「連邦軍の基地についての情報? 結構高いぜ? それでもいいなら売るけど、どうする?」
アルタネイティブ社からそれなりに離れた場所にある街。
そこで俺は予定通り情報屋と接触することが出来ていた。
ただし、情報屋と交渉をするのは俺ではなく……
「あら、それだと少し吹っかけすぎでしょう?」
モニクが情報屋に向かってそう告げる。
そこから始まるのは、情報屋とモニクの交渉。
「モニクに任せておいてよかったの?」
「いいかどうかと言われれば、正直どうかと思わないでもないが……それでも、交渉はモニクの仕事だし」
「クスコ、その辺にしておきな。モニクはアクセルにいいところを見せたいんだよ」
「ちょっと、シーマ! 聞こえているわよ!」
クスコとシーマの会話に、モニクは情報屋との交渉を一旦止めてこっちに……正確にはシーマに向かって叫ぶ。
その頬が赤くなっているのは、羞恥か怒りか。
「ああいう風に怒れば、交渉も上手くいくとは思えないんだけど」
クリスのその言葉に、確かにと納得する。
この街で俺と一緒に行動をしているのは、シーマ、クスコ、モニク、クリスの4人。
こういうメンバーで行動してるのは……まぁ、そういう事だ。
4人がそれぞれ俺に告白し、今は仮の恋人同士になる。
そんな4人と俺が一緒に行動するのは、マリューとミナトの勧めからだ。
実際にはミナトは面白半分にそう言ってる感じだったが。
「モニクならその辺もどうにかしてくれるんじゃないか?」
「そう……かしら?」
クリスが不思議そうな言葉だったが、俺にしてみればモニクの能力を考えるとその辺は問題ないと思う。
そして……やがて、俺のその言葉が正しかったことは情報屋との交渉で情報料が当初よりも安くなったことで決着した。
「どう? アクセルの言ったように、私の実力が発揮したのは間違いないでしょう?」
ふふん、と。モニクはそう言ってくる。
シーマがそんなモニクに何かを言おうとしつつ、クスコとクリスがその動きを止めた。
「ともあれ、目的の情報は入手したしテンザン級に戻るか?」
「あら、ミナトからはデートをしてきてもいいと言われてるんだから、もう少し街中を見ていきましょうよ。……もっとも、何か特別に見るようなものがあるかはちょっと疑問だけど」
デートをしたいというクスコの言葉は、俺にとっても断るつもりはない。
だが同時にクスコが言うように、何か観光名所がある訳でもない。
というか、今のX世界において観光名所の類はどこにもないだろう。
あるいは戦前にあった観光名所でコロニー落としの被害を受けず、まだそこにあるという可能性も否定は出来ない。
出来ないのだが……それでも、戦後復興がまだ完全ではない状態で、観光名所は手入れの類もされていないか、されていても適当なものだろう。
だからこそ、X世界でデートをするにしても……
「あそこに喫茶店があるみたいだから、寄ってみない? もっとも、そこまで満足出来る味ではないでしょうけど」
クリスが喫茶店と思しき店を見つけ、そう言ってくる。
とはいえ、その言葉通りそこで出されている紅茶とかは……とてもではないが、満足出来る味ではないだろう。
コロニーが大量に落ちたこの世界は、太陽が出るようになるまで数年が必要だったという。
そうなれば、茶畑も当然のように全滅している筈だった。
……それどころか、99%の人口が死んだ以上、お茶の栽培の知識がある者が生き残っているかどうかも分からない。
そうなると、喫茶店で出せるのは……戦前の茶葉、あるいは天候の問題でとてもではないが出来のよくない茶葉を使った紅茶だろう。
コーヒーの類は、取りあえず俺は知らないのでどうとも言えないが。
もしかしたら、コーヒーなら太陽とかが出てなくても普通に育つのかもしれないし。……いや、さすがに無理か。
どんな植物でも、太陽がないと生きていけない……割には、この世界は普通に自然があるんだよな。
あるいはこれが太陽が出るようになって生えてきた植物というのなら、納得出来る。
だが実際には、普通に樹齢数十年どころか樹齢百年オーバーと思える木もある。
そう考えると、もしかしたらX世界の植物は太陽がなくても育つ力を持っている可能性も否定は出来なかった。
後でちょっとマリューに聞いてみるのもいいかもしれないな。
