「で? 結局ミナトの策略通りになった訳ね」
テンザン級にある、俺の部屋。
現在そこには、俺、マリュー、ミナト、シーマ、クスコ、モニク、クリスが集まっていた。
テンザン級は連邦軍が開発した陸上戦艦の中でも最大規模だけに、当然俺の部屋も広い。
そういう意味では、本来ならこの場にいる全員が部屋の中に入ってもそこまで狭苦しくはない。
あくまでも普通の部屋なら、の話だが。
何しろ現在この部屋には巨大なベッドがある。
技術班が作ったベッドで、寝心地とかもかなりいいベッドなのだが……それでも部屋の半分以上を占拠している以上、当然ながらこの部屋の広さはベッドの分だけ狭くなってしまうのだ。
「ちょっと、策略ってのは少し酷いんじゃない? 私は素直になれない乙女心を後押ししただけよ。……いえ、正確にはハーレムを持っているのに鈍感な誰かさんに乙女心を気が付かせる為かしら?」
「ぐ……」
ミナトのその言葉に呻くような声を出したのは、モニク。
今回の一件は、モニクがミナトの口車に乗った……ああいうのも口車に乗ったと言ってもいいのか? ともあれ、そんな感じで事態が始まったのは間違いない。
だからこそ、ミナトの言葉にこうして呻くような声を出したのだろう。
「はぁ……まぁ、いいわ。このメンバーが来た時から、いずれこうなるのは分かっていたもの。ミナトのちょっかいで、私が予想していたよりも物事が早く進んだけど」
「怒ってないのか?」
マリューの様子を不思議に思い、そう尋ねる。
普段大人しい……というか、優しい性格をしている者程、一度怒るとその怒りは非常に激しい。
そんな中で、マリューは色々な意味で強力な恋人の1人だ。
生身での戦闘力は、シャドウミラーに入る前から1人で複数のコーディネイターを相手に出来るだけのものがあり、艦長としては……ちょっと甘いところがあるものの、それでも高い指揮能力を持つ。
技術者としても、PS装甲を開発するだけの力を持ち、シャドウミラーに入った今となっては、技術班でレモンに次ぐ地位にいる。
料理も得意で、美人で身体付きも非常に男好きのするものと……お前の欠点はどこにある? と突っ込みたくなるくらいの完璧超人。
UC世界からやって来た中では、クリスの完全な上位互換と言ってもいいだろう。
ともあれ、そんなマリューだけに今回の件では怒っていてもおかしくはなく、そうなれば一体どういう目に遭うのかのといったことを考えていたのだが……こうして見る限り、どうやらそこまで怒ってはいないらしい。
「ええ。さっきも言ったでしょう? シーマ達がこっちに来るというのが決まってから、こうなる事は分かっていたって。……まぁ、アクセルがシーマ達をすぐには受け入れないで、猶予期間を設けるというのはちょっと予想外だったけど」
「悪いな」
マリューの様子にそう謝っておく。
今のこの状況を思えば、マリューには一応謝っておいた方がいいと思ったのだ。
「あのね、別にいいわよ。……けど、取りあえず私達と一緒にいるようにするという事だけど、どうするの? さすがにまだそういう関係でもないシーマ達に、夜のこの部屋の光景を見せるつもりはないわよ?」
普通に考えれば、マリューのその言葉には違和感を持つ者も多いだろう。
しかし、俺やマリュー達の間では不思議な事ではない。
毎晩のように、多人数での行為をしているのだから。
だが、そんなマリューにとってもお試し期間中とはいえ、まだ正式に俺の恋人ではないシーマ達に夜の行為を見せたりするのは嫌らしい。
あるいは、夜の行為を見てその気になって、なし崩しに俺と関係を持つのを心配したというのもあるのかもしれないな。
ともあれ、理由は様々だろうがマリューのその言葉に、俺は納得する。
「え? そう? でも最終的にはそういう関係になるんだし、私は構わないと思うけど。これで夜のアクセルに溺れるようになったら、それはそれで自然の流れでしょう?」
俺とマリューと違う考えを持ち、堂々とそう言ってくるのはミナト。
ミナトにとっては、最終的に決まっている出来事なのだから、その通りにしてもおかしくはないと、そう言いたいらしい。
それはちょっとどうなんだ?
