X世界にある、シャドウミラーの拠点……その場所では、現在複数のジェニスやドートレスが動き回っていた。
その動きは、全員の機体が一流の凄腕と呼ぶに相応しい。
誰がこれらのMSに乗ってるのかというのは、考えるまでもないだろう。
UC世界からやって来た、シーマを始めとした面々だ。
UC世界のMSとX世界のMSは、同じMSであっても操縦方法とかは色々と違う。
そうである以上、ある程度は慣れておく必要があると思って空間倉庫の中から出したのだが。
ちなみに数の少ないMS……ドーシートやドーシートⅢ、セプテムといった機体は魔法球の中に置いてきた。
一応技術班が調べてみると言っていたものの、多分特に何か技術的に優れているものとかは見つからないだろうな。
ベルフェゴールみたいに特殊なMSならともかく。
……ああ、そう言えばベルフェゴールの件で調べたい事があったな。
取り合えずこのMSの操縦訓練が終わってから試してみるとしよう。
そんな風に思いつつ、俺は眺めているのだった。
「どうだった?」
「そうだね。UC世界のMSとは少し操縦方法が違うけど、普通に操縦出来るよ」
MSの操縦訓練が終わったところでそう尋ねると、シーマからはそんな言葉が返ってきた。
他の面々も、MSを操縦するのにそこまで苦労はしていないらしい。
「そうか。まぁ、操縦してるのを見ていた時に、それで十分に理解出来たけどな。……なら、バルチャーとしても普通に行動出来るな」
「そうだね。ただ。あたし達が使うMSはこのジェニスやドートレスというMSじゃないんだろう?」
「ああ。オクト・エイプだな。空を飛べるMSだ。性能も高い。お前達に分かりやすく言うのなら、ジオン軍のゲルググ的なMSだな」
「空を飛べる……か。一応ジオン軍のMSでもグフ・フライトタイプのように空を飛べるMSがあったけど……そのオクト・エイプは普通に量産されていたんだろう? そういう意味だと、あたし達の世界よりもこのX世界の方がMSの製造技術は高いかもしれないね」
シーマの言葉に、何人かが複雑な表情を浮かべる。
そんな中でも特に複雑な表情を浮かべているのは、クリスだ。
ルナ・ジオンではMS開発組織であるディアナに所属している以上、X世界のMSの方が技術が進んでいると聞かされて面白くないのだろう。
特にX世界のMS……オクト・エイプがそのように評価されているものの、そのオクト・エイプも15年以上前のMSなのだ。
もっとも、人口の99%が死んだこの世界である以上、その15年前に開発されたMSを最後に、新型のMSは開発されていない。
そういう意味では、MSが開発されてからまだそんなに経っていないUC世界は、これから発展していくようなものだろう。
実際、グフ・フライトタイプのように空を飛べるMSもあるのだから。
「個人的には、ギャン・クリーガーとかはオクト・エイプよりも高性能だと思うし、ガルバルディβとかは操縦のしやすさでジェニスやドートレスに勝ると思うけどな」
これはお世辞でも何でもなく、あくまでも俺の本心だ。
現在ルナ・ジオン軍において、エース級のMSパイロットはギャン・クリーガーに乗っていて、それ以外の一般MSパイロットはガルバルディβに乗っている。
ギャン・クリーガーは性能は高いものの、乗りこなすのが難しいMSだ。
ガルバルディβは性能はそこそこ――ギャン・クリーガーと比べてだが――だが、操縦性はいい。
ギャン・クリーガーの方はシェキナーという連邦軍で開発された複合兵装を改良したのを使ってるらしくて、攻撃力という点ではオクト・エイプよりも明らかに上だろう。
ちなみにルナ・ジオンではMS以外にもMAも使われており、ビグロ、ヴァル・ヴァロ、アプサラス……といった機種が多数使われている。
「アクセルが褒めると、何だか素直に喜べないわね」
「それはクリスの性格が捻くれてるからだな」
「ちょっと、アクセルに性格が捻くれてるなんて言われるのは心外だわ」
不満そうな様子のクリス。
そんなクリスの相手をしながら、次にガイアに視線を向ける。
「それで、黒い三連星としてはどうだった?」
