技術を人形で再現するには、どうしても6本の腕が必要だったとか。

 で、何がどうなったのかは分からないが、現在炭治郎はその腕が5本になった人形と訓練をしているらしい。

 正直、その話を聞いた時は、え? 何で? という風に思った。

 その人形は修理が出来ないからこそ、無一郎との訓練には出来れば使いたくなかった筈なのに、炭治郎の訓練には使ってもいいというのは……

 いやまぁ、俺個人としてはこの世界の主人公の炭治郎が強くなるのは賛成だから構わないのだが。

 そして……暇潰しに見学にきた俺の視線の先で、炭治郎はその人形の頭部に一撃を入れたのだった。

 

「アイダ!」

 

 人形の頭部に一撃入れた炭治郎は、そのまま尻から地面に落ちてそんな悲鳴を上げる。

 そんな炭治郎に、人形の持ち主……小鉄が駆け寄る。

 ちなみにこの小鉄とは、俺もそれなりに仲良くなった。

 ……最初は俺を警戒していた様子だったが、刀鍛冶の里の子供達と俺が遊んでいるのを見てからは、ある程度こっちに気を許すようになったらしい。

 炭治郎に対してスパルタなのはどうかと思ったが、炭治郎が強くなるのは俺としても大歓迎なので、問題はない。

 そんな小鉄が炭治郎に大丈夫かと言ってるところで……ふと気が付く。

 

「なぁ、おい。炭治郎、小鉄……人形が……」

「え? 一体……」

「こ、これは……」

 

 俺の視線の先では、人形の頭部が破壊された。

 それそのものは、そこまで珍しいものではない。

 元々この人形は長い間修理とかも出来ないままに使われてきた。

 そうである以上、炭治郎の一撃によって頭部が壊れるのは間違いない。

 だが……その頭部の内部に、1本の刀があるのを見れば話は別だった。

 

「う……うわああああああっ! 小鉄君、小鉄君、小鉄君! これ、これ、これ……日輪刀だよね!?」

「は、はい。間違いありません! まさか、こんな事があるなんて!」

 

 人形から出て来た刀……恐らく日輪刀を見ながら、そんな風に騒ぐ2人。

 それはいいんだが、その驚きようが普通ではなかった。

 炭治郎が万歳するような体勢になり、小鉄はその炭治郎と手を握るようにして逆立ちのような体勢になっていた。

 いやまぁ、この状況を考えると驚いてもおかしくはないが……それでも、ちょっと驚きすぎじゃないか?

 そうかと思えば、今度は2人が地面に正座して姿を現した日輪刀を観察していた。

 

「これ、多分300年以上は前の日輪刀ですよね?」

「そうだよね。これ、一体……もしかして、知られざる歴史って奴かな? 凄い日輪刀なのは、多分間違いないよ」

「300年前の日輪刀……興奮が治まりません!」

 

 その言葉通り、興奮を抑えられないようにはぁはぁと荒い息を吐く小鉄。

 いや、小鉄だけではなく炭治郎も同様か。

 2人の気持ちは分かるが、これは一体どういう謂われの日輪刀なんだ?

 普通に考えれば、この人形のモデルとなった剣士……それこそ腕が6本ないとその剣筋を再現出来なかったという、腕利きの剣士が使っていた日輪刀なんだろうが。

 とはいえ、こうしてわざわざ人形の中に隠してあったという事は、何かそうしなければならない意味があったと考えるべきだろう。

 具体的にそれが一体どういう意味なのか、俺には分からなかったが。

 そんな風に考えている間に、炭治郎と小鉄は人形の中にあった日輪刀を取り出し……次の瞬間には2人揃ってショックを受けた状態になっていた。

 

「どうした?」

「アクセルさん……これ……その……」

 

 俺の言葉に炭治郎が日輪刀を見せてくるが、それを見れば炭治郎と小鉄が落ち込んでいる理由が分かった。

 少しだけ鞘から引き抜かれたその刀身は、明らかに錆びているのだ。

 ……まぁ、考えてみれば当然か。

 この人形の中……それも首とか胴体の中心部分にあったという事は、恐らくこの日輪刀は人形が出来た時に組み込まれたものだ。

 それはつまり、この人形と同じくらいの古さを持つという事になる。

 あるいは、小鉄の先祖が人形の修理とかをしている時に何らかの理由で人形に日輪刀を仕込んだという可能性もあるが。

 

