ルマークとの取引は無事纏まり、用意した倉庫にMSが運び込まれた。
ドーシートとドーシートⅢがそれぞれ2機ずつ、そして戦闘用ポッドのドータップが2機。
合計6機のMSと戦闘ポッド。
それが運び込まれたのを確認してから、俺は代金として宝石と金塊をルマークに渡す。
当然ながら、これはルマークにとってもそれなりに大きな取引だからだろう。
ルマーク以外に他にも何人も同道しており、その中の1人が俺の渡した宝石や金塊をチェックしていく。
「全部本物です」
「ありがと。……ごめんなさいね、これだけ大規模な取引となると、こっちも偽物や粗悪品を警戒しないといけないのよ」
ルマークが俺にそう言ってくる。
とはいえ、俺にとってそれは別に怒るような事ではない。
あるいはここが戦後世界のX世界ではなく、もっと別の世界であれば多少不満に思ったかもしれない。
だが、この戦後世界はまさに弱肉強食の世界なのだ。
そんな世界だけに、騙し騙されというのはそこまで珍しい話ではなく、騙された方が悪いといったように思う者も多い。
そんな中でMS4機と戦闘ポッド2機というそれなりに大きな取引だ。
俺が以前からルマークと知り合いで取引を続けていればともかく、雇われているバルチャーからの紹介とはいえ、俺とルマークは初対面。
それで警戒するなという方が無理だろう。
「初めての取引なんだから、そのくらいは当然だろ。俺は気にしてない」
「ありがとう。そう言ってくれると嬉しいわ。じゃあ、取引も終わったし、私はそろそろ失礼するわね。……この倉庫に運んだMSの運搬は、そっちでやるのよね?」
「ああ。運搬用の船が戻ってきたらそうするつもりだ」
「そう。じゃあ、私の仕事は本当にこれで終わりという事でいいわね。……じゃあ、私はそろそろ行くけど、何か聞いておきたい事はない?」
「特にない……いや、あったな。出来れば現在作っているというハンドメイドのMAを出来るだけ早く見たいから、そっちの製造を急いでくれ」
「あら、上客のアクセルにそこまで期待されたら、私も頑張る必要があるわね。少し急がせて貰うわ」
そう言い、笑みを浮かべながらルマークは倉庫から出ていくのだった。
「さて……」
ルマークがいなくなり、倉庫の前からも完全に姿を消したのを確認すると、俺は早速倉庫の中にあるMSや戦闘ポッドを空間倉庫に収納していく。
いつまでも倉庫の中にMSとかを置いておけば、俺にとっても面倒な事になりそうなのだから、その前にさっさと収納するのは当然だった。
そうしてあっという間に倉庫の中を空にすると、俺はその場から移動するのだった。
ルマークとの取引を終え、俺を雇っているバルチャーの方も用事を終わらせると、サン・アンジェロ市まで帰る事になった。
「アクセル、お前の用件は終わったんだよな? 俺達と一緒に行動してもよかったのか?」
船長が少し不思議そうにそう言ってくる。
船長にしてみれば、俺がいるのが戦力的に嬉しいのは間違いないだろう。
だがそれでもこうして聞いてくるのは、船長が俺に無理をさせているのではないかと、そう思っているのか。
「ああ、用事は終わったし、こっちの方で手続きはしておいた。俺がやるべき事は、もう何もない」
「そうか? ならいいんだが。けど……」
そう言いつつ、また何かを言おうとしたところでその言葉に割り込む声があった。
「船長、こっちに近付いてくる船を確認! シーバルチャー……いえ、MSの発進を確認しました。オルクだと思います!」
「ちぃっ、セインズアイランドに向かう時は襲ってくる敵はいなかったってのによ。アクセル、頼む!」
「分かった。だが……逃げるのを優先した方がいいぞ」
これが地上なら、敵を撃退するといったような真似は余裕で出来る。
しかし、ここは海だ、
こっちに迫ってくるMS……ドーシート、あるいはドーシートⅢは、海水という自然のバリアを自由に使う事が出来るのだ。
それが非常に厄介なのは、間違いなかった。
まぁ、それでもこの船に積まれている俺以外のMS乗りのMS、ジェニスよりはオクト・エイプの方が自由に空を飛べる分だけ有効な戦力だが。
空を飛べる事で自由度は高いものの、問題なのは海中にいる敵にどうやってダメージを与えるかだ。
これがW世界のガンダムなら、海中であっても普通にビーム兵器を使えるので攻撃力については問題ない。
