フリーデンの銃口を向けてくるという行動に、俺とモニクはどうするべきかと疑問を抱き……しかし、それでも銃口を向けるのを止めたし、何よりもロッソからの紹介という事もあるので、取りあえず攻撃する事は止めておく。
……俺と一緒にベルフェゴールのコックピットに乗っているモニクが凄絶な笑みを浮かべていたからという理由ではない。うん、取りあえず表向きはそういう事にしておこう。
そんな風に考えながら、フリーデンの格納庫に着艦したんだが……
「ガンダム?」
ベルフェゴールの映像モニタに表示されているのは、まさにガンダムと呼ぶに相応しい外見をしたMSだった。
ベルフェゴールのように、ゲテモノガンダムという表現が相応しいようなガンダムではなく、正統派のガンダムと呼ぶべきMS。
それを見た瞬間、何となくだが理解出来た。
この正統派ガンダムが恐らくこの世界の主人公が乗る機体なのだろうと。
……勿論、この世界には俺のベルフェゴールを始めとして、複数のガンダムがある。
そういう意味では、このガンダムが実は全くの別物……この世界の主人公が乗るのではなく、別の人物が乗るガンダムであるという可能性も否定は出来ない。
だが、それでも俺がこのX世界で入手したゲテモノガンダムと呼ぶべきベルフェゴールとは違い、初めて見る正統派のガンダムだ。
ちなみにMAっぽいのもあったが、それよりはやはりガンダムの方に視線を奪われてしまう。
あるいは……本当にあるいはの話だが、もしかしたら俺の中に本当に微かに残っている原作知識がそう教えているのかもしれない。
俺の中にあった原作知識は、ペルソナ世界の戦いで消されてしまった。
しかし、それでも微かに残っている原作知識があった場合、それが教えているという可能性も否定は出来ない。
「アクセル、どうしたの?」
映像モニタに表示されているガンダムを見ていると、モニクが不思議そうに尋ねてくる。
そこには先程まで浮かべていた凄絶な笑みはなく、不思議そうな表情だけ。
……普段通りであっても、気の強そうな美貌だが。
「いや、このフリーデンにもガンダムがあったのかと思ってな」
その言葉に、モニクは俺の視線を追って映像モニタに表示されているガンダムを見て、俺がそれに集中していた意味を理解したらしく、納得の表情を浮かべていた。
「なるほどね。……とはいえ、今はまずさっきの件について色々と話を聞いた方がいいと思うわよ。場合によっては、敵対するかもしれないんだし」
「出来ればそうなって欲しくはないけどな」
見たところ、フリーデンが有しているMSはガンダムだけだ。
そういう意味では、ベルフェゴール以外にもオクト・エイプを多数揃えている俺達の敵ではないと思う。
しかし、恩人であるロッソの紹介というのを考えると、出来れば敵対はしたくない。
「俺としては、さっきの一件の謝罪の品としてガンダムが欲しいけどな。……とはいえ、ガンダムを貰っても使えないか」
恐らく、あのガンダムにもベルフェゴールと同じくフラッシュシステムがあるだろう。
そして現状では、フラッシュシステム搭載機を運用出来るのは俺だけだ。
クスコやマリオンといったニュータイプでも、この世界のフラッシュシステムには対応していないのだから……と、そう思ったところで、遅ればせながらフリーデンにガンダムがある事の意味に気が付く。
「さすがに銃口を向けただけでガンダムを貰うのは難しいと思うわよ。……アクセル? どうしたの?」
「あのガンダムがあるという事は、当然ながらそれを使えるパイロット……ニュータイプがいる筈だ。だとすれば、このフリーデンにはニュータイプがいるという事になる」
「それは……しまったわね。そうなると、クスコかマリオンを連れて来た方がよかったわね」
そんな風に会話をしていると、ふと格納庫の中……というか、ベルフェゴールの前で狂喜乱舞している子供がいるのに気が付く。
帽子を後ろ向きに被っているその子供は、ベルフェゴールを見て飛び上がって喜んでいる。
何だ? 見た感じフリーデンのクルーらしいが。
そんな子供を見て、ここであれこれ考えても意味はないと判断して口を開く。
「取りあえずいつまでもコックピットの中でこうしている訳にもいかないし、そろそろ降りるとするか。俺達がいかないと、ロッソも話を進められないだろうし」
「そうね。……銃口の件についてもしっかりと話をする必要があるでしょうから」
そう言葉を交わし、俺とモニクはコックピットから降りる。
