転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3164話

 万世極楽教の本殿……本殿という表現でいいのか? ともあれ、本拠地を進む。

 ここまで来るのに何人かの人と遭遇したが、その全員を気絶させながら。

 この気絶した信者達は、政府の方で確保するという話だったが……どんな風に使われるんだろうな。

 鬼について何かを聞き出すつもりとか?

 いや、けど教祖の童磨が鬼なのは間違いないが、だからといって鬼であるというのを公にしていた訳ではない筈だ。

 勿論、側近とかは鬼であると知っているかもしれないが、一般の信者は殆どその辺りについては知らなくてもおかしくはない。

 そんな信者達を政府が捕らえてどうするのか。

 その辺は予想出来ないが、それでも明るい未来が待っているという事はないだろう。

 まぁ、宗教なんてものに嵌まったのが悪いと言えばそれまでだけど。

 ……とはいえ、宗教という点ならホワイトスターにいるエルフ達は混沌精霊の俺を崇めてるんだよな。

 そういう意味では、教祖……いや、この場合はご神体か? そんな俺が宗教を否定するのは、それはそれでどうかと思わないでもないが。

 

「どうしたの、変な顔をして」

 

 隣を歩いていた凛が、俺を見て不思議そうに聞いてくる。

 

「そんなに言う程、変な顔をしてたか?」

「ええ、そんなに言う程、変な顔をしてたわよ」

「いや、わざわざ俺の言葉を繰り返さなくてもいいだろうに。……宗教についてちょっとな」

 

 そう言うと、凛も俺が宗教嫌いなのは知っているせいか、納得した様子を見せる。

 凛も、そして今の会話に納得したように頷いている綾子も、魔術師や半サーヴァントであるという以前に日本の出身だ。

 どの世界でもそうだが、日本というのは基本的に宗教というのはそこまで気にしない者が多い。

 新年を祝い、バレンタインで悲喜こもごもの日を楽しみ、祭りを楽しみ、クリスマスを楽しむ。

 もっともクリスマスとかでもそうだが、あれはもう宗教的儀式というよりは恋人と熱い夜を楽しんだり、友人や家族とパーティをして楽しむというような日になっているが。

 ……まぁ、そんな日本でも宗教が強い力を持っていた時代はあったのだが。

 具体的には、織田信長とかが生きていた戦国時代の一向一揆とかが有名だろう。

 もっとも、その時は宗教云々というよりは、そこに仕える坊主達が我欲のままに動いた結果といった認識だが。

 それに江戸時代は天草四郎が反乱を起こしたりとかもしたし。

 ともあれ、平成とかその辺に生きる者にしてみれば、宗教というのは気にしないという者が殆どか、あるいは俺みたいに胡散臭いと思っているか。

 そういう宗教的な意味で日本というのは特殊な場所だったのは間違いない。

 その割には、東北にキリストの墓があるとか、そういう伝説があったりするが。

 

「とにかく、俺に取って宗教というのはあまり良い印象がないんだよ。その宗教の教祖が鬼だと聞くと、ある意味で納得出来る一面があるのも事実だ」

「なるほどね。けど……」

 

 そこまで言った綾子だったが、廊下の向こうから信者が現れたのを見て言葉を止め、物干し竿を構える。

 

「へぇ……日本刀持ちか。まさか日輪刀じゃないよな?」

 

 侵入者が強敵だと判断したのか、姿を現した信者達の手には日本刀が持たれていた。

 大正時代は当然ながら日本刀を持つのは禁止なんだが、万世極楽教の本拠地があるここは、山奥だしな。

 銃刀法違反とかをしていても、問題はない。

 

「貴様等、何者だ! 万世極楽教に敵対する者か!」

 

 信者の1人が、日本刀を構えてそう叫ぶ。

 だが、綾子はそんな叫びを無視して一気に信者との間合いを詰める。

 万世極楽教の信者とはいえ、それは別に鬼ではなく普通の人間だ。

 半サーヴァントである綾子の動きに対処するのは難しく、一瞬で間合いを詰められると物干し竿の柄で首の後ろを殴られて気絶する。

 1人だけではなく、他の者達も続けて殴られ、気絶した。

 

「俺の出る幕は全くなかったな」

 

 日輪刀……ではなく、日本刀を拾っては空間倉庫に収納しながら、そんな風に言う。

 

「相手はただの人間なんだから、アクセルが出るまでもないだろうに。私で十分だよ」

「あのね、綾子はサーヴァントなのよ? 勿論完全なサーヴァントという訳ではなく半サーヴァントなんだから、人間どころか鬼であっても過剰戦力なのは間違いないわ」

 

