転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3247話

『アクセル、こっちに敵……かどうかは分からないけど、未確認の陸上戦艦が数隻接近してるわ』

 

 格納庫の爆発による延焼を、周辺にある建物を破壊することによって食い止めてから数分。

 基地の探索を続けるかどうか迷っていたところで、不意にテンザン級のマリューからそんな通信が入った。

 その通信の意味は、当然だが理解出来た。

 つまり、恐らくは俺達に敵対的なバルチャーが近付いて来ているのだろうと。

 勿論、近付いてくるからといってそれが必ずしも敵対的なバルチャーとは限らないのだが。

 問題なのは、このタイミングで近付いて来た事だ。

 あの爆発が起こる前に近付いて来たのなら、モニクが取引をした情報屋が俺達の情報をバルチャーに売った可能性が高い。

 しかし、倉庫が爆発したタイミングでとなると、あの爆発を感知したバルチャーが様子を見にやって来たという可能性も否定は出来なかった。

 

「取りあえず俺達も一度テンザン級に戻る。このまま基地にいるところで敵に攻撃されても、ちょっとどうかと思うしな」

 

 場合によっては、こっちに向かって攻撃をしてくる可能性は十分以上にある。

 しかし、何かあったのかと、ただ様子を見に来た場合は、こっちも攻撃はしない方がいいのは間違いない。

 

『分かったわ。向こうがこっちに進むのを止めないようなら、どうしたのかと通信を送ってみた方がいいかしら?』

「そうしてくれ。俺達もすぐに戻るから」

 

 そう言い、テンザン級との通信を切る。

 通信を切ってから、今の指示はちょっとミスったか? と思ってしまう。

 相手にどういうつもりで近付いてくるのかと聞くのはいい。

 あるいは爆発を感じて、何かあったのかと様子を見に来た者であっても、問題はないだろう。

 だが、もし最初から俺達を襲おうとしている連中の場合……それこそ、敵が盗賊とかのそんな感じのバルチャーだった場合、マリューが顔を見せるのは逆効果の筈だった。

 もし相手がその手の連中の場合、マリューのような美人を見てそれで止まるか。

 答えは否だろう。

 相手が本能だけで動いている場合、間違いなくマリューを見れば自分の女にしたいと考えるだろう。

 

「話は聞いていたな? テンザン級に戻るぞ。敵が悪質なバルチャーだった場合、即座に攻撃してきてもおかしくはない」

 

