俺と狛治はジャミルやテクスと一緒に博物館を見ていたのだが、約束の時間になったこともあり、バスのある場所に向かう。
出来ればウィッツやガロード、ティファ、キッド達といった他の面々がホワイトスターでどのような行動をしていたのかを見たかったのだが……時間になってしまえば仕方がないだろう。
そうしてバスのある場所に戻ってくると、そこには既にガロードとティファ以外は全員揃っていた。
それこそ黒い三連星とマリオンも。
シーマ達は……何か用事があるという話だったから、恐らく帰りも俺達とは別なのだろう。
「アクセル、もうX世界の連中の件は終わったんだろう? なら、俺が一緒にいる必要はないと思うが」
「そうかもしれないが、一応な。俺に特に連絡が来なかった事を考えると、何かやらかして罰を与える必要はないと思うが」
狛治の実力を思えば、そのような真似をするとは思えない。
ただ、狛治がどのような能力を持っているのか分からないような場合は、何とかなるかもしれないと思った者がいれば何か妙な真似をしてもおかしくはなかった。
「そういうものか」
完全に納得した様子ではなかったものの、狛治は取りあえず納得した様子を見せる。
ともあれ狛治も納得した様子を見てから、バスに近付いていく。
「おう、アクセル」
そう声を掛けてきたのは、ガイア。
何だか上機嫌な様子なのは見れば分かるが、一体何でそこまで上機嫌なのかは分からない。
強面のガイアが不機嫌になると、フリーデンの面々も空気が悪くなってしまうので、俺にとっては悪い話ではないが。
「来てないのは、ガロードとティファだけだな。……あの2人の事だから、そんなに心配はいらないと思うが」
そう言いつつジャミルに視線を向けると、ジャミルも俺の意見に間違いはないといった様子で頷く。
少し遅れているのは、多分ガロードがティファとのデートで無意味にはしゃいでるとか、そういう感じなんだろう。
あるいは……はしゃぎすぎて失敗をした可能性も否定は出来ないのかもしれないが。
「でも……ガロードよ? ティファと一緒だと、男の子だけに張り切りすぎて妙な暴走をしないといいけど」
「ガロードならあるかもしれないね」
トニヤの言葉にロアビィが同意する。
明日菜の一撃を受けて気絶していたロアビィだったが、もう目が覚めていたらしい。
気絶した時の一撃の痛みを今も引きずっていないのは、ロアビィが思ったよりも頑丈だったからなのか、それとも明日菜がロアビィを殴る際に手加減をしたのか。
何となく後者なような気がするな。
取りあえず突っ込むのは止めておこう。
ロアビィもサラやトニヤの前で自分が女に気絶させられた……それもナンパに失敗してそういう風になったというのは、言われたくないだろう。
「安心しろ。時間になっても戻ってこなかったら、すぐに捜すから」
ホワイトスターには、コバッタや量産型Wがかなりいる。
これはホワイトスターにやって来た他の世界の面々が、ここでのルールが分からなくて困った時にどうすればいいのか教えたり、立ち入り禁止の場所……具体的には交流区画から外に出ようとした相手を止めたりといった真似をする必要があるから当然だろう。
あるいはエルフ達もかなりの数いるので、そっちに連絡をしてもいい。
「すまないな、アクセル」
「構わない。ジャミルだって博物館では楽しんだだろう? 大人のジャミルですらそうなんだ。ガロードやティファがはしゃいでもおかしくはない」
ガロードがティファとのデートではしゃいでいるというのもそうだが、それ以外にもX世界では絶対に体験出来ないような諸々を楽しむことが出来るという点で、ガロードにとっては大きな意味があってもおかしくはない。
終戦の年に生まれたガロードにしてみれば、戦前の事はそれこそ大人からの話くらいでしか分からないのだ。
あるいは本とか映像とか、そういうのでは残ってるかもしれないが。
そんなガロードやティファにとって、ホワイトスターというのは凄く興味のある場所なのは間違いない。
「そうだな。だが、約束の時間には……いや、そうでもないらしい」
言葉の途中で、ジャミルはサングラスを直す。
ジャミルの視線の先では、こちらに向かってやって来るガロードとティファの姿があった。
ガロードはティファとデート出来たのが嬉しかったのだろう。
満面の笑みを浮かべている。
ティファの方は、元々感情が表に出るようなタイプではないので、どう思っているのかは分からないが……それでも悲しそうな表情とかは浮かべていないので、ガロードとのデートは悪いものではなかったのだろう。
