「はい、アクセル。鶏肉はたっぷりと入れておいたわよ」
マリューがそう言いながら、俺にシチューがたっぷりと入った皿を渡してくる。
朝食として昨日の残りをそのまま使うのはどうかと思うが、今朝は特にマリュー達全員が昨夜の行為で疲れ切っており、新しく料理を作るような気力がなかったらしい。
一応魔法球の中で休憩してきたらしいが、それでもまだ疲れが溜まっていた。
「……馬鹿ばっか」
疲れているマリューを含めた面々を見て、ルリが呆れたように言う。
ちなみにいつもならルリとラピスは既に学校に行ってる時間なのだが、今こうして残っているのは……今日、これから俺がまたゲートを使って未知の世界に行く為だ。
鬼滅世界で鬼舞辻無惨を倒してから半月程。
鬼滅世界でも、鬼を倒したという事で最初はお祭り騒ぎだったのだが、それも一段落し、次にやるべき事を行い始めている。
結局鬼殺隊は会社とする事になったのだが……その会社は色々と複雑な会社となっている。
普通なら何か1つの業種を専門にすることが多いのだが、耀哉が作った会社は貿易商、警備業、医療薬品の開発という全く違う3つ事業を行う事になったのだ。
ちなみに医療業務の方は珠世と愈史郎が所属している。
珠世と愈史郎の存在をどうするのかというのは、耀哉もかなり悩んだらしい。
俺に相談してきたように。
それでも最終的には隠遁生活ではなく、会社の方で囲い込む事になったようだ。
珠世と耀哉の間でどういう話し合いがあったのかは分からないが、愈史郎が面倒を起こして珠世や耀哉に迷惑を掛けないといいんだが。
ちなみに他の面々の多くも、耀哉の作った会社に直接就職する事になった。
柱もその大半が会社に就職したと考えると……うん。耀哉の会社は下手な軍隊よりも強力な戦力を持っている事になるな。
で、そんな柱の中でしのぶは会社に就職せず、シャドウミラーで医療技術を勉強する為に留学してきている。……留学という表現は、この場合正しいのかどうか、正直分からないが。
そして炭治郎達主人公組だが、炭治郎は禰豆子と共に家に戻って炭焼きを続ける事にしたらしい。
耀哉としては、出来れば炭治郎にも自分の会社に来て欲しかったみたいだが。
しのぶから聞いた話によると、カナヲが通い妻よろしく結構な頻度で炭治郎の家に行ってるとか。
善逸も禰豆子目当てに炭治郎の家に行く事が多いが、こちらは耀哉の会社に就職しているので、炭治郎の家に行くのは休日の時だけだ。
伊之助は……正直なところ、よく分からない。
何でも山の主を全て制覇するとか何とか言って、旅立ったらしい。
たまに炭治郎の家や蝶屋敷に顔を出しては、休んでいるらしいが。
善逸からの情報によると、アオイとの関係があるとか。
……自由奔放な野生児の伊之助と、委員長気質のアオイがそういう関係になるとか……いや、まだ正確には進展中なのかもしれないが、とにかく意外だった。
ともあれ、鬼滅世界の方ではそんな感じで進んでいる。
ちなみに、現在が大正時代という事はいずれ関東大震災とかもある訳で、それに対しても情報を得た耀哉は備えをしているらしい。
大正時代という、現在ホワイトスターと繋がっている世界において一番古い時代だけに、貿易としてはかなり不利なのだが……そんな中で有利なのは、やはり未来の情報を持っている事だろう。
とはいえ、鬼滅世界はあくまでも原作のある世界だ。
そういう意味では、俺の知ってる通りの歴史を歩むとは限らない。
事実、鬼とかそういうのが存在していた訳だし。
だが、それでもある程度は予想出来るというのは大きいと思う。
「ほら、アクセルはしっかりと食べないと駄目でしょう? 次に行く世界がどういう世界なのかは分からないけど、またダンバイン世界の時のようにこちらに連絡が出来ない世界という可能性もあるんだから」
ミナトがそう言い、焼いたパンを渡してくる。
シチューに合うのは、やっぱりパンだよな。
いやまぁ、シチューをご飯にかける奴がいるというのも知ってるが、俺としてはやっぱりシチューにはパンだ。
「悪いな、ミナト。まぁ、ダンバイン世界の時のようになっても、今度は狛治がいるしな」
召喚魔法を使えば、いつでも狛治を召喚出来るというのは大きい。
そして狛治は、現在ホワイトスターで生活している。
それはつまり、ダンバイン世界の時のようにゲートで通信が出来ない場合、最低限狛治を召喚すればこちらの無事はホワイトスターに知らせられるという事になる。
……まぁ、ゲートで接続していない状況で召喚した時に、時差の方がどう影響するのかは分からないな。
その辺は実際にやってみないと分からないのは間違いなかった。
