転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3206話

 見えてきた場所は、かなりの大きさを持つと思われる基地だった。

 何故思われるといった表現になったのか。

 それは単純に、基地の半ばが地下に広がっていると思われる為だ。

 以前ロッソと共に探索した基地も地中に埋まっていたのだが、この基地はその時よりも明らかに広いと思われる。

 山の地下に基地が埋まっているといったような形。

 ただし、基地から続く道の多くは戦後15年もの間放っておかれたという事もあってか、いたる場所から植物が生えており、コンクリートが破壊されている場所も珍しくない。

 そんな場所を揺れもなく行動出来るのは、ロッキー級がホバー移動をしているからだろう。

 勿論、普通に地面を走るようなタイプであっても、陸上戦艦と呼ばれるだけの質量を持っているのだから、生えている植物を踏みつけ、あるいは折りながら進むような真似も出来るだろうが。

 ともあれ、そうして進んでいたロッキー級だったが、やがてその動きを止める。

 

『アクセル、悪いがお前がまず出てくれないか?』

 

 オクト・エイプのコックピットにダイラスの顔が表示されるとそう言ってくる。

 

「俺がか?」

『そうだ。お前の報酬はMS3機とかなり高額だ。それだけの報酬を支払う価値があると、他の連中に見せる必要がある。それに……自動迎撃装置に対処するには、やはりサン・アンジェロ市周辺では最強と呼ばれるだけの実力を持つアクセルの力が必要だ』

 

 ダイラスのその言葉に、渋々といった様子で頷く。

 実際、今回のこの基地の探索における俺の報酬は、MS3機という非常に高額な代物だ。

 MSというのは当然ながら高価だ。

 それが3機ともなれば、それこそ普通のフリーのMS乗りが貰える報酬としては桁外れだろう。

 だからこそ、ダイラスは俺に向かって力を示せ……それだけの報酬を貰えるような力を持っていると、他の連中に示せと、そう言っているのだろう。

 

「分かった。俺がそれだけの報酬を貰うだけの働きをすればいいんだな? ……ただし、自動迎撃装置は15年以上も前の代物だ。当然ながら、壊れている物とかがあってもおかしくはない。俺が壊すのは、あくまでもこっちを狙ってきただけの代物だ。それでいいな?」

『ああ、それで構わん。ある程度この基地を占拠したら、人を出して周辺の山を探索するからな』

 

 この基地は山の中にある。

 勿論、何かあった時の為に道路の類は整備されているが、その道路も今はボロボロだ。

 そんな道路の上……基地の敷地内の外で3隻のロッキー級は停まる。

 それを確認してから、俺は早速出撃する。

 

「アクセル・アルマー、オクト・エイプ、出るぞ!」

 

 その言葉と共にロッキー級の格納庫から出ると、空を飛びながら基地の敷地内に入る。

 映像モニタを確認すると、敷地内には多数のMSの残骸が転がっていた。

 どれもまだ新しい。……つまり、これが以前ダイラス達がこの基地を探索しようとして失敗した残骸なのだろう。

 そんな残骸を見ていると、不意にミサイルが飛んでくる。

 オクト・エイプの胴体のガトリングキャノンでそのミサイルを迎撃しながら、ミサイルの飛んできた方……山の一部が展開した自動迎撃装置にビームライフルを撃ち込む。

 丁度自動迎撃装置では次のミサイルを装填しようとしていたところだったのだが、そのミサイルがビームに貫かれ、自動迎撃装置諸共に爆発する。

 それを見ながら、再度オクト・エイプのスラスターを噴射させて移動。

 一瞬前までオクト・エイプの姿があった場所を、砲弾が貫いていった。

 そんな自動迎撃装置を、ビームライフルを使って破壊していく。

 ミサイルに砲弾、弾丸……そんな攻撃を回避しては、ビームライフルで破壊していったのだが……

 

「うおっ!」

 

 まさか自動迎撃装置にビーム砲があるというのは予想外だった。

 咄嗟に機体を翻して回避し、ビームライフルを撃ち込む。

 10分程の間、延々と同じ場所で待機しつつ自動迎撃装置を破壊していく。

 そうしてやがて全ての自動迎撃装置が破壊されたのか、こっちに向かって放たれる攻撃はなくなる。

 あるいはさっきダイラスに言ったように、もしかしたらこの15年の間に壊れて、今はまだ動いていない自動迎撃装置があるかもしれない。

 そういうのは、いつどんな時に動くのかは分からない。

 分からないが、そっちに関してはダイラスの方で調査をするって言っていたし、それを思えば俺は取りあえず放っておいてもいいだろう。

 そんな攻撃を回避しつつ俺が次に向かったのは……基地の奥。

 正確には敷地内をもっと奥に進む。

 そうなると当然ながら、新たな自動迎撃装置の範囲内に入ったと判断されて攻撃が再開された。

 とはいえ、最初に一斉にされた攻撃に比べると、そこまで強力ではない。

 数が少なくなっただけに、その攻撃は特に苦労もなく回避しては、自動迎撃装置を破壊していくのだった。

 

