転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3268話

 クスコから通信のあった、敵はニュータイプという言葉。

 それを聞いて現在の状況は納得出来た。

 向こうが待ち伏せをしているとティファが感知したように、向こうのニュータイプも俺達が近付いてくるのを感じていたのだろう。

 ……ティファや敵のニュータイプが感じて、クスコやマリオンがその存在を感じられなかったのは、ニュータイプ能力の強弱によるものなのか、あるいはUC世界とX世界のニュータイプの違いなのか。

 ともあれ、これはピンチであると同時にチャンスでもある。

 元々のジャミル達の狙いは、ティファが感じたニュータイプと接触する事なのだから。

 そのニュータイプが誰かに利用されているのなら、ティファがアルタネイティブ社に捕まっていた時のように解放しようとするだろうし、穏やかに暮らしているのなら特に何もせず、そのままにしておくだろう。

 そう思っていたところで、こうして敵としてニュータイプがやって来たのだ。

 勿論、この状況で敵のニュータイプと接触するような真似は出来ないだろうが、それなら捕らえてしまえばいい。

 それにニュータイプという事は、恐らく敵が乗っているのもニュータイプ専用機。

 少なくても空を飛んでこっちにやって来たというのを考えると、スノーボードに乗っているMSと違う機種なのは確定だろう。

 

「よし、折角やってきたニュータイプだ。俺が……」

『待ってくれ、アクセル!』

 

 俺が向かう。

 そう言おうとした俺の言葉を遮るように、ガロードの声が割り込んで来る。

 

「ガロード? どうした?」

『あのニュータイプの相手は俺に任せてくれ』

「ガロードに……?」

 

 正直なところ、今日のガロードは色々と問題が多い。

 具体的には、GXだけ出撃してくるのが遅かったり、スラスターを全開にして新雪を巻き上げて雪煙によって視界が悪くなったところで敵のMSに集中攻撃をされたり。

 そんなガロードに任せるのは、色々と不味いと思う。

 

「駄目だ。敵はニュータイプだ。ガロードでは荷が重い」

『だからだ! 俺は、こんなところでニュータイプに負ける訳にはいかないんだ! 頼む!』

 

 そう叫ぶガロードに、どうするべきか迷う。

 だが、当然ながらこうして迷っている間にも敵のニュータイプはこちらとの間合いを詰めている訳で、早くどう対処するのかを決める必要があった。

 

『アクセル、ガロードの頼みを聞いてやってくれ』

「ジャミル?」

 

 

 ガロードの言葉を改めて却下しようとした俺に、フリーデンからの通信でジャミルがそう言ってくる。

 

『これはガロードにとって必要な事なのだ。だから、頼む。今回はガロードの言葉を聞き入れてくれ』

 

 さて、この場合どうするべきか。

 そう迷ったが、ガロードがこの世界の主人公である可能性が高く、そして敵はニュータイプ。

 だとすれば、恐らくだが原作でもガロードはニュータイプと戦ったのだろう。

 だが、正直なところ今のガロードの技量でニュータイプを相手に勝てるとは思えない。

 だとすれば、これは負けイベントか?

 けど……この世界では俺を含めたテンザン級の面々がいる。

 しかし、原作では当然ながらそのような存在はいない。

 もしこれの戦いでガロードが負けた場合、一体どうなるのか。

 そんな疑問を抱くも、最終的に俺はジャミルとガロードの言葉に頷く。

 

「分かった。なら、ガロードはこっちに近付いてるニュータイプの相手をしに行け」

『おう!』

 

 やる気満々……というか、寧ろ空回り気味にも見える様子でガロードは返事をすると、そのままニュータイプの機体の反応がある方に向かって進む。

 

『悪いな、アクセル。だが……今のガロードはニュータイプという言葉と戦っているのだ。そんなガロードを、私は応援したい』

「ガロードを行かせたが、俺も後を追う。もしガロードが敵のニュータイプに負けたら、次は俺が戦うからそのつもりでいてくれ」

 