 綾子と凛の話を聞き、納得する。

 綾子は半サーヴァント……本物のサーヴァントでないのは間違いない。

 だからこそ霊体化の類も出来ないが、それはそれで問題がない点もある。

 具体的には、綾子は自分の身体を持つ、いわゆる受肉した状態だ。

 それだけに、凛の負担は殆どない。

 ……とはいえ、純粋な能力という点ではどうしても本物のサーヴァントには劣るのだが。

 ただ、それはあくまでも能力……ステータスが劣るという事で、実際にサーヴァントと戦った時に負けるかどうかは別の話だ。

 何しろ綾子は凛と共にFate世界で数々の戦いに巻き込まれているし、俺と合流してからもそれは同様だ。

 そういう意味では、かなりの実力を持ってるのは間違いない。

 

「それにしても……アクセル、日本刀なんか集めてどうするのよ? これが銘の入った立派な日本刀ならまだしも、ここにあるのは数打ち、いわゆる量産された奴よ? 売るのは難しいんじゃない?」

 

 日本刀を見て美術品といった認識を持つのは、ある意味で凛らしい。

 とはいえ、今はともかく将来的に日本刀は美術品という扱いになるのだから、その考えは間違っていないか。

 それに凛の言う通り信者達が使っているのは名刀と呼ばれるような日本刀ではなく、量産された代物だ。

 美術品的な価値は……日本刀であるという時点で全くないという訳ではないが、それでも安物になるのは間違いない。

 

「凛の言いたい事は分かるけど、何かに使えるかもしれないだろ。取りあえずこのまま捨てておくよりは、俺が貰っておいた方がいいのは間違いない」

 

 こういう何となく集めた物というのは、それこそ空間倉庫に大量に入っている。

 具体的には、暴力団やギャング、ゲリラ……そんな連中を襲って入手した武器とか。

 その時点では使い道はないが、後々それなりに使い道があったりするんだよな。

 そういう意味で、日本刀もいずれ使い道があってもおかしくはない。

 ……最悪、何らかの戦いで使い捨てにするなり、一緒に戦っている奴に日本刀を渡したりとかすればいいし。

 

「それにここに日本刀を置いていけば、また万世極楽教の信者がこれを拾って使うという風になりかねないだろ?」

 

 こっち側の戦力は、武器を使う奴ならそれぞれに武器を持っているので、数打ちの日本刀は持っていても意味はないし。

 あ、でも信者を相手にするのに日輪刀を使って刃を摩耗させるよりは、使い捨ての日本刀を使った方がいいのかもしれないな。

 

「うーん……まぁ、使える武器をそのまま捨てていくのは、どうかと思うけど」

 

 凛が納得した――諦めたのかもしれないが――のを確認すると、俺はそのまま建物の中を進む。

 建物の中で屋根があるとはいえ、何か間違って童磨が太陽に当たってしまえば、それは致命的になる。

 だとすれば……童磨がいる可能性が高いのは、地下か?

 

「地下に向かうか。こういう場所にいるボスは地下か最上階にいるのがお約束だし。……鬼が太陽に近い最上階にいるとは思えないし、多分地下だと思う」

 

 そう言うが、そもそもこの建物はそこまで高層建築物という訳ではない。

 大正時代ともなれば、それなりに高層建築物と呼ぶべき建物もあるのだが……それもまた、ここが山奥だというのが影響してるのだろう。

 かなりの山奥だけに、大工が仕事に来るのも一苦労の場所だ。

 建築資材は……まさか山奥だからといって、その辺に生えている木を使う訳にもいかないし。

 建築に使う木は、しっかりと建築素材として使えるように整えたり、乾かしたりといったような真似をする必要がある。

 それをこの山に生えている木でやるというのは、色々と無理があった。

 あ、でも童磨は氷の血鬼術を使うんだよな。

 だとすれば、木の中にある水分をどうにかして素早く乾かすといった真似も……無理か。

 童磨の性格を考えれば、意外と楽しんでやりそうに思わないでもなかったが。

 

「地下ね。鬼がいるとすれば、らしいわね。……綾子、一応言っておくけど気を付けるのよ? 相手は氷の血鬼術を使って体内に氷の粉を入れてきたりするんでしょ?」

「身体強化をしていれば大丈夫だとは思うけど……やっぱり、その辺はアクセルに任せた方がいいかもしれないね」

「俺はそれで構わないぞ」

 