 テンザン級を有しており、クスコとクリスがオクト・エイプに乗って護衛をしている。

 そのような相手に、そう簡単に攻撃をするかと思うのだが……バルチャーの中には、自分の欲望こそが全てと思っている者も多かった。

 とはいえ、こちらとしても敵がそういう相手なら困った事ばかりではない。

 具体的には、襲ってきた連中の陸上戦艦やMSはこっちが貰えるのだから。

 基地に行けば、まだ使っていない陸上戦艦は結構な数残っている。

 このX世界でシャドウミラーがどういう立ち位置になるのかというのは、今のところ分かっていない。

 そうである以上、戦力が多い方がいいのは間違いない。

 とはいえ、別にどうしてもこの世界の兵器だけで戦力を揃えないといけない訳ではない以上、最悪の場合はホワイトスターから兵器を持ってくればいいのだが。

 それでも、兵器は多ければ多い程にいい。

 壊れたら壊れたで、キブツに使えばいいだけなのだから。

 そんな風に考えつつ、俺は他の面々とテンザン級のいる場所まで戻る。

 幸いなことに、近付いてくるという陸上戦艦はまだ見えない。

 テンザン級は巨大な陸上戦艦だけあって、高い能力を持つ。

 ましてや、ブリッジにいるのは量産型Wだ。

 レーダーとかの反応を読み取ったり、操作をして少しでも詳細な情報を入手するといった技術は非常に高い。

 敵との戦いにおいて、相手のいる位置を先に確保出来るというのは非常に大きい。

 ……そういう意味だと、テンザン級にNジャマーⅡを設置してもいいかもしれないな。

 NジャマーⅡは、SEED世界で入手したNジャマーを改良したものだ。

 本来のNジャマーというのは、核分裂反応を抑制するのが主目的で、電波阻害機能というのはおまけでしかなかった。

 とはいえ、SEED世界の地球では無数のNジャマーが投下されたので、電波阻害機能はかなり凄いものだったが。

 NジャマーⅡは、そんなNジャマーの核分裂反応の抑制効果を排除し、電波阻害機能に特化している。

 その効果はミノフスキー粒子並だろう。

 そしてUC世界のミノフスキー粒子よりも優れている点は、ミノフスキー粒子は散布すれば、消えるまでそこに残り続ける。

 そういう意味ではNジャマーⅡの方が使いやすいのは間違いない。

 何よりミノフスキー粒子の場合は誰かがそれを入手して研究し、生産するといった事になりかねない。

 少し前なら、この世界はMSの開発は戦後世界で行われていないといったように考えただろう。

 だが、今は違う。

 ベルフェゴールの後継機である、ヴァサーゴとアシュタロン。

 この2機が新規開発されたのだ。

 これが、あるいはドートレスやジェニスのバリエーションとかなら、まだ納得出来ただろう。

 バルチャーであってもそれなりに改修してるのだから。

 ……もっとも、基本的にバルチャーの改修というのは外見が基本だ。

 内部までしっかりと改修するといったような機体はそう多くはない。

 それは単純に、フリーデンのキッドのような腕の立つメカニックが多くないからというのがある。

 戦後15年なら、戦争の時にまだ現役だったメカニックとか、それなりにいてもいいと思うんだが。

 ともあれ、バルチャーとしてはそんな状況だというのに、ヴァサーゴとアシュタロンという、新型のガンダムを開発した組織が存在している。

 それが具体的にどのような組織なのかは分からないが、連邦軍系……あるいは連邦軍の技術者を引き込んだ組織という可能性が高い筈だ。

 その辺の状況を考えると、この世界のMS技術の発展について少しは考えた方がいい。

 ミノフスキー粒子というのは、UC世界を見れば分かるように非常に重要な要因なのだから。

 そんな事を考えながら、基地から少し離れた場所で待機していたテンザン級に合流する。

 

「マリュー、何か事態の進展は?」

『残念ながらないわね。ただ、こっちの通信を無視しているという事で、向こうが何を考えているのかは十分に理解出来ると思うけど』

「それは分かるが……こっちはテンザン級だぞ? しかも機体はヴァサーゴ……ガンダムとオクト・エイプだ。それでも襲ってくるのは、自殺行為としか思えないが」

『そうね。私もそう思うわ。考えられる可能性としては……こっちに勝てると思うだけの奥の手が向こうにはある』

「ないな」

 

 即座に否定する。

 ガンダム、それも戦後に開発されたのだろう新型であるヴァサーゴと、オクト・エイプが8機。

 それを相手に勝てる奥の手となると、それこそ向こうもガンダムを用意しているとか、あるいはこっちの体力切れ、エネルギー切れ、弾薬切れになるまで大量の捨て駒を使って消耗戦を仕掛けてくるとかくらいしか思いつかない。

 サテライトキャノンを持つGXがいれば……いや、それだと俺達が消滅するだけか。

 自分達の腕を過信しており、それで俺達に攻撃を仕掛けてくるといった可能性も否定は出来ないが、それはあまりにこっちにとって都合がよすぎるだろう。

 その辺の状況を考えると、最終的には何も考えていないという点に落ち着いてしまう。

 

「とにかく、向こうが何を考えてこんな真似をしてきたのは分からないが、こっちに攻撃を仕掛けて来るのなら、連中は敵でしかない。そして敵なら殺しても問題はない。……まぁ、取り合えず敵のMSとかを確保する為に、出来ればコックピットを中心に狙って欲しいけど」

 

 コックピットを交換する程度なら、そんなに難しい話ではない。

 最悪の場合、MSはキブツに使えばいいし。

 

『敵のロッキー級からMSの出撃を確認。敵はドートレス、ジェニス、セプテムです』

 

 量産型Wの通信に、少し驚く。

 ドートレスとジェニスだけなら、そこまで驚くような事ではない。

 バルチャーが使っているMSとしては普通だからだ。

 だが、セプテムは違う。

 ジェニスを純粋に強化したMSで、後継機と呼ぶべき機体だ。

 オクト・エイプ程希少ではないにしろ、それでもジェニスよりは数が少ない。

 一応俺がフリーのMS乗りとして活動している時に戦った敵がセプテムに乗っている時もあったので確保してはいるが、数は決して多くはない。

 出来れば向こうが持っているセプテムは出来るだけ確保したいとは思う。

 

「セプテムは俺が相手をする。他の敵は任せた。お前達が負けるということはないと思うが、油断はするなよ」

『誰に言ってるんだい?』

 