……俺と視線が合うと、すぐにガロードの後ろに隠れたが。
それでも俺を何度も見ていることや、その視線に嫌悪感の類がないのを思えば、嫌われている訳ではないと思う。
「やーやー、皆、遅れてごめん」
「言葉が謝ってないぞ」
ガロードの言葉に、ウィッツが突っ込む。
とはいえ、ウィッツもそこまで本気で怒ってる訳ではないのはその口調から明らかだ。
ウィッツにしてみれば、ガロードはいい弟分といったところなのだろう。
ウィッツだけではなく、ロアビィもまたガロードを可愛がっているのは分かる。
特にガロードにしてみれば、ロアビィはティファとの一件もあるので女慣れしていないウィッツよりもそっち方面では頼りになる相手だろう。
「取りあえず、全員揃ったみたいだな。……それぞれ、ホワイトスターの観光を楽しんで貰えたと思う」
その言葉に、多くの者が嬉しそうな様子を見せる。
どうやら本当に楽しめたらしい。
一番の問題だったキッド達も、特に問題を起こしたりはしなかったようだし。
そう言えば、キッドに実働班の訓練を見せてやろうかと思ってたんだが、すっかり忘れていたな。
キッドには前もってその辺について言ってなかったので、特に問題はなかったみたいだが。
フリーデンの面々を前にしていたのだが、ふと周囲から注目を浴びているのに気が付く。
まぁ、基本的にこうしてバスで全員が揃って移動するとか、そういう事は基本的にないんだから、ホワイトスターにいる面々にとっても珍しいと思うのは当然か。
サラ辺りは、周囲から向けられている物珍しげな視線に気が付いているのか、少し落ちつかない様子だ。
「あー……このままここで話していてもどうかと思うし、バスに乗るか。話はバスで移動中にでも出来るしな。そんな訳で、バスに乗ってくれ」
移動するだけなら、バスではなくても俺が使う影のゲートでどうにでも出来る。
しかし、今の状況を思えばバスで移動した方がいいのは間違いない。
影のゲートでの移動は、慣れない奴の場合は酔ったりするしな。
それ以外にも、影に身体が沈む感覚が不快になるといった者もいるし。
そんな訳で、その場にいた全員……いや、狛治以外がバスに乗る。
「アクセル、バスで移動するのなら俺はもういいだろう?」
「ああ。付き合わせて悪かったな」
「構わない。刈り取る者との模擬戦は俺には悪い話ではなかったからな。ああいう機会は、またあれば嬉しい」
「嬉しい……のか? 刈り取る者が強いのは分かるけど、刈り取る者との戦闘方法は狛治に合わないだろう?」
狛治の戦闘スタイルは、基本的に近接戦闘だ。
そんな狛治に対し、刈り取る者は広域魔法や銃身の長い拳銃を使っての戦闘がメインとなる。
狛治との戦闘スタイルでは、噛み合わないのは明らかだ。
「そうだな。だが、だからこそいい。魔法世界においての戦いでは、基本的に魔法を使ってくる者達が多い。そのような相手を前にした時の戦いを想定すれば……」
「なるほど。寧ろそういう相手の方が戦いやすい訳か」
魔法世界での戦いは、俺も経験したことがある。
勿論、魔法以外にも近接戦闘を得意とするような奴も多いのだが、そういう相手に対しては狛治の長い訓練によって対処は出来る。
上弦の参だった時は鬼殺隊と戦うといったような事もあっただろうし、場合によっては柱と戦うようなことがあってもおかしくはない。
そういう意味で近接戦闘での戦いは十分に身に着けているんだ。
基本的に鬼殺隊の剣士は近接攻撃がメインだしな。
中には飛び道具を使うような者もいるが、そのような者達は基本的に例外だし、その飛び道具の威力も決して高くはない。
そんな訳で、狛治にとってはやはり魔法に対しての対処法の方が重要なのだろう。
「じゃあ、また今度戻ってきたら顔を見せる。あるいはX世界で何かあったら召喚するかもしれないから、そのつもりでいてくれ」
「分かった」
そうして言葉を交わすと、狛治は俺の前から去っていく。
何気に……本当に何気にの話だが、俺の影にいる刈り取る者が狛治と別れるのを残念がっているように思えた。
気のせいかもしれないが。
「アクセル?」
「ああ、悪い。すぐに行く」
ジャミルに促され、バスに乗り込む。
「出してくれ」
「了解しました」
量産型Wが俺の言葉に頷き、バスを出発させる。
ちなみに牧場にいた量産型Wと同じように、この量産型Wも色々な技術を持っている。
確信はないが、恐らくこのバスでもレーサー並みの走りが出来るだろう。
4輪ドリフトとか。……いやまぁ、このバスはタイヤのないホバー移動をしてるので、そんなバスでドリフトってのは無理があるのか?
