拠点の名前については、後で一度戻ってから決めるとして……それ以前に、現在モニクが多くの者と交渉をしており、非常に忙しかった。
ドートレスとオクト・エイプを少し安めの値段で売るといった話がサン・アンジェロ市にいるバルチャーやMS乗りに情報が流れたのだ。
元々その予定ではあったのだが、ちょっと予定以上のものになっているのが少し気になる。
多くの者がモニクと交渉をしてる中で、中にはモニクとの交渉に納得出来ず突発的に攻撃をしたり、あるいはモニクが女だから強気な態度でいけばどうにかなると思っている者も多かった。
……それ以外に、モニクの美貌に目を奪われてMS売買の交渉そっちのけて言い寄るような奴もいたが。
とはいえ、モニクの性格を考えればそんな男達がどうにか出来る筈もない。
けんもほろろに交渉を打ち切られることになった。
モニクはジオン軍ではエリートだった。
それだけにプライドも高く、だからこそ言い寄ってくる男を簡単に受け入れる者はそういない。
ただ、モニクの美貌を考えれば男の影があってもおかしくはないんだが。
……それを言うのなら、シーマ、クスコ、クリスといった面々も同様だったが。
最初はガイアとマッシュの2人とそういう関係の者がいるのか? と思ったが、今のところそういう様子はない。
ちなみにマリオンとオルテガについては馬鹿ップルという表現が正しいので、置いておく。
「それで、結局MSはどのくらい売れたんだい?」
テンザン級にある食堂で、食事をしながらシーマがモニクに尋ねる。
ちなみに現在食堂には俺とシーマ、クスコ、クリス、モニクが同じテーブルで食事をしていて、マリオンとオルテガは少し離れた別の場所で2人で食事をしている。
ガイアとマッシュ、マリュー、ミナトの4人はまだ仕事が残っているのか、食堂にはいない。
「そうね。今のところきちんと契約を結んだのはドートレスが6機、オクト・エイプが2機よ」
「オクト・エイプがちょっと予想よりも少ないな」
俺が以前乗っていただけに、オクト・エイプにはそれなりに愛着もある。
そんな機体があまり売れてないのは、少し残念だった。
「アクセルの気持ちも分かるけど、MSというのは高価なのよ。その中でもオクト・エイプは量産型MSの中では高性能機として有名だから。……勿論、値段を落としてもいいのならそれなりに売れると思うけど、どうするの?」
「それは止めておいた方がいいでしょうね」
クリスがモニクにそう告げる。
クリスはMSを開発しているディアナに所属しているだけあって、その辺の情報とかにも詳しく、そこからの言葉だろう。
モニクもそんなクリスの言葉を理解しているのか、特に反論を口にしたりせずに納得した様子を見せる。
「ええ、分かってるわ。MSを安値で売るという事は、それを買って転売したり、あるいは盗賊達に流す人もいるかもしれない」
「その通りよ。それに、空を飛べるオクト・エイプは、それだけで厄介な存在だもの。それを盗賊が使うといったことを考えれば、後々私達が恨まれたりするでしょうし」
そうなると、最悪の場合は俺達が売ったオクト・エイプがこのテンザン級に攻撃を仕掛けてきたりといったような事にもなりかねなかった。
そうならないようにするには、やはりしっかりと相手を見定めて売る必要がある。
……ルマークにMSを売ってみてもいいかもしれないな。
独自のMSやMAを開発出来るルマーク達なら、ドートレスやオクト・エイプを購入すればそれをベースにして強力なMSに改修するといった可能性も否定出来なかった。
「それより、アクセル。あの月の光については何か情報があったの?」
サラダを食べながら、クスコがそう尋ねてくる。
俺達が現在サン・アンジェロ市にいるのは、それも大きな理由だった。
サン・アンジェロ市はこの辺りで一番大きな街だ。
それだけに、多くの者達が集まってくる。
それを思えば、あの月の光についての情報も集まる可能性は高い。
宇宙革命軍の攻撃であれば、現在地球にいる者達にとって決して見逃せない情報だろう。
何しろ宇宙革命軍と戦っていた連邦軍は今は、もうないのだ。
そうである以上、地球に宇宙革命軍が攻撃を仕掛けてくれば、それに対抗するのはバルチャーやフリーのMS乗りといった戦力でしかない。
村や街の中にも護衛として独自にMSを擁しているところはあるものの、それらを戦力に入れるのは難しいだろう。
ドートレスやオクト・エイプが売れてるのは、その辺りが理由になってるのかもしれないな。
「今のところ色々な場所に顔を出してるけど、月の光についての情報はないな」
このサン・アンジェロ市において、俺はそれなりに有名人だ。
とはいえ、誰もが知っている有名人という訳ではなく、MS乗りやバルチャー関係では知ってる者が多いというのが正確だった。