乗降ワイヤーで床に到着すると、すぐにベルフェゴールを見て狂喜乱舞していた子供が俺達の方にやってくる。
「なぁ、なぁ、なぁ。あれってガンダムだよな? どんな性能なんだ?」
「はぁ……減点ね」
挨拶も何もなく、いきなりガンダムについて聞いてきたのが気にくわなかったのか……あるいはフリーデンに銃口を向けられたのも影響してるのか、モニクの口からそんな声が出る。
子供の方も、そんなモニクの様子に気圧されたのか、我知らずといった様子で数歩後退る。
「ちょ……減点って何なんだよ!」
「私達は客人よ? その客人に銃口を向けるわ、自己紹介もしないでいきなりMSについて尋ねて……ここのバルチャーがそういう風に思われるのは当然でしょう?」
「ぐ……け、けど銃口って何だよ。別にそんなこと……」
「キッド!」
子供……キッドと呼ばれたその子供が何かを言おうとした時、格納庫に1人の女が姿を現す。
かなり整った美貌の持ち主で、生真面目な……言ってみれば委員長系とでも呼ぶべき性格をしていそうな女。
その女は、俺達の前にやってくると子供……キッドを睨み付ける。
すると不承不承ながらキッドは女に場所を譲る。
今の一連の行動を見ただけで、お互いの力関係が理解出来た。
「初めまして、私はサラ・タイレルといいます。フリーデンの……その、副長のようなものだと思って貰えれば」
サラと名乗った女の言葉に、なるほどと納得する。
どうやらこの女が俺達の案内人……そして弁明をする人物らしい。
艦長のジャミルではなく、副長が出て来るのはちょっとどうかと思うが。
多分、ジャミルの方はロッソや他のバルチャーと話しているのだろう。
そうしてサラを見ていると、モニクから軽く肘で突かれる。
その言葉の意味を理解し、俺も口を開く。
「アクセル・アルマーだ。ロッソから今回の一件をちょっと手伝って欲しいと言われて協力しに来たんだが……まさか、近付いただけでいきなり銃口を向けられるとは思ってなかったけどな」
「それは……」
「ああ、その件についてはこっちのモニクと話してくれ。俺達の交渉役だ。……場合によっては、こっちも相応の対応をする必要があるのを忘れずにな」
そう言うと、モニクは1歩前に出て綺麗な笑みを浮かべ、握手を求めるように手を出して口を開く。
「私はモニク・キャディラック。アクセルが言ったように交渉役を任されているわ。よろしくね」
「……お手柔らかにお願いします」
サラはそう言い、モニクと握手を交わす。
サラにしてみれば、この交渉という戦いは圧倒的に不利な状況だ。
何しろフリーデンの銃口をベルフェゴールに向けたという、落ち度があるのだから。
そうである以上、フリーデン側が厳しい立場になるのは間違いなかった。
「ですが、その……フリーデンは現在少し神経質になっているのです。色々とあったので。それで外見から敵だと判断してしまい、それでブリッジのメンバーが過剰に反応してしまったのです」
「へぇ……それはちょっと興味深いな」
サラの言葉にそう返す。
神経質になっていたというのは、それこそ今回ロッソ達を呼んだのを見れば明らかだろう。
だが、それでもロッソの仲間だという連絡は入っていた筈であり、そんなベルフェゴールに反射的にではあっても攻撃する……いや、実際に攻撃はされなかったが、そのようなことになるというのは納得出来ないではない。
そうなると、緊張した理由が何か特別だったのか、それともフリーデンそのものが素人なのか。
……いや、後者はないな。ロッソから聞いた話によると、このフリーデンの艦長はかなりやり手だって話だったし。
だとすれば、前者。
そこに何か理由があるのは間違いない。
とはいえ、それを聞けばフリーデンがベルフェゴールを警戒していた理由を理解出来た。
分からないが、フリーデン所属のガンダムが典型的なガンダムなら、ベルフェゴールを見て敵と判断してもおかしくはなかった。
「それにしても、思ったよりもニュータイプは多いみたいね」
ピクリ、と。
モニクの言葉を聞いたサラが表情を動かす。
何だ? 今、ニュータイプという言葉に反応したようだったが。
「違うぜ! 少なくてもガンダム坊やはニュータイプじゃねえからな!」
「キッド!」
モニクの言葉を聞いたキッドがそう言うと、サラが鋭く叫ぶ。
だが、叫ばれたキッドは素早くその場から逃げ出していた。
さて、今の言葉はどういう事なんだろな。
ガンダム坊やという言葉からすると、それがガンダムのパイロットなのだろう。
坊やという言葉から、年齢的には10代半ば……この世界の原作の主人公はそいつか?
