「それで、モニクがどこにいるのかの予想は出来るのか?」
テンザン級の通路を歩きながら、俺は一緒に行動しているシーマとクスコに尋ねる。
テンザン級は連邦軍が壊滅前に開発した陸上戦艦の中では最大級の大きさを持つ。
その内部も他の陸上戦艦よりも広い。
ブリッジを出ていったモニクがどこにいるのか、見つけるのはそう簡単な事ではない。
最終手段としてスライムを使うというのはあるんだが、その辺は今のところ出来るだけ止めておいた方がいいだろう。
だからこそ、俺と一緒に行動しているシーマとクスコに尋ねたのだ。
「そうさね。1人になりたいのなら、人のあまりいない場所に行く可能性が高いんじゃないかい?」
「けど、1人になれるような場所は結構あるわよ?」
シーマの言葉にクスコがそう告げる。
実際、その言葉は間違っていない。
現在このテンザン級に乗っているのは、俺を始めとするシャドウミラーの面々、そしてシーマ達ルナ・ジオン軍の面々。
それ以外にも精霊の卵のエルフ達も一応はシャドウミラーに入るのか。
だが、それ以外の量産型Wは人造人間で、言ってみれば人型の機械だ。
コバッタにいたっては完全に機械となる。
そういう意味では、テンザン級に乗っている者はかなり少ない。
1人になれるような場所は幾らでもあるだろう。
「その辺は……そう、クスコがニュータイプの勘で見つけてみるのはどうだい?」
「ニュータイプというのは、そんなに便利なものじゃないのだけれど。……女王ならともかく」
シーマの言葉に不満そうに告げるクスコ。
実際、クスコのニュータイプ能力は決して低い訳ではない。
元々ニュータイプ能力は相応に高かったのだが、俺との接触によって強化されたのは間違いない。
だが……それでも、クスコのニュータイプ能力はセイラには及ばない。
セイラのニュータイプ能力は、それだけUC世界において突出しているのだ。
ニュータイプとして有名なのは、アムロやシャアがいる。
しかし、操縦技術とかそういうのを抜きにして純粋なニュータイプ能力ということで考えた場合、アムロやシャアもセイラには及ばない。
セイラと互角なニュータイプ能力者となると……今はまだ未熟だが、オーストラリアで保護された、いわゆる奇跡の子供達のうちの1人が、非常に高いニュータイプ能力の素質を持っているらしいので、将来的にはどうにかなる可能性も否定は出来なかった。
ともあれ、現状において最高のニュータイプ能力者なのは間違いなくセイラで、そのセイラならモニクがどこにいるのか分かるかもしれないが、今のこの状況ではセイラを連れてくる訳にはいかない。
「セイラがいない以上、自力で捜すしかないな。……さて、そうなると3人で固まって捜すのは非効率的だし、それぞれに……いや、もう1人追加だ」
通路の先からクリスがやって来たのを見て、そう告げる。
この際、人数は多ければ多い程にいいのは事実。
そうである以上、俺としてもこの状況でクリスを逃がすつもりはない。
「あら、アクセル。それに……シーマやクスコも? 一体どうしたの?」
俺がシーマとクスコの組み合わせに疑問を持ったのと同じく、クリスもまた俺とシーマ、クスコという組み合わせを疑問に思ったのか、そう尋ねてくる。
もっとも、疑問というよりはクリスの目にはどこか責めるような色があったが。
もしかしてクスコの一件を知って俺を責めているのか?
そう思ったが、クリスのそういう視線が向けられているのは俺ではない。
シーマとクスコの2人だ。
だとすれば、考えられる可能性としてはシーマとクスコが面倒な仕事を放り出して食堂でサボっていたとか、そういう感じか?