何だかんだとこのサン・アンジェロ市においてフリーのMS乗りとして活動してきたのが大きかったのだろう。
とはいえ、そういう連中と会っても月の光についての情報は貰えなかったが。
寧ろ、俺がその辺りの情報について何か知らないかと聞かれる事が多かった。
「そうなると……どうするの?」
クスコのその問いに悩む。
いっそあの月の光が降った地に向かってみるのもいいだろう。
もしあの月の光が宇宙革命軍の攻撃であり、連邦軍の残党が撃破されたのなら、既にそこにはもう誰もいないと思った方がいいだろうし。
勿論、MSの部品を欲したバルチャーやMS乗りといった連中が集まってくる可能性は否定出来ないが、それでもあの月の光が降ってからそれなりに時間が経つ。
もしフリーのMS乗りやバルチャーが月の光の降った場所にいても、今となってはもういないだろう。
「いっそ、月の光の降った場所に向かうか?」
「どうだろうね。それは止めておいた方がいいと思うよ」
「シーマ? 何でだ? あの一件があってからそれなりに時間が経っているし、もうバルチャー達もいないと思うが?」
「甘いね。アクセルはこの世界でもバルチャーとして……いや、フリーのMS乗りとして活動してきたんだろう? なら、バルチャーやフリーのMS乗りがこういう時は何を考えるのか、分からない筈はないだろう?」
「……なるほど。待ち伏せか」
シーマの言葉で何を心配しているのかを理解出来た。
シーマにしてみれば、月の光の降った場所にいた者達の残したMSの部品とかはもうないにしろ、万が一を考えてやって来たバルチャーやフリーのMS乗りを攻撃して、それらの持っているMSや陸上戦艦を奪おうと考えても、おかしくはない。
とはいえ、そういうのがいると分かれば、こっちはこっちで対処するのは難しい話ではない。
寧ろ待ち伏せしていた連中を攻撃して、その連中からMSや陸上戦艦を奪うといった真似をしてもいい。
「なら、こっちはそういうつもりで行けばいい」
「アクセルがそう言うのなら、あたしは止めないけどね。……クリスやクスコはどう思ってるんだい?」
「ちょっと、シーマ? 何でそこで私の名前が出て来ないのかしら?」
「モニクは抜け駆けが得意だからね。多分賛成すると思ったんだよ」
「ぐ……」
抜け駆け? 何の話か分からなかったが、モニクはシーマにしてやられたといった表情を浮かべているのを見ると、その言葉が決して間違っている訳ではないのだろう。
「私は……そうね。賛成よ。待ち伏せがあると分かっている上で向かうのなら、どうとでもなるでしょうし」
「まさか、クリスの口からそんな言葉が出るとは意外だった」
「あら、アクセルは何か勘違いしてない? 私だって別に慎重派って訳じゃないのよ?」
言われてみれば、確かにクリスはそんな感じではある。
何かあったら思い切った行動に出てもおかしくないような、そんな性格。
「そうだったな。クリスの性格を考えれば、何か突拍子もない事をしてもおかしくはないか」
「ちょっと、何よ。その言い方だと、私が問題児みたいじゃない」
膨れるクリスだったが、そんなクリスの顔を見て多くの者が笑みを浮かべる。
とはいえ、クリスも実際にはモニクに負けないくらいのエリートなんだよな。
モニクがジオン軍のエリートなら、クリスは連邦軍のエリートといったところか。
士官学校を首席で卒業し、まだ連邦軍ではMSについてあまり詳しくない状況であるにも関わらず、アレックスの開発に携わっていた。
単純に開発に携わっただけではなく、テストパイロットまで務めていたのだ。
そういう意味では、マリューと違った意味でエリートなのだろう。
……技術者でありながらMSパイロットをするのと、技術者でありながらアークエンジェルの艦長をやるのは、それはそれで色々と違うところもあるのだろうが。
「別にそこまで気にする必要はないと思うけどな。問題児でも有能なら、俺としては大歓迎なんだし。ルナ・ジオンも同じだろう?」
「あのねぇ、いい? まずは私が問題児であるというところから考えを変えてちょうだいって言ってるの」
不満そうなクリスに、同じエリート組としてだろう。モニクが複雑な表情を浮かべる。
なお、モニクとクリスはエリート組だが、シーマとクスコはまた違う。
シーマは元々サイド3の中でも貧民街……というか貧民コロニーであるマハルの出身だし、クスコもクスコでフラナガン機関で実験体扱いされていた。
そういう意味ではここにいる面々は正反対な者達が揃っているんだな。
「問題児の件はとにかく……」
そうして言葉を続けようとしたところで、不意に食堂で働いている量産型Wがこっちにやってきて、ブリッジから通信が入っていると伝えてくる。
ブリッジから通信? 何かあったのか?
