昨日のトラブルで見ることが出来なかった方は、前話からどうぞ。
サン・アンジェロ市から出て、ロッソの陸上戦艦を探す。
とはいえ、その姿を見つけるのはそう難しい話ではなかった。
何しろ現在サン・アンジェロ市の周囲に存在する陸上戦艦は1隻だけだったのだから。
にしても……ロッキー級だったか。
戦争中にかなり量産された陸上戦艦だって話だったが、見た感じ結構小さい。
全長100mは越えているものの、150mはないだろうといったくらいか。
そんな様子だけに、少し意外だった。
ロッソの部下の話によれば、ロッソはバルチャーの中でも有名な人物らしい。
なら、もう少し大きな陸上戦艦を使っていてもいいと思うんだが。
とはいえ、ロッキー級を使っている理由は交換部品の豊富さとかが理由だって話だったし、そう考えれば納得も出来るのか?
ただ、それなら1隻だけではなく数隻のロッキー級を持っていてもいいと思うんだが。
そんな風に思いつつ、ロッキー級に通信を入れる。
「こちら、アクセル・アルマーだ。約束通り合流した。着艦しても構わないか?」
『おう、構わねえぜ。にしても、迷惑を掛けたな』
映像モニタに表示されたロッソが、そう言ってくる。
この場合の迷惑を掛けたというのが、何を意味しているのかは明らかだ。
つまりそれは、俺が気にくわないと思って絡んできた連中の事だろう。
「そうだな。ちょっと面倒だったのは間違いない。だが、武器を手にしたりしないで、素手だけで俺に挑んできたのは褒めてもいい。……一応聞いておくが、重傷の奴とかはいなかったよな?」
『ああ。お前さんに頼んだ通り、どいつもそれなりに怪我をしてはいるが、死んだり、治療が出来ないくらいの重傷といったような事はねえ。それに関しては感謝しているよ。あいつらも、世の中には見た目で判断出来ないくらい強い奴がいるってのは分かっただろうよ』
そう言い、豪快に笑い声を上げるロッソ。
しかし、その言い分だと今の俺は外見で見れば弱く見えるって事にならないか?
これが10歳くらい、あるいは10代半ばといったいつものような年齢ならともかく、今の俺は20代の姿だ。
今の俺を見て、外見で弱いと判断するのは……正直、どうなんだ?
いやまぁ、確かに俺の身体はロッソのように一見して分かる程に鍛えられているって訳じゃないんだが。
しかし外見に見合わないというのなら、それこそ俺が金属のテーブルを捻り千切ったのを見れば明らかだと思うが。
まさかあれを実は何らかの手品でしたとか、そんな風に思ったりは……しないよな?
そもそも、ロッソ達のいる場所に俺を連れていったのは、ロッソの使いの者だ。
俺はあの建物にロッソがいるというのは全く知らなかった。
そんな状況で手品の種を仕掛けるとか、そんなのは無理だろうし。
「出来れば、ああいうのはもう止めて欲しいな。面倒だし」
『うちの連中の中でも腕自慢の連中がああもあっさりと負けたんだ。それを思えば、今の状況でこれ以上アクセルにちょっかいを出すような奴はいないだろうよ』
そう言うロッソだったが、もしかしたら最初からそれが狙いだったのかもしれないな。
これで俺が不満なく仕事が出来るのなら、取りあえずこれ以上は何も言わないでおくか。
ロッキー級に向かって降下していく。
ちなみにロッキー級は前面に2つの足? があるような感じになっており、その双方にMSの発進口がそれぞれ存在している。
出撃する場所が2つあるというのは、戦力展開速度がかなり素早いという事を意味している。
とはいえ、100mちょっとの大きさしかないと考えれば、MS搭載数はそこまで多くはないと思う。
そんな中で展開速度が早いというのは……正直なところ、ちょっとどうかと思わないでもない。
2つある発進口のうち、片方が開く。
そちらから入ってこいという事なのだろう。
その空いた方に向けて、俺はオクト・エイプを向かわせる。
特に苦労する事なく、ロッキー級の中に入れた。
その先は当然ながらMS格納庫になっており、そこにはMSが並んでいる。
とはいえ、そのMSは全てがジェニスだったが。
ロッキー級を使っていて、交換部品とかを重要視しているロッソだけに、ジェニスを使うのはおかしくない。
とはいえ、ここが地球だと考えればドートレスの方がロッソの考えには相応しいと思うんだが。
この辺は俺がどうこう考えるような事じゃないか。
俺はあくまでも臨時雇いのフリーのMS乗りでしかない。
