「これが改修されたオクト・エイプか。……見た感じ、そう違いはないな」
X世界における、シャドウミラーの拠点である基地。
その基地の修繕や改修そのものは、まだ完全には終わっていない。
しかし、MSを売るという意味でMSの生産ラインの復旧や改修であったり、テンザン級の整備であったりといったことを最優先にした結果、驚く程に短時間で必要な場所はきちんと動くようになった。
俺とシーマがサン・アンジェロ市やセインズアイランドに行ってる間に、随分と基地の改修や修繕は進んでいたようだ。
……ちなみに、この基地の動力炉はレモンが主張した通り色々と危なかったらしく、ブラックホールエンジンを使った動力炉に変更していなければ、そのうち爆発してもおかしくはなかったらしい。
なお、この動力炉関係のパーツはバルチャーとしてもかなり高値で取引されてるらしいので、一応保存してある。
そのうちにバルチャーとして活動してる時に、商品として売れば問題ないだろう。
「まぁ、外見はアクセルのオクト・エイプを分析したのをそのままデータにして、変わらないようにしてるから。とはいえ、スラスターが増えていたりするんだけど」
そう言い、自慢げな表情を浮かべたのはレモンだ。
今回、この基地の生産ラインで製造したオクト・エイプが出来たという事で、気になってホワイトスターから来たのだ。
「外側は変わらない訳か。内部とかはどうなってる?」
「そっちはそれなりに改修してるわよ。とはいえ、X世界の技術を使ってだけどね」
「別に内部構造だけなら、シャドウミラーの技術を使ってもいいと思うけどな。この世界に戦前の技術を継承している存在は……いないと言ってもいいし」
シーバルチャーのルマークは、確保したMSやMAの部品から新しいMSやMAを作るといった真似は出来る。
そういう意味では、技術を継承してると言ってもいいのかもしれないが……あくまでもそれは、今ある部品からMSやMAを作るという事で、何もない0から全く新しいMSやMAを作るといったような真似は出来ない。
だからこそ、本当の意味で技術を継承している存在はいないと思う。
勿論、それはあくまでも今まで集めた情報での話だ。
もしかしたらどこか他の場所には連邦軍や宇宙革命軍の技術を継承している組織があってもおかしくはない。
とはいえ、それはあくまでも予想だ。
今はまだそのような組織が見つかっていない以上、技術の流出やこの世界での技術がシャドウミラーの技術で本来の物よりも歪むというのは、考えなくてもいい。
「そうね。アクセルの言ってる事は分かるわ。けど、これは……そういうのを警戒したというよりは、単純にこの世界の技術でどの程度まで無理なく強化出来るかということの実験的な行動でもあるの」
「なるほど」
そのような行為に具体的にどのような意味があるのかは、俺も分からない。
とはいえ、技術班のやる事に意味を求めるというのが、そもそもの間違いなのかもしれないが。
技術班のやる事である以上、そういうものだと納得するしかない。
「ちなみに具体的にどのくらい性能が上がってるんだ?」
「そうね。……総合的に見て30%増しといったところかしら」
「それは……また……」
総合性能が30%アップとなると、それはもう全く別のMSと言ってもいいんじゃないか?
というか、シャドウミラーの技術を使わずX世界の技術だけでオクト・エイプの性能を30%アップさせる辺り、さすが技術班といったところか。
……ところ、か?