そんなレーサー級の技術を持っているのと同様に、バスの運転手としても高い技量を持っている。
それは速度を落としたり上げたりする時、乗客達にそれを感じさせないという点でも明らかだろう。
勿論全員にという訳ではなく、MSパイロットの面々はその微かな動きにも気が付いているだろうが。
そんな状況の中で、俺はバスに乗っている面々に声を掛ける。
「さて、これからの予定だが……まぁ、特に何かある訳じゃない。ここに来る時に使った転移区画でX世界に帰るだけとなる。後は基地で一泊して、当初の予定通りフォートセバーンに向かう」
「一泊ってのは、基地で寝るのか? それともフリーデンで寝るのか?」
「フリーデンの方がいいだろうな。一応基地の中にも宿泊施設はあるが、自分達の慣れた場所で寝泊まりした方がいいだろう? 勿論、基地で寝泊まりしたいという奴がいるのならそれもいいが、知っての通り現在基地には結構なバルチャーや商人が来ている。そういう連中と問題が起きる可能性もある」
勿論、現在基地に来ているのは、ホワイトスターに来る他の世界の面々のように、しっかりと選ばれた面々ではない。
中には何らかの野望を持っており、それを隠しているだけといった者もいるだろう。
一応量産型Wやコバッタがいるが……それでも何らかの問題を起こすという可能性は否定出来ないのだ。
そういう面倒に巻き込まれたくないのなら、素直にフリーデンやテンザン級で寝泊まりした方がいい。
「フリーデンで寝た方がいいだろう」
フリーデンの艦長であるジャミルがそう言えば、他の者達にも異論はない。
ウィッツとロアビィはフリーのMS乗りである以上、反対しようと思えば出来るのだろうが、俺が言ったように基地の中で寝泊まりした事で面倒に巻き込まれるのはごめんだと判断したのだろう。
ジャミルの言葉に異論を口にする事はない。
実際、基地にいた者達からの報告によれば、基本的に基地にやって来た者達は自分の陸上戦艦で寝泊まりしているらしい。
陸上戦艦がない者達は、基地で寝泊まりをしているらしいが。
「アクセル、少しいいかい?」
不意にロアビィが声を掛けてくる。
一体何だ? と視線を向け、話の先を促す。
「今回俺達はこうしてホワイトスターに来る事が出来た訳だけど、また来られると思っていいのかい?」
「どうだろうな。正直なところまだ分からない。それに……どのみちこれからフォートセバーンに向かうんだから、また基地に戻ってきたりといった真似は出来ないかもしれないし」
「けど、またここに来る事があったら……」
「難しい。俺達がやってるのは、あくまでも異世界間での貿易だ。どこかの国とか、かなり大きな会社とか、そういう世界との貿易をしていて、その一環としてホワイトスターに来る事が出来るようにもなっている」
とはいえ、必ずしもそうでないとは限らないのだが。
例えば鬼滅世界においては、国や会社ではなく鬼殺隊との繋がりだった。
まぁ、その辺は鬼滅世界において呼吸という特殊な技術があったり、日輪刀という鬼滅世界独自の鉱石を使った刀があったり、耀哉と友好的な関係を築いたりと色々あっての事だ。
それと比べると、フリーデンはバルチャーの中では名前が知られているかもしれないが、それでも結局のところ多数いるバルチャーの1隻でしかない。
今回は色々と理由があって……もしくは本当に俺が異世界の存在だと証明する意味でもホワイトスターに連れてきたという一面がある。
しかし、それがなくなると……それこそただのバルチャーでしかない以上、正直なところあまり利益はない。
元々このX世界は状況が状況だけに国とかないのが問題なんだよな。
あるいはバルチャーを中心とした国を作れば、その国と貿易をしたりとかはするかもしれないが。
そんな風に思いながら、俺はジャミルに視線を向けるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1750