「錆びてるな。……まぁ、人形に隠されていたのを考えると、当然かもしれないが。けど、錆びてるなら研ぎ直せばいいんじゃないか? 何なら俺が……というか、俺の仲間に研ぐのを任せてもいいけど」

 

 300年……あるいはもっと前の日輪刀。

 シャドウミラーの技術班なら、これに興味を持つ者もいるだろう。

 もっとも技術班にこの日輪刀を研ぎ直させた場合、最悪日輪刀に妙な改造……それこそ、スイッチを入れるとレーザーが発射されるとか、そんな改造をされる可能性もあったが。

 とはいえ、それで鬼との戦いが有利に進められるのなら、鬼殺隊的に問題ないとは思うが。

 

「え? 出来るんですか、それ……?」

「ああ、そういうのも問題なく出来る」

 

 実際にはシャドウミラーの技術班の専門は人型機動兵器の研究が主だ。

 あるいはマリューのように、ある意味趣味で鬼滅世界で使われている藤の花の毒の研究をしたりしてる者もいるが。

 ただ、マリューが研究してるのはいいが、実際には藤の花の毒が有効なのはあくまでも鬼滅世界でしか効果がない。

 例えば鬼という事ならネギま世界にも存在するが、その鬼に藤の花の毒を使っても意味はない。

 かなり話は違うが、鬼滅世界の鬼が異世界の食べ物を食べられるというのも、ある意味で藤の花の毒のようにこの世界特有の現象なのかもしれないな。

 ともあれ、量産型Wが鬼殺隊の里にいる刀鍛冶達の手伝いをしているので、その辺の技術も完全ではないにしろ、ある程度持っている。

 そうである以上、技術班がそれをベースにすれば、この刀を研ぐといった真似も……

 

「待て」

 

 と、不意にそんな声が聞こえてくる。

 何だ? と思って声のした方に視線を向けると……木の間から1人の男が姿を現す。

 それは、筋骨隆々の大男といった感じの相手。

 ひょっとこのお面を被っているので、刀鍛冶の里の者で間違いないんだろう。

 ……とはいえ、これって実は何気にちょっと危険だよな。

 なにしろひょっとこのお面を被っていれば、刀鍛冶の里の者だと判断されるのだ。

 それはつまり、侵入してきた奴がひょっとこのお面を被っていても、それを侵入者だと見抜けないということを意味していた。

 あるいは刀鍛冶の里の者達にしてみればちょっとした仕草とかで本物かどうかを判断したりしてるのかもしれないが。

 

「誰だ?」

「……その日輪刀を寄越せ。後は任せろ」

「え? この声……もしかして、鋼鐵塚さんですか!?」

 

 俺が不審者に向けるように尋ねると相手が答え、それを聞いた炭治郎が驚く。

 鋼鐵塚……それは確か、炭治郎の日輪刀を作った奴だったな。

 日輪刀に何かあったら、包丁を持って追い掛けてくるとか何とか。

 ただ、炭治郎は別に日輪刀を壊したりはしていない。

 上弦の陸との戦いでも、それは同じだった。

 つまり、鋼鐵塚が怒る理由はないと思うんだが……というか、ぶっちゃけ今の鋼鐵塚の外見を見ると、炭治郎よりも強そうに見えるんだが。

 それは別に俺の気のせいって訳でもないだろう。

 ……鋼鐵塚は刀鍛冶よりも鬼殺隊の剣士の方が向いてるんじゃないか?

 そんな風に思いながらも、小鉄と炭治郎が持っている日輪刀を奪おうとしているのを見て、どうするべきか迷う。

 これが全く見知らぬ相手なら、日輪刀を奪おうとしているのだから敵だと判断してもおかしくはないだろう。

 だが、鋼鐵塚は炭治郎の担当の刀鍛冶だ。

 だとすれば、これは俺が止めたりとか、そんな風にしなくてもいいんじゃないか?