そう思ったものの……
「ば……馬鹿な事を言わないでちょうだい! そんな、まだ付き合ってもいないのにそんな……」
俺達の会話を聞いていたモニクが、顔を真っ赤にしてそう叫ぶ。
モニクにしてみれば、自分が俺とそういう行為をするところを想像してしまったのだろう。
生真面目な性格をしているだけに、そういうのには弱いのだろう。
「そうね。私もいずれは……とは思うけど、今すぐにはちょっとその……」
モニクに続き、クリスも顔を赤く染め、そう告げる。
クリスもまた、性格はモニク程ではないにしろ生真面目だ。
それだけにモニクと同様、色々と想像してしまったのだろう。
こっちの2人の態度は俺も納得出来たのだが……
「そうかい? あたしはそれでもいいけどね。アクセルは夜も凄い……それこそ底なしの獣だって話だし」
「あら、底なしの獣というのは……ちょっと興味あるわね」
何故かシーマとクスコの2人は、かなり乗り気だった。
シーマの方は、年齢から……それに今までの経験から、そういう行為の経験があってもおかしくはない。
だが、クスコは……シーマ程の人生経験はないだろうに、何故このように積極的なのだろう。
あるいは、クスコもそういう経験があって、そんな風に言ってるのかもしれないが。
「取りあえず……」
シーマとクスコの会話に、モニクとクリスが何かを言おうとしたのを察して、俺はそれに先んじて口を開く。
「シーマやクスコの気持ちは嬉しいが、マリューの意見もあるから、そういうのはなしだな」
「そうかい? あたしはこう見えて男心をくすぐるいい身体をしてると思うんだけどね、アクセルはあたしの身体を味わってみたくないのかい?」
「……惜しいとは思うが、最終的にシーマが俺と付き合うという選択をすれば、そういう行為もする事になる。その時は、たっぷりとシーマを抱かせてもらうよ。それこそ、立てなくなるくらいにな」
自信を持って言うシーマだが、そう言えるだけの成熟した肢体の魅力を持っているのは間違いない。
そんなシーマだったが、さすがに俺の口から直接的にそのように言われるのには思うところがあったのか、薄らと頬を赤くする。
「さて、そんな訳でこの件はこれでいいとして……そう言えば肝心の情報屋との接触がまだだったな」
色々と……本当に色々とあったのですっかり忘れていたのだが、元々の話題というか最初にやるべき事は、アルタネイティブ社の様子を見に来た情報屋と接触して、連邦軍の基地の情報を買うというものだった。
その途中で何だかんだとあって、モニク達に俺が告白される事になったのだが。
何も知らない奴がこの話を聞けば、一体何がどうなってそうなった? と疑問に思ってもおかしくはないよな。
それを実際に体験した俺も、一体何故このような事になったのかを完全には理解していないのだから。
「ああ、そう言えばそうだったわね。……けど、何も連絡が来ないという事は、まだ情報屋が来てないんじゃない?」
ミナトのその言葉に、そういうものか? と疑問に思う。
アルタネイティブ社……正確には、アルタネイティブ社に向けて放たれたサテライトキャノンの一撃は、かなり遠くからでも見る事は出来た筈だ。
であれば、情報屋としてそれを知りたいと思う者が多くてもおかしくはない。
実際にフリーデンが接触した情報屋はいたのだから。
そうである以上、追加の情報屋が来てもおかしくはないと思うんだが。
「もし情報屋が来なかったら、どうするの?」
「どうしても一度このメンバーで基地を探索しておきたいから、ここから離れてどこかの街にでも行って情報屋と接触するしかないだろうな」
この辺にはそれなりに多くの村や街がある。
出来れば村ではなく、街に接触したい。
村でもいいんだが、それでも街の方が情報屋がいる可能性が高いだろうし。
情報屋としても、商売として情報を売っている以上、出来るだけ多くの住人のいる街の方が利益が大きい。
イメージ的には、村だとそもそもMS乗りやバルチャーがいないし。
「その辺についてはフリーデンから情報を貰っているわ。ここからそう遠くない場所に街があるわ」
「……いつの間にそんな情報を貰ったんだ?」
「あら、アクセルは忘れたの? 私達が最初にフリーデンに行った時に向こうが攻撃をしようとしてきたでしょう? あの件で得た情報の1つよ」