俺が知ってる技術班なら、それこそ性能を30%増しどころか、50%増し……いや、100%増しくらいにしてもおかしくはないと思うんだが。
「よく30%程度で納めたな」
「皆、そこまで本気でやった訳じゃないしね。それに、性能を上げようと思えばもっと上げられるけど、そうなると部品の製造そのものを本格的に見直す必要があるの。この30%というのは、あくまでも今の生産ラインを変えることがないままで、十分余裕を持った上でのものよ」
レモンのその言葉に、なるほどと納得し……だが、すぐに俺は疑問を抱く。
オクト・エイプの性能が30%増しとなった。
それはつまり、ベルフェゴールよりも性能が上になったのではないか、と。
元々ベルフェゴールはフラッシュシステムのおかげで本来の性能を出せていない。
俺の魔力や念動力で中途半端にフラッシュシステムは起動しているものの、それはあくまでも中途半端でしかない。
ベルフェゴールの本来の性能が発揮出来ていない以上、技術班によって改修されたオクト・エイプの方が性能は高いのではないか。
「ちなみに、ベルフェゴールと改修されたオクト・エイプだと、性能はどんな風になる?」
「どんな風に? うーん、それはちょっと難しいわね。以前ベルフェゴールを調べた時にも言ったけど、フラッシュシステムはアクセルの力で変化する……いえ、変化しているのよ。それを考えると、フラッシュシステムがどこまでアクセルの力によって動かせるかによってベルフェゴールの性能は違ってくるわ」
若干遠回りになるようなレモンの説明からすると、やっぱり改修されたオクト・エイプはベルフェゴールよりも基本性能は上らしい。
俺がフラッシュシステムをしっかりと使いこなせるようになれば、あるいはオクト・エイプよりも高性能になるかもしれないが……その辺は、あまり期待は出来ない。
「いっそフラッシュシステムがないベルフェゴールか……もしくはフラッシュシステムを使わなくても普通に操縦出来るガンダムとかがあればいいんだけどな。ベルフェゴールそのものはそれなりに使いやすいので、その後継機とか」
「ベルフェゴールは連邦軍の開発したMSで、その連邦軍がもうない以上、後継機を期待するのは難しいわね。……勿論、コロニー落としでも生き残ったMS設計チームとかがいるなら、そういう人達はベルフェゴールの後継機を開発してる可能性もあるかもしれないけど」
レモンが少し興味深そうに言うのは、フラッシュシステムを使ったMSを開発していた……つまりそれは、ニュータイプ用のMSを開発していた者達という事になるからだろう。
そういう連中が生き残っているのなら接触したいし、出来れば取り込みたい。
とはいえ、取り込むにしてもどういう性格かによるが。
例えば、UC世界にあったフラナガン機関のように子供達に虐待と呼ぶような事をしているような者達であれば、引き込むのは難しいだろうけど。
「その辺は、バルチャーとして活動していけば分かるかもしれないな。具体的にそれがいつになるのかも分からないし」
今の状況を考えれば、そういう連中が残っているのかは……正直、五分五分といったところだろう。
とはいえ、そのような連中を見つける事が出来なくても、ニュータイプ研究のデータが残っていれば……いや、けどそれはあくまでもX世界のニュータイプなんだよな。
クスコやマリオンといったUC世界のニュータイプは、フラッシュシステムを搭載しているベルフェゴールを動かす事が出来なかった。
これはUC世界のニュータイプとX世界のニュータイプの違いなのか、それともベルフェゴールに搭載されているフラッシュシステムが俺の魔力や念動力によって変質した結果なのか。
普通に考えれば、やっぱり前者の可能性が高いよな。
同じMSのある世界、同じガンダムという名前のMSがある世界、そして同じニュータイプが存在する世界。
……だが、それでも世界が違う以上、ニュータイプという言葉が同じであってもそのニュータイプが同じ性質を持つ能力という可能性はそう大きくはないだろう。
このX世界のニュータイプについては、誰か詳しい奴から聞ければいいんだけどな。
ロッソとかは顔の広いバルチャーだけあって、それなりにニュータイプとかについても詳しかったが、あくまでもそれなりにの話だ。
「その辺はアクセルに頼むしかないわね。……ああ、そうそう。テンザン級の運用人員としては基本的に量産型Wやコバッタを使う予定だけど構わないわよね?」
「俺達は構わないが、バルチャーとして行動する時にMSを売ったりする時は困るんじゃないか?」
交渉そのものは、モニクがやるという話だった。
その辺に関しては、モニクは頼りになる。
だが、実際に交渉が終わってMSを売るといったような事があれば、それを引き渡す人員とかが必要となる。
そうなった時、ヘルメットが特殊な量産型Wや、そもそも人ではないコバッタとかが出て来たりすればどうなるか。
……一応量産型Wは意思疎通出来るものの、外見が外見だ。
ヘルメットが怪しすぎる。
あるいは量産型Wが1人だけなら、まだ変わり者がいるという風に思われるかもしれないが、働いている者の大半が量産型Wとなると、ちょっと誤魔化すのが難しい。
なら、精霊の卵の連中を乗せるか?