ガンダムのパイロットだというのもあるし。
だが……ニュータイプではないとキッドが言っていたのを思うと、また違うのか?
ともあれ、どうやらこのフリーデンこそがX世界の原作でも中心となる場所なんだろうな。
SEED世界のアークエンジェル、UC世界のホワイトベースのように。
ニュータイプじゃないとすると、あるいは何かもっと別の能力を持っているとか?
「さて、今の件で色々と詳しい話を聞きたいのだけれど……」
モニクのこの言葉に、サラが逆らえる筈がない。
いや、勿論向こうに何も落ち度がなければ、無理なものは無理だときっぱり断ってくるだろう。
だが、今のフリーデンは俺達に銃口を向けたという後ろめたい思いがある。
そうである以上、ここでモニクの言葉を断るといったような真似は出来ない。
「詳しい話は、会議が終わってからでいいでしょうか? 艦長や他の方達も待ってますので」
「ああ、それでいい」
モニクに変わって俺が答える。
モニクはそこで言葉を取らないでよといった視線をこっちに向けてくるが、ここでモニクとサラがいつまでも会話をしていれば、それだけ無駄に時間が消費されてしまう。
そうならないように、話は纏めた方がいい。
……あるいはこれでこのフリーデンが原作の中心的な存在になるような場所でなければ、俺ももう少し態度が違ったかもしれないが。
「ありがとうございます。では、こちらにどうぞ」
サラが感謝の言葉を口にし、俺とモニクを案内していく。
……何だか俺達がいなくなった後で、あのキッドとかいうのがベルフェゴールに妙なちょっかいを掛けそうなのがちょっと心配だったが。
ただまぁ、ベルフェゴールはフラッシュシステムがあるから、普通に起動しようとしても難しい。
「あのキッドとかいうのがベルフェゴール……俺のガンダムに興味を持っていたみたいだが、妙な真似はしないようにしてくれよ」
「うちのチーフメカニックが申し訳ありません」
「……チーフメカニック?」
それは俺にとってもかなり驚きの言葉だった。
キッドというのは、それこそ10歳ちょっとくらいか? そんな年齢でチーフメカニックって事は、一種の天才なんだろうな。
そういう意味では、シャドウミラーの技術班に相応しい人材なのかもしれないが。
あの性格なら、もしかしたら未知のMSとかが大量にあると言えば、あっさりと技術班に入りそうな気がする。
このX世界の原作がどういう感じなのかは分からないが、それが片付いたら誘ってみてもいいかもしれないな。
そんな風に考えている間にもフリーデンの中を進み、やがて1つの部屋に到着する。
「どうぞ。皆さん、もうお待ちです」
そう言い、サラが扉を開ける。
その部屋の中は、まさに会議室といった様子の部屋だった。
机と椅子が並んでいるだけの、そんな部屋。
そんな会議室の中には、サラが言ったように既に多くの者達が集まっている。
その大半は、恐らくフリーデンのクルーなのだろう。
だが……そんな中で、一際存在感を発揮している3人がいた。
1人はロッソ。これはもう俺の知り合いなので特に気にする事はない。
残りの2人のうち、1人は女。
それなりに顔立ちが整っており、見る者の多くは美人だと口にしてもおかしくはないが、それでいてロッソに負けないくらいの存在感を持っている。
そしてもう1人は、もみあげが特徴的な眼鏡を掛けた男。
ロッソと比べるとかなり若く……意味ありげな視線を俺に向けていた。
「おう、アクセル、遅かったな。こっちに座れ」
ロッソがそう手招きをし、俺とモニクはそっちに近付いていく。
「へぇ、ジャミルには負けるけど、いい男じゃないか。私はローザ・インテンソ。よろしくね」
そう言い、女が笑みを浮かべる。
「おや、こうなると私も挨拶をしないといけませんね。私はグリーツ・ジョー。よろしくお願いします」
意味ありげな視線を向けていた男がそう言う。
なるほど、男がグリーツ・ジョーか。
俺と同じくテンザン級に乗っていて、オクト・エイプを使っているバルチャー。
さっきの意味ありげな視線は、つまり自分と同じような戦力の俺に興味を抱いてのものだったのだろう。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1750