「そう言えば、あの件で交渉するとか言ってたけど、特に何か貰ったとかはなかったな。情報で貰ったのか?」
「そうなるわね。ちなみにGXについてのデータも貰ってるわ。……シャドウミラーなら、データがあれば作れるんじゃない?」
「マリュー?」
MSを開発したり製造したりとなると、そちらについて詳しいのはやはり俺ではなくマリューの方が詳しい。
「そうね。そのデータが具体的にどれくらいの詳細なデータなのかは分からないけど、もし詳細なデータがあればGXを製造する事は出来るでしょうね。ただし、装甲はこの世界のMSとは違うようになるでしょうけど」
「なるほど。とはいえ、GXの最大の魅力はサテライトキャノンだ。それがフラッシュシステムで使えない以上は、ただの汎用機なんだよな」
勿論、汎用機という特性はかなりありがたいのは間違いない。
汎用機というのは、汎用性が高いからこそ汎用型と呼ばれるのだから。
武器もビームライフル、バルカン、ビームサーベルとバランスよく揃っているし。
そういう意味では、本当に使い勝手のいいMSなのは間違いない。
ただ……個人的には、汎用型よりも特化型の方が好きなんだよな。
この辺りは好みの話なので、何とも言えないが。
「そうなると、もしGXを製造するとなると、どんなに上手くいってもサテライトキャノンなしとなるわね」
「いえ、違うわ」
マリューのその言葉に、フリーデンとの取引を行ったモニクがそう告げる。
「違う? どういう事?」
「GXのサテライトキャノンはフラッシュシステムによって月のスーパーマイクロウェーブを発射する基地に登録するんだけど、それが必要なのは最初だけよ。つまり、フリーデンと合流したらティファにやって貰えば……」
その言葉に、ふと何機ものGXが纏めてサテライトキャノンを撃つという光景を思い浮かべる。
とはいえ、スーパーマイクロウェーブは1度に1回しか発射出来ない。
だとすれば、多数のGXを作っても全機が一斉にサテライトキャノンを発射するといった真似は出来ないのだろう。
あるいは戦前にあった中継衛星の類があれば、そういう真似も出来たのかもしれないが。
「数機はともかく、多数量産するというのはちょっと止めておいた方がいいかもしれないな」
このX世界の主人公が、ガロードなのか、ジャミルなのか、それとも意表を突いてティファなのかはまだ分からない。
もしかしたら、まだフリーデンに乗ってないフリーのMS乗りが主人公という可能性もある。
しかし、それでもサテライトキャノンを持つGXが大きな意味を持つのは間違いない。
だとすれば、もし原作の流れでサテライトキャノンが必要な時にこっちでサテライトキャノンを使うといったような真似をした場合、それが致命的な出来事になる可能性は十分にあった。
そうならないようにする為には、サテライトキャノンをこっちで出来るだけ使わないようにする必要がある。
とはいえ、その辺について説明する訳にもいかないので、適当に誤魔化すしかないのだが。
「私やマリオンとしては、サテライトキャノンはちょっと問題でしょうね」
俺達の話にそう言ってきたのは、クスコ。
何故? という視線が何人かから向けられるが、クスコはその桃色の髪を掻き上げながら口を開く。
「私やマリオンはニュータイプで、ニュータイプは戦場において死に際の思念とかを感じるのよ。そうなると、MSの操縦に少なからず影響が出るわ。ましてや、それがサテライトキャノンのような武器となれば……」
アムロとかシャアはそんな感じじゃなかったが、人によって違うのか? あるいはニュータイプ能力の強さによって。
いや、違うな。
アムロもシャアも、普通にMSに乗って戦っていただけだ。
サテライトキャノンのような、広範囲攻撃が可能な武器はなかった。
ソロモンやア・バオア・クーとかでは、もしかしたら大勢の命の叫びとか、そういうのを聞いたかもしれないな。
「そうなると、やっぱり直接じゃなくても俺達がサテライトキャノンを使うのは止めた方がいいな。仲間が使っても、そういうのはありそうだし」
「……ちなみに、アクセルはそういうのはないのかい? アクセルも似たような能力を持っていただろう?」
シーマが聞いてきた言葉に、俺は問題ないと答えるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1750