「ねぇ、アクセル。あの喫茶店で休んでいきましょう?」
クリスのその言葉に、俺も特に問題はないので頷くのだった。
「へぇ……なかなか美味しいね」
喫茶店で用意された紅茶を一口飲んで、シーマが感心したように言う。
「茶葉、一体どうしたんだろうな」
「その辺は分からないけど、取りあえず美味しい紅茶を飲めたんだからいいんじゃない?」
「クリスはこの紅茶の出所が気にならないのか?」
「そこまで気にならないわね。……ああ、でもこっちのクッキーは美味しいから、少し買い溜めしていきたいわ」
「そのくらいは問題ないでしょう? それなりにお金はあるんだし」
クリスの言葉は、モニクはそう言ってくる。
ちなみにこの場合の金というのは、アルタネイティブ社の件でフリーデンからの報酬もあるが、それ以上に俺がこっちでフリーのMS乗りとして稼いだのが大きい。
俺の稼いだ金を自由に使わせてもいいのか? というのもあるが、正直なところ問題なかったりする。
何しろ、この世界の金は当然ながらこの世界でしか使えない。
まだゲートがなかった時なら、その金を使って食料や生活物資を購入するといった真似をしていただろう。
……まぁ、食料とか生活物資は空間倉庫の中に収納しているので、そこまで必要ではなかったが。
娯楽品の類も殆どなかったので、俺が稼いだ金はホテルの宿泊料であったり、メンテ親父に対する整備費用として支払ったりといった使い方が主だった。
しかし、現在はテンザン級で寝泊まりしているし、MSの整備は量産型Wやコバッタがどうとでも出来るし、基地も所有している。
そういう意味では、ゲートが設置された以上、もうこの世界で稼いだ金というのはこういう時でもないと使い道がないんだよな。
あるいは、MSを買う時に金を使う時もあるかもしれないが……基本的にこの世界で使われているMSはもう大体集めてしまったしな。
勿論、ベルフェゴールのようにあまり知られていないMSとかがあってもおかしくはないし、ガンダムとかになると買うのはその辺のMSを買うようにはいかない。
GXはモニクがデータを貰うということになったから、エアマスターとレオパルドをどうにかして欲しいところだ。
GXは汎用性という意味で使いやすいMSだが、空を飛べるエアマスターはGXよりも高い機動性を持っているし、レオパルドは全身銃火器といった機体で制圧戦に向いている。
特にレオパルドはW世界のヘビーアームズと似たコンセプトの機体だが、ホバー移動という訳ではなく、足元にローラがあり、重量に見合わない機動性を持っている。
いやまぁ、機動性や運動性となると、ヘビーアームズは移動するのは歩いて移動しないといけないが、ジャンプして空中で身体を捻ったりといったような真似が出来る点は……まぁ、あれはMSの性能というよりはトロワの能力によるものだしな。
そんな訳で、MSは結構な数を入手したものの、ガンダム系のMSを購入するには大金が必要となる。
特に問題なのは、アシュタロンだろう。
ベルフェゴールの後継機の1つなのだが、後継機である以上はどこかの組織が作ったMSで、それを有する組織から購入するといった真似は難しい。
「宵越しの金は持たねえ……って訳じゃないだろうが、金の心配はしなくてもいい。……最悪、宝石とかを売ればいいんだし」
キブツがあれば、宝石の類は自由自在に作れる。
あるいはそれを抜きにしても、俺の空間倉庫には今まで入手した宝石が結構な量、入ってるのは間違いない。
何しろ何だかんだで俺は結構なギャングとかそういうのを倒してきたしな。
それ以外にも、例えばW世界のデルマイユの持つ建物から奪った家具の類もある。
このX世界で高品質な家具が売り買いされるのかどうかは、生憎と分からない。
しかし、もし売る事が出来れば相応の金額になるのは間違いなかった。
「金塊の売りすぎで、経済破綻……とか、そういうのはなさそうだから、少しは安心出来るわね」
モニクの言葉に、俺も納得したように頷く。
金を経済の根本にしている場合、金を大量に市場に流すといった真似をすると、市場が混乱して大きな騒動となってもおかしくはない。
その結果として待っているのは、不況だ。
だが、それは市場原理とかがきちんと整っている場所でないといけない。