だが、このX世界においては……いやまぁ、あるいはガンダムなら海中であっても普通にビームライフルとかが使えるのかもしれないが、オクト・エイプの使うビームライフルは海面近くにいればともかく、深い場所にいればダメージを与えることは出来ない。
他には50mmガトリングキャノンや100mmマシンガンもあるが、それもまた海中にいる敵には効果が薄い。
となると……ジャイアントバズーカか。
これなら海中の敵にもダメージを与えるとかは出来るのだろうが、問題なのはバズーカは砲弾の数が少ないという事だ。
また、砲弾の速度という点でも結構問題がある。
その辺の状況を考え……それでもやはり一番有効な武器なのは間違いないと判断する。
「取りあえず倒せるだけ倒すが、そこまで期待はするな」
「分かっている。頼むぞ」
そんな声を聞きながら、俺は格納庫に向かう。
そこでは既に何人かのMS乗り達が自分のジェニスに乗っており、武器を手に出撃の準備をしていた。
俺は近くにいるメカニックに声を掛ける。
「ジャイアントバズーカを用意しろ、俺が空から敵を狙い撃つ!」
メカニックからの返事を聞かずに、オクト・エイプに乗り込んで機体を起動させる。
するとさっき俺が声を掛けたメカニックは、ジャイアントバズーカの用意をしていた。
きちんと声を掛けた甲斐があったな。
そのジャイアントバズーカを2つ手にすると、出撃する。
「アクセル・アルマー、オクト・エイプ、出るぞ!」
バズーカを両手に、出撃するオクト・エイプ。
本来なら弾速の遅いバズーカ系の武器というのは、俺の好みではない。
好みではないのだが……それでも今の状況を考えれば、やはりこれが有効な武器なのは間違いなかった。
空中を飛びなら、すぐにブリッジに通信を送る。
「敵はどっちから来る? 空を飛べる俺が先制する!」
『南西の方角からMSは出撃してきている! 船の場所はレーダーの外だからか、分からない!』
そんな通信の声を聞きながら、取りあえず俺はMSが来ている方に向かう。
あるいはこのオルクが悪知恵が働くのなら、出撃した船から真っ直ぐこっちに来るのではなく、一旦船から離れて、船が見つからないように別方向から向かってくるという可能性もあるが……生憎と、今はそこまで考えてはいられない。
今はとにかく、敵を少しでも早く倒す必要があるのだから。
船の甲板や格納庫の中からジェニスは海中に向けて攻撃しなければならない。
そんな事になれば、当然のように決まった方向にしか攻撃出来ず、動きは鈍くなる。
あの船に乗っているMS乗りは、腕は平均よりも下……中の下よりは、下の上といった程度だ。
まぁ、それでもこの世界のMS乗りの練度はそこまで高くないので、今までは何とかなってきたのだろうが。
船の心配をしながら移動していると、やがて海中を進む3つのMSを発見する。
ドーシートだ。
いや、あるいはドーシートⅢなのかもしれないが、基本的に外見にはそこまで差はないから、見分けがつきにくいんだよな。
海中にいるのだから特に。
これが陸上なら見分けもつくんだが。
ともあれ、俺の下を通るドーシートに向けて、ジャイアントバズーカを発射する。
普通に考えれば、オクト・エイプが空を飛んでいる状態……それもドーシートも海中を進んでいる状態で、バズーカを撃ってもそう簡単に命中する筈もない。
だが、射撃、命中、技量、ガンファイトの効果によって、ジャイアントバズーカから放たれた2発の砲弾はあっさりとドーシートに命中し、爆散させた。
あるいはこれで敵が諦めてくれれば、こちらとしては楽だったのだが……向こうもやられっぱなしで終わらせるつもりはないらしい。
水面近くまで上がってきたかと思うと、すぐにミサイル……いや、魚雷? うん、多分魚雷を発射してきた。
その魚雷は普通の魚雷ではなく、発射されて海中を進んだ後は空中に飛び出ると、そのまま真っ直ぐこちらに向かって来た。
そう言えばドーシートには対空魚雷なんて珍しい武器もあったかと思いつつ、胸部ガトリング砲で対空魚雷を撃破する。
確か対空魚雷を搭載しているのは普通のドーシートだけだったので、俺が倒した2機はともかく、生き残っている1機は通常のドーシートらしい。
対空魚雷を迎撃すると、再びジャイアントバズーカを放ち……だが、その前に敵は海中深くに潜っていった。
