テンザン級から出た瞬間に見た、巨大なビーム砲。
その威力は凄まじく、フリーデンは回避行動をしていたので直撃をした訳ではなかったが、左舷の側をビームが通っただけでフリーデンは大きなダメージを受けてしまった。
フリーデンにとって完全な奇襲になった感じだ。
元々アルタネイティブ社を攻撃するのにGXのサテライトキャンを使う予定だった。
だからこそ月が出てから攻撃を開始するつもりだったのだが……それはアルタネイティブ社にしてみれば、許容出来ない事だったのだろう。先手を打たれてしまった形だ。
とにかく、あの巨大なビーム砲を撃ってきた敵をどうにかする必要があるか。
何より、ドートレスと一緒にいるガンダムは俺にとって決して見逃せない理由がある。
具体的には、地面に先端が突き刺さっている鉤爪のような手と、胸部にある巨大なビーム砲。
それはベルフェゴールのストライククローとソニックスマッシュ砲を思い起こさせる武器だ。
突然現れてフリーデンを攻撃していったガンダムと、そしてソニックスマッシュ砲を撃ったガンダム。
その双方共にベルフェゴールの系列機であると考えるのが自然だろう。
あるいは、ベルフェゴールはソニックスマッシュ砲を持っているガンダムとアトミックシザーズを持っているガンダムの長所を組み合わせて設計されたMSなのかもしれないな。
実はソニックスマッシュ砲のガンダムとアトミックシザーズのガンダム、どちらを俺が相手すべきか少し迷った。
フリーデンから連れ去られた人物を取り返した方がいい……とそう思ったその瞬間、フリーデンからの通信が入る。
『アクセル、聞こえているか!』
「ジャミル? 悪いが今は忙しい。話は手短にな。急がないとフリーデンから逃げていったガンダムを逃してしまう」
『今は構わん! 恐らくティファの病状が急に悪化したのは、オルバの仕業だ』
厳しい口調でそう言うジャミル。
だが……オルバ?
何故ここでオルバが出て来る?
一瞬そう思ったものの、すぐに理解する。
アトミックシザーズを持つガンダムに乗っていたのは、恐らくオルバだったのだろうと。
俺が聞いている限りでは、オルバが乗っていたのはMAだった。
しかし、病人……ティファか。そのティファを連れ去ったのは、オルバ。
つまり、アトミックシザーズのガンダムはMAに変形が可能な可変機だという事だ。
そうなると、テンザン級が2隻あるにも関わらずレーダーに発見されずフリーデンが攻撃されたという理由はすぐに納得出来た。
つまり光学迷彩の類でレーダーを欺いてフリーデンに近付いて攻撃をしたのではなく、元々レーダーの中から……フリーデンの内部に敵がいたという事なのだろう。
「連れ去られた病人、ティファだったか? それは本当に放っておいてもいいのか?」
『構わん。向こうもティファを必要としている。オルバがティファをあのような状況にした以上、それを回復させる手段も持っている筈だ。ならば、今は向こうに任せた方がいい。それより、問題なのはフリーデンを攻撃したMSだ』
サングラスをしているので、はっきりとした表情は分からない。
分からないが、それでもジャミルが険しい表情を浮かべているのは間違いなかった。
「ソニックスマッシュ砲を持っているガンダムか」
『武器の名前を知っているという事は、知り合いがパイロットか?』
「いや、違う。ティファを連れ去ったガンダムもそうだが、俺のガンダムと同じような武器を持っているという事は系列機……っと!」
喋っている途中で、そのソニックスマッシュ砲を持っているガンダムがこちらに向けて再び強力なビームを撃ってきた。
どうやら向こうのパイロットもベルフェゴールが気になっているらしい。
とはいえ、あのような巨大なビームは戦闘の中で使うというのはそれなりに技量を必要とする。
少なくても、こうして空を飛んでいるベルフェゴールを狙うのは……いや、なるほど。向こうはベルフェゴールを脅威と見て、自分に注意を向けさせる為の一撃か?