「アクセルの事だから、どういう世界に行っても心配はいらないと思うけど。次はどういう世界なのかしらね」
レモンが興味津々といった様子で視線を向けてくる。
昨夜の疲れはレモンもある筈なのだが……今は好奇心が疲れよりも勝っているのだろう。
「ダンバイン世界、鬼滅世界……ロボットのある世界と生身で戦う世界と来たから、そうなるとロボットのある世界とか? いやまぁ、そんな予想通りに出来るとは思えないけど」
ギアス世界の次がSEED世界だったりといった事を思えば、そんな風に思うのは当然だろう。
「そうね。でも、出来ればやっぱり生身じゃない方がいいかしら。オーラマシンの解析も大体終わったし、次はアクセルがどんな機体を持ってきてくれるのか、楽しみにしてるわ」
そんな会話をしながら、食事を終えるのだった。
食事を終えて準備を整え、諸々に連絡をし……そうして全てのやるべき事を終えると、俺の姿は転移区画にあった。
「アクセル、俺は本当に一緒に行かなくてもいいのか? 俺はアクセルの召喚獣なのだろう? なら……」
狛治が不満そう……心配そうか? ともあれ、そんな風に言ってくる。
狛治にしてみれば、俺が1人で未知の世界に行くというのが心配なのだろう。
「心配するな。今まで大丈夫だったし……何よりも、転移した先が宇宙とかだったら、狛治は生きていけないだろ」
俺の場合は、宇宙空間でも普通に生身で行動出来る。
だが、狛治は俺の召喚獣になったとはいえ、そんな真似は不可能だ。
だからこそ、この状況で狛治を連れていくような真似は出来なかった。
「それに何かあったら召喚魔法で呼び出すから、安心しろ」
そう言うと、渋々といった様子で納得した様子を見せる。
狛治にしてみれば、俺がゲートを使って未知の世界に行くというのは初めての事だ。
それだけに、色々と心配なのだろう。
そんな中で、レモンを始めとした俺の恋人達……そしてルリとラピスという養子の2人は、そこまで動揺した様子を見せてはいない。
まぁ、今まで何度も他の世界に行ってきた俺を見ているのだから、もう慣れているのだろう。
「アクセル、言うまでもないけど気を付けてね」
「狛治が言うよりも前にそう言ってくれると感動したかもしれないけどな」
「あのね……」
呆れた様子を見せながらも、俺に向かって顔を近づけてきて唇を重ねてくる。
そんなレモンとのキスを始めとして、他の恋人達ともキスをしていいく。
なお、ラピスの目はルリが隠していて、ルリは頬を赤く染めていた。
そうして恋人達とのキスをすませると、俺は早速ゲートに向かう。
「じゃあ、行ってくる」
そんな短い言葉を残し……レモンによって動かされたシステムXNで俺は転移するのだった。
「えっと、ここは……」
転移した先は、荒野と呼ぶべき場所だった。
しかも夜。
うーん、俺は数時間前に起きたばかりなんだが。
まぁ、未知の世界ということで時差があるのは当然だった。
それは別に今更の話なので、そこまで気にする必要はないんだが……問題なのは、ここが一体どういう場所かという事なんだよな。
こうして見る限り、周囲に存在するのは一面の荒野だ。
街とかそういうのは一切ない……いや、明かりがあるな。
混沌精霊の俺だからこそ、見つけることが出来た遠くにある明かり。
取り合えず明かりがあるということは、火を使う文明くらいはあるという事だろう。
今までは、何だかんだと人のいる場所だったり、あるいは誰かのすぐ側に転移するといったような事が多かったのだが、この世界では周囲には誰もいない荒野の中に転移した。
……あるいは、誰かがここにいれば、俺がいきなり姿を現した事に驚いたりもしたのかもしれないが。
「ともあれ、あの明かりのある方に行ってみるか。この世界でどう動くにしろ、とにかくこの世界の情報を入手しない事には始まらないし」
呟き、そちらに向かって走り出す。
飛んでもいいんだが、この世界がどういう世界なのか分からない。
場合によっては空を飛んだ事そのものが敵の証拠だといったようにならないとも限らない。
それに……俺が走る速度は自慢じゃないがかなり速い。
そうである以上、わざわざ飛んで移動する必要もなかった。
焚き火をしているという事は、何らかの理由で誰かが休んでいるのだから、急いで向こうに行かなくても、焚き火をしている奴がいなくなる可能性は低い。
そんな風に考えつつ、焚き火のある方に向かって移動していたのだが……
「ラッキー。レモンの予言が当たった感じだな」
一旦走るのを止め、視線の先に存在するロボットを見て、そんな風に言う。
そう、俺の視線の先にあるのは2機のロボットだった。
PTというよりは……AM……いや、違うな。それよりはMSの方が分類的には近いか?