 ガロードには言わなかったが、これが俺の出来る最大の譲歩となる。

 ガロードとニュータイプの戦いが具体的にどうなるのかは分からない。

 恐らく、俗に言う負けイベントといった感じになるとは思うが。

 あるいはこのニュータイプとの戦いでガロードもニュータイプ、もしくはもっと何か別の力に覚醒するといったようなことになってもおかしくはないのだから。

 だが、もし予想通りにガロードが負けた場合、いざという時の準備をしておかないと、場合によってはフリーデンやテンザン級が攻撃される可能性がある。

 フリーデンは元々武器が少なく、攻撃力は基本的に搭載MSに頼っている。

 テンザン級は相応の武装が施されているものの、巨大な分だけどうしても隙が多くなってしまう。……もっとも、ミナトが操舵士をしている以上、ニュータイプの攻撃だろうがあっさりと回避してしまってもおかしくはないのだが。

 

『……分かった。その方向で頼む』

 

 ジャミルも、何も全てをガロードに任せるといった真似をするつもりはないのだろう。

 俺の提案に頷いてくる。

 それを確認すると、次にシーマに通信を送る。

 

「シーマ、俺は敵のニュータイプと戦いに向かったガロードのフォローに回る。お前はMS隊を纏めて、出来るだけ多くの敵MSを鹵獲してくれ」

『あの坊やがニュータイプに向かったのかい? それはまた……分かったよ。こっちはこっちで対処するから、アクセルはあの坊やのところに行ってやりな』

「悪いな」

『悪いと思ってるのなら、後でデートして貰おうかね』

『ちょっと、シーマ。それは職権乱用じゃない?』

 

 シーマの言葉にデートの件を承諾しようとしたのだが、その前にモニクからそんな通信が入ってくる。

 今までの経験からすると、生真面目なモニクとシーマの相性というのはそこまでよくない。

 それでも何だかんだと友好的な関係を築いているのは……俺が言うのもなんだが、好きな相手が相手だからだろう。

 シーマとモニクの言い争い、もしくはじゃれ合いをもう少し聞いていたかった気もしたが、ガロードがニュータイプの方に向かっている以上、それを放っておく訳にもいかない。

 そんな訳で、俺はヴァサーゴを移動させる。

 すると、数分も掛からずにGXの姿を見つけた。

 GXの前にいるのが、恐らくニュータイプ用のMSだろう。

 どことなく……本当にどことなくだが、ジオン軍が開発したMA、エルメスに似た雰囲気がある。

 あるいはニュータイプ用の機体となると、自然とどこか似た意匠になるのかもしれないが。

 白をベースにした機体色を持つニュータイプ用のMSは、最初GXの前にいたものの、GXを置いてそのまま移動しようとし……だが、何故か不意に動きを止める。

 いや、何故かじゃないな。

 あのMSの様子からすると、多分GXの後ろにヴァサーゴがいると気が付いたのだろう。

 ……気が付いたも何も、俺は特に隠れているつもりはなかったので、それは当然かもしれないが。

 そしてあのニュータイプがティファと同じような力を持つのなら、このヴァサーゴに乗ってる俺が特殊な……という表現が相応しいのかどうかは分からないが、とにかくそんな風に感じてもおかしくはない。

 ティファの場合は、俺を海と表現した。

 あのニュータイプが俺をどんな風に認識したのかは分からない。

 それでも俺の存在を感知し、そして不意にGXとの戦闘を開始した。

 何だ? てっきりGXを回避してこっちに来るのかと思っていたんだが。

 あるいは、ティファと同様に俺の存在を察知し、勝てるとは思えなかったからGXと戦った?

 いや、それなら別にGXと戦うような真似をしなくても、この場から逃げ出せばいいだけだ。

 勿論逃げ出せば、今回こうして攻めて来た目的を果たす事は出来ない。

 出来ないが、それでもニュータイプが失われるよりは、大分マシだろう。

 GXが次々とビームライフルを撃つが、ニュータイプ用MSはその攻撃を次々と回避していく。

 その様子は、完全にガロードの狙いを読み切っているかのような、そんな機体操作。

 いや、ようなではなく、実際にニュータイプとしての能力でガロードの動きを読みきっているのだろう。

 やがてビームライフルやブレストバルカンの攻撃が効果がないと判断したのか、GXはビームサーベルを手に敵MSとの間合いを詰めていく。

 そう言えばW世界でMDが使われた時、普通のパイロットではMDに対処出来ないからという事で、近接戦闘をする事によって反応速度の差を覆すといったような話を聞いた事がある。

 ガロードがやろうとしてるのはそれなのだろうが……

 あ、やっぱり。

 GXが振るうビームサーベルは、敵MSのビームサーベルによってあっさりと受け止められ、次の瞬間には蹴飛ばされたGXが吹き飛ばされる。

 だが、俺が驚いたのは次の瞬間だった。

 敵MSから何かが放たれ……その何かは、空中を飛び回りながらGXに向かってビームを放ち始めた。

 