俺がそう理解したように、向こうもまたベルフェゴールを自分のガンダムの系列機であると判断し、味方に被害が及ばないようにしてるのだろう。
だが……甘い。
いや、寧ろその行動は俺に取っても望むところなのは間違いない。
「悪いな、ジャミル。どうやら向こうは俺を誘っているらしい。話は後だ」
『いや、それでいい。私が頼もうとしたのも、アクセルにあのガンダムを対処して欲しいというものだったからな』
なるほど、どうやらジャミルが通信を送ってきたのはそれが理由らしい。
とはいえ、俺にしてみれば願ったり叶ったりといったところだが。
「俺はそれで問題ない。ただ、俺の部隊の他の面子はドートレスを攻撃する」
ドートレスの数は結構多い。
だが、それでも100機も200機もいる訳ではなく、20機程度でしかない。
ルナ・ジオン軍の中でも精鋭と呼ぶに相応しいパイロットが揃っている。
数は敵の半分以下だが、その程度の数の差ではシーマ達をどうにも出来ないだろう。
その上で、戦っているのは俺のテンザン級とジャミルのフリーデンだけではない。
ロッソを始めとして、他にもこちらの味方がいる。
軍として戦うとなると、こっちが圧倒的に有利なのは間違いない事実だった。
『そうか。他に援軍を出させる』
「そうしてくれ。必要はないかもしれないがな。……さて、向こうもそろそろ我慢の限界らしい。通信を切るぞ」
そう言い、通信を切る。
さて、ドートレスは既におらず、ソニックスマッシュ砲を持つガンダムのみが俺を待っている。
正直なところ、俺がジャミルと通信をしていた時に動かなかったのは意外だった。
あるいは何かそうしなければならない理由があるのもしれないが……それはこっちにとっても幸運だったのは間違いないかもしれないな。
少しでも情報を集めるべきだと判断し、敵に通信を送る。
「俺はアクセル・アルマー。……悪い事は言わないから降伏しろ。お前達に勝ち目はない」
『ほう』
俺の言葉に応じるように、映像モニタに1人の男が表示される。
パイロットスーツの類も着ていないので、当然ながら向こうの顔はしっかりと認識出来た。
その顔は、オルバと似通っている。
血縁なのは間違いないだろう。
「オルバの関係者か」
『さて、どうだろうね。それより……そのガンダムベルフェゴール、一体どこで手に入れたのかな? オルバから聞いた時にはまさかと思ったが……本当だとは思わなかったよ』
先程ティファを連れ去った時に、オルバから話を聞いたのだろう。
……いや、ちょっと待て。それは少しおかしくないか?
ベルフェゴールの存在については、それでいいだろう。
だが、この場合の問題なのは敵が攻めて来たタイミングだ。
俺は最初、こっちにGXがあるというのを理解しているからこそサテライトキャノンを使われるよりも前に攻撃をしてきたのだと思っていた。
しかし、サテライトキャノンを使うというのをどこで知る事が出来た?
そもそもGXを所持しているという情報があったのか。
それにしたって、こっちの作戦を読んだかのように攻撃してくるは疑問だ。
フリーデンにいたオルバが、この男に通信で作戦を説明した?
可能性はあるが、不審な電波の類が出ていればフリーデンでも……あるいは俺を含めて他のバルチャー達が察知してもおかしくはない。
しかし、そういうのがなかったという事は……いや、今はこっちの相手が先か。
「さて、どこだろうな。自己紹介をしないような相手にそんな事を話す必要はないな」
『これは失礼。私はシャギア・フロスト。オルバの兄だよ』
「やっぱり兄弟か。それで、どうする? このまま降伏するのなら、こっちも相応の態度をとってもいいが」
『ふ……私が降伏? 何故? 降伏するのは君だろう? 私のガンダムヴァサーゴは君のガンダムベルフェゴールの後継機だ。1対1で私に勝てると?』
自信に満ちた様子を見せるシャギアだったが、その言葉は俺には意外だった。
シャギアの口から出たのは、ベルフェゴールとヴァサーゴではヴァサーゴの方が新しい機体という事。
ソニックスマッシュ砲やアトミックシザーズの件から考えて、ベルフェゴールの方が新型の機体だと思っていた。
しかしシャギアの言葉を考えると、ヴァサーゴの方が上だったという事になる。
それが真実かどうかは分からない。
だが、幾ら何でもここで嘘を吐くつもりはない筈だ。
であれば、こうして言ってきた内容は恐らく事実なのだろう。
「なるほど。そっちの機体が新しいか。だが……戦いはMSの性能差だけで決まるものではない。パイロットの操縦技術も大きな意味を持つ」
『それは私の方が君よりも操縦技術が劣っていると?』
「さて、どうだろうな。お前がそういう風に感じたのならそういう事なんだろうな。……取りあえずお前の機体には興味があるから、そのガンダムは貰おうか。フラッシュシステムについても興味はあるし」
『……ほう』
何だ? フラッシュシステムと口にした瞬間、一瞬だけシャギアの反応が変わったな。
フラッシュシステムについて何か思うところがあるのは間違いない。
だが、それは……いや、待て。ヴァサーゴがベルフェゴールの後継機という事は、当然ながらベルフェゴールの欠点だった場所を改善している筈だ。
そしてベルフェゴールの最大の欠点は、フラッシュシステムを機体制御や武器制御に使っている事だろう。
後は、ベルフェゴールはソニックスマッシュ砲とアトミックシザーズを1つの機体で持っているがヴァサーゴはソニックスマッシュ砲だけ、そしてオルバの機体はアトミックシザーズだけ。
それは何故か。
つまり、普通のパイロットではフラッシュシステムなしでソニックスマッシュ砲やアトミックシザーズといった武器を複数使いこなすのが難しいからではないか?
