これからどうするのかといったような事を決める為に、アルタネイティブ社からそんなに離れていない場所で待機していたのだが……普通に待機しているだけでも、ある程度の出費はある。
具体的には食料とか水とか。
テンザン級の方は空間倉庫を持つ俺がいるので問題はない。
しかし、それはあくまでも俺がいるからだ。
フリーデンの方には当然ながら俺がいないので、それなりの間隔で食料とか水を補給する必要がある。
そんな中……
「連邦軍の基地?」
『そうだ』
テンザン級のブリッジの映像モニタに表示されたジャミルが頷く。
相変わらずサングラスをしているので、その表情を見ることは出来ない。
しかし、それでも今の状況を思えば助かったと思ってるのは間違いないと思う。
「よくこの辺りに連邦軍の基地が残ってたな」
この辺りはアルタネイティブ社の本社があった場所だ。
当然ながら、アルタネイティブ社としても周辺はしっかりと調べた筈だ。
アルタネイティブ社にとっても、連邦軍の基地というのは色々と利益になるような物が多いのだろうし。
アルタネイティブ社があそこまでドートレスを所有していたのも、恐らくはどこかの基地から見つけた奴なんだろうとは思う。
あるいは単純にバルチャーを雇ったか。
その辺りの理由はともかく、この辺に基地があるのならアルタネイティブ社が放っておくとは思えない。
『正確には、ここから少し離れた場所だな。それなりの情報料を支払ったので、間違いないと思う』
「……情報屋を信じすぎるのは危険だと思うけどな」
アルタネイティブ社の壊滅……正確にはアルタネイティブ社を撃ったサテライトキャノンについては、当然ながらかなり離れていても見てとることが出来る。
俺が以前に見た月からの光が、サテライトキャノンを撃つのに必要なスーパーマイクロウェーブだったのだから。
サン・アンジェロ市の近くにいてもそれを見る事が出来た以上、アルタネイティブ社の一件でもかなり遠くからでもそれを見る事が出来たのは当然だった。
そして何かがあったと考えた情報屋は、バルチャーやフリーのMS、あるいはそれ以外のどこかに情報を売る為に行動し、アルタネイティブ社に辿り着いた奴もいる。
ジャミルが接触した情報屋は、その手の……腕利きと呼ぶのが相応しい情報屋だったのだろう。
そんな情報屋と交渉した結果、ジャミルはまだ探索されていない連邦軍の基地の情報を購入した訳だ。
その情報を購入するのに一体どれだけの金額を支払ったのかは、俺にも分からない。
『だが、ここのところ物入りだったからな。資金にはまだ余裕があるが、出来れば今のうちに稼いでおきたいのは間違いない』
この辺り、現実的だとは思う。
いやまぁ、バルチャーとして活動している以上、それは当然かもしれないが。
特に話を聞く限りでは、最初にティファをアルタネイティブ社から奪った時、ウィッツとロアビィを雇ったらしいし。
フリーのMS乗りとはいえ、2人が乗ってるのはガンダムだ。
ドートレスやジェニスのように一般的に使われているMSと比べるとかなり高性能なのは間違いないが、それは同時にガンダムを使うMS乗りを雇うとなると、相応に高額だという事も意味している。
実際、俺がサン・アンジェロ市でフリーのMS乗りとして活動している時に聞いた話だと、ガンダム乗りを雇うとなると普通のフリーのMS乗りを雇う数倍は報酬が必要という話だったし。
とはいえ、フリーのMS乗りというのは基本的に依頼料は自分で決められる。
この戦後のX世界にいるかどうかは分からないが、例えば正義感の強いフリーのMS乗りがいた場合、報酬は低くても構わない……といった奴がいる可能性もある。
あるいは俺のように倒した敵から奪ったMSとかを溜め込んでおけるような余裕があるのなら、そういう真似も出来るかもしれないが……空間倉庫のような能力を持っていない限り、そんな真似は出来ないだろう。
陸上戦艦を持っていれば、ある程度は溜め込めるが……それでも限度があるし。
そもそも陸上戦艦を持ってるのなら、普通にバルチャーとして連邦軍の基地を探索すればいい。
「分かった。なら、どうする?」
『ぬぅ……』
この場合のどうするというのは、フリーデンと一緒に行動をするかどうかという事だ。
その言葉に困った様子を見せるジャミル。
ジャミルにしてみれば、情報屋から買った情報の料金は自分達が出したので、その基地から得られる利益は自分の物にしたいというのが正直なところだろう。
だが同時に、ティファの事を考えると異世界のニュータイプであってもクスコやマリオンを有する俺達とここで別れるというのも困る。
俺にとっても、フリーデンは……というか、ジャミルかガロードのどっちかがこの世界の原作の主人公である以上、そしてティファがこの世界のキーである以上は、フリーデンから離れるのは好ましくない。
ん? もしかしてティファが主人公であるという可能性もあるのか?