このX世界において、そういうのが再度整うことになるのは、一体いつになるのやら。
「とはいえ、それでも騒動になったりしそうなのは間違いない。売るなら宝石とかにしておいた方がいいだろうな。……もしくは、盗賊をしているバルチャーやフリーのMS乗りを襲撃するとか」
そうすればMSもそうだが、倒した連中が溜め込んでいたお宝を俺の物に出来る。
もっとも、MSを売るだけなら基地の方でドートレスとオクト・エイプを生産してるので、それを売ればいいだけなのが。
「そういう真似が出来るのは、アクセルだからよ」
呆れたように言うクリスだったが、シャドウミラーの面々なら普通に出来そうな気がする。
だが、俺はクリスの言葉に首を横に振る。
「アルタネイティブ社の時に戦って、ドートレスを楽に倒しただろう? あの実力があれば、恐らくクリス達も同じような事が出来ると思うぞ」
アルタネイティブ社の時は、こっちの3倍近い敵を相手に圧倒したのだ。
勿論、ロッソ達を含めた連中のMS隊が援護をしたというのも影響してるだろう。
だが、それでも3倍差の数を相手に対処出来る……それもクリス達のMSには殆ど被害らしい被害が出ないままで勝利をしたのだから、それがクリス達の技量を示している。
「言っておくが、アルタネイティブ社のMS隊はシャギアとオルバはともかく、ドートレスを使っていた者達はこの世界でもそこそこ、平均よりも上の実力者だぞ。もっとも、あくまで俺がフリーのMS乗りとして活動した限りでの話だが」
「え? あれで……?」
自分達が戦ったドートレスが、平均よりも上の実力を持っていると聞かされたクリスの口から、驚きの声が漏れる。
いや、それはクリスだけではない。
声にこそ出していないものの、他の者達もクリスと同じように驚いているのは間違いなかった。
クリス達がこの世界に来ての本格的な戦いは、アルタネイティブ社の一件が初めてだったからな。
とはいえ。本来ならクリス達の方が操縦技術で劣っていてもおかしくはないのだが。
UC世界は1年戦争で初めて本格的にMSが運用された。
つまり、本格的にMSを運用されてから1年くらいしか経っていないのだ。
それに比べて、この世界は違う。
戦後15年という事は、最低でもMSが使われ始めてから15年は経っているという事になる。
だというのに、それでもここまでMSの操縦技術に力の差があるのだ。
勿論、アルタネイティブ社の使っていたMSがドートレスなのに対して、クリス達が使っていたのは宇宙革命軍の中でも最強の量産型MSとされているオクト・エイプ……それもこの世界の標準の機体ではなく、技術班によって30%の性能アップ機だ。
MSの性能差という意味では、非常に大きいのは間違いない。
だが、それ以上に問題なのは……やはり、パイロットの技術だろう。
相手がフリーのMS乗りなのか、アルタネイティブ社に雇われているMS乗りなのか、その辺については俺も分からない。
しかし、そんな相手に対してこっちは宇宙の蜉蝣の異名を持つシーマ、黒い三連星の異名を持つガイア、オルテガ、マッシュ。
ニュータイプ能力を持つクスコとマリオン。
エリートの中のエリートと呼ぶに相応しい才色兼備振りを示す、クリスとモニク。
こんな者達が操縦するMSだ。
幾らX世界がMSの登場から15年経っていても、圧倒的なまでのパイロットの才能差はそう簡単に引っ繰り返るものではない。
MSというのは性能差もそうだが、やはり最終的に大きいのはパイロットの操縦技術なのだから。
操縦技術が同レベルなら、機体の性能差が大きな意味を持つが。
「とにかく、その辺も含めてバルチャーとしての訓練は必要だな。……出来れば全員フリーのMS乗りとして活動するのが一番いいんだが、そんな余裕はないし」
フリーデンと行動を共にする以上、当然だが俺達はきちんとバルチャーとして活動する必要がある。
「アクセルが一緒に行動してくれるのなら、フリーのMS乗りとして活動してもいいんだけどね」
シーマのその言葉に、他の面々が鋭い視線を向ける。
うん、まぁ……何が言いたいのかは俺にも分かるけど、それは気が付かなかったという事にしておこうと思いながら、お茶の時間を楽しむのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1750