だが、それは逆に言えば武器の数を減らせばフラッシュシステムなしでも機体の性能を十分に発揮出来るという事を意味している。
「お前の機体……フラッシュシステムを搭載していないな? あるいは搭載していてもベルフェゴールと違って機体制御や武器制御に使っているのではなく、GXのようなタイプなんじゃないか?」
『っ!?』
一瞬、間違いなく一瞬だったが、シャギアの表情が苛立ちに歪む。
つまりそれは俺の言葉が図星だったという事だろう。
だとすれば、余計に……今まで以上にヴァサーゴが欲しくなった。
ベルフェゴールも、このまま使い続けていればいずれフラッシュシステムが俺に適応するかもしれない。
だが、それはあくまでもかもしれないで、具体的にいつ適応するのか分からないのだ。
それこそ明日にでも適応するかもしれないが、数年後……場合によっては数十年後かもしれない。
その不確実性を考えると、ベルフェゴールを使うよりヴァサーゴを奪った方がいいだろう。
何よりヴァサーゴがベルフェゴールの後継機であるというのなら、フラッシュシステムの件だけではなく、それ以外の性能でもベルフェゴールを上回っている可能性がある。
「どうやら図星みたいだし……その機体、貰うぞ」
『ふざけるな!』
ヴァサーゴを貰うという言葉は、シャギアにとって決して許せないものだったのか、ストライククローに似た……ただしベルフェゴールとは違って肩にストライククローがあるのではなく、腕の外側に爪がついており、それが展開して腕を覆うようにしながら伸ばしてくる。
当然だが、まだベルフェゴールとヴァサーゴの間合いはあるので、物理的な攻撃でダメージを与えるといった真似は出来ない。
だが、あの爪がベルフェゴールのストライククローの発展型だとすれば……
「やっぱりな!」
スラスターを全開にして、ストライククローから放たれたビーム砲の一撃を回避する。
同時に俺もまたストライククローを展開し、クロービーム砲を放とうとするが……それよりも前にヴァサーゴは動いて距離を取る。
『ふっ、やはりフラッシュシステムを使いこなしていないか。貴様はニュータイプではないな』
「生憎とな。だが、ニュータイプではないから弱いとは限らない。それをこれから証明してやるよ」
その言葉と共に、ヴァサーゴの動きを先読みしてクロービーム砲を放つ。
確かにベルフェゴールはフラッシュシステムで機体制御と武器制御をしてるので、動きが非常に鈍い。
しかし、機体の反応速度が遅いというのは俺にとっては珍しいことではない。
俺が操縦する機体は、MSに限らずT-LINKシステムを搭載しているニーズヘッグ以外は、どれも反応が鈍いのだ。
そのような機体の操縦に慣れている以上、俺にとってベルフェゴールというのはいつもより少しだけ反応が鈍い機体という事でしかない。
つまり、その分を計算に入れ……トリガーを引く。
クロービーム砲は、ヴァサーゴが回避した先を読んでいたかのような軌道を描き、ヴァサーゴに命中するのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1750