結局俺達シャドウミラーはフリーデンと一緒に行動することになった。
とはいえ、それはあくまでも期間限定での話であって、ずっと一緒に行動をすると決まった訳ではない。
俺にとってはそれでも結構大きな意味を持っているのは間違いない。
そんな中、俺とマリューは部屋で話をしていた。
「それで、アクセル。これからどうするの?」
「取りあえずフリーデンが行く場所に一緒に向かう」
マリューは俺の言葉に納得した様子を見せる。
テンザン級の艦長として、これから進む場所についての説明に納得した様子を見せていた。
マリューにしてみれば、フリーデンと行動を共にするのは歓迎なのだろう。
「そうなると、これからどう動くのかはフリーデン次第ね」
「ああ。俺からは特に何かを言うつもりはない。……ああ、そうそう。ヴァサーゴの方はどうなったんだ? 調査したんだよな?」
マリューはこのテンザン級の艦長であると同時に、シャドウミラーでは技術班に所属している。
元々がSEED世界で実用化されたPS装甲を開発した者達の中心メンバーという事で、技術者としての能力は突出していた。
シャドウミラーでもPS装甲は活発に研究されている。
俺のニーズヘッグに使われているT-LINKフレームもPS装甲をベースに開発された技術だし。
そんな技術者として優れているマリューだからこそ、ヴァサーゴの調査を任せておいた。
俺やモニク達がフリーデンに行ってる間、特にやることもなかったしな。
俺の問いに、マリューは笑みを浮かべて頷く。
「ええ、しっかりと調査したわ。特に何らかの自爆装置とかそういうのはなかったし、時限式のウィルスの類もなかったから、心配する必要はないと思う」
「そうか。シャギアが降伏した時の事を考えると、何らかの罠を仕掛ける時間はなかったと思うんだが、それでも確信はなかった。その辺りの情報について確認出来ただけで、ありがたいよ」
ヴァサーゴを使って操縦している時に、突然機体が止まる。
あるいは最悪の場合、機体が爆発してしまうといったような事になっては、洒落にならない。
マリューが調べて問題がなかったのなら、その辺を心配する必要がないという事にもなる。
「アクセルの乗る機体なんだから、しっかりと確認はしてるわよ」
「なら、フラッシュシステムの方はどうだった?」
機体を操縦するという意味で、フラッシュシステムの存在は大きい。
ベルフェゴールでは、そのフラッシュシステムのせいで機体性能を完全に発揮出来るといったことが出来なかったのだから。
「問題ないわ。確かにヴァサーゴにもフラッシュシステムは搭載されているけど、機体制御や武器制御の方には全く関わっていないみたいね」
「ならいい。それと……」
そんな風に会話をしていると、不意に部屋の扉が開く。
一体誰だ?
普通ならそう思うのかもしれないが、この部屋に帰ってくるのは、俺とマリュー以外にもう1人いる。
「あら、もしかしたらお邪魔しちゃった?」
そんな風に悪戯っぽくいいながら、ミナトが部屋に入ってくる。
この部屋の最後の住人、ミナトだ。
「別にそういう話をしていたんじゃないわ。アクセルが鹵獲したヴァサーゴについて話していただけよ」
「そう? その割にはちょっと残念そうなように見えるけど」
「あのねぇ……」
からかうようなミナトの言葉に、マリューは呆れたように言う。
個人的にはゆっくりと楽しむのは悪い話ではないと思うんだが。
「で、ヴァサーゴだっけ? それは結局どうだったの?」
「問題ないわね。あのMSを使っていたパイロットも、アクセルに殺されないようにするので精一杯だったんでしょうね」
そう言うマリューだったが、多少なりともシャギアと会話をした俺にしてみれば、そこまで素直にこっちの指示に従うのか? という思いがある。
とはいえ、あの時にもしシャギアが降伏するのを躊躇っていれば、コックピット諸共にシャギアは死んでいた。
そういう意味では、なりふり構わずに降伏したのは悪い選択肢ではなかった筈だ。
その時にヴァサーゴに何かを出来る余裕はなかった……と思う。
「ふーん。まぁ、アクセルと戦って生き残っただけでも凄いのかもしれないわね。とはいえ、生き残ったということはまた襲ってくる可能性があるんでしょう?」