 俺の場合、食べ物とか飲み物は体内に入れば即座に分解されて魔力として身体に吸収される。

 童磨の使う血鬼術で体内に氷が入ってきても、それは当然のように体内で吸収されてしまうだろう。

 そもそも、童磨の血鬼術は人を相手にする為に開発されたものであって、混沌精霊の俺を相手に開発されたようなものではない。

 そういう意味では、俺は童磨にとって最悪の相性だということなのだろう。

 

「狛治から聞いた話によると、童磨は部下の鬼とかそういうのはいないらしい。まぁ、それは他の十二鬼月も同じだったが。……あ、でも俺がこの世界で最初に戦った十二鬼月は、それなりに部下がいたって話だったな」

 

 そう考えると、もしかしたら……本当にもしかしたらだが、童磨に鬼の部下がいる可能性は否定出来ない。

 万世極楽教の教祖である以上、その信者を鬼にするといったような真似もやろうと思えば出来るだろうし。

 

「なら、もし部下がいたらそっちは私と綾子が引き受けた方がいいでしょうね。……もっとも、この建物に侵入したのは私達以外にも結構な人数がいるから、私達だけで鬼と戦わなくても良いのかもしれないけど」

「それは否定しない。……とくにしのぶと狛治は童磨と因縁がある以上、自分の手で倒したいだろうし」

 

 因縁がある訳ではないにしろ、自分の手で童磨を倒したいと思っている奴は多いだろう。

 そういう連中のことを考えると、結局のところ俺達だけでそこまで頑張るといった必要はないんだよな。

 

「まぁ、誰が倒すのかはその時の運次第だ。ただ、下手に時間を掛ければ鬼舞辻無惨にこの襲撃について悟られて、転移の血鬼術を使う奴に回収される可能性がある。それを思えば、とにかく時間を掛けずに出来るだけ早く童磨を殺した方がいい」

 

 そんな俺の言葉に凛と綾子は頷き、そうして地下へと続く階段か、もしくは隠し通路とかを探しながら、進み始める。

 いっそ、空を飛んで上空から童磨のいそうな場所を探している狛治に、可能な限り屋根を破壊して貰うとかして貰った方が手っ取り早いのかもしれないな。

 そんな事を考えていると、善逸が姿を現す。

 

「あ、先生! 丁度いいところに! 上弦の弐を見つけました! 蟲柱が戦いを挑んでるんですが、自分だけで戦うから下がっていろって!」

 

 善逸が俺の姿を見た瞬間にそう叫ぶ。

 なるほど、そんな展開になったか。

 ある意味では予想通りなのだが……善逸達を戦わせないようにしたのは、姉の仇は自分だけで取りたいからか?

 いや、しのぶの継子であるカナヲも、しのぶの姉には懐いていたと聞く。

 だとすれば、単純に実力不足だからか?

 善逸達……もっと正確にはこの世界の主人公である炭治郎達は、短期間で大分強くなった。

 しかし、それでも柱に勝てる程ではないし、上弦の鬼は柱が一人で倒すのは難しいだけの実力を持つ。

 そうである以上、しのぶは善逸達に戦わせないようにするというのは、そんなにおかしな話ではない……のか?

 勿論、姉の仇を自分で倒したいという思いがあるのも事実だろうが。

 

「分かった、案内しろ」

「はい、こっちです!」

 

 そう言って、善逸は俺達を案内するように走る。

 すると途中で何人かの神鳴流の剣士と遭遇するが、そちらはどうやら信者を気絶させるのに集中しているらしい。

 いやまぁ、童磨の相手は俺達に任せると思っているだけなのかもしれないが、

 そうなったらそうなったで、それなりに大変そうな気がする。

 そんな風に考えつつ進む。

 善逸は地下に向かうのではなく、そのまま一階部分を進む。

 こうして見る限りだと、どうやら地下室の類はないらしい。

 あるいは地下室はあるのかもしれないが、偶然童磨は一階にいたとか。

 一階にいるとしても、当然ながら童磨のいる部屋には太陽の光が入ってくる窓の類はないだろう。

 そういう意味では、それなりに見つけやすい相手ではある……のか?

 

「戦いの音が聞こえてきたな」

 

 日輪刀と……氷や童磨の持つ武器の扇か? それらがぶつかる音が聞こえている。

 そして煽るような童磨の声と、それに対して冷静にいるようにと心掛けながらも、苛立ちを隠せないしのぶの声。

 そんな言葉を聞きつつ進み……やがて、俺達は戦闘の行われている場所に到着する。

 そこでは善逸から聞いたように、しのぶと童磨が戦っており、少し離れた場所では炭治郎と伊之助、カナヲの3人が真剣な表情で戦いの様子を眺めているのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1815
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1731

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