「それなりといったところだな。特にどこか突出した性能もないが、明らかな欠点もない」
この場合、ジェニスもドートレスも基本的に汎用型だから、そんな意見になったのだろう。
とはいえ、それでも機体性能に満足している訳ではないのは、ガイア達の顔を見れば明らかだった。
「性能については、オクト・エイプに期待するしかないな。……さて、お前達のMSの操縦訓練が終わったところで、ちょっと試してみたいことがある」
そう言い、シーマ達から少し離れた場所に移動すると、空間倉庫からベルフェゴールを出す。
「これは……ガンダムかい?」
シーマが不思議そうに尋ねる。
まぁ、ガンダムっぽいMSなのは間違いないから、そんな風に思ってもおかしくはないが。
「ああ、X世界のガンダムだ。名前はガンダムベルフェゴール。ただ……このベルフェゴールはちょっと変わっていてな。実はニュータイプ専用のシステム、フラッシュシステムが搭載されてるんだよ」
ニュータイプという言葉が出たところで、その場にいた者達の視線がクスコとマリオンに向けられる。
この2人はセイラと共にシャドウミラーでニュータイプとして知られている者達だから当然だろう。
ちなみにこの2人以外にも奇跡の子供達と言われているのを含めてニュータイプ候補は他にもいる。
とはいえ、今の状態でMSパイロットをしているニュータイプとなると、クスコとマリオンの2人しかいないのだが。
「クスコやマリオンにちょっと乗って貰おうと思ってるのは間違いない。……このガンダムベルフェゴールに搭載されているフラッシュシステムは、さっきも言ったようにニュータイプ用のシステムだ。けど、どういう訳か俺が乗っても完全とまではいかないが、多少はそのフラッシュシステムを使えているみたいなんだよな」
ベルフェゴールの特徴的な武器であるストライククローやアトミックシザーズは、機体を分析したレモンによるとフラッシュシステムが前提となっているとの事だ。
そうである以上、本来ならニュータイプではない俺に操縦は出来ない筈なのだが……何故か、少しだが使えている。
恐らくこのまま俺が使い続ければ、魔力や念動力といった諸々のおかげでフラッシュシステムが俺に最適化されるかもしれない……と、そうレモンは言っていたものの、それはあくまでもそういう可能性だという話だ。
とはいえ、それでもオクト・エイプよりも性能が上なのは間違いないし、ストライククローやアトミックシザーズは強力な武装だから俺が使うつもりでいた。
……まさか、その時はUC世界から派遣されてくるMSパイロットの中にニュータイプがいるとは思ってなかったし。
だが、こうしてニュータイプが来たのだから、フラッシュシステムを搭載しているMSが使えるのなら使わせてもいいと思う。
「ただ、どうせならニュータイプに操縦して貰えるのなら、この機体……ベルフェゴールの性能を最大限に発揮出来る奴に使って貰った方がいいと思うのは当然だろう? そんな訳で、クスコかマリオンにベルフェゴールを試してみて欲しいんだが。どうだ?」
俺の提案に、マリオンは少し戸惑った様子を見せ……
「じゃあ、私が」
そんなマリオンに任せるよりは自分がやった方がいいと思ったのか、クスコがそう主張してくる。
「いいのか?」
「いいのよ。アクセルが使えているシステムでしょう? サイコミュと同じようなものだと思えば、どうにかなると思うわ」
そう言い、クスコは魅力的な笑みを浮かべてベルフェゴールのコックピットに乗り込む。
乗り込んだのだが……数秒、十数秒、数十秒、数分待ってもベルフェゴールが動く様子はない。
「どうしたんだい?」
ベルフェゴールを見ていたシーマが訝しげに呟く。
俺もまたそれを疑問に思っていると……やがてコックピットからクスコが姿を現す。
コックピットから降りてこっちに戻ってくると、やがてその桃色の髪を横に振る。
「駄目ね。フラッシュシステムそのものが起動しないわ」
「……ニュータイプのクスコでもか?」
フラッシュシステムはニュータイプ専用のシステムだった筈なのに、何故ニュータイプのクスコが動かせない?