「あれは……ファントム?」

 

 無線の遠距離攻撃端末。

 それそのものはそこまで珍しい話ではないし、実際に俺の愛機であるニーズヘッグも俺が口にしたようにファントムという同じ系統の武器を持っている。

 SEED世界においても、ドラグーンがある。

 精霊の卵が使っているレジェンドやストライクフリーダムは、ドラグーンを使っている。

 またニュータイプと遠距離攻撃端末という事なら、UC世界においてあの敵MSと似た印象を受けるMAのエルメスがビットを使っている。

 とはいえ、ビットはまだニュータイプ関係の技術が発展途上という事もあり、MSの半分くらいの大きさでかなり目立つ。

 それに比べると、あのニュータイプ用MSの放つビットはかなり小型だ。

 この辺、技術的な格差とか、そういう事なんだろう。

 こうなると、ますますあのMSは確保したい。

 そう思っている間にも、GXは小型のビットによって次々とビームが放たれる。

 エルメスのビットと違って、動力炉は内蔵していないからこそ小型化に成功しているのだろうが、この場合の問題はビームの威力がエルメスのビットと比べるとかなり低い。

 低いが……それでも1発のビームの威力は弱いのだが、連射をすれば問題はない。

 そしてビームの威力が弱い分は連射で補える訳だ。

 ガロードはそんな小型のビットによる攻撃を何とか回避しようとしているが、ニュータイプの敵もそんなガロードの動きを先読みしているのか、GXが攻撃を回避するような真似は出来ていなかった。

 そしてダメージが積み重なるとGXも動きが鈍くなってくる。

 GXを含めてX世界のガンダムは、ジェニスやドートレスといったMSと比べると高い防御力を持っている。

 しかし、それでも無限の防御力を持っている訳ではない以上、攻撃を続けられるとGXのダメージは積み重なっていき……

 

『ぐ……ぐぅ……』

 

 数分の戦いの後、やがて限界を迎えたのだろう。

 GXは地上に向かって落ちていく。

 不幸中の幸いなのは、地上には雪が積もっているのでGXが落ちてもそこまで大きなダメージを受けないという事か。

 ガロードの操縦するGXは、結局敵MSに手も足も出ずに撃退された。

 そうである以上、ジャミルとの約束通り俺が出るとするか。

 離れた場所から一気に敵MSに向かってヴァサーゴを進ませる。

 スラスターを全開にして迫ってくるヴァサーゴを見て、敵は一瞬動きを止め……次の瞬間、小型のビットを使ってこっちにビームを連射してくる。

 ガロードの操縦するGXを一方的に攻撃した事で、俺も同じ戦術でいけると判断したのか?

 

「甘い!」

 

 ヴァサーゴに向かって様々な場所から放たれるビーム。

 その全てを、ヴァサーゴをコントロールすることで回避していく。

 クロービーム砲やビームサーベルでビットを破壊するという手段もあるのだが……この世界のニュータイプ用のMSは、当然ながらそう簡単に入手出来るものではない。

 そうである以上、この小型のビットも出来るだけ破壊しないようにして確保したい。

 いわゆる縛りプレイに近い行動ではあるが、GXとの戦闘を見てそのような戦闘であっても可能だと判断した。

 スラスターを小刻みに噴射させながら、敵MSとの間合いを詰めていく。

 このニュータイプは、操縦技術という点ではかなり高いのだろう。

 ニュータイプ能力も、ティファが感知出来るくらいだから高いのは間違いない。

 だが……それだけに、今までその高い操縦技術と強いニュータイプ能力によって、一方的に敵を蹂躙してきたのだろう。

 実戦経験そのものはそれなりにあるものの、それはあくまでも格下の相手だけであって、強者との実戦経験はない。

 いやまぁ、X世界の現状を考えればそれも仕方がないのかもしれないが。

 格下とばかり戦っているのは、実は俺もだったりするが。

 だが俺の場合は、それこそその世界のラスボスと呼ぶべき相手と戦った経験もかなりあるので、そこが俺と敵のニュータイプとの違いだろう。

 PPを使って自分の能力を強化するというのも、当然ながら影響してるが。

 そんな事を考えつつも、俺はビットの攻撃を回避しながら敵との間合いを急速に詰めて行くのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1915
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1751

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