フラッシュシステムを使えないのに、ニュータイプ。
それはジャミルにとってかなり予想外の言葉だったのだろう。
一体何を言ってる? といった視線でこっちを見てくる。
どうやらジャミルの認識でも、ニュータイプというのはフラッシュシステムに対応している者の事を指すのだろう。
「アクセル、一体何を言っている?」
「フラッシュシステムに対応しないニュータイプもいるという事だ。……ここでああだこうだと言っても意味はない。俺がニュータイプと判断している2人を呼ぶか? それで直接会ってみて判断すればいい。……もっとも、判断するのはティファになるだろうが」
そう言ってティファに視線を向けると、その視線を向けられたティファはビクリとする。
そして俺の視線から隠れるように執務机の後ろに隠れる。
……それでいながら、数秒が経過すると再び顔を出してこっちを見てきたが。
ティファにしてみれば、俺が怖い存在というのは変わらないものの、だからといって嫌っている訳でもないらしい。
具体的にそれがどういう風なのかは分からないが……まぁ、取りあえず嫌われている訳ではないのだから、よしとしておく。
「で、どうする?」
「……では、頼む。呼んでみて欲しい」
「分かった。モニク」
その言葉にモニクがサラに声を掛け、通信機を貸して貰う事になる。
こっちの件はモニクに任せておけばいいだろう。
「さて、こうなるとニュータイプ2人が来るまではちょっと暇だな。その間の暇潰しはどうする?」
「暇潰しと言われてもな。……そうだな。アクセルが見つけたという基地について教えてくれないか?」
バルチャーとして、その辺については気になるのだろう。
そう尋ねてくるジャミルに、少し考えてから口を開く。
「そうだな。俺が得た基地の中で一番凄いのは……ドートレスの生産設備があった事だろうな。おかげで、材料を用意出来ればドートレスを幾らでも生産出来る。それとオクト・エイプを解析して、オクト・エイプも作れるようにしたから、その2機種を自由に生産して売れる」
「それは……」
生産工場を手に入れたというのは、ジャミルにとっても予想外だったのだろう。
あるいはドートレスやオクト・エイプなら欲しいと思っているのかもしれない。
現在、フリーデンにはGX1機だけしかMSはない。
ウィッツとロアビィも、多少ではあるが報酬を受け取ってもう出ていったし。
……あるいはこれでアルタネイティブ社との戦いでウィッツやロアビィが大規模に活躍するといった真似が出来ていれば、報酬は予想以上に貰えたのだろう。
しかし、生憎とウィッツとロアビィがやって来た時、既に戦闘は終わりかけていた。
シャギアのヴァサーゴは既に俺が捕らえていたし、オルバのアシュタロンはGXが相手をしていた。
結構な数のドートレスが向こうの戦力として姿を現したが、それはシーマ達によって倒されていた。
つまり、ウィッツやロアビィ達がやって来ても、特に活躍はなかったのだ。
何らかの手段で遠距離からこっちを攻撃してきた敵は、GXのサテライトキャノンで片付けられたし。
そういう意味では、ウィッツとロアビィはやって来た意味はなかった。
それでも多少なりとも報酬を支払ったのは、こうしてやって来てくれた事に感謝をしているからなのだろう。
ともあれ、そんな訳でフリーデンとしてはMSを欲しいと思ってもおかしくはない。
「欲しいのなら、少しは値引きしてやるぞ? 空を飛べるMSというのは、必要だろう? 勿論、ドートレスはともかくオクト・エイプはそれなりに高額になるが」
基本的に俺達が売っているMSは、ドートレスが安い代わりに性能も低い。オクト・エイプは高い代わりに性能も高いといった感じだ。
村や街が防衛戦力として使う場合は、ドートレスでも十分だろう。
だが、バルチャーとして色々な場所を移動しながら活動するとなると、空を飛べて高性能はオクト・エイプの方がいいのは間違いない。
しかし、そんな俺の言葉にジャミルは首を横に振る。
「いや、その必要はない。MSはガンダム1機があれば、それで十分だ。それにMSが必要ならフリーのMS乗りを雇えばいい」
「なるほど。バルチャーとしては当然かもしれないな。俺がフリーのMS乗りをしている時に、フリーデンに雇われるといった事があればちょっと面白かったかもしれないが」