ステータスが高くても、敵がそもそも命中可能範囲にいなければ、俺にはどうしようもない。
にしても、陸上と違って海だと撃破したMSの部品とか回収出来ないのが痛いよな。
MSを撃破しても、無事な部品は予備部品として使い道がある。
ドートレスとドーシートは同じ連邦軍系のMSだし、場合によって同じMSという事で宇宙革命軍系のMSとであっても流用出来たりもする。
しかしこの海で撃破されてしまえば、当然ながらその機体の残骸は海底に沈む。
俺にとっては、それがかなり勿体ないと思えてしまうのだ。
「っと!」
向こうも浅い場所にいれば自分が狙われると判断したのだろう。
最後の1機は、かなり深い場所から対空魚雷を撃ち込んでくる。
とはいえ、当然だが俺との距離が開くという事は対空魚雷の命中率が下がるという事を意味している。
あっさりと回避し、あるいはガトリング砲で迎撃していると……やがて海中からの対空魚雷はなくなった。
残弾が0になったのか、それとも今までの攻撃は全て迎撃されたので、攻撃をしてもあっさり迎撃されると判断したのか。
その辺りは俺にも分からなかったが……いや、もしかして俺を無視して船の方に向かったのか?
その可能性を考え、慌てて船に通信を送る。
「聞こえているか? 3機のMSのうち2機は倒したが、残りの1機は海中深くに潜ってしまって、こっちでは察知出来ない。もしかしたらそっちに向かったかもしれないから注意してくれ。……それで、俺はどうすればいい? そっちに戻るのか、このままここで敵がまだいると仮定して探すのか、それとも敵の船を見つけて破壊するのか」
『船を見つけて破壊してくれ。敵が残り1機なら、ジェニスでどうにかなる』
船長からの通信だったが、本当にどうにかなるのか?
ジェニスはあくまでも船の上に乗って海中にいる敵を狙うという攻撃方法だ。
それに対して、ドーシートは海中の中からそのまま船の撃沈を狙うといった真似も出来る。
離れた場所から魚雷を撃ったりすれば、それに対処は出来るだろう。
だが、船の真下から魚雷を撃つといったような真似をされれば、それに対処するのは不可能だ。
まぁ、セインズアイランドに何度も行ってる船長だけに、オルクとの戦いもそれなりに経験してる筈だし、それを思えばこういう風に言ってくる以上、対処は出来るのだろう。
こっちに敵の船を探せと言ってくる言葉にも、それなりに力を感じるし。
なら、俺は素直にそっちに向かうとしよう。
そんな風に考えつつ、ドーシートがやって来た方に向かって飛ぶ。
母艦の位置を知らせないようにしていれば、船を見つける事は難しいだろう。しかし……
「見つけた」
ドーシート達の来た方に向かって進むと、そこには1隻の船があった。
とはいえ、これだけで敵だとは判断出来ない。
万が一にも、実は全く別の船でしたといった場合は……間違って撃沈した場合、問題にはならないが、後味が悪い。
戦後世界だけに、その辺は大雑把なんだよな。
だからこそ、盗賊と化したバルチャーやオルクなんて存在がまかり通っているんだろうが。
だが、そんな俺の心配は杞憂だったらしい。
向こうの船は、近付いてくる俺の操縦するオクト・エイプに向かい、攻撃をしてきたのだ。
勿論、向こうにしてみれば襲ってきたオルクとは違う船で、そんな中でオクト・エイプが近付いて来たから先制攻撃として撃っただけかもしれないが……とにかく俺に向かって攻撃をしてきた以上、反撃をしても問題はない。
対空砲や実弾を使った主砲を回避しながら、船との間合いを詰めていく。
そうして間合いが近付いたところで、ジャイアントバズーカを発射しようとし……その瞬間、オレンジの信号弾が上がる。
それはバルチャーサインで無条件降伏を意味するものだ。
ここまで近付かれた状態で反撃は全て回避されてしまい、もうどうしようもないと判断したのだろう。
実際、それは正しい。
このX世界は弱肉強食の無法の世界だが、それでも最低限の決まりはある。
バルチャー同士の間で、バルチャーサインを騙す目的で使った場合……それは最悪の結果しかないのだから。
そう判断し、俺は降伏を受け入れるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1850
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1738