ロッソにはロッソの考えがあって、ジェニスを使っているのだから。
それに……俺が使っているオクト・エイプも宇宙革命軍のMSである以上、そんなに違和感はない。
いやまぁ、ジェニスの中にオクト・エイプが1機だけというのは、やっぱりそれなりに目立つが。
ただ、ドートレスの中にオクト・エイプがいるよりは、目立たないのは間違いなかった。
「お疲れ様です。親分がブリッジに来て欲しいと言ってました」
コックピットから降りると、メカニックと思しき男が俺に向かってそう言ってくる。
この場合の親分というのは、当然ながらロッソの事だろう。
「分かった。とはいえ、ブリッジがどこにあるのか分からないから、誰か案内してくれると助かる」
元々が小さいロッキー級だ。
また、軍艦だけあって艦のレイアウトとかもそれなりに予想出来る。
しかし、雇われたとはいえ、フリーのMS乗りである俺が勝手に艦の中を移動するのは面白くない者もいるだろう。
あるいは部外者が立ち入り禁止になっているような場所にうっかり入るといった真似も、出来れば避けたかった。
メカニックもそれが分かっているのだろう。すぐに部下と思しき者を呼び、俺を案内するように言うのだった。
「おう、アクセル。どうだ、俺の船は」
「悪くないと思う」
ブリッジに入るとロッソにそう聞かれ、即座にそう返す。
ロッキー級の全てを理解している訳ではないのだが、ここまで移動してきた感じではそれなりに悪くない陸上戦艦のように思えた。
まぁ、前大戦において一番多く作られた陸上戦艦だって話だし、そうである以上は不具合のある場所はどんどん潰していったりしたんだろう。
大量に生産されただけに、アップデートとかも早かっただろうし。
「そうだろう。お前はMS乗りだが、船を見る目もあるな」
陸上戦艦を船と言ってもいいのかどうかは微妙だが、わざわざここでロッソを不機嫌にさせる必要もないか。
「俺は陸上戦艦についてはそこまで詳しい訳じゃないんだけどな」
「いや、お前はこの船を理解出来ているんだ。それを思えば、お前の船を見る目は間違いない」
「だといいんだけどな。それで、これからすぐに出発するんだろ? 具体的にどういう場所なんだ? それなりに大きな工場だって話を聞いてるが」
「ああ。ここから3日くらいの場所だ。もう先に何隻が出ているから、俺達も急ぐぞ」
そうロッソが言ったのは、今回の件が早い者勝ちだからこそだろう。
情報屋が色々なバルチャーに情報を売っている以上、連邦軍の工場には他のバルチャーも向かっているのは間違いない。
「よし、出発だ! てめえら、他のバルチャー共に負けるんじゃねえぞ!」
ロッソのその言葉に、ロッキー級は動き出す。
その移動速度は、俺が思っていたよりも速い。
「ロッソ、この船って色々と改修してるのか?」
「ああ、結構な改造をしてるぞ。ロッキー級は戦争で一番大量に作られた陸上戦艦だが、それでも俺のこの船は他のロッキー級と比べても明らかに上だと断言する」
その言葉はロッソだけの認識ではないらしく、ブリッジにいる他の面々もそんなロッソの言葉に同意するように声を上げていた。
なるほど。自分達よりも前に出たバルチャーがいるのに、それでも勝つ気満々だったのはそういう理由があっての事か。
「足自慢な訳だ。その移動速度に期待してるよ」
「おう、任せろ。……それより、お前の部屋に案内するから、ちょっと待っててくれ。おい」
「はい」
ロッソの言葉にそう言って近付いて来たのは、1人の男。
他の者達はその多くが男臭いというか、アウトロー的な雰囲気を持っているのだが、俺に近付いて来た男はそういう連中に比べれば少し真面目そうな相手だった。
「アクセルを部屋に案内してやれ。客人用の部屋だ」
「分かりました。では、アクセルさん。こちらにどうぞ。案内させて貰います。……その、荷物はないんですか?」
俺が手ぶらなのを見て、男は不思議そうに尋ねる。
ああ、そうか。
空間倉庫がある俺にしてみれば、日常生活に使う諸々はそこに収納している。
だが、それはあくまでも俺だからこそ出来る事で、ロッソ達は俺にそんな力があるというのは全く知らない。
「荷物はMSの中だ。部屋に案内に行く前に、ちょっとMS格納庫に寄ってくれ」
「何でしたら、下の者に荷物を取りに行かせますけど?」
