転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3213話

 俺がホワイトスターに戻ってきた翌日……の、昼間。

 俺の姿は魔法球の中にあった

 昼間になったのは、当然ながら午前中はレモン達全員が魔法球の中で昨夜の疲れを癒やしていた為だ。

 夜になってペルソナ世界からゆかりと美鶴の2人も来たのだが、何しろX世界に数ヶ月もいて、その間禁欲状態だったのだ。

 昨夜は色々な意味でもの凄い事になり、魔法球を使っての休憩でも結構な時間が必要になってしまった。

 そんな訳で、今はもう元気一杯になった面々と共に俺は魔法球の中にいる。

 この中で何をしているのかと言えば……ベルフェゴールにある厄介なシステムであるフラッシュシステムの解析や解除、あるいはオクト・エイプの改修案についてや、ジェニスを始めとしたX世界で入手したMSの解析等々といった感じだ。

 

「それで、ベルフェゴールの方はどうだ?」

「難しいわね。……というか、調べた限りだとフラッシュシステムが使えないとストライククローとかも殆ど使えないようになってるらしいわよ?」

 

 レモンのその言葉に、そう言えばと納得する。

 具体的には、俺がベルフェゴールでストライククローを使った時にはかなり使いにくかった。

 それこそストライククローに結構な重量の重りがつけられているかのような、そんな感じで。

 

「俺が使った時もかなり動きが鈍かったけど、そういう事か?」

「いえ、それどころじゃないわ。アクセルの場合は曲がりなりにもストライククローを動かしたんでしょう? もしフラッシュシステムが使えていないのなら、そもそもストライククローを動かす事そのものが無理なのよ」

「……なら、何で俺の場合は動かせたんだ? いや、その前にこれを聞いておくのを忘れていたな。フラッシュシステムはニュータイプ専用のシステムという認識でいいんだよな?」

「そうね。ニーズヘッグで言えばT-LINKシステムみたいな感じよ。念動力を使える者でないとT-LINKシステムを動かせないように、ニュータイプでなければフラッシュシステムは動かせない。……本来なら、だけど」

 

 そう言い、説明していたレモンとマリューの2人は意味ありげな視線を俺に向けてくる。

 何だかんだとこの2人との付き合いも長い。

 それだけに、レモン達が何を言おうとしているのかはすぐに分かった。

 

「つまり、俺の念動力とか魔力とかそっちの関係でフラッシュシステムが不完全ながら動いたと?」

「正解。とはいえ、本当に無理矢理動かしている感じだけどね。フラッシュシステムにも……それどころか機体にも結構な負荷が掛かっているわ」

「機体にも?」

 

 フラッシュシステムを無理矢理動かした事で、フラッシュシステムそのものに負荷が掛かるというのは理解出来る。

 だが、それが機体にも負荷が掛かるというのは、一体何でだ?

 

「そもそもこのベルフェゴール……ちょっと不自然な作りなのよね」

「不自然?」

「ええ。そうね……分かりやすく言うのなら、W世界のトールギスといったところかしら」

「トールギス……?」

 

 トールギスについては、当然俺も知っている。

 何しろ初代のトールギスではなく改良されたトールギスⅢは、シャドウミラーでも使われているのだから。

 綾子の機体として。

 そんなトールギスは、OZで最初に開発されたMSだ。

 だが、その性能は高すぎて操縦出来る者がおらず、ゼクスが乗るまではお蔵入りになっていた。

 そのゼクスも、最初にトールギスに乗った時はその性能故に結構な損傷を負った。

 トールギスというのは、具体的にはハードウェアの性能を重視し、それを操縦するパイロットの事を全く考えずに作られたMSと言ってもいい。

 

「つまり、ベルフェゴールもハードウェア重視という事か?」

「ちょっと違うわね。勿論その一面があるのも事実だけど、寧ろあれは……パイロットをも殺そうとしているかのような、そんな印象を受けるわ」

「パイロットを?」

「ええ。正直な話、普通のパイロットはとてもじゃないけどベルフェゴールを使いこなす事は出来ないでしょうね。もし本来の性能を発揮していたら……アクセルだから……人間じゃないアクセルだからこそ、曲がりなりにもベルフェゴールを使えるかもしれないけど」

「オクト・エイプよりもちょっと上の性能といった程度だぞ?」

「その辺もフラッシュシステムが正常に作動していない影響でしょうね」

 