実はクスコはニュータイプではなかった……といった事はまずないだろう。
それは今までの行動からはっきりとしている。
つまり、もっと何か別の理由によってニュータイプのクスコにもベルフェゴールを動かすような真似は出来ない理由があるのだろう。
「クスコが駄目なら……マリオン、試してみるかい?」
マリオンはシーマのその言葉に、少し考え……やがて頷く。
「はい、やってみます」
「おい、マリオン。本気か?」
「大丈夫ですよ、クスコさんを見れば、特に何かある訳ではないのは明らかですから」
恋人のオルテガに、マリオンはそう言って安心させる。
そんな2人の様子に紅茶派の俺でもコーヒーが欲しくなった。
全く、こういうイチャつきは人の見ていないところでやればいいものを。
そんな風に思っていると、マリオンもベルフェゴールのコックピットに入り……そして数分が経過すると、外に出て来る。
「やっぱり駄目ですね。クスコさんと同じで、全く動かせません」
「クスコだけじゃなくて、マリオンも駄目か。……そうなると、考えられる可能性として一番高いのは、ニュータイプという言葉は同じでも、UC世界のニュータイプとX世界のニュータイプは違うという事か?」
例えば、MS。
SEED世界、W世界、UC世界、X世界の全てでMSは使われているものの、MSという名前は同じでも細かいところは違う。
SEED世界のPS装甲やバッテリー、核分裂炉。
W世界のガンダニュウム合金。
UC世界のミノフスキー粒子や、ミノフスキー物理学を使った核融合炉。サイコミュ。
そしてX世界のフラッシュシステム。
同じMSという名称であっても、ここまで色々な特徴があるのを思えば、それは全く同じMSとは言えない。
そういう意味では、X世界のニュータイプとUC世界のニュータイプが名前は同じであっても能力的には違うという可能性は十分にあった。
とはいえ、そうなればそうなったで、ちょっと面倒な事になったな。
「出来ればバルチャーとして活動していく上で、この世界のニュータイプ技術のデータとかそういうのを入手出来ればいいと思っていたんだけどな」
「そんな事を考えていたの?」
俺の呟きが聞こえたのか、モニクが呆れたように言ってくる。
「そう言っても、ニュータイプだぞ? UC世界……というか、ルナ・ジオンでもその研究は大きな意味を持ってる筈だ。シャドウミラーとしても、ニュータイプに興味を持っている奴はいるしな」
技術班の中には色々と興味を抱いて独自に研究をしている者もいる。
その中には当然のようにニュータイプを研究している者もいた。
そういう者達にしてみれば、ニュータイプについての技術情報といったものは是非とも欲しいだろう。
それだけではなく、当然だがUC世界にとってもニュータイプ情報は欲しい筈だった。
ルナ・ジオンは、女王のセイラがニュータイプという事もあり、アルテミスというニュータイプ研究機関がある。
そのアルテミスにしてみれば、X世界のニュータイプの情報は喉から手が出る程に欲しい筈だった。
「そうね。ただ……私達とは違うニュータイプなら、それはそれでアルテミスの方でも興味を持つと思うけど」
自分がニュータイプだけに、クスコのその言葉は強い説得力がある。
その言葉が真実だとすれば、アルテミスでベルフェゴールを調べて貰うのもちょっと面白いかもしれないな。
「そうなると、結局のところベルフェゴールは今のところ使えるのは俺だけか」
「そうなるねぇ。それに私達を率いるアクセルが乗るんだから、やっぱりアクセルがガンダムに乗るというのは問題ないんじゃないかい? ……とはいえ、ある意味でアクセルらしい変わったガンダムだけど」
シーマは一応俺に気を遣って変わったガンダムといった表現を口にしたのだろう。
俺の目から見ても、ベルフェゴールは普通のガンダムとは思えない。
それこそゲテモノガンダムという表現が相応しいような、そんなMSだ。
「なら、そういう事で。……テンザン級の整備とオクト・エイプの量産が出来たら、バルチャーとして活動する事になると思うから、そのつもりでいてくれ」
「アクセルはどうするんだい?」
「一度サン・アンジェロ市に顔を出してくる。この基地を俺が自分の物にしたというのは……まぁ、ダイラス、俺を嵌めようとした連中の残党が話をしてるかもしれないが、一応俺の方でも直接顔を出しておいた方がいいだろうしな」
「へぇ、そうかい。なら、ついでだ。あたしも一緒に行くよ」
「あ、ちょっとシーマ。ずるいわよ!」
シーマの言葉にクリスが不満を言い……そして何故か激しい言い争いが始まるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1750