 シーマが強気な笑みを浮かべつつ、そう言ってくる。

 実際、この世界のMSパイロットというのは、平均して技量が低い。

 勿論全員がそういう訳ではないのだが、それでも基本的には技量の低い奴が多いのだ。

 戦後15年というのが、そのようなパイロットを生み出した原因なのは間違いない。

 それに比べると、シーマ達がいるUC世界はまだ1年戦争が終わったばかりだ。

 MSパイロットも実際に戦争を経験した者が多い。

 特にシーマや黒い三連星は1年戦争が始まった当初からMSに乗り続けている。

 いや、違うな。シーマはそれで合っているが、以前聞いた話だと黒い三連星はMSの開発が始まった時から関わっており、いわゆる教導隊的な役割もしていたらしい。

 単純にMSのパイロットとしての長さという点では、バルチャー達よりも劣るだろう。

 だが、実際に戦争を戦い抜いた経験を持つシーマ達と、バルチャーとして活動していたMS乗りでは当然のように経験してきた長さはともかく、密度は違う。

 

「そうだな。これは俺が悪かった。……さて、こうして話しているのも何だし……そろそろ行くぞ!」

 

 その言葉と共に、俺を含めてMS隊は出撃する。

 基地の探索をしていた時はテンザン級の護衛をしていたクリスとクスコの2人も、今回は出撃する。

 敵がどこにいるのかは分かっているし、何かあってもマリューとミナトならどうとでもなるという確信がある。

 テンザン級に近付くよりも先に、敵を全滅させてしまえば問題はないだろうし。

 そんな風に思いつつ、俺はヴァサーゴを使ってセプテムのいる方に向かう。

 セプテムの数は1機だけだ。

 当然ながら、そのセプテムに乗っているのは向こうのエースなのだろう。

 そのセプテムが、こちらに向かってマシンガンの銃口を向けたのを見た瞬間に、ヴァサーゴの飛ぶ軌道を変える。

 次の瞬間、ヴァサーゴのいた空間を貫く弾丸。

 へぇ、結構やるな。

 あの弾丸が貫いた場所は、間違いなくヴァサーゴがいた空間だ。

 それはつまり、もし俺が回避していなかったら弾丸はヴァサーゴに命中していたという事を意味している。

 

「けど、結局は命中してないんだよ!」

 

 ヴァサーゴの腕の外側についている外部装甲を使用して、普通の腕ではなくストライククローの状態にすると、クロービーム砲を放つ。

 クロービーム砲は、威力的には普通のビームライフルとそう違わない。

 だが、普通のビームライフル程度の威力があるということは、命中すれば相応のダメージが……場合によっては一撃で撃破出来るという事を意味していた。

 だからこそ、俺が狙ったのはセプテム……ではなく、セプテムが移動しているのを計算し、その近くの地面に牽制の一撃を放ったのだ。

 本来ならストライククローのクロービーム砲は、関節が多数あるのを利用して普通なら考えられない角度から攻撃をするのが主な使い方なのだが、牽制にはこれで十分でもあった。

 事実、セプテムは今の一撃で慎重になり、動きが鈍くなった。

 エース級なら、この程度の事で動揺しなくてもいいと思うんだが。

 そう思ったものの、楽にコックピットだけを潰す……あるいは降伏させることが出来れば、それは俺にとって悪い話ではない。

 問題なのは、セプテムの側にいるジェニスか。

 

『アクセル、セプテムの近くにいるMSは私が対処するわ』

 

 そう言ってきたのは、クリス。

 どうするか迷ったものの、こっちの面倒が少なくなるのは俺にとって悪い話ではない。

 

「分かった、なら周囲の雑魚は頼む」

『ええ。ふふっ、こうやってアクセルと一緒に戦うのはちょっと面白いわね』

 

 笑みを浮かべてそう告げると、クリスのオクト・エイプは数機のジェニスに向かって突っ込んでいく。

 それを見送ると、俺もまたヴァサーゴをセプテムに向けて突っ込ませる。

 マシンガンの弾丸が次々に飛んでくるものの、機体を動かして回避しながら進む。

 先程もそうだったが、狙いはそれなりに正確だが、正確だからこそ読みやすい。

 結果として、間合いはつまり……ヒートサーベルを振るってきたものの、その一撃を回避し……次の瞬間には、セプテムのコックピットにストライククローのクロービーム砲を突きつける。

 

「降伏しろ。そうすれば殺さない」

『く……くそっ、話が違うじゃねえか。何でこんなに強い奴が……』

 

 セプテムのパイロットは、そう告げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1750

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