 それは喜ぶべきか、悲しむべきか。

 実際のところ、例えパイロットがGに耐えられなくても、俺ならその辺は問題なく操縦出来る。

 何しろGには魔力や気といったものがないのだから。

 そんな状況だけに、俺にしてみればその辺は気にする必要がない。

 そういう意味では、フラッシュシステムを全面的に使えるようになればベルフェゴールは俺にとっても使いやすい機体になるという事なんだろうが。

 

「話は分かった。それで、ベルフェゴールからフラッシュシステムを削除する事は出来るか?」

「ちょっと難しいわね。ベルフェゴールその物が、フラッシュシステムありきとして作られているみたいなのよ。勿論時間を掛ければ出来ると思うけど、そこまでする価値があるとはちょっと思えないわ」

 

 レモンがそう言うという事は、フラッシュシステムをどうにかするのはかなり面倒な事らしい。

 それでもやろうと思えば出来るという辺り、レモンの力の凄さを如実に示しているのだが。

 

「そうなると、ベルフェゴールを使うには今の状態のままで使うしかないのか?」

「残念ながらそうなるわね。ただ……こちらは可能性は低いけど、アクセルが使い続けることでフラッシュシステムがアクセルに最適化する可能性があるわ」

「つまり、このままベルフェゴールを使い続けていれば、いつかは高性能な本来の状況で使えるという事になるのか?」

「ええ。今の状態でもアクセルの魔力や念動力はフラッシュシステムに影響を与えているもの。とはいえ、それがいつになるのか分からないけど。……どうする?」

 

 レモンのこの問いは、ベルフェゴールに手を入れるか、それともフラッシュシステムがいずれ俺に最適化されるのを期待して、そのまま使い続けるかということなのだろう。

 とはいえ、レモンの言葉からするとフラッシュシステムが俺に最適化される可能性は、ない訳ではないといった程度の可能性なのだろう。

 さて、どうしたものか。

 少し迷ったが、すぐに決める。

 

「よし、なら今のまま使う」

「あら、いいの? アクセルの事だから、フラッシュシステムを削除するように言うのかと思ったんだけど」

「ベルフェゴールが他にもう1機あれば、そうしたかもしれないけどな。フラッシュシステムはX世界のニュータイプと大きく関係してくるシステムだ。そうである以上、迂闊に削除は出来ない。そこからX世界のニュータイプに繋がる可能性があるかもしれないし。それに、フラッシュシステムはもしかしたら俺に最適化されるかもしれないんだろう?」

 

 フラッシュシステムが今のままで俺にとっては害でしかない……あるいは最適化する可能性があっても、それまでベルフェゴールの性能がジェニス以下になるという事なら、俺もその辺は色々と考えただろう。

 

「そうね。じゃあ、ベルフェゴールはそのままで。……そうなると、次の問題はオクト・エイプね。こっちに関しては、はっきりいって何も問題はないわ。特に何か特別な技術が使われている訳でもないから。解析が完了すれば、そのまま量産出来るわ。ただ、UC世界の子達が乗るのなら性能はもう少し上げて起きたいわね」

「それは頼む。UC世界から誰がくるのかは分からないけど、X世界で戦死させたり、怪我をさせたりはしたくないし」

「あら、誰が来るか分からない……ね」

 

 そう言い、笑みを浮かべるレモン。

 何だ? 何か知ってるのか?

 

「レモン?」

「いえ、何でもないわ。ただ、後でちょっと面白い事が起きそうだと思っただけでね」

「面白い事?」

「どうなるかは分からないから、まだ秘密。ただ、私の予想通りにいけば、アクセルも驚くかもしれないわね」

 

 意味ありげなことを言うのなら、最初から素直に話してくれた方がこっちとしては助かるんだが。

 マリューの方もレモンの言葉の意味を理解したかのように、笑みを浮かべている。

 ただ、この様子だと俺が幾ら聞いても話してくれそうにはないな。

 

「オクト・エイプの改修だが……どんな風にする?」

「機動力、運動性、装甲、攻撃力……上げるとしたらそんな感じかしら。ただ、アクセルが確保した基地にあるMSの生産工場でオクト・エイプは作れるの?」

「レモンが何を期待してるのかは分かるけど、それはちょっと難しいだろうな。ドートレスの生産工場だし。ただまぁ、同じMSなんだからデータを変えればどうにかなるかもしれないけど」

 