「そうだな。アクセルの噂はそれなりに聞いてもいた。だが、サン・アンジェロ市の近くに行く事がなかったから、アクセルを雇う機会はなかったな」
バルチャーとしての行動では、どの辺で行動するのかはそれぞれ違う。
例えばサン・アンジェロ市を拠点として活動しているバルチャーもいるし、ロッソのように特に拠点を決めるようなことはないまま、色々な場所を移動するといったバルチャーもいる。
そういう意味では、ジャミルはロッソと似たような性格のバルチャーなのだろう。
とはいえ、そういうタイプは当然ながら色々な場所に移動する事になり、そんな中には同じバルチャーであっても襲ってくるバルチャーが普通に存在している。
そのようなバルチャーを相手に抵抗する為にはMSが必要なのだが。
……まぁGXが1機あれば、それで十分という考えも否定はしないけど。
「色々な場所に寄るのなら、それこそサン・アンジェロ市に来てもよかったんじゃないか?」
「近くまで行った事はあったが、結局それだけだったな」
そうしてジャミルと会話をしていると、やがてモニクとサラが戻ってくる。
「どうだった?」
「すぐに来るそうよ。ただ……オルテガも一緒に来る事になったけど」
若干呆れた様子で告げるモニク。
うん。まぁ……その気持ちは分からないでもない。
マリオンとオルテガは、未だに熱々の恋人同士だ。
それだけに、オルテガはマリオンをフリーデンに護衛もなしでやるのに渋ったのだろう。
マリオンの他にクスコもいるし、何よりフリーデンには俺やモニクもいる。
そんな状況でマリオンに危害を加えられるといった事はまずないのだが……それでもオルテガにしてみれば、マリオンは自分で守りたいと思ったのだろう。
普通に考えれば重い愛だと思う者もいるかもしれないが、マリオンの場合は寧ろそれを喜んでいるからな。
「そうか。ただ、オルテガにはあまり暴れないようにして貰わないとな」
黒い三連星の中で、もっとも血の気の多いのがオルテガだ。
もしフリーデンのクルーがマリオンに妙なちょっかいを出してきたりしたら、それこそ暴れ出してもおかしくはない。
そう思えば、ロアビィがもうフリーデンからいなくなっていて幸いだったな。
ロアビィはモニクに言い寄っていたのを見れば分かるように、女好きらしいし。
……場合によっては、オルテガVSロアビィといった戦いになっていてもおかしくはなかった。
ただ、ロアビィはMSを使っての戦闘はともかく、生身での戦闘はな。
オルテガも別にシャドウミラーのメンバー程に鍛えている訳ではないが、それでも元ジオン公国軍の軍人……それも荒っぽい性格をしているし、その巨体から生身での戦いも決して苦手ではない。
何でも乗っている車がテロで爆発した時とかも、怪我はしたもの死ななかったとか。
……ん? あれ? これってオルテガだったか? 誰から聞いた話だったか、ちょっと忘れたが。
まぁ、オルテガがそういう経験をしていても、不思議ではないのは間違いない。
「アクセル……暴れられると困るのだが」
俺とモニクの言葉を聞いていたジャミルは、訝しげな様子でそう言ってくる。
暴れるという言葉をそのまま捉えてしまっていいものかどうか、疑問に思っているのだろう。
それでも一応といった様子で俺にそう言ってきたらしい。
「取りあえずモニクが案内に行けば問題ないと思う。頼めるか?」
「ええ。オルテガが暴れるような事になったら、洒落にならないもの。とはいえ、私だけで行くのは色々と問題はあるし……案内して貰える?」
モニクの視線が向けられたのは、サラ。
サラにしてみれば、この状況で自分が指名されて断れる訳もない。
そしてサラはジャミルに視線を向ける。
「キャプテン」
「うむ、案内をしてくれ。よろしく頼む」
「分かりました。では、行きましょうか」
「ええ、案内お願いするわね」
こうしてモニクとサラは艦長室から出ていき、この部屋に残るのは俺とジャミル、そして俺に恐怖してはいるが、それでも目を離す事が出来ないといった様子のティファだけとなる。
「さて、いよいよジャミルにとってはニュータイプであってニュータイプではない2人が来る訳だが、どんな気分だ?」