ジャミルはニュータイプ……元ニュータイプだが、年齢的に主人公というのは厳しい。
そう考えるとガロードが主人公かとも思うんだが、ニュータイプでも何でもないオールドタイプだ。
だとすれば、ニュータイプのティファがガンダムのパイロットになってMSに乗る……という可能性も、否定は出来ない。
いやまぁ、可能性は大分少ないが。
俺もティファについて詳しく知ってる訳ではないのだが、それでも今の状況を思えばティファがMSのパイロットをするようになるとは思えない。
運動神経もそこまでいいようには思えないしな。
もしティファがMSに乗るのなら……復座型のMSに乗るとか、あるいはMSではなく防御装備が整ったMAに乗るとかならありか。
「個人的にはニュータイプの件もあるし、俺達としてはフリーデンと離れたくないんだがな」
『それは……こちらも同じだ。だが、私達がこれから行く基地は大きな基地ではない。勿論軍事基地ではある以上は相応の広さは持っているだろう。しかし、それでも利益となる物がどれだけあるか分からない以上……』
「そうなると、一旦別行動をとるか? それで基地の探索が終わったらこっちと合流してもいいし」
本音を言えば、フリーデンと一緒に基地の探索に行って協力をしてもいい。
それで報酬はいらないと言えば、フリーデン側にとっても悪い話ではないだろう。
だが、当然ながらそのような真似をした場合、フリーデンの中には自分達が哀れまれたといったように思う者がいてもおかしくはなかった。
あるいはそこまで金に固執しない俺を妙だと思うとか。
そんな状況になりかねない以上、やっぱりフリーデンと行動を共にするのは止めておいた方がいい。
『うむ。……すまないが、それで頼む』
数秒考えたジャミルは、やがてそう言ってきた。
ジャミルにとっても、今回の一件は素直に俺達に甘えるといったような事は出来ないのだろう。
俺としては、別にそれでも構わないと思うのだが。
ともあれ、こうして話は決まり……数日後に約束の場所で待ち合わせる事にして、別行動をするのだった
「で、アクセル。私達はこれからどうするの? 一度基地に戻る?」
遠ざかっていくフリーデンの姿が映し出された映像モニタを見ていると、モニクにそう尋ねられる。
その言葉は、本来なら不可能ではないものの、時間的に厳しい。
だが、それはあくまでも普通ならの話だ。
俺達の場合、影のゲートがある。
それを使えば、すぐにでも基地に戻る事が出来るのだ。
「それもいいけど、俺達もジャミルとは別の基地を探索しておきたいな」
「あら、何で?」
「シーマを始めとして、MSの操縦技術ということなら一流揃いなのは間違いない。だが、バルチャーとしてとなると、話は別だ」
アルタネイティブ社との戦いにおいて、ドートレスは俺達よりも数が多かった。
しかし、それでも戦いで圧倒したのはシーマ達だ。
パイロットの操縦技術はルナ・ジオン軍のエース級が揃っているだけに問題はない。
機体性能も、オクト・エイプは通常のオクト・エイプよりも30%性能が上がっている。
そうである以上、この結果は当然だろう。
そういう意味では、全く問題がない。
だが、俺達は軍人や傭兵ではなくバルチャーだ。
いやまぁ、シーマ達はUC世界に戻れば軍人で間違いないのだが。
しかし、このX世界においてはバルチャーなのだ。
だからこそ戦いだけではなく、バルチャーとしての行動も必要となる。
「バルチャーとして、ね。なるほど。そう言われると納得出来るわ。けど、そうなるとどこの基地に行くの? フリーデンとは別の基地を探索するんでしょう?」
「そうなるな。まぁ、情報屋から情報を買うか。……そんな訳で、モニクには頑張って貰うぞ」
「私が? ……いえ、私はMSパイロットだけじゃなくて、交渉担当という一面もあるんだから、そういう意味では私が情報屋と交渉するのが正しいんでしょうけど。そうなると、まずはどうにかして情報屋を見つけないといけないわね。どうせなら、フリーデンが情報屋と接触した時に、こっちも接触しておけばよかったわね」
「思いついたのがさっきだからな。その辺は仕方がない」
「思いつきで行動するのはどうかと思うけど……まぁ、フリーデンとの約束の時間まで何もせずにいるのも意味がないしね。こういう時は、バルチャーは便利だと思うわ。これが国なら、予定を変えるのに忙しいもの」
そんな言葉がモニクの口から出たのは、少し驚きだった。
モニクは元々生真面目な性格をしており、規則を守ることを重視する。
しかしルナ・ジオンで活動しているうちに、柔軟な思考を持つようになったらしい。
「……何かしら? じっと見て」
モニクの方を見ていると、それに気が付いたのかモニクは何故か薄らと頬を赤くして尋ねてくる。
いや、何でそこで頬が赤くなる?