「どうかしら。雇っていたアルタネイティブ社がもう壊滅したんだから、もう襲ってくる様子はないと思うけど。……ああ、そうそう。そう言えばアクセルに言うのは忘れていたけど、アクセルがフリーデンに行ってる時にアルタネイティブ社の方に量産型Wを向かわせたわ」
マリューのその言葉に、少しだけ驚く。
「アルタネイティブ社に? けど、あの会社はサテライトキャノンの攻撃によって、壊滅的な被害を受けただろ?」
「そうね。でも、ティファがいた場所は無事だったでしょう? 何でも集めた情報によるとアルタネイティブ社のすぐ前にグランディーネという宇宙革命軍のMAがあって、それが最後にやってきた攻撃の正体だったらしいわ。サテライトキャノンで破壊したのはそのMAだから、建物の方はそれなりに無事な部分も多かったのよ。……もっとも、サテライトキャノンの威力が威力だから、グランディーネの巻き添えで破壊された場所も多かったけど」
「あの威力だとな」
サテライトキャノンは、純粋な威力だけで考えればかなりのものだ。
ジェネシスの威力には及ばずとも、バルジやリーブラの主砲級……もしくはUC世界で使われたソーラ・システムやソーラ・レイといった攻撃と同じくらいの威力を持っていそうな一撃だ。
凄いのは、それだけの威力を持つ攻撃であるにも関わらず、機体に負担は……ない訳ではないが、サテライトキャノンの砲身を取り替えたりとか、そういう真似はしなくてもいいということだろう。
正直なところ、それが一番凄いと素直に思う。
もっともそれだけ強力な一撃であっても、中継衛星がなくなった今となっては月が出ている時しか使えないのだが。
「ええ。それでも残っている場所はあったから、研究資料とかそういうのは色々と入手しておいたわ。まだ全部確認した訳じゃないんだけど、どうやらあのティファっていう子、少し前までアルタネイティブ社にいたみたいね」
フラナガン機関のようなものか。
いや、ティファの様子を見るとフラナガン機関よりはかなりマシだったのは間違いない。
……そう考えると、アルタネイティブ社がまだしも優しかったのか、それともフラナガン機関の方が酷すぎたのか。
その辺はちょっと分からないが、アルタネイティブ社のデータを入手出来たというのは幸先がいい。
「X世界のニュータイプと、UC世界のニュータイプの違いが分かれば、色々と便利だろうな」
フラッシュシステムはニュータイプしか使えないシステムだ。
まぁ、俺の場合は念動力か魔力のどっちかは分からないが、フラッシュシステムが俺の能力に対応するように強制的に変化していたらしいが。
とにかく、そんな厄介なシステムではあるが、もしそのフラッシュシステムをニュータイプではない奴も自由に使えるようになったらどうなるか。
MSがないから何とも言えないが、もしGXを大量に発見した場合、上手くいけばサテライトキャノンを連発するとか、そういう真似も出来るようになる……かもしれない。
とはいえ、サテライトキャノンを使うにはスーパーマイクロウェーブが必要で、それはX世界にしかないから他の世界で使うのは難しいだろうけど。
そういう意味では威力はともかく、非常に使いにくい武器なのは間違いない。
「アルテミスの方にもデータを流す?」
「今回の件は、UC世界からもかなり協力して貰ってるしな。それに、クスコやマリオンによってフラッシュシステムも試して貰っている。そうである以上、こっちが入手したニュータイプのデータを流してもいいと思う」
ニュータイプの研究という点においては、UC世界の方が優れている。
いやまぁ、技術班が本気になって研究をすればUC世界よりも優れた研究結果を残せるのだろうが。
「分かったわ。後でUC世界の方にデータを流すようにしておくから。これでルナ・ジオンのニュータイプ研究が進めばいいと思うんだけど」
UC世界において、ニュータイプの研究をしているところは多い。
ルナ・ジオンは勿論、ジオン共和国もそうだし、連邦軍も当然だろう。そして行方不明になっているキシリア勢力もまた確実にしているだろう。
特にキシリアは、ジオン公国時代にニュータイプ能力の研究に熱心だった。
実際、フラナガン機関もキシリア主導によるものだったし。
MSの有用性を見抜いたり、ニュータイプ研究をしたり、少数の特殊部隊を多数用意したりと、有能な人物なのは間違いない。
これで野心さえ少なければ、こっちに取り込んでもよかったんだが。