「いや、あまり他人をコックピットに入れたくない。お前達がそんな真似をするとは思わないが、以前コックピットに人を入れた時、爆弾を仕掛けられた事があってな」
勿論、これは全くの嘘。デタラメだ。
とはいえ、このX世界の状況を考えればそんな風にする奴がいてもおかしくはないし、実際に俺の話を聞いていた者の何人かが同意するように頷いているのを見れば、同じような話を聞いた事はあるのだろう。
俺の案内をするように言われた男も、その説明で納得した。
「分かりました。ロッソさんの仕切るこの船でそんな馬鹿な真似をする者はいないでしょうが、それはこちらの人間だからこそ分かる事です。アクセルさんが心配に思っても、納得出来ます」
俺がロッソと会ったのは、今日が初めてだ。
というか、会ってからまだ数時間程度しか経っていない。
そんな俺がロッソ達を全員信じろと言われても難しいと、それについては男も十分に理解しているのだろう。
「悪いな。お前達がそんな真似をするとは思えないが……」
「いえ、お気になさらず。では、行きましょう」
「アクセル。何か用事があったら呼ぶから、取りあえずお前は部屋でゆっくりとしていてくれ」
そう告げるロッソに頷き、俺は男と共にブリッジを出て格納庫に向かう。
「そう言えば、ロッソはバルチャーの中でも有名なんだろ?」
「そうですね。面倒見がいいですし、男気に溢れていますから。慕う者は大勢います」
俺を案内する男は、ロッソを褒められて嬉しそうな表情を浮かべる。
どうやらこの男もロッソに惚れ込んでいる男の1人らしい。
「なら、他にはこの辺りで有名なバルチャーとなると、どういうのがいる?」
そんな俺の質問に、男は少し考えてから口を開く。
「そうですね。まずはグリーツ・ジョー。陸上戦艦の中でも最大級の大きさを持つテンザン級を使っていて、規模という意味ではこの辺りでもトップクラスです。また、性格も頭が切れて、それでいながら義理堅いので下からも慕われています」
テンザン級というのは、男が言った通り最大級の陸上戦艦で、MSも12機を運用出来るらしい。
当然ながら高性能であると同時に、数という点ではロッキー級よりも圧倒的に劣る。
だからこそ、もし壊れたりした時は修理が大変らしい。
「後は、ローザ・インテンソ。名前から分かるように女のバルチャーで、しかも結構な美人として有名です。ただ、当然それだけで荒くれ者のバルチャーをどうにか出来る筈もなく、腕っ節も相応だとか。乗ってる船はピレーネ級ですね」
ピレーネ級というのは、このロッキー級よりも小さな陸上戦艦で、艦としての戦闘力は当然低い。ただ、小さい船だけに機動力は高いらしい。
にしても、女のバルチャーもいるんだな。しかもこの男の話を聞く限りでは結構な美人だとか。
正直、ちょっと興味があったりする。
「後は……ジャミル・ニート。アルプス級の陸上戦艦……正確にはアルプス級双胴型陸上戦艦ですが、それを使っているバルチャーです。こちらは腕利きなのは間違いないですが、専属のMS乗りを持たずに活動していて、必要になったらフリーのMS乗りと契約をするといったタイプですね」
「それはまた……珍しいな。俺が今まで聞いた話によると、基本的にバルチャーは専属のMS乗りがいるみたいだが」
「その方が多いのは間違いないですが、MS乗りを雇わないバルチャーがいるのも事実ですよ。何しろMSを有していると、相応に経費が掛かりますから」
「ああ、なるほど」
俺の場合は経費が必要だとしても、宝石とか金塊とかが空間倉庫にある。
あるいは盗賊をやってるバルチャーやMS乗りも多いらしいから、そっちから収入を得る事も可能だろう。
「ジャミル・ニートは優秀なバルチャーとして、ロッソさんも買っている相手です」
「そういう相手もいるのか。機会があったら会ってみたいな」
俺の口から出た言葉は、好奇心からだけではない。
バルチャーというのは基本的にMSで武装しているのに、ジャミルは武装していない。
そういうのもそれなりにいるという話だったが……この状況で俺が知ったという事は、あるいはそのジャミルがこの世界の主人公の可能性もある。
そんな風に思いながら歩き続け……やがてMS格納庫に到着するのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1830
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1734