MSの購入を希望する面会なら、俺じゃなくてモニクに話が通る筈だし。
「ブリッジの方で何か問題があったらしい。そっちに顔を出してくる」
そう言い、食堂から出るのだった。
「マリュー、どうした?」
「あら、アクセル。遅かったわね」
『はっはっは。まぁ、それがアクセルらしいところではあるんだがな』
マリューに続いて言葉を発したのは、映像モニタに表示されている相手だった。
それが誰なのかというのは、それこそすぐにでも理解出来た。
「ロッソ? お前、サン・アンジェロ市に戻ってきてたのか?」
そう、映像モニタに表示されているのは、ロッソだった。
俺がサン・アンジェロ市において、フリーのMS乗りとして活動することが出来るようになった、ある意味で恩人とも呼ぶべき人物。
何かちょっと大きな仕事があるという話で、数ヶ月くらいサン・アンジェロ市に戻ってきていなかったんだが。
とはいえ、別にロッソはサン・アンジェロ市を拠点にしていた訳ではない。
ロッキー級に乗って、色々な場所を旅して連邦軍の基地を見つけてはそこを探索してMSや部品、それ以外にも金になる物を入手して売りに出すといった商売をしている。
そういう意味では、こうして久しぶりにサン・アンジェロ市に戻ってきたのはそうおかしな話ではない。
『ああ、ちょっと古い知り合いに呼ばれてな。ただ、その前に仕事をこなしてたから、その補給の為に寄ったんだが……まさか、この前までフリーのMS乗りだったお前が、テンザン級を使ってるとはな。こっちに戻ってきて知り合いからそれを聞いて驚いたよ』
「まぁ、テンザン級はかなり希少な陸上戦艦だしな。……ああ、でもロッソの知り合いにもテンザン級を使ってる奴がいるって話じゃなかったか?」
以前ロッソに雇われた時、ロッソの部下からそんな話を聞いた覚えがある。
『ああ。……いや、そうか。どうせなら……』
「ロッソ? どうしたんだ?」
『さっきも言ったが、俺はこれから古い馴染みのバルチャーの手助けをしに行く。その時、俺と一緒に行動するのがグリーツ・ジョーという、お前と同じテンザン級に乗ってる奴も一緒に行動するんだ』
「へぇ……テンザン級が2隻となると、それはかなり目立ちそうだな」
『それだけじゃねえ。グリーツの部下達はオクト・エイプに乗ってる。……こうも重なってくると、ちょっと会わせてみたいとは思ってもおかしくはないだろ?』
「それは……」
俺と同じテンザン級で、しかもオクト・エイプを使ってると聞けば、興味を抱かない訳でもない。
とはいえ、今の状況を思えばサン・アンジェロ市から出るのはどうかと思うんだが。
マリューに視線を向けると、笑みを浮かべて口を開く。
「いいんじゃない? 私達も実戦は経験しておいた方がいいだろうし。それに、うちの戦力なら問題ない筈よ」
「マリューがそう言うのなら、構わないか。ロッソを呼ぶという事は、結構大きな件になりそうだし」
俺達にしてみれば、そのような大きな場所で自分の実力を発揮するというのは、ある意味で願ったり叶ったりといったところだろう。
それに……こうして1つの場所でじっとしてるよりも、しっかりと動いてみた方が色々と情報を得られるかもしれない。
「分かった。その依頼引き受けさせて貰おう。……報酬は応相談って事でな」
『がははは。その辺はジャミルに……俺を呼んだ奴に聞いてくれ』
こうして、俺はフリーのMS乗りではなくバルチャーとして初めての活動をする事になるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1750