 

 

 

 

「これは、また……凄いな……」

 

 オクト・エイプの映像モニタに表示された光景に、俺は思わずといった様子でそんな声を漏らす。

 だが、それも当然だろう。

 現在映像モニタに表示されているのは、地下基地の中の通路なのだから。

 いや、その通路が普通の通路であればそこまで驚くような事はないだろう。

 だが、映像モニタに表示されている通路はかなり巨大だったのだ。

 それこそロッキー級は余裕で移動出来る程に。

 ロッキー級よりも巨大な陸上戦艦であっても、かなり楽に移動出来るのは間違いない。

 勿論これは、陸上戦艦やMS用の通路だからこれだけの大きさなのかもしれないが。

 人間用の通路はもっと小さいのが別にあってもおかしくはない。

 にしても……もしかして、俺はここを勘違いしていたのか?

 最初話を聞いた時、あるいは外からこの基地を見た時、俺はこの基地は連邦軍の重要基地であっても、そこまで大袈裟なものではないと思っていた。

 しかし、こうして巨大な通路があるような基地となると……下手をすると、UC世界のジャブローに近いんじゃないか?

 ジャブローは連邦軍の本部であったが、ただの基地という訳ではない。

 むしろ都市がそのまま地下に存在しているという、そんな場所だ。

 さすがにここにはそれだけの広さはないと思うが。

 

『アクセル、ちょっといいか?』

 

 この基地の通路の映像を見ていると、不意にダイラスの顔が映像モニタに表示される。

 それを見て、俺はそちらに意識を向けた。

 

「どうした?」

『実は、ちょっとアクセルに頼みがあってな。……見れば分かるように、この基地はかなりの大きさだ。それこそ、ちょっと俺が予想していた以上に』

「だろうな。俺も正直驚いている。今まで幾つか連邦軍の基地を探索してきたが、それでもこれだけの広さはなかったし」

『ああ、そこで……ちょっとアクセルには、基地の探索に出て貰いたい』

「俺がか? 他のフリーのMS乗りに行かせてもいいんじゃないか?」

 

 ちなみに、現在オクト・エイプはロッキー級の格納庫にいるが、オクト・エイプ以外のMSは全て出払っている。

 具体的には、何かがあってもいいようにロッキー級の周辺を探索しているのもいれば、山の中にある、壊れた自動迎撃装置を破壊する為に動き回っている者もいた。

 そんな中で俺がこうして休憩をしているのは、まだ正常に動いていた自動迎撃装置のほぼ全てを俺が破壊したからだ。

 そんな仕事を終えたので、今は休憩中だった。

 それでも何かがあってもいいように、こうしてオクト・エイプの中で待機していたんだが。

 そんな俺に探索に行って欲しいというのは、ちょっとどうよ? と思わないでもない。

 

『他の連中の多くは今は動けない。報告によると、予想していた以上に自動迎撃装置があるらしい』

 

 この場合の自動迎撃装置があるというのは、あくまでも俺が破壊した物ではなく、壊れて動かなかった、もしくは侵入してからある程度時間が経過してから動くといったタイプだろう。

 俺は全部で30分くらい基地の施設内で空を飛んで自動迎撃装置を破壊していたんだが……それなのに、まだあるのか?

 

「本気でこの基地は何なんだ?」

『さて、そこまで分からんな。戦前の詳しい情報も残っていないし』

 

 ダイラスもこの基地の存在は知っていたが、具体的にどんな基地だったのかというのは分からないらしい。

 あるいは……本当にあるいはの話だが、ジャブローのようにこの世界の連邦軍の本拠地とは言わないまでも、本拠地に何かあった時に予備として使う為の基地とか、そういう可能性もあるのか?