とはいえ、ジオン公国軍が壊滅したのはキシリアがギレンを暗殺したのが非常に大きな理由なので、ある意味で感謝してもいい相手ではあるのだが。
だが、キシリアは野心が高い。
何しろ自分の目的の為には、兄のギレンですら容易に殺すのだから。
ギレンを殺した理由が、ギレンがデギンを……父親を殺したのが理由だという事らしいのを考えると、キシリアはギレンを殺す為にデギンを見殺しにした可能性が高い。
キシリアは俗にキシリア機関と呼ばれる諜報機関を持っている。
そのキシリア機関の実力はかなりのもので、ギレンがデギンを殺そうとしているというのを悟れなかった……という可能性は低い。
そんなキシリアだけに、一時的に手を組む、あるいは利用するという意味では問題がないのだが、長期的に手を組む相手としては止めておきたい。
下手に謀略の才能があるだけに、手を組んでいるこっちを利用していいように使い捨てようとしてもおかしくはない。
そういう意味では、その外見や性格から国民に人気が高く、恩に報いるという事をするガルマの方が手を組む相手としては相応しい。
能力を思えば、キシリアの方が勝ってはいるのだが。
「UC世界の方は、まだこれからも色々と騒動が起きそうだしな。そういう時にニュータイプの力があるというのは大きい」
UC世界において、ニュータイプというのは戦場で一騎当千の力を持つ。
ましてや、ルナ・ジオンはUC世界でも最高のニュータイプであるセイラが女王の国である以上、当然ながらニュータイプ研究で他の勢力に劣るということは、好ましい事ではない。
X世界のニュータイプとUC世界のニュータイプは同じニュータイプという存在であっても、その中身は違う。
そんな状況で、この世界のニュータイプ研究のデータがアルテミスで役に立つかどうかは微妙なところだが。
「そうね。UC世界の方ではまだ色々と厄介な出来事が残ってるのは間違いないし。そういう意味では、このX世界の方が戦争行為そのものはないのよね」
「というか、人口の99%が減ったんでしょ? そんな状況で戦争をしたら、それこそ人類滅亡の危機じゃない?」
マリューの言葉にミナトがそう言うが、その言葉は間違ってはいない。
間違ってはいないのだが……それでも、世の中にはそんな状況であっても争いはある。
それはバルチャーがいい例だろう。
この場合のバルチャーというのは、フリーデンやロッソ達のような善良なバルチャーではなく、村や街を襲うような盗賊行為を行っているバルチャーだ。
そうやって村や街から食料とかを奪えば、その結果として村や街は貧乏になり、最終的に潰れる事になってもおしくはない。
そうした行為を続けていれば、当然だがX世界そのものが衰退していく。
……だとすれば、村の護衛を任されて盗賊を狩っていた俺って、実はこの世界を救う為にかなり貢献していたんじゃないか?
まぁ、実際にそうなっているのかどうかは、俺にも分からないんだが。
「戦争がない代わりに人類の99%が死んだX世界と、死者の数はX世界とは比べものにならないくらい少ないけど、いつまた戦争が起きてもおかしくないようなUC世界か。……ちょっと比較は出来ないな」
正直なところ、どっちもどっちだろう。
少なくても、俺はどっちの世界で暮らすのかを選べと言われたら、出来ればどっちも遠慮したいと答えるだろう。
それに……UC世界はX世界に比べて生き残っている者の数が多いのは間違いないが、それでも1年戦争においてかなりの数の死人が出ているのは間違いない。
何しろ1年戦争が始まった当初の戦いとかルウム戦役とかでかなりの人数が死んだのだから。
人口が多くなりすぎて、棄民政策として強制的にコロニーに移住させるというような真似をするくらいだったからこそ、1年戦争が終わった後でもそれなりに生き残った人数は多かったんだろうが。
「そうね。そう考えると、ホワイトスターというのはいい場所なのよね」
「マリューの言う通りだと私も思うわ。アクセルっていう、ちょっと性欲が強い恋人がいたり、そのアクセルがハーレムを作ったりしていて、少し普通じゃないかもしれないけど」
そんな風に言ってくる2人に俺は笑みを浮かべ……そして部屋の大部分を占めるベッドに2人を押し倒すのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1750