 

「俺に任せろ」

 

 それだけを言い、日輪刀を奪おうとする鋼鐵塚。

 小鉄と炭治郎はそんな鋼鐵塚を止めようとしていたのだが、やがて鋼鐵塚は我慢の限界にきたのか、その力で大きく腕を振るって炭治郎達を吹き飛ばそうとする。

 

「うわああああ、大人のする事じゃない!」

 

 うーん、正直このコメディっぽいのはもう少し見ていたい気もするが、さすがにここまで大きな騒動になると、止めない訳にはいかないか?

 そう思ったが、もう1人の気配の持ち主が姿を現す。

 鋼鐵塚の脇腹を突くと、それだけで今まで暴れていた鋼鐵塚の力が抜けて、地面に倒れ込んだのだ。

 

「アクセル様、見苦しいものを見せてしまい、申し訳ありません」

「気にするな。……で、一体鋼鐵塚とやらは何がしたかったんだ?」

「彼は竈門さんの活躍に負けない為に、山で修行をしていたんです」

「筋骨隆々になっていたのは、それが原因か。会話能力がなくなっていたのも、そのせいか?」

「いえ、これは元からですね。対人能力が壊滅的なので」

 

 そういう男に、炭治郎は納得したように頷いていた。

 にしても、炭治郎に負けないようにか。

 鬼殺隊の剣士として活動してから短期間で、炭治郎はあっという間に強くなった。

 それこそ上弦の陸と戦えるくらいには。

 ……ちなみに、柱になる条件の1つが十二鬼月を倒すという事なのだが、上弦の陸の件は無効になったらしい。

 まぁ、実際あの戦いではかなりの大人数での勝利だったしな。

 堕姫の首を切断した獪岳も、当然ながら柱にはなっていない。

 そんな風に急激に強くなった炭治郎が使っても決して力負けしないような……炭治郎の実力を十分に活かす為の日輪刀を作る為に、山で鍛えたらしい。

 刀鍛冶が山で鍛えて、何か意味があるのか? と思わないでもないが。

 ああ、でも鎚を振るって日輪刀を鍛えると考えれば、そうおかしな話でもないのか?

 俺にしてみれば、今回の一件は色々と思うところがない訳でもないのだが……まぁ、鋼鐵塚の気合いは気に入った

 そんな男の話を聞いていると、炭治郎は感動した様子を見せる。

 自分の為にこうして修行までしたというのが、炭治郎的には嬉しかったのだろう。

 炭治郎は性格が真っ直ぐなので、こうやって自分の為に色々とやってくれるというのが嬉しかったのだろう。

 そんな風に話していると、力が抜けた状態だった鋼鐵塚が復活した。

 何らかの構えのようなものをとりながら、口を開く。

 

「この錆びた刀は俺が預かる。鋼鐵塚家に伝わる日輪刀研磨術でみごと磨きあげてしんぜよう」

 

 結局のところ、鋼鐵塚はこれが言いたかったらしい。

 鋼鐵塚にしてみれば、最初からそれが目的だったんだろうが……なら、そう言えばいいだけだと思うんだが。

 まぁ、鋼鐵塚の人づきあいの苦手さを考えると、言いたいことをしっかりと言えないというのもどうかと思うけど。

 にしても、炭治郎の力に負けないような日輪刀を打つ為に鍛えたのに、人形の中に入っていた日輪刀を研ぐという方向に話がいっても大丈夫なのか?

 本人が納得してるのなら、俺が特に何かを言う必要もないんだろうが。

 

「で、炭治郎。どうするんだ? 日輪刀を研ぐのは鋼鐵塚に任せるのか?」

「あ、はい。鋼鐵塚さんが研いでくれるのなら、任せようと思います」

 

 あっさりとそう言う炭治郎。

 そんな炭治郎の言葉に、鋼鐵塚は嬉しそうな様子を見せる。

 ひょっとこのお面で顔が隠れているので、あくまでもそういう雰囲気というだけなのだが。

 小鉄の方は、炭治郎の言葉に本当にいいのか? といったように心配そうな表情を浮かべていた。

 小鉄にしてみれば、鋼鐵塚が自分に任せろと言ってるのは自分の家に伝わる人形の中から出て来た日輪刀だ。

 そうである以上、鋼鐵塚に任せるのはどうしても心配なのだろう。

 とはいえ、炭治郎がそれでいいと言ってる以上、最終的に小鉄もその言葉に納得するのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1730

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