シーマとクスコの性格を考えれば、普通にそういうのをやりそうなんだよな。
「アクセル、何か妙な事を考えてないかい?」
「いや、別に」
恐ろしいのは、ニュータイプの勘ではなく女の勘か。
とはいえ、今までにも色々と女の勘の鋭さは見てきている。
そうである以上、こういう時も特に動揺せずに誤魔化す方法についてはそれなりに慣れていた。
「ふーん。……まぁ、そういう事にしておこうかね。それでクリス、実はアクセルがモニクを捜しているんだけど、どこにいるのか分からないかい?」
「え? モニク? モニクならさっき見たけど」
「ナイス」
クリスの言葉に、そう告げる。
クリスのおかげで、わざわざ色々な場所を捜すといった真似をしなくてもよくなったのだ。
そういう意味では、クリスは幸運の女神なのかもしれない。
「……ふーん。つまり、アクセルがモニクを怒らせた訳ね」
今の俺の一言で事情を理解する辺り、クリスは素直に凄いと思う。
「そんな感じだ。正確にはミナトが原因なんだけどな」
「ああ、彼女が」
納得したような表情を浮かべるクリス。
この様子だと、クリスもミナトにからかわれた経験があるのだろう。
ある意味ミナトらしいと言えばらしいが。
「じゃあ。モニクに会いに行くか。……シーマ達はどうする?」
「そうだね。ここまで一緒に来たんだし、あたしは一緒に行くよ。クスコとクリスはどうするんだい?」
シーマの問いに、クスコとクリスは当然といった様子で一緒に行くと告げるのだった。
……俺やシーマと一緒にモニクを捜していたクスコはともかく、クリスもここで俺と一緒に行動するのは、一体どういうつもりなのやら。
そんな風に疑問に思ったが、別に断る必要もないので一緒に行動する。
それどころか、ルナ・ジオンから今回派遣されてきた者達の中では、クリスとモニクは実はかなり親しかったりする。
普通に考えれば、ギレンの下で政治将校をしていたモニクと、連邦軍でアレックスの開発を行っていたクリスというのは、完全に正反対の存在だ。
しかし、双方共に生真面目な一面があるというのが影響してか、モニクとクリスは性格が合ったのだろう。
そうしてクリスに案内して貰っていた俺達が到着したのは、外が見える場所。
少し広い通路になっており、そこには予想通りモニクの姿があった。
「モニク」
「え? アクセル? それに……クリス達も……どうしてここに?」
最初に俺を見て驚き、次にクリス達を見て驚きの表情を浮かべるモニク。
しかし、そんなモニクの言葉に答えず、俺はモニクに近付いていく。
何故かシーマ達は俺と一緒に行動せず、俺がモニクに向かって歩いていくのを見ていたが。
多分、今回の件は俺の力で解決しろという事なのだろう。
モニクのいる場所に案内して貰っただけでも、力を貸して貰ってはいるのだが。
「ミナトの件でちょっとな」
「……そう。別にあのくらいでいじけたりするような真似はしないわよ?」
「分かってる。けど、何かあったのは間違いないんだろ? なら、一応俺はバルチャーとしてこのテンザン級に乗っている奴を率いているんだ。話くらいは聞いた方がいいと思ってな」
そう言うと、モニクは困ったような表情を浮かべる。
うん? これはちょっと予想外だったな。
モニクの性格を考えれば、てっきりミナトの件で怒っているのかと思っていたんだが。
「別に、そこまで怒っている訳じゃないわ。彼女の言ってる事も、決して間違っていた訳じゃないしね」
「何だ。怒ってるのかと思ってたんだが」
「そういう訳じゃないわよ。けど……そうね。あの時の会話で色々と思うところがあったのも事実よ」
「そうなのか?」
あの時の会話でモニクがそんな風に思っている事があるとは、思っていなかった。
とはいえ、モニクがそのように思っているのなら、別にその件をこれ以上どうにかする必要もない。
「なら、何でこんな場所にわざわざ来たんだ? クリスが偶然モニクのいる場所を知っていたから見つけることが出来たけど」
「彼女の言葉で、色々と考えたかったのよ。それで……1つ決意が出来たわ」
「決意?」
何故あの会話で決意が云々という話になるのか分からなかったが、モニクがそう言うのであれば何らかの意味はあるのだろう。
「ええ、決意。ちょっと聞いて貰える?」
決意と言う言葉通り、その表情には強い意志が表れている。
元々モニクの顔立ちは整っており、美人という表現が相応しいのは間違いない。
そんなモニクの表情を、その強い意志がより強く際立てていた。
「それは構わないけど。俺に関係があるのか?」
「そうね。……ねぇ、アクセル。私が貴方と会った時の事を覚えている?」
「は? いきなり何を?」