 

「それを調べる為に……か。けど、別に俺が行かなくてもいいと思うが? それこそ、お前の部下とかに行かせればいいんじゃないか?」

『勿論俺の部下も向かわせる。アクセル1人だけでとは言わないさ。ただ……何だかんだと戦闘で弾丸の残弾も減ってる筈だし、それに機体の整備も必要だろう? なら、その間にちょっとアクセルにも頼みたい』

「MS3機分の活躍はもうしたと思うんだがな」

 

 これは嘘でも何でもない。

 もし俺がいなければ、恐らくダイラス達がこの基地を調べるような真似は出来なかっただろう。

 あるいは探索をするにしても、もの凄い被害が出ていたのは間違いない。

 実際に俺が見た限りでは、前回ダイラス達が来た時に破壊されたと思われるMSの残骸とかが結構散らかっていたし。

 そんな状況で俺1人だけで自動迎撃装置の大半を破壊――実は壊れたか何かして残ってる奴はそれなりにあるらしいが――した。

 これはMS3機分の働きとしては十分だろう。

 いや、それこそもっと報酬を貰ってもおかしくはないと思う。

 

『分かっている。何もただでとは言わねえよ。アクセルのMSの取り分は5機にする。それでどうだ? それに……アクセルがいない間に、オクト・エイプの整備もしておくから、頼めないか?』

 

 MSを5機?

 正直なところ、ダイラスは俺が生身でどれだけの強さを持つのかは知らない。

 いや、正確にはかなり前にロッソの部下を叩きのめした事があるので、その情報を知っていれば俺の生身での強さを知っていてもおかしくはないのかもしれないが、今のこの状況でその辺りがどうにかなるか?

 そんな疑問を抱きつつ、それでもMS5機というのは興味深いのは事実だ。

 連邦軍の秘密基地と思われるこの場所だ。もしかしたら……本当にもしかしたら、ガンダムの1機や2機は置いてある可能性も否定は出来ない。

 そうなれば、俺もガンダムのパイロット……X世界風に言えばガンダム乗りという事になる。

 

「分かった。引き受けるよ」

 

 そう言うと、ダイラスは安堵した様子で頼むと言うのだった。

 もしかしたらダイラスはこの件を俺に断られるかもしれないと思っていたのかもしれないな。

 MS5機という報酬を聞いた時点で、俺は断るつもりはなかったが。

 

 

 

 

 

「アクセル、俺達が一緒に行動する。よろしく頼む」

 

 MSから降りた俺を待っていたのは、いかにもバルチャーといった強面の男達だった。

 そんな中の1人が、俺に向かってそう挨拶をしてくる。

 ちなみに普段ならこういう場合は俺を相手に侮ってきたりといったような真似をされてもおかしくはない。

 向こうは筋骨隆々といった感じの男達なのに対し、俺の場合は外見だけで見れば見て分かる程に筋肉がついてる訳ではないのだから。

 それでも俺に話し掛けてきた男やその背後にいる男達が俺に侮りの視線を見せないのは、単純に俺が生身でも実力を示したからだろう。

 MSパイロットというのは、生身での戦いという点では弱い奴も多い。

 まぁ、MSを操縦出来ればそれだけで一般人とは比べものにならないだけの圧倒的な力を手に入れるんだから、当然だろうが。

 そんな中で、俺は生身でも強さを示した。

 それによって、ダイラスの部下からはある程度認められたのだろう。

 ……もっとも、代わりにという訳じゃないが俺と模擬戦をした男のように、今回雇われたフリーのMS乗りには嫌われているが。

 いや、嫌われているというか憎悪されているといった方が正しい。

 

「ああ、よろしく頼む。けど、この基地の探索って言っても何を探すんだ? ……別に俺達だけじゃなくて、他にも同じ事をしてる奴はいるんだろ?」

「そうだ。他にも結構な人数が探してる。ちなみに俺達が探すのはコンピュータだな。15年前のコンピュータでも無事に動くのはそれなりにあると思う。そこからこの基地の情報を集められればベストだ。これだけの規模の基地だ。当然ながらMSの生産工場もある筈だ。出来ればそれについての情報を入手したい」

「……なるほど」

 

 バルチャーにとって、MSというのは非常に大きな意味を持つ。

 自分達で戦力として使ってもいいし、商品として売ってもいい。

 とはいえ、15年も動かしていないMS工場で作ったMSというのは……ちょっと乗るのを躊躇するな。

 連邦軍の基地である以上、MSの生産工場があってもそれは恐らくドートレスだろう。

 ガンダムの生産工場があればいいんだが……その辺はちょっと贅沢だろうな。

 そんな風に思いつつ、俺は男達と共に基地の中を色々と調べる為に行動を始めるのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1850
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1738

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