取りあえずまだかなり遠くからしか見てないが、オーラバトラーの類とは明らかに違うのは間違いなかった。
ロボットが2機立っており、その近くには焚き火。
それはつまり、焚き火をしているのはロボットのパイロットという事になる。
ただ……俺はその足を止めた。
理由としては、片方の男が銃を持っていた為だ。
いや、ただ銃を持っているだけならそれは別におかしな話ではない。
こんな荒野だ。ここが具体的にどこなのか……というか、地球なのかどうかも正確には分からないが、それでも野生の獣を警戒してもおかしくはないのだから。
あるいは、いるかどうかも分からないが盗賊とか。
それだけなら、特に問題はない。
しかし……2人いるうちの片方、銃を持ってる方が、その銃口をもう1人に向けているとなれば、話は別だ。
……というか、銃口を向けているだけじゃないな。既に撃たれているらしい。
俺が転移してきた場所はトラブルが起きているというのは、今までの経験から十分に理解出来ていた。
しかし、それでも今のこの状況を思えば……ちょっとな。
とはいえ、銃を持ってる方が悪いとも限らない。
その辺をしっかりと把握する為にも、まずは情報収集だな。
気配遮断のスキルを使い、2人組の方に近付いていく。
……それにしても、こうして見た限りではロボットの方はかなり洗練された雰囲気を持つ。
片方はどことなくザクに似た雰囲気を感じさせる。
髭っぽいのが生えている点で、ザクではないと言えばらしいんだが。
やっぱりこれってどこかMSっぽいよな。
ちなみにザクっぽいのとは違うもう片方の機種は、俺が知ってるMSに似ている機種はないと思う。
ただ、こっちも髭っぽいのがあるのを見ると……多分ザクっぽいのと同じ勢力で作られた機体なんだろう。
あくまでも俺が見た限りではそういう風に見えるというだけで、実際にどうなのかまでは分からないが。
とにかく、今は状況を確認する方が先か。
気配遮断は生身の人には見つかることはないが、何らかの機械的な手段を使えばあっさりと見破られる。
具体的には、MSのカメラなら俺の姿をしっかりと把握する事が出来るのだ。
そういう意味では、ここにいる2人がMSのパイロットであの2機には誰も乗っていないというのは、俺にとってはラッキーだった。
とにかくこの2人がどういう状況なのかを聞く必要があるので、そんな2人に近付いていく。
「悪いな、ニストラ。お前のオクト・エイプは俺が使わせて貰う。俺のジェニスはこれ以上使いものにならないからな」
「……俺のMSを……」
「はっ、油断した方が悪いんだよ。俺達MS乗りにとっちゃ、当然の理屈だろ。それに……このオクト・エイプは、宇宙革命軍のMSの中でも最高の性能を持つ機体だって話じゃねえか。そんなMSをあんたのようなロートルに任せておくってのは、勿体ないだろ」
ロートルと言われてはいるが、怪我をしている方はまだ40代くらいで全く問題なく動けるように思える。
銃を向けているのは、20代くらいの男。
ただし、モヒカンというちょっとアレな髪型をしていた。
にしても、MSか。
そうなると、ここはガンダムの世界であるのは間違いないらしい。
とはいえ、宇宙革命軍というのを考える限りUC世界とはまた違う、W世界やSEED世界ともまた違う、別のガンダムの世界ということになるのだろう。
さて、ここではどんな技術を入手出来るのか。
取りあえず、まずはこの連中をどうにかする必要があるだろうなと思いつつ、行動に出るのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1830
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1734