何でここでそんな風に言ってくるのかという事を疑問に思っていると、それでもモニクは口を開く。
「いいから。……もしかして覚えてない?」
「いや、覚えている。1年戦争の終盤の戦いの時だろ」
「ええ、そうよ。こう言ってはなんだけど、あの時にもしアクセルに助けられていなかったら……そうね。多分あの戦争で死んでいた可能性が高いわ」
それは否定出来ない事実だ。
ルナ・ジオンが戦いに関与したとはいえ、それでも1年戦争の主役はやはりジオンと連邦なのだ。
そうである以上、もし俺達がモニク達を助けなければ、死んでいた可能性は否定出来ない。
とはいえ、それはあくまでも可能性だ。
場合によっては、生き残る者達がいた可能性もある。
「かもしれないな」
「あの時、アクセルに助けられてほっとしたわ。その後も何度もアクセルと会う事があったでしょう?」
「それなりにあったのは間違いないな」
そう答えながら、微妙に騒動が聞こえてきたのでそちらに視線を向ける。
そこでは何故かシーマとクリスがクスコを押さえつけているところだった。
「でしょう。そして私は……自分でも不思議な程に、アクセルと会うごとに惹かれていった」
その言葉の意味は、俺にも十分に理解出来た。
以前からもしかしたら? というのは思わないでもなかったのだが、それでももしかしたら単なる俺の思い込みなのではとも思っていたのだ。
そんな状況だけに、モニクのこの言葉はモニクが俺にどのような思いを……いや、想いを抱いているのか、十分に理解出来る。
「その割に、いつも注意されたりしていたけどな」
「それは……しょうがないじゃない。私もこういう感情は初めてだったんだから。いえ、初恋って訳じゃないわよ? ……まぁ、その初恋は叶わなかったけど」
俗に、初恋は叶わないというのはよく言われる。
そういう意味では、モニクもそういうことだったのだろう。
「なら、俺に抱くその感情が初めてってのは?」
「……言わせないでよ、馬鹿」
照れているのだろう。
頬を赤くしながら不満そうに呟く。
そんなモニクを見ながら、俺は口を開く。
「正直なところを言わせて貰えば、俺がお前を魅力的な女だと思っているのは事実だ」
これは嘘でもお世辞でも何でもなく、俺の本音だ。
モニクは気の強そうな美貌を持ち、その身体も十分に女らしい。
いや、そんな気の強そうな美貌を持っているからこそ、その身体は余計に男好きのする身体のように感じるのだろう。
「だが……モニクも知っての通り、俺は10人以上の恋人がいる。マリューやミナトを含めてな。そしてこれが普通ではないことは、誰が見ても明らかだ」
俺の状況が普通だと言える奴は……まぁ、いない訳でもないだろうが、それでもどうしても少ないのは間違いない。
ましてや、現在の俺の恋人達は基本的にシャドウミラーの所属だ。
例外は美鶴くらいか?
ただ、美鶴の指揮するシャドウワーカーも、実質的にはシャドウミラーが強く影響しているのは間違いない。
マーベルやシーラの件もあるが、そっちはまだ再会してないので、置いておくとして。
「だからこそ、俺としては出来ればモニクは普通ではない幸せじゃなく、普通の幸せを手にして欲しい」
「……何よ、それ。何で私の幸せをアクセルが決めるの? 普通の幸せ? 普通じゃない幸せ? そんなのは関係ない! 私が、アクセルと一緒にいたいのよ!」
先程までの照れた様子ではなく、怒りながら叫ぶモニク。
何故自分の幸せを俺が決めるのかという、それが絶対に納得出来ないといった叫び。
そんなモニクの様子を見て、俺は少し考えてから口を開く。
「もし俺の女になるとなれば、普通の恋人達のように俺を独り占めするといったような真似は出来ない。それは理解してるよな?」
「分かってるわよ! それを分かった上で、私はアクセルの女になりたいの!」
叫ぶその声は、何故自分の言葉を理解してくれないのかといったような感情が込められていた。
「……分かった。なら、こうしよう。今の気持ちが本物かどうか、少し時間を置いてみる。それでも俺を好きなら……受け入れる」
「え? ……本当に?」
「ああ。ただし、モニクには今まで以上に俺達と一緒にいて貰って、俺やミナト、マリューが普段どういう風に生活してるのかを体験して貰う。……それでもいいか?」
「構わないわ」
即座に断言するモニクに俺は頷き……
「アクセル、それならあたし達にも参加の権利はあるよね?」
「そうですね。モニクが参加する以上、私も仲間に入れて欲しいわ」
「一応、私も……」
シーマ、クスコ、クリスがそう告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1750