ロッキー級は精霊の卵に任せるかといった話になっていたので、こっちに回しても……ただ、エルフなのがちょっとな。
しかもエルフらしく顔立ちが整っている者が多いので、それが理由で面倒な事になりそうな気もする。
そうなると、ロッキー級を任せるのも難しいか?
ああ、でもようは耳を見せなければ……いや、美形であるというだけで色々と問題が起きそうだな。
交渉する際に、相手が美形だからということで不満を抱いて本来より高値で売ったり、安値で買ったりとか。
逆に美形だからこそ引き抜こうとしたり、あるいは一晩を共にするように誘ったり。
いや、こちらはそこまで問題はない。
ただし、エルフ達が断ってそれで素直に引き下がるのならだ。
だが、往々にしてこういう誘いをしてくる相手というのは、そう簡単に引き下がったりはしない。
「エルフ達を使うのは問題が起きそうだし、量産型Wを使うのも難しい。……UC世界から人を連れてくるにしても、それはそれで問題が起きそうだし」
具体的には他の世界から自分達も噛ませて欲しいという要望が来る可能性は高い。
特にマクロス世界はホワイトスターと繋がっている世界の中で一番文明が進んでいる。
そうである以上、異世界に興味を持ってもおかしくはない。
……具体的には、移住目的で。
そもそもマクロス世界では多くの移民船団が行動している。
移民船団である以上、目的は移民な訳だ。
そしてX世界は、曲がりなりにも地球だ。
今でこそ戦争の時のコロニー落としで荒廃しているが、その辺の対処はマクロス世界ならそう難しい話ではない。
何しろゼントラーディとの戦争で地球は半ば壊滅状態になったにも関わらず、それを再生した実績があるのだから。
それに比べれば、X世界の地球は多数のコロニーこそ落ちたものの、それでもまだ自然はかなり残っているし、普通に暮らす事も出来る。
環境を整えるのも、そこまで難しい訳ではない。
「うーん、その辺はどこか他の世界から連れてくるか、あるいはいっそ連邦軍か宇宙革命軍が実は無人機として用意していた機体だとして、コバッタを説明するしかないんじゃない?」
「それは……いや、けどちょっと無理がないか?」
コバッタとMSは同じ機械であっても方向性が違いすぎる。
ナデシコ世界の中でも古代人が開発した生産プラントで作られた機体なのだから、普通の機械と同じと考えるのは無理があるのかもしれないが。
「そうね。無理があるかもしれないわ。けど……こっちの実力を知っていれば、そんな状況であっても無理に突っ込んで来たりはしないでしょう? あるいは……いっそ、シャドウミラーは異世界の存在だというのを公表してみる? それはそれで面白いと思うけど」
面白いか面白くないかとなると、そっちの方が面白いとは思う。面白いとは思うのだが、そうなった場合は色々と面倒臭い事になるだろうというのも、容易に想像出来てしまうのは間違いなかった。
「どうだろうな。どうしようもなくなったら、そんな真似をしてもいいけど。取りあえず隠せる限りは普通にこの世界の人間として行動したいな」
「アクセルの操縦技術を見れば、一体どこからこんな凄腕がやってきた? と驚く者も多いと思うけど?」
「それは……まぁ、否定はしない」
自慢じゃないが……というか自慢だが、俺は今まで数え切れない程の戦場を渡り歩いてきた。
中にはネギま世界やペルソナ世界のように生身で戦う世界もあったが、人型機動兵器に乗って戦う戦場も多い。
それだけの戦いを潜り抜けてきたのだから、当然のように技量は磨かれる。
PPを使ってステータスを上げていたし。
それを思えば、俺の今の操縦技術はそこまでおかしいものではない。
とはいえ、その操縦技術がX世界では異常なまでのものであるのも事実。
そうなると、やっぱりその辺について色々と考える必要が出て来るのかもしれないな。
そんな風に思いつつ、俺は改めてオクト・エイプに視線を向ける。
シーマ達も、全員が凄腕のパイロットだ。
そうである以上、そんな凄腕ばかりが揃ってるって点でもカバーストーリーを考えた方がいいのかもしれないな。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1750