そんな疑問を抱いたものの、ここで何かを言えば色々と不味そうな気がするので止めておく。
「アクセルの事だから、モニクの美貌に目を奪われていたんじゃない? で、モニクはそれに気が付かなかった、と。真面目なのはいいけど、もっと臨機応変にね。エリナも最初はモニクみたいだったけど、今はもう違うし」
「な……」
俺が黙っていたのに、モニクに対してそんな突っ込みを入れたのはミナトだった。
そんなミナトとモニクの様子を見て、マリューも笑みを浮かべている。
「……ふんっ!」
そしてモニクはミナトとマリューの2人を相手にしては勝ち目がないと思ったのか、不愉快そうに鼻を鳴らすとブリッジから出ていった。
「あら、ちょっと怒らせちゃったかしら」
「ミナト、あまりからかいすぎると後が怖いわよ?」
「そうね。でも、そろそろ自分の気持ちに素直になってもいい頃だと思うのよ。アクセルもそう思わない?」
そこで俺に聞かれても困るんだけどな。
「モニクを怒らせると、バルチャーとして活動する上で色々と不味い事になるんだが」
「あら、じゃあ謝っておいた方がいいわね。……アクセルが」
「俺がか?」
さっきの場合、モニクを怒らせたのはミナトだ。
なら、ミナトがモニクに謝った方がいいんじゃないか?
そう思うも、ミナトの様子を見る限りでは謝るつもりは全くない。
それどころか、俺に早く行けと言ってくる。
普通ならそういう風に言われても行くような真似はしない。
後始末を押し付けられただけだと、そんな風に思う為だ。
しかし、ミナトの様子からすると面倒だから俺に行けと言ってるようには思えない。
だとすれば、他に何か理由があってそのように言ってるのだろう。
それが具体的に何なのかは分からなかったが。
……また、ミナトとは違って真面目というか良識派のマリューもそんなミナトの言葉に同意しているというのも、俺が行こうと思った大きな理由の1つだろう。
ブリッジを出ると、まずは食堂に向かう。
モニクの性格からすると、食堂で愚痴を言うといったような事はしそうにないが、それでももしかしたらと思ったのだ。
「モニクは……いないな」
「モニク? 一体どうしたんだい? いや、アクセルの様子から考えると、モニクを怒らせたといったところかい?」
食堂でクスコとお茶をしていたシーマが、俺の呟きを聞いたのかそんな風に尋ねてくる。
シーマとクスコというのは、ちょっと珍しい組み合わせだな。
「当たらずとも遠からずといったところだ。怒らせたのはミナトだよ」
「ミナトが? ……ふーん、なるほど。それはちょっと面白そうだね。そう思わないかい?」
「ええ。私達にとっても関係ありそうですし」
シーマとクスコがお互いに目を合わせ、意味ありげに笑う。
シーマ達にも関係がある?
それは一体どういう事だ?
そんな疑問を抱くも、今のこの状況で何かを言っても意味がないのは間違いない。
この様子だと、俺が聞いても大人しく答えるとは思えないし。
「私達も一緒に捜してあげるよ」
何がどうなったのか、シーマはそう告げ、クスコも満面の笑みで頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1750