「どんな気分と言われてもな。困惑しているというのが正直なところか。私にとってニュータイプというのは、フラッシュシステムを使ってガンダムに乗る者の事だ。何人ものニュータイプを知ってはいるが、全員がフラッシュシステムを使っていた」
「まぁ……正直なところ、その気持ちが分からない訳じゃないけどな」
フラッシュシステムというのは、UC世界のサイコミュと似たような物だ。
そしてUC世界ではサイコミュを使える者がニュータイプと呼ばれていた。
……実際にはアムロとかはサイコミュを使った訳ではなかったのに、ニュータイプの代表格の1人と言われていたが。
そういう意味では、ジャミルのフラッシュシステムに対応していないニュータイプというのが理解出来ないという考えは理解出来ないでもない。
UC世界のニュータイプに、サイコミュが使えないけどニュータイプだといったように言って納得して貰うのが難しいというのもあるだろうし。
とはいえ、UC世界ではニュータイプだけが出せる特定の脳波というのがあるらしい。
それがある、もしくは一定以上にあればニュータイプでるあると認識してもおかしくはないと思う。
「一応聞いておくが、アクセルはニュータイプではないのか?」
「俺はニュータイプじゃないな」
「……ニュータイプではないのに、ニュータイプに影響を与えるのか?」
「この人は……大きな海……」
不思議そうに呟くジャミルだったが、そこで不意にティファがそんな風に言ってくる。
にしても、大きな海か。
それは褒められているのか、それとも怖がられているのか。
その辺は分からないが、それでも海と表現されたのはちょっと新鮮だな。
俺は混沌精霊とはいえ、主に使う攻撃方法は炎獣を始めとした炎だ。
だからこそ、何かに例えられる時も炎に例えられる事が多い。
そんな俺に対して海というのは……ちょっと気になるのは間違いない。
「俺が海というのは、珍しい例えだな。何でそう思ったのか、聞いてもいいか?」
そう聞いた瞬間、ティファはまた執務机に隠れる。
どうやら多少は心を開いてくれたのかと思ったが、今でもやっぱり怖がられてはいるらしい。
出来ればもう少し気を許して欲しいんだが。
「ふむ、海か。私にはあまり分からんな。だが……アクセルと最初に触れた時、何かを感じたのは間違いない。その何かが何なのかは分からんが、それが海であると言われればそうであるような気もする」
あやふやだな。
そう思うも、ニュータイプに俺が触れた時に起きる現象は、人によって様々だ。
それこそ何とも表現出来ないような何かである事も珍しくはなく、そういう意味ではジャミルが海のようだと感じたのなら、そういう事もあるのかと納得するしか出来ない。
「ティファがあの様子だと、詳しい話を聞くのはもう少し経ってからになりそうだけど……海というのは、取りあえず悪い表現ではないと思っておく事にするよ」
「私もそう思う。それに……」
ジャミルが続けて何かを言おうとしたその時、不意にティファが扉の方を見る。
何だ? 一種そう思ったが、ニュータイプのティファがそのように思ったのなら、考えられる事は……
「来たな」
「何?」
俺の言葉の意味を理解出来ないといった様子のジャミルだったが、それに何かを答えるよりも前に扉がノックされる。
『艦長、客人をお連れしました』
「……入ってくれ」
そう言いながらも、ジャミルの視線が向けられているのはティファだ。
ジャミルもまた、何故ティファがいきなり扉の方を見たのかを理解したのだろう。
それはつまり、ティファが感じる何かが来たという事で……当然ながらそれを予想するのは難しい話ではない。
ニュータイプがやって来たのだと、そう思ったのだろう。
あるいは俺に何かを感じたように、ニュータイプではない何かを感じたといった可能性もあったが、クスコ達をモニクが呼びにいったのだと思えば、ここでどういう反応をするのかというのは考えるまでもないだろう。
そして……扉が開き、サラが入ってくる。
そんなサラに続くように入ってきたのは……オルテガ。
「おい」
思わずそう突っ込んだ俺は、多分悪くない。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1750