 勿論、同じMSであっても連邦軍と宇宙革命軍という点では大きく違う。

 けど、レモンとかなら普通にその辺をどうにかしてしまいそうな気がするんだよな。

 それはきっと俺の気のせいではない。

 というか、今までの実績を考えれば当然の事だし。

 

「分かったわ。後で人をやって調べてみるわね」

 

 そうレモンが言うが、現在既に量産型Wやコバッタを送り込んで、基地が使えるようにと調べたり、修理していたりする。

 何しろ最低でも15年もの間、使っていなかったのだ。

 ベルフェゴールもそうだが、テンザン級を始めとした陸上戦艦の類も出来れば使う前にチェックしておきたい。

 その辺を考えると、コバッタや量産型Wを結構な数送り込まないといけないだろう。

 他にも基地の周囲にあった自動迎撃装置の残骸を片付けたり、敵対的な相手が来た時に対処するように新たに自動迎撃装置を設置したり。

 ……いや、わざわざそんな真似をしなくても、イルメヤやメギロート、バッタといった無人機を潜ませておけばいいのか?

 もしこれが有人機なら、来るかどうかも分からない敵を延々と待ち続けるといったようなことは出来ない。

 いや、出来ない訳ではないだろうが、精神的に厳しいのは間違いないだろう。

 だからこそ、こういう時に無人機は非常に使いやすいのだ。

 

「取りあえず基地は大々的に改修する必要があるだろうな。通路もコンクリートがひび割れていたり、植物が生えていたりするところも多かったし」

「その辺は量産型Wや無人機に任せておけばいいでしょ。……それより話を戻すけど、上手い具合にオクト・エイプが量産出来たら、それを商品にするというのはありよね? 勿論その場合は私達が使う改修型じゃなくて、旧型の方だけど」

 

 オクト・エイプは、戦前の量産機の中では最高の性能を持つ。

 もしオクト・エイプを量産して売りに出す事になれば、多くの者はそれを購入するだろう。

 勿論値段を高くしすぎれば、売れないだろうが。

 

「そうだな。バルチャーはMSを売ったりもしてるし、それは構わないと思う。ただ……オクト・エイプを大量に売るとなると、間違いなく目立つぞ。そして目立てば、馬鹿な連中が襲ってくる」

 

 バルチャーの中でもロッソのようにきちんとしたバルチャーなら、俺達がオクト・エイプを売ってもそこまで問題ではないだろう。

 だが、ダイラスのようなバルチャーや、それこそ盗賊としか言えないようなバルチャーの場合……そのような存在にしてみれば、大量にオクト・エイプを持つ俺達はカモネギといったように感じるだろう。

 ……実際には、カモネギではあっても凶悪な力を持ったカモネギなんだが。

 カモが葱を背負ってやって来たのではなく、カモが自分を襲ってきた相手を殺して葱と一緒に煮込んで鍋にする的な感じで。

 

「それは別にいいでしょう? もし襲ってきたら、MSや部品が増えるんだから。スクラップになっても、キブツに突っ込めばいいし」

 

 レモンのその言葉に、なるほどと頷く。

 それに自動迎撃装置代わりの無人機も早速本領を発揮出来るだろう。

 あるいは……ロッソを招待してもいいかもしれないな。

 バルチャーの中で名前が知られているロッソがロッキー級という小型艦だったり、ジェニスのような大量に生産されたMSを使っているのは、壊れた時に代替品が容易に入手出来るからというのが大きい。

 そうなると、ロッキー級はともかくオクト・エイプは俺達が安定供給出来るようにすれば、ロッソもジェニスからオクト・エイプに乗り換える可能性は十分にあった。

 何しろジェニスとオクト・エイプでは、性能が違いすぎる。

 特に自由に空を飛べるというのは、ジェニスよりもオクト・エイプの方が圧倒的に勝っているところだろう。

 ロッソにはそれなりに恩があるし、この辺りでそれを返しておきたいのも事実だ。

 サン・アンジェロ市において、俺が腕利きのフリーのMS乗りとしてやっていけたのは、勿論俺の技量があってこそのものだ。

 だが、全く見知らぬ俺が多くの者に雇われたのは、ロッソからのお墨付きがあったからというのが、この場合は大きい。

 もしロッソのお墨付きがなければ、恐らくはここまで早く腕利きのMS乗りとして活動は出来なかっただろう。

 だからこそ、